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Japan

第16回 デジタル化で製造業が変わる 3Dプリンターをネットワーク化するとできること

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年04月21日更新

モノづくり現場を揺るがす存在として注目される3Dプリンター。モックアップ作成が主な目的だった高価な業務用機械から、家庭用の安価な製品まで、一気に普及が進んでいます。最近では、3Dプリンターをネットワーク化して、新たな活用ステージへ進めようという試みがなされています。

持て余された3Dプリンターをネットワーク化して短納期を実現

IT業界の調査会社ガートナーが2015年9月に発表したレポートによると、全世界の3Dプリンター出荷台数は2015年が24万4533台、2016年には2倍以上の103%増で49万台を超えるとの予想です。
価格が安くなったことで製造業だけでなく、デザイン事務所や教育機関でも3Dプリンターを取り入れるようになっています。しかし、現在の3Dプリンターはその造形スピードが非常に遅く、造形物にもよりますが、たった1センチの高さを生成するのに1時間かかることもあります。ブームに後押しされて研究用や投資用に購入してみたものの、実際には使いこなせていないということも多いようです。その一方で、3Dプリンティングが本業の会社には注文が殺到しすぎて納期が延びてしまうという実態もあります。
そうした状況に目をつけたのが、日本の某ベンチャー企業です。同社では全国の3Dプリンターを所有する業者と提携しネットワーク化することで、プリンターの稼働率を上げ、短納期を実現しました。基本的にはデータ入稿から最短で即日納品。平均納期として3日以内の納品が可能だということです。大口オーダーも可能で、1700体以上のフィギュアを1週間で納入した実績もあります。
2015年6月時点で提携先は80社、ネットワークしているプリンターは120台以上にのぼります。国内で稼働している業務プリンターの15%にあたるそうです。同社は2020年までに国内の業務用プリンターの8割をネットワーク化することを目標に掲げています。

世界一の3DプリンターメーカーとGoogleが提携、超高速3Dプリンター実現へ

3Dプリンターメーカーとして世界一のシェアを誇る米企業は、Googleと提携して3Dプリンターを超高速化し、量産設備に活用する取り組みを始めています。
現在の技術では、3Dプリンターは造形物によってプリントする方向を変更していくので、造形に時間がかかってしまいます。1つの3Dプリンターで1日1個作るのがやっとということもあります。
そこで同社は、もっとも一般的なFDM方式3Dプリンターの特徴である「往復運動」をやめることで、造形を超高速化させようとしています。
今回新たに開発する3Dプリンターはプリントする方向をいちいち変更することなく、1つのノズルは1つの方向しか造形しないようにします。まるでライン作業のように、複数のノズルがそれぞれの作業をこなすことで、3Dプリントを完成させるという仕組みです。
この新型3Dプリンターは、Googleの傘下の某電子・通信機器メーカーが進める「Project Ara」用に開発されています。スマートフォンをユーザーの好みやライフスタイルに合わせて3Dプリンターで自由に作れるオープンプラットフォームです。Googleのサービスともなれば利用者が殺到するのは想像に難くなく、「1日1個」などと悠長なことを言ってはいられず、高速化が大前提となります。
Googleが進める同プロジェクトは、今はスマートフォンのカスタマイズ向けですが、今後さまざまな電子機器の製造に応用されると考えられます。

学校や公共施設への3Dプリンター設置でアイディアを形に

3Dプリンターの登場とそのネットワーク化はものづくりの未来をどのように変えていくのでしょうか。
従来ものづくりをするためには、工場にラインを設置し、工作機械を置き、作業員を雇う……という多額の設備投資が必要でした。
しかし3Dプリンターの登場で、デジタルデータさえあれば気軽にアイディアを形にできるものづくりに参入することが可能になります。
3Dプリンターは現在2つの潮流に向かって進化を遂げているといわれます。第1がAdditive Manufacturing(最終製品が製造できるツール)です。金型が不要になるほどの高品質を実現することで、商品化・量産化も可能にします。第2がCreative Machine(家庭や学校などでアイディアを具現化する発想・創造ツール)としての進化です。
例えば、教育機関や市民が集う公共施設などに3Dプリンターを置くという試みがあります。こうして、大規模な生産設備を持たずとも誰もが自由にアイディアを形にすることができるようになります。
実際、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの図書館には、学生が自由に利用できる3Dプリンターが設置されており、学生が課題を制作したり、iPhoneケースを自作したりと活用しています。3Dプリンターにはデータの作成が必須ですが、iPhoneケースなどのデータは既に他の学生が作成したものがネットワーク上で共有されているので、ものづくりが専攻ではない学生でも気軽にチャレンジできるようです。一方、米国では全公立小学校への設置が決まっています。
若者のものづくり離れが危惧される中、このように自らの手で触って活用してみることで、普及によって生活や社会がどう変わるかを考えることにつながるのではないでしょうか。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

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