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第02回 商品開発のプロセス

食品製造はブランディング力で価格競争から脱却する

日本食品技術株式会社 代表取締役
江本 三男 氏

2017年10月20日更新

  • 発想~試作品~原価計算~試作製造~本生産
  • 本生産に載せるための標準マニュアルの重要性

はじめに

食品の開発とは、最初の個人のアイデアを市場で流通する商品にするだけでなく、長期間にわたって顧客に、継続して購入してもらわなければなりません。そのためには、抽象的であっても方向性やプロセスを関係者に明確に示されていなければならなりません。よくあることですが、開発とは名ばかりで現在の市場で多く売れている商品のコピーやマイナーチェンジで対応している状況が見受けられます。しかも、開発担当者は、その業務を短期間で行うことを要望されて、目先の作業に忙殺されているのが現状ではないでしょうか。特に、中小企業の開発部門では、生産管理や品質管理の片手間で開発業務が行われている場合もあります。本稿では、最初のアイデアの状況から商品として市場で展開されて、顧客満足をえるまでのプロセスについてお話します。

アイデアの発想から試作品へ

最初は、何も無い状態からのスタートです。種々のアイデアといわれる「思い付き」が提案されますが、なんら具体性が無い場合が多いものです。いわゆるプロジェクトは、無から有への進行過程であるといえます。スタートとして、よく言われるニーズとシーズの関係から見てみましょう。シーズは、種となる事項であり、これを核にして、プロジェクトの展開を図ります。これに対して、ニーズは消費者の要望や意向であり、商品が流通するという見込みでもあります。

シーズのうち技術シーズは、ものづくりのノウハウともいえます。新しい技術があれば、新商品が作れます。新技術とは、新しい原料、新しい加工技術、新しい生産技術であり、新しい包装材料であります。さらに、新商品とは今までに無いものであり、既存の商品との差別化を可能にするものです。
ここで情報とは、自社の研究機関の研究成果、外部研究機関の情報、業界の人脈による情報、ネット由来の情報等です。これらの技術シーズを用いて、製剤技術をレベルアップすることが求められます。

アイデアと情報の流れとしては、一般にボトムアップと、トップダウンがあります。トップダウンとは、経営や、組織のトップからのアイデアに基づく指示です。企業のトップからの指示は、総合的な判断に基づく指示となり組織が一体となって活動を開始します。また、担当上司からの指示となり実務者への強制力がありますので、プロジェクトは進行しやすいといえます。また、そのプロジェクトが破綻しても、トップからの指示に従っているということで、容認されやすいものです。ここでの問題は、実務者のモチベーションです。偏屈な実務者や技術者に、熱意を発揮してもらうには、何等かのインセンティブを与えるが必要が有ることが多いものです。

一方、ボトムアップは、実務者や、技術者からのアイデア提供であり、シーズやニーズに直結した情報である。問題は、アイデア提供者の思い込みの場合が多いので、プロジェクトの内容を関係者に判りやすくプレゼンする必要があります。その後の進捗にも、プロジェクト内のコミュケーションが重要とされます。

アイデアに具体性を与えるために、試作品を作成します。食品の開発では「試食できる試作品」を作ることですが、いわゆる「一品料理」ではなく、工場で大量生産できるという見込みが必要です。試作品の目途が立った時点で、関係者による企画会議を開催することになります。その後は関係者を増やし開発会議を行ってさらに具体性を高めます。また、工場の試作を想定して製品化会議が開催されます。これらの会議の結果はフィードバックされて試作品のブラッシュアップが行われます。

今まで述べた過程は、商品のコンセプトを明確に作り上げることであり、さらに商品の具現化です。コンセプトを作る過程を理解できれば、次の関連商品へ水平展開が容易となります。ここで重要なことは「諦めない」ことです。プロセスは、挫折の連続であり、常に中断の危機があります。諦めない熱意をもった開発者が必要なことは言うまでもありません。

第1図:アイデアの具現化
第1図 アイデアの具現化

試作品から原価計算へ

最初のイメージを具現化するために試作を繰り返してコンセプトを確立することの重要性を述ました。商品としての完成品にはなっていないが、イメージとしては、出来上がっている。この状態がもっとも情熱をそそいだものであるから、大事にしなければなりません。そして、さらに商品のコンセプトの明確化が必要です。工場生産に移行する前の「製剤化のプロセス」の目標は、高い品質の商品を作り上げることであり、原価計算によるコストダウンを行うプロセスです。

ものづくりのイメージとしては、長期に流通消費される商品です。さらに新しい革新的技術により現行商品から差別化できるものでなければなりません。このプロセスで新素材、新技術が必要になってきますが、多くの技術情報のなかから、実際に利用可能なものを、スクリーニングによって取捨選択しなければなりません。この作業で、開発期間の短縮や、経費に削減や製品のコストダウンが可能となります。スクリーニングとは、全体構想を熟知した上での優先順位の理解と選択です。さらに留意すべきは、成功体験の蓄積です。ところが「過去の成功体験が、次の革新的な商品開発の障害になる」とされることもあります。近年のように画期的な新商品が市場に現れない状況では、成功体験を経験できないのが実情です。成功へのプロセスが見えずに、どのように対応すべきか解らない状況になっています。特に、指導者に成功体験が無い場合は、深刻な問題です。ここで、最初の「一品」を作り上げた、いわゆる「最初に井戸を掘った」人を成功体験のある人物として大事にすべきです。一方で、若い技術者は、成功体験から謙虚にヒントをもらうようにすべきです。

