2017年11月22日更新

現場からのレポート、労基署調査はこうだ! 第03回 「ヒヤリング(休憩・休日・健康診断、他)」

特定社会保険労務士 杉本 一裕 氏

第2回は、労基官が到着されてからヒヤリング開始の話を中心に行いました。企業概要、労働契約、36協定について述べました。今回は、ヒヤリングの続きで休憩、休日、他を述べていきます。

休憩時間の確認をします。

次に休憩時間です。きっちり休憩を与えていますか。定時後の小休止が特に問題になります。昼休みが60分でない企業は、ほぼアウトに近いのではないでしょうか。昼休みが60分の企業は、このリスクはないです。
例えば昼休み45分の企業は、定時後に15分の休憩を要します。
勤務時間6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合には60分の休憩を与えなければならないと労基法で定められているからです。
現実、15分の休憩をしていない社員が存在しています。用事があって早く帰りたい社員は取りません。例えば、映画や飲み会、デートなど用事があれば早く仕事を終えるため休憩しません。
この小休止については、未払い賃金としてリスクがあります。

  • 夕礼を行い小休止に入らせる
  • 電気を消す
  • 音楽を鳴らす

など配慮していなければ、休憩させていないと見立てられる可能性が大きいです。社員にヒヤリングを行われると多々発言があるのではないでしょうか。悪質な場合は、過去の休憩分を未払い残業として支払う必要が出てきます。
定時退社が基本の企業ではなく、残業日数が多い会社は昼休みを60分にしたほうがよいです。

有給休暇、振替休日と代休など教えてください。

「振替休日が溜まっています」会話中の言葉ですが、おかしいです。振替休日は、あらかじめ休日と平日を入れ替えて勤務させるものです。振り替えた先の休日にあたる日に出勤させていた場合に溜まってきます。休日に変わっているので休ませる必要がありますし、出勤したら賃金が必要です。
現実的に数日程度なら許容され早く取得するように促されるかも知れませんが、それが何日も溜まっている場合は清算しなさいとなります。給与は毎月・全額を支給しなければなりません。よって未払いのような運用は間違いです。
また多くの会社(経営者)が誤解していることがあります。休日と平日の入れ替えで余計なお金が発生しないと思っておられます。週40時間を超えたところの部分については、差分を支払わないといけません。(同一週で振り替えた場合は除きます)

衛生委員会の議事録ありますか?

議事録で衛生委員会を行っているか確認されます。50人以上の事業所では開催していなければなりません。議事録は必ず作成し保管してください。
私も顧問先の衛生委員会に産業医と共に出席しています。毎月必ず長時間残業と有給休暇の取得率をチェックし意見交換、指導しています。他にも季節的病的な要因、例えばインフルエンザや熱中症などの話も取り入れます。
特に過重労働対策の観点で、残業と有給休暇取得は把握していく必要があります。

健康診断結果を見せてください。

産業医の意見が記載されていない場合が多いです。結果をみると要所見の社員が必ずいます。その場合に特に勤怠面での意見が必要となります。法令で定められていますので、書いていない場合は産業医の先生に連絡して記入頂くことが必要です。

健康視点での残業時間の管理を

健康視点での残業時間の管理を
【過重労働関係の事前記入資料】例.労働時間実績表
(労基署によってフォーマットは異なる場合があります)
長時間、過重労働の視点で、また残業45Hオーバーの回数月をチェックできるシートになります。

  • 直近1年間について、上段に時間外労働時間数、下段に総労働時間数の実績を記入。
  • 1日8時間、1週40時間を超える法定労働時間超の時間数を記入。

労働時間実績表

健康視点の残業時間が必要です。社員にも把握させるため給与明細書にも印字したほうがよいと思います。
世の中は変わってきました。賃金を払うための残業集計でなく、実就労の労働時間を管理していかねばならない時代です。カトク(過重労働撲滅特別対策班)が労働基準監督署に設置され健康配慮されています。会社も管理運用を見直していかなければなりません。

  • 参考:
    過重労働による病気と業務の関連 <過重労働による健康障害防止のための総合対策>
    健康との業務起因性
  • 45時間以内 : 弱い
  • 45時間超えると : 強まる
  • 80時間(2~6カ月平均)超えると : 強い
  • 100時間超えると : 強い

「健康との業務起因性」について、参考になると思います。「強い」というのは労災リスクのことで、80時間がひとつの目安です。長時間残業は働き方改革でも目玉になっております。労災リスクも考慮し減じていくべきです。

今回は、休憩・休日・健康面の調査を中心にお話しさせて頂きました。次回は給与計算・未払い残業手当に関する調査項目について話します。

著者プロフィール

社会保険労務士事務所 SRO労働法務コンサルティング

杉本 一裕(すぎもと かずひろ) 氏
社会保険労務士事務所 SRO労働法務コンサルティング 代表

(特定社会保険労務士・行政書士)

1985年メーカー系IT企業に入社。多数の大企業にて勤怠・給与・人事制度の業務コンサルティングを手掛ける。在職中の2007年には総務省年金記録確認/大阪地方第三者委員会の専門調査員を兼務。その後、退職し現在に至る。
製造業や病院、大学、鉄道、販売流通業など幅広い業種のコンサルティング業務に従事。労務リスク回避や労務管理に関する専門家として、講演や執筆活動も行っている。

取得資格

・特定社会保険労務士(社会保険労務士/裁判外紛争手続代理人)
・衛生工学衛生管理者
・第1種衛生管理者
・SAP HRコンサルタント

社労士略歴
1989年 社会保険労務士試験に合格、社会保険労務士会に入会
2006年 日本弁護士会の司法担保能力研修終了、特定社会保険労務士試験合格
2006年 特定社会保険労務士として付記登録(紛争解決手続代理業務を行なえる社会保険労務士)
2007年 総務省 年金記録確認/第三者委員会にて専門調査員として活動

著訳書
「よくわかる人事給与業務とコンピュータ活用」(翔雲社)

杉本 一裕(すぎもと かずひろ) 氏

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