2018年01月22日更新

現場からのレポート、労基署調査はこうだ! 第05回 「是正勧告書と間に合わない場合の対応など」

特定社会保険労務士 杉本 一裕 氏

過去、下記の内容で述べてきました。

  • 第1回 「労働基準監督署が来られたのですが」
  • 第2回 「訪問、調査、ヒヤリング開始」
  • 第3回 「ヒヤリング(休憩・休日・健康診断、他)」
  • 第4回 「ヒヤリング(給与計算・未払い残業手当、他)」

今回は、述べてきた労働基準監督署の指導で発行される指導票や是正勧告書を中心に述べていきます。調査を終えて完了ではなく、指導された内容について宿題が残ります。その宿題を放置すると「リスク」につながります。是正予定期日に間に合わない場合も真摯に向き合わなければなりません。

是正勧告書に対する対応は?

調査を終えると、指導票や是正勧告書を渡されます。その場で書かれる場合が多いです。法令違反ではないが改善してほしいという場合が指導票、法令違反の場合が是正勧告書になります。私は、指導票も是正勧告書と同様に対応するように指導しています。

(対応期日)

是正期日が書かれていますので、それまでに対応してください。間に合わないとわかっている時は、目の前で書かれているなら、その場で伝えたほうがいいでしょう。そして、期日までに対応するのが原則です。

(間に合わない場合)

間に合わない場合に、そのまま放置なんて最低です。常識的に考えてもわかる話ですね。必ず間に合わないとわかった時に事前に相談の連絡をすることが一番大事です。そして、対応済と未対応の部分があると思いますので、その説明をしてください。事情によっては相談にのってくれるはずです。
間に合わせることがベスト対応です。期間が延びるということは、それだけ対応したという確証(資料)が多くなります。労使協定漏れや健康診断結果に産業医の意見が無いなどは増えませんが、さかのぼって対応が必要となる未払い残業などは資料が多くなります。

(従わなかったら)

従わなかったらどうなるのでしょうか?この話は経験で話せません。私の実務経験の中で、こんな顧問先はありませんでしたので。ただ、皆様もニュースなどで見聞きしたことがあると思います。是正勧告の指導に従わないで、無視していたような場合は、労働基準法違反になります。送検、罰則適用となる可能性があります。前向きに対応してください。

是正報告書の例

労働基準監督官より指摘を受けた事項について、年月日や会社名、所在地、代表者名などを記載して報告します。

違反法条項等
指導事項番号
是正内容 是正完了
年月日
労働基準法37条
  第1項・・・
ご指摘頂いた実態調査を実施し、労働基準法の定めに従い割増賃金を遡及して支払いました。支払分につき別紙にて提出します。 ◯年◯月◯日
労働基準法32条
  ・・・
ご指摘頂いた時間外労働、休日労働につき36協定を締結し届け出ました。 ◯年◯月◯日
  ・・・ ・・・ ◯年◯月◯日

是正内容について、確証が必要なものは「別紙」として提出します。私は顧問先には、このような感じで対応して頂いています。他にも書き方や方法があるかも知れません。「別紙」は、この例の場合は給与明細書や賃金台帳のコピー、36協定書などになります。

絶対、やってはいけないこと!

勤怠データや台帳などの改ざん。絶対やってはいけません。後々、つじつまが合わなくなりますし、プロが見ればわかります。過重労働や未払い残業問題でもわかるように勤怠データは客観的記録も確認されます。場合によっては、メールやPCのログも確認されます。正直に、これが一番です。

最後に

労働基準監督署の調査について5回にわたって述べてきました。他にも調査項目はありますが、主な項目を取り上げました。調査にあたって、納得できないこともあるでしょう。調査官も人ですので勘違いもあるかも知れません。納得できないことは、意見交換も大事です。
調査があった会社は、当社もそうだったという内容だったかと思います。経験のない会社もいつ訪問調査の連絡がくるかわかりません。調査の有無にかかわらず常日頃からの適正な労務管理が求められます。ご参考になれば幸いです。

著者プロフィール

社会保険労務士事務所 SRO労働法務コンサルティング

杉本 一裕(すぎもと かずひろ) 氏
社会保険労務士事務所 SRO労働法務コンサルティング 代表

(特定社会保険労務士・行政書士)

1985年メーカー系IT企業に入社。多数の大企業にて勤怠・給与・人事制度の業務コンサルティングを手掛ける。在職中の2007年には総務省年金記録確認/大阪地方第三者委員会の専門調査員を兼務。その後、退職し現在に至る。
製造業や病院、大学、鉄道、販売流通業など幅広い業種のコンサルティング業務に従事。労務リスク回避や労務管理に関する専門家として、講演や執筆活動も行っている。

取得資格

・特定社会保険労務士(社会保険労務士/裁判外紛争手続代理人)
・衛生工学衛生管理者
・第1種衛生管理者
・SAP HRコンサルタント

社労士略歴
1989年 社会保険労務士試験に合格、社会保険労務士会に入会
2006年 日本弁護士会の司法担保能力研修終了、特定社会保険労務士試験合格
2006年 特定社会保険労務士として付記登録(紛争解決手続代理業務を行なえる社会保険労務士)
2007年 総務省 年金記録確認/第三者委員会にて専門調査員として活動

著訳書
「よくわかる人事給与業務とコンピュータ活用」(翔雲社)

杉本 一裕(すぎもと かずひろ) 氏

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