さらに、開発の過程で、新規の技術が確立されたら特許出願が重要です。商品として他社商品との差別化するとともに、その模倣を防止して独占性を維持するためです。特許で他社を排除して市場独占できれば、競争相手がいないのですからプロモーションも容易になります。

第2図:製品化の考え方
第2図 製品化の考え方

試作製造から本生産へ

製剤化が完成すれば、本生産のための生産技術の確立が必要です。ここで、留意することは、効率の良い生産システムを確立することを理由として、製品のコンセプトや、製品の味を犠牲にしてはなりません。生産技術とは、少量生産の技術を援用し工場での大量生産技術を確立するものであり、生産設備を確立するものである。また、生産が開始された後も、生産の高効率化を目指して、常に改良作業を進めることです。

工場生産では、既存の設備を使用できれば、設備投資が不要で好ましいが、新機軸の商品であれば、新規の設備で差別化できる商品にすることが多い。人件費の面では、正社員を利用する場合、契約社員を利用する場合、パートを利用する場合が想定されるが、技術の熟練度と人件費の兼ね合いです。このあたりは、工場長の力量といえます。他の選択枝しとして生産の外部委託(OEM)が検討されます。外部委託により、新規設備投資を抑えることができますが、自社技術の蓄積ができず、その技術が流出することもあります。ノウハウのある製品では、外部委託を敬遠されることになります。

このような作業によって、コストダウンが行われて生産原価が低減することとともに、粗利を増加させることが可能となります。粗利が増大すれば、業務展開のためのプロモーションに経費が使えることになります。すなわち、高い商品力とともに、高い営業力が維持できることになります。

第3図:生産技術でコストダウン
第3図 生産技術でコストダウン

本生産に載せるための標準マニュアルの重要性

アイデアから本生産にいたるまでの系列を述べてきましたが、各プロセスのチェックポイントを記述するとともに状況を図示しましたので、これらを参考にマニュアルとして業務を進めて頂ければ幸いです。日頃より、意識しない事象をチェックできると推察します。さらに、本生産が開始されますが、これは開発業務の完了ではなく、製品が商品になって市場で展開されている限りは、市場からのフィードバックを受けて、生産の様式を変更し見直さなくてはなりません。市場からは、消費者クレームとして重要な指摘事項が返されてくるので、これには厳正に対応しなければ企業の存続を脅かしかねません。

商品のプロモーション

生産技術による生産のコストダウンと粗利の上昇によって、営業力のアップが見込まれることを述べました。工場で生産体制が確立されたら、プロモーションによって、商品の市場における知名度の向上が計られます。もちろんこの作業も外部委託にすることが可能であり、最近の傾向として多く選択されています。

新規の商品であれば、既存のルートの利用と、新規のルートの開発が必要となってきます。ここで、経費の低減が必要であるからプロモーションにも、工夫がもとめられます。この業務の担当者にも、正社員、契約社員、パートの利用に配慮することが必要です。例えば、医薬品、病院食から、ダイエット食、メタボ食等々の商品戦略として、選択枝が多いほどプロモーションに幅ができて人材の有効利用が必要です。さらに、営業経費の低減と効率化が可能になり、営業利益が上昇します。これらの一連の作業によってプロモーションの原資が確保されブランドの確立に寄与します。

商品のプロモーションといえば、すぐに広告代理店を想起してこれを活用することが一般的です。プロモーションの担当者の発表内容や営業戦略のほとんどを広告代理店に委託している場合があります。ここで、莫大な経費が発生するのは、代理店の豪華な本社の様相を見れば明白です。自社において営業戦略を緻密に企画して、生産現場に匹敵するほどの経費節減をおこなえば、結果責任のない代理店を多用する必要もないと思われます。

これらの作業の究極の目的は、商品ブランドの確立であます。企業において最も重要なのは、ブランドでありこれが企業の財産でもあります。ブランドによって、商品の長期販売が可能となり、スーパーやコンビニのバイヤーへの交渉力にもなるのです。

第4図:商品プロモーション
第4図 商品のプロモーション

おわりに

いわゆる商品は、顧客満足が目標ですから開発を担当する研究者や技術者が、消費者から遠い位置に閉じこもってはいけません。あらゆる機会と情報を駆使して、消費者の意向に耳を傾けなければなりません。食品の開発、製造、販売の実務にあたっては、ポジショニングという立ち位置の確認が重要となります。いわゆる座標軸を固めていると、自身の考えや行動にぶれ気づき、元に戻るのが容易となります。今回、プロセスとして、アイデア段階から最終商品までを示めしましたが。思い及ばない状況も多々あり完全とはいえませんが全体のプロセスを俯瞰できれば、的確な判断ができると思い記述してみました。これを機会に、本稿の内容に対するご意見を賜れば幸いです。

次回(3回目)は「改めて確認したい商品コンセプトの表示商品開発のプロセス」について、お客様に安心安全をお届けするために必要とされる表示について、お話します。

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著者プロフィール

江本氏

日本食品技術株式会社 代表取締役

江本 三男 氏

1977年大手食品メーカー 開発部 研究所へ入所。営業本部、生産技術部、マーケティング部、開発技術本部に在籍し、食品開発はじめ様々な業務を経験。
2011年3月日本食品技術株式会社代表就任。
2015年5月~日本ハラール協会監査員(食品技術)

<専門・研究テーマ>:清涼飲料、レトルト食品、冷凍食品、粉末食品、流動食、流動食(食品)、経腸栄養剤(医薬品)等の商品開発、生産体制の確立、営業を含む市場開発等

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