2016年10月26日更新
Microsoft Officeで仕事力アップ【Excelで仕事力アップ】アンケート結果を細かく分析。従来の平均値による分析より、レベルをぐっと上げる方法!
使用ソフト:Excel2016
ビジネスでは、アンケート調査を行い、その結果を分析して新商品の開発に活かしたり、お客様満足度を向上させる施策を検討したりします。
「価格を下げる」、「商品のラインナップを増やす」、「店舗を増やす」など、さまざまな選択肢が考えられますが、すべての施策を一度に実施するには費用がかかるので、施策を実施する優先順位を検討する場合があります。
このような場合に、相関係数を使って優先順位を導き出すことができます。
今回はExcelで相関係数を算出して、アンケート調査結果を分析する方法をご紹介します。
平均による分析と相関分析
今回の例では、店頭で実施しているお客様アンケートの結果を分析してみます。
この例では携帯電話の新商品の開発コンセプトを検討していますが、画面の大きさ、カメラの画素数など重視するポイントはたくさんあります。そこで、お客様アンケートの結果から重視する機能を検討してみることにしました。
アンケートの回答結果を一覧にすると以下のとおりです。
「総合満足度」とそれぞれの項目の満足度が平均でわかりますね。
それでは「反応速度」の満足度の平均が1.9と最も低くなっているので、この点を改善することを優先的に検討すればよいのでしょうか?
ここで考えたいのは、「反応速度」の満足度と「総合満足度」との関連性です。
「反応速度」の満足度が低くても、「総合満足度」が高ければ、お客様はあまり「反応速度」を重視していないのかもしれません。お客様が重視していないのであれば、最優先で改善する項目とは限らないかもしれません。この点に注意して分析を進めます。
相関係数の表示
相関係数を表示してそれぞれの項目と総合満足度との関連性を調べましょう。
CORREL関数でも相関係数を算出できますが、項目が複数ある場合は分析ツールを使うと便利です。
分析ツールを使えるようにしましょう。
《ファイル》タブ→《オプション》をクリックします。
《Excelのオプション》ダイアログボックスが表示されます。
《アドイン》をクリックします。
《管理》の一覧で《Excelアドイン》が選択されていることを確認し、《設定》をクリックします。
《アドイン》ウィンドウが表示されます。
《分析ツール》をオンにし、《OK》ボタンをクリックします。
《データ》タブに《分析》グループが表示されます。
相関係数を算出しましょう。
《データ》タブ→《分析》グループの《データ分析ツール》ボタンをクリックします。
《データ分析》ダイアログボックスが表示されます。
《相関》を選択し、《OK》ボタンをクリックします。
《相関》ダイアログボックスが表示されます。
《入力範囲》にセル範囲【C4:I19】を設定します。
《出力先》をクリックし、セル【K4】を設定します。
《先頭行をラベルとして使用》をオンにして《OK》ボタンをクリックします。
相関係数が算出されました。
ここで注目するのは「総合満足度」の列です。この列は総合満足度と各項目の相関係数を表しており、この数値に着目します。
総合満足度との相関係数が大きいということは、言い換えるとお客様が重視している項目であると判断できます。この場合、「本体価格」、「本体の重さ」、「画面の大きさ」の3項目ですね。
散布図の作成と編集
次にそれぞれの項目の相関係数と満足度を散布図にしてみましょう。
先ほど算出した各項目の相関係数と、満足度の平均を、散布図を作りやすいように表にまとめました。
ここでは見やすいように数字を四捨五入して丸めています。
相関係数と満足度のセル範囲【C5:D10】を選択します。
《挿入》タブ→《グラフ》グループの《散布図(X,Y)またはバブルチャートの挿入》ボタンの下向き三角のボタンをクリックし、一覧から《散布図》をクリックします。
散布図が作成できました。
散布図を見やすいように編集しましょう。
グラフタイトルを削除します。
横軸と縦軸に何を表しているか、わかりやすいように軸ラベルを表示します。
散布図を選択し、右上に表示されている《グラフ要素》ボタンをクリックして、《軸ラベル》をオンにします。
横軸のラベルに「相関係数」、縦軸のラベルに「満足度」と入力します。
アンケート項目名を表示します。
散布図を選択し、右上に表示されている《グラフ要素》ボタンをクリックします。
《データラベル》の右向き三角のボタンをクリックし、《その他のオプション》をクリックします。
《データラベルの書式設定》作業ウィンドウが表示されます。
《ラベルオプション》の《ラベルの内容》の《セルの値》をオンにし、セル範囲【B5:B10】を指定して《OK》ボタンをクリックします。
《ラベルオプション》の《ラベルの内容》の《Y値》をオフにします。
《ラベルの位置》の《上》をクリックします。
散布図の表示位置やサイズを調整します。
散布図が完成しました。
散布図による分析結果
作成した散布図で分析してみましょう。
注目するポイントは、それぞれの項目について、相関係数と満足度が平均より上回っているかどうかです。
相関係数の平均(0.40)と、満足度の平均(3.4)にそれぞれ軸と平行に線を引くと、以下のように4つの領域に分割されます。
領域 | 説明 |
---|---|
領域A:最優先改善エリア | お客様にとって重要度が高いものの、満足度が低い領域。最優先で改善が必要です。 |
領域B:改善エリア | お客様にとって重要度は低く、満足度も低い領域。重要度が低いので最優先ではないものの、何らかの改善が必要です。 |
領域C:重点維持エリア | お客様にとって重要度が高く、満足度も高い領域。現状は満足度が高いので問題ないですが、満足度が低下すると総合満足度も低下してしまう可能性が高いので、満足度の水準を保つように注意が必要です。 |
領域D:現状維持エリア | お客様にとって重要度が低い一方、満足度が高い水準で保たれている領域。満足度は高いので、現状を維持すれば十分であると判断できます。 |
このように相関係数や散布図によって、アンケートの分析を行うこともできます。
ぜひ試してみてください。
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著者プロフィール
富士通エフ・オー・エム株式会社 ソリューション最適化事業本部 ソリューション開発部
瀬戸 里織(せとさおり) 氏
1994年から約20年間において、多くの企業・自治体様向けにExcel、WordなどのOffice系や、業務システムの研修を実施。
基本操作から、業務に即活用できる実績的な操作方法まで広い範囲で、研修カリキュラムを企画。また、その経験を活かし、多くの研修講師を養成した経験あり。
本コラムでは、長年の研修経験やお客様よりいただいたご質問などを基に内容を構成してご紹介しています。
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