2019年11月19日更新

これからの介護事業経営 第18回 加速する2021年介護保険法改正審議の論点とポイント ~大激変の予兆~

小濱介護経営事務所 代表 小濱 道博 氏

社会保障審議会介護保険部会における2021年度介護保険法改正の審議が終盤を迎えている。今年12月には審議が終了し、それに基づいて、来年の通常国会に改正介護保険法案が提出される。来年の5月には国会で新しい介護保険法が成立する見込だ。今回は制度改正審議の論点を見て行く。あくまでも論点であって、その結論が出されるのは来年5月の国会審議であることを理解頂きたい。

イメージ

(1)ケアマネジメントに関する給付の在り方

具体的な改正の方向が見えてきているのが、居宅介護支援である。
その主な論点は次の3点。

  1. 利用者の自己負担1割の導入
  2. 管理者を主任ケアマネジャーとする人員基準要件の経過措置を、さらに3年延長
  3. ケアマネジャーへの新たな処遇改善

第1に、居宅介護支援には利用者の自己負担額はない。それを自己負担1割とする事が検討されている。その主な理由として、利用者の自己負担が無い事で、利用者はケアマネジャーにお世話になっているとの意識が強く、サービスの内容や質に不満や意見があっても、なかなか口に出して言う事が出来ない。そのため、利用者の意見がケアマネジャーの耳に届きにくく、ケアマネジメントの質の向上に繋がっていない。利用者に自己負担を求める事で、利用者は顧客となり、意見を言いやすくなる。それがケアマネジメントの質の向上につながるとされている。

第2に、昨年の制度改正で、居宅介護支援の管理者には主任ケアマネジャー資格が求められた。その経過措置は2021年3月である。この期間を3年間延長して2024年3月までとすることが論点となっている。この点については、日本介護支援専門員協会が厚生労働省に対して、経過期間の延長を要望している。その主な理由は、主任ケアマネジャー資格を取得するためには、ケアマネジャーとしての専従期間が5年必要である。昨年の改正直前にケアマネジャーの資格を取得して居宅介護支援を開設した場合、経過措置の期間内に専従期間5年に届かず、主任ケアマネジャー資格を取得することが確実に出来ない。その結果、利用者に多大な影響が及ぶことが想定される。この問題点は昨年の改正時から指摘されていたことでもあり、経過期間の延長措置は避けられないと考える。

そして、唐突に浮上した第3の論点が、ケアマネジャーへの新たな処遇改善であった。今年8月に日本介護支援専門員協会から厚生労働省に、ケアマネジャーへの処遇改善を求める報道がなされている。その理由は、介護職員処遇改善加算などの相次ぐ増額で、ケアマネジャーより介護福祉士の賃金改善が上回る事態となっていることと、昨年度のケアマネジャー試験受験者が前年比で6割減であったことへの危機感である。新たな処遇改善の具体的な内容と方法は、加算として新設される場合は、来年の介護報酬改定審議に持ち越されることになる。今回の介護保険部会での審議では、その検討の必要性が盛り込まれるに留まる。しかしながら、単純にケアマネジャーに新たな処遇改善加算が設けられて、賃金が一律にアップすると考えるのは早計だろう。質の高いケアマネジャーを対象とするなどの算定要件が設けられても不思議では無い。ただ、その必要性が高い場合は、今回の介護職員等特定処遇改善加算同様に、年明け早々に審議が始まり、来年10月から導入という可能性も捨てきれない。

さらには、今回の制度改正で、地域包括センターに多様な役割を求めており、予防ケアプランを地域の居宅介護支援に外部委託する仕組みの見直しにも着手している。居宅介護支援事業所が直接に予防ケアプランを受ける仕組みや、報酬体系の見直しなどが検討される。

いずれにしても、今回も居宅介護支援に関しては、大きな改定が行われる可能性が高い。

(2)軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方

訪問介護の生活援助サービスについて、要介護1~2の軽度の利用者を介護保険から外して、市町村の地域支援事業に移行することが検討されている。しかし、市町村の総合事業が進まず、住民主体サービスなどが実施されている市町村数は6~7割にとどまっている現状が問題視されている。 この状況で介護保険から生活援助を外して市町村事業に移行しても受け皿がないのだ。生活援助の市町村への移行より先に、自治体の総合事業の整備促進が先であるという意見は前回からも根強いことから、今後の審議状況が注目される。・・・・・

ここから先の情報については資料をダウンロードしていただき、お読みください。

- 続きの解説の項目 -

(3)多床室の室料負担
(4)補足給付に関する給付のあり方
(5)高額介護サービス費
(6)「現役並み所得」、「一定以上所得」の判断基準
(7)被保険者・受給者範囲
(8)現金給付

これからの介護事業経営
加速する2021年介護保険法改正審議の論点とポイント

著者プロフィール

小濱介護経営事務所 代表
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問
C-SR 一般社団法人医療介護経営研究会 専務理事

小濱 道博(こはま みちひろ) 氏

日本全国対応で介護経営支援を手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。
昨年も延20,000人以上の介護事業者を動員。
全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等の主催講演会での講師実績は多数。
介護経営の支援実績は全国に多数。著書、連載多数。

小濱 道博 氏

ページの先頭へ