2017年03月10日更新

SCM“人間系業務”にこそ改革の可能性あり!実践事例で解説 第01回 “人間系業務”システム化のメリットとは?

株式会社フェアウェイソリューションズ 代表取締役社長 殷 烽彦 氏

インダストリー4.0では、「自動化」から「自律化」へ

業務作業の効率化は、人間社会が長い年月追い続けてきたテーマであり、ビジネスを実行する上で永遠のテーマでもあります。
第1次産業革命による「機械化」、第2次産業革命による「大量生産」の時代を経て、1970年代に起こった第3次産業革命では、コンピュータ・IT技術の発展により、「業務の自動化」をある程度まで実現しました。
ある程度、と断りを入れたのは、単純な作業や計算といった、「人間の指示通りに正確・高速に実行する」という意味においてのみ、自動化の恩恵を享受していたとも言えるからです。

しかし今現在、私たちはAIやIoTに代表される第四次産業革命の真っ只中にいます。
この転換がもたらす変化は「自動化」を超え、人間の指示がなくともコンピュータ自身が最適な業務を判断し実行していく、一言で言えば「自律化」が実現されることでしょう。

自律的なITによるサプライチェーンコントロール

徹底的に合理化された未来のサプライチェーンは、どのような姿になるのでしょうか。

自律的なITによるサプライチェーンコントロール

自動化された倉庫で、顧客オーダーに基いてロボットがピッキングし、自動運転EV車やドローンが最適なルートで縦横無人に走り、自動宅配ボックスなどに配送します。同時に需要に応じて、倉庫から自動的にメーカーへ発注がなされ、メーカーが自動生産ラインまたは自動倉庫から製品を無人EV車で適切な末端倉庫または店舗に納品します。
このような自律的なサプライチェーンコントロールがそう遠くない未来に実現する、と想像するだけで大変ワクワクします。
では、私たち人間の行っている業務は、どのように変わっていくのでしょうか。

コンピュータに代わられる業務は、想像範囲を超える

産業革命は、好むと好まざるに関わらず、人間の働き方を大きく変えて行きます。
わが国の経済産業省が2016年4月に発表した「新産業構造ビジョン」~第4次産業革命をリードする日本の戦略~(産業構造審議会による中間整理)では、産業構造の変化が具体的に描写されています。 特に就業構造の転換においては、これまで私たちが「機械化できず、人間がやるべき仕事」と考えていた様々な仕事が、今後減少していく仕事として想定されています。
例えば、

  • IoTを駆使したサプライチェーンの自動化・効率化により、調達に係る仕事は減少(職業例)企業の調達管理部門、出荷・発送係
  • 顧客データ・ニーズの把握や商品・サービスとのマッチングがAIやビッグデータで効率化・自動化されるため、付加価値の低い営業・販売に係る仕事は減少

などが挙げられています。
これらの仕事は、決して単純作業などではありません。在庫のコントロールに関わる調達部門が、AI やロボット等に代替されうる仕事として例示されていることに驚かれた方もいるでしょう。皆さまの会社でも、現時点ではベテラン担当者の経験知、感性、力量を要する“人間系の業務”とされているのではないでしょうか。

このほか、戦略という視点では大変参考になりますので、興味ある方はぜひご一読ください。

未来に備えて

現在、あたり前に“人間にしか出来ない業務”と思っている仕事を、そのまま聖域化していると、第四次産業革命による技術革新、グローバルな競争社会において取り残されてしまう可能性があります。
私たちが今準備出来ることとは、遠くない未来、AIやロボットと共に働く環境に備え、可能な限り合理的なルールを模索し、段階的に人間系から脱却することではないでしょうか。今からやらなければ、徐々に競争力が落ち、「ゆでガエル」になってしまうかもしれません。

非定型な“人間系業務”を合理的にルール化し、システム化に取り組むことは、今すぐにでも経営的に意義があります。

  1. 業務プロセスの標準化
    まず、複雑な業務プロセスの標準化が図れるでしょう。属人的なやり方を排除し、未来の自動化の前提条件が整います。
  2. 効率化
    各プロセス、または連続したプロセスの効率化・高速化が図れることでしょう。
  3. 人間判断ポイントの明確化
    必ず人間が判断すべきポイントが明確化されます。このことは、自動化されたシステムの暴走を止めるために必要です。また、将来のさらなる自動化にも繋がります。
  4. 自社及び他社のリソースの有効活用
    例えば自社在庫だけでなく、メーカー在庫を利用して納期回答出来るなど、ますますネットワーク化されたビジネス環境を活用し、より少ない投入でより大きなリターンを得ることが出来るでしょう。

次回は、サプライチェーン上の“人間系業務”には、いかに効率化する余地が多く残されているかを解説します。

著者プロフィール

株式会社フェアウェイソリューションズ
代表取締役社長

殷 烽彦(いん ほうげん/Fengyan Yin)氏

1987年3月 京都大学工学部情報工学科卒
1989年3月 京都大学工学研究科 情報工学専攻卒
1992年4月 ウッドランド株式会社(現 フューチャーアーキテクト)入社。
PIM、CRM、マルチメディアなど様々な情報システムの設計・開発に従事。
1997年7月 Toona Softs Pty Ltd 入社。φ-Conductorのシステム設計責任者として、日本・オーストラリア両開発チームの指揮を担当 。
2003年4月 株式会社フェアウェイソリューションズ 入社。大手電子部品メーカー・商社などのプロジェクト責任者として導入に携わる。
2005年4月 同社 取締役 就任
2007年4月 同社 代表取締役社長 就任

殷 烽彦(いん ほうげん/Fengyan Yin)氏

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