2017年05月22日更新

SCM“人間系業務”にこそ改革の可能性あり!実践事例で解説 第03回 オーダーマネジメントで業務高速化/受注対応力強化を図る!-卸売業/商社 編-

株式会社フェアウェイソリューションズ 代表取締役社長 殷 烽彦 氏

この日本で、必要なSCMの機能とは

欧米のSCM市場では、オーダーマネジメントという分野が非常に注目を集めています。ある注文を受けた時、どの在庫拠点からいつ出荷し納品するべきか、最適解を導き出し、実行指示する仕組みです。
確かに、米国のように広大な国土があり、輸配送に多大なコストと時間がかかる環境では、輸送手段の選び方次第で、利益に大きな差が生まれることは容易に想像がつきます。

翻って日本国内においては、一部の遠隔地を除き、注文を受けてから1日、2日の内に納品することが出来ます。それが出荷元倉庫や輸送手段を間違えたからといって10日以上に変わってしまう、という事態はまず起こりえません。
オーダーマネジメントの機能は不必要なのでしょうか。

即納体制を支えている“人間系業務”

日本全国のスーパー、コンビニエンスストアの店頭に品物が並ぶまで、舞台裏のフルフィルメント(受注手配)業務は、非常に短い時間との闘いです。
ある食品卸の企業様では、午後の13時に全国各地の店舗分の注文データが届きます。翌日には商品を店頭に並べるため、受注したら即座に在庫を引当て、出荷の準備をしなければならず、その時間的猶予は、たったの1時間です。在庫があれば何の問題も無いでしょう。ですが食品は賞味期限が短く、常に大量に在庫を保有しておくことは不可能です。
何ごとが起きているでしょうか。

食品卸のバックオフィス フルフィルメント業務の課題

全注文への供給が出来ない場合、一部の店舗にだけ納品するわけにはいかないので、在庫を公平に割当てなくてはなりません。更に、他の倉庫に在庫が無いか調べ、移動の依頼を出したり、仕入先に緊急で発注し、出荷に間に合うよう都合をつけなければなりません。
それでも数が足りない時は、何百件もの注文訂正のため、打ち直しをする必要があります。別の企業様では打ち直しは行わず、出力した出荷指示に、手書きで訂正を入れて倉庫に送るそうです。更に、顧客の本部に対して訂正連絡を忘れずに行う必要があります。

多くの販売管理や在庫管理システムは、「在庫が無かった時どうするか」はシステムの対象外の処理ですから、当然、人間がやるものと思われています。しかし、システムにとってはイレギュラーな事象でも、ギリギリの在庫で日々運営している業務現場が、本当に困っているのは、こうした数々の対応業務なのです。

システム化の効能

オーダーマネジメントの考え方では、この問題は非常にシンプルになります。
明日の朝に納品しなければならないとした時、移動や緊急発注も含めた全可能性を一瞬で計算します。どうしても不足する場合は、確保できる最大量を、合理的なルールで自動的に割当てることになるでしょう。
倉庫側への出荷指示は正確に更新され、顧客への連絡メールまで出来ますので、人間は「受注内容と納品予定が変わった」というアラートだけ見て確認すれば良い、ということになります。

受注手配の人間系業務 システム化のメリット -商社/卸-

前述の企業様では、以前は全国約20か所の倉庫で、それぞれの倉庫に居るご担当者様が指示業務を行われていましたが、システム化と同時に業務を本部集約し、数名のご担当者様が全国の物流をコントロールされています。
弊社のシステム化提案書をごらんになり、取締役が「こういう話を実現したかったんだよ!」と笑顔になられたことが忘れられません。

日本企業の高いレベルの顧客サービスは、今も現場ご担当者の多様な判断業務に支えられています。
しかし数年後、労働人口の減少は、今よりもずっと深刻な問題になって来るでしょう。
一体いつまで支えられるのでしょうか。手を打つなら、今のうちです。

次回は、製造業における“人間系業務”の効率化について解説します。

著者プロフィール

株式会社フェアウェイソリューションズ
代表取締役社長

殷 烽彦(いん ほうげん/Fengyan Yin)氏

1987年3月 京都大学工学部情報工学科卒
1989年3月 京都大学工学研究科 情報工学専攻卒
1992年4月 ウッドランド株式会社(現 フューチャーアーキテクト)入社。
PIM、CRM、マルチメディアなど様々な情報システムの設計・開発に従事。
1997年7月 Toona Softs Pty Ltd 入社。φ-Conductorのシステム設計責任者として、日本・オーストラリア両開発チームの指揮を担当 。
2003年4月 株式会社フェアウェイソリューションズ 入社。大手電子部品メーカー・商社などのプロジェクト責任者として導入に携わる。
2005年4月 同社 取締役 就任
2007年4月 同社 代表取締役社長 就任

殷 烽彦(いん ほうげん/Fengyan Yin)氏

ページの先頭へ