2019年12月09日更新

管理会計コラム第01回 財務会計と管理会計の違い

公認会計士 広川敬祐氏

会計とは何か

普段、何気なく「会計」という言葉に接しているかと思いますが、そもそも「会計」とは何か?を少し考えてみましょう。
そこで「食事の後に、すいませんお会計お願いします」と想像された方もいらっしゃるかもしれませんが、そこから発すると財務会計と管理会計との違いにどう展開されるのだろう?と失望されるかもしれません。
会計は、英語でaccountingと言います。このaccountという英単語の意味をweblio(https://ejje.weblio.jp/content/account新しいウィンドウで表示)で調べると、「(金銭上の)計算、勘定、会計、計算書、と記載されていて、コアの意味は『数えて計算すること』」となっています。
何を『数えて計算』しているのかといえば、会社がどれだけ儲かっているかを計算していると言えます。
会計は、決算書により会社の経営成績や財政状態を報告することですが、それをどこに報告しているかを思い起こしてみると、

  • 出資者である株主に
  • 役員である経営者に
  • 上場会社であれば金融庁に
  • 税金の申告として税務署に
  • 借入をしている銀行に
  • 勤務している従業員に

報告対象によって異なる会計

これらの報告先の方々は、会社に対して「会計」とおうことに関して知りたいことが異なります。例えば、税金を課す税務署は儲け(利益)が幾らあるかの報告を求めますが、融資を行う銀行はどのくらいお金(財産)があるのかを求めます。
また報告するタイミングは、税金の申告は年に1回ですが、経営者は毎日でも会社の状況を把握したいと思っています。

そこで「財務会計」と「管理会計」という用語が登場します。
財務会計は株主、投資家、債権者、国・自治体、消費者、地域住民などの外部利害関係者に、企業の経営成績・財務内容を報告するための会計である一方、管理会計は企業内部の経営管理者を対象として、意思決定や経営管理に役立つ資料提供を目的とする会計です。
財務会計は、企業の業績を示す財務書類を定められたルールに従って報告することを言い、一方、管理会計は、会計データを企業戦略における意思決定や業績評価に利用していくことを言います。

財務会計と管理会計の違い

財務会計と管理会計の違いをまとめると下図の通りとなります。

財務会計 管理会計
目的 外部報告目的 経営管理者への報告目的
組織対象 企業全体 部門やプロジェクトもなりうる
会計期間 一年単位(上場企業は四半期) 年度月次(ニーズに応じて)
提出先 外部の利害関係者 経営管理者
資料内容・形式 決まっている 不定形
実施自由度 強制的 自主的
法規制 会社法、税法、金融商品取引法 なし
対象となる数値 実績値 実績、予算、見込、将来値など

冒頭、会計は「決算書により会社の経営成績や財政状態を報告する仕組み」であると説明しましたが、そのこと自体は財務会計と管理会計とで共通の通じるものですが、その決算書を作成する組織対象や会計期間などに違いがあることがわかります。
また、財務会計は会社法や税法などで報告内容や書式が定められていますが、管理会計は主に経営者が求めるもので、その経営者が求める報告内容は会社によって異なるという大きな特徴があります。

財務会計と管理会計の目的を達するためのシステム

「会計」という言葉の意味を紐解くと、多くの文献で、日々の取引を会計帳簿として記録し、それを集計することとの記載がありますが、現代において手書きの帳簿を整備している会社は稀で、多くの会社は会計の目的を達するためのシステムを保有しています。
システムを整備する際、そのシステムの要件を定める(要件定義)ことが重要であることは言うまでもありません。ただ、財務会計の場合には法令等によって要件が定められているのに対し、管理会計は報告する内容が不定形で要件定義を困難にします。
また、財務会計は法令等で報告が義務つけられているため、その報告のための仕組みを整備することへの効果を議論する必要はなく効率性のみが求められますが、管理会計やその報告のための仕組みを整備する意味や効果を考慮することが求められます。

会計システムの導入・運用の効果を考える

どのような業務であれ、その業務のシステム化に関わる導入・運用の効果を考慮していくことは当たり前のことです(この当たり前が出来てないこともあるものですが)。
先に述べた通り、財務会計システムの場合は、その仕組みをシステム化することの効果を考えること自体にはあまり意味がなく、効率化が求められるものです。
それに対して管理会計システムの場合は、経営管理としてどのような仕組みを導入するか、その仕組みの効果がどのくらいあるのか、というシステム化以前の効果を考えておくことが必要です。
この考慮がなければ、効果のない管理会計システムになってしまう恐れがあります。また、必要な管理業務を手作業で行っている、あるいは実現できていない、ということにもなりかねません。
会社の経営管理に必要な管理会計はどのようなことか、そのシステムはどうあるべきか、次回はこのことについて述べていきます。

著者プロフィール

ヒロ・ビジネス株式会社 代表取締役
日本公認会計士協会東京会幹事

広川 敬祐 氏

複数の大手外資系会計事務所で会計監査や株式公開コンサルティングなどを経験した後、外資系ERPベンダーに転職し会計システム導入プロジェクトなどに従事。その後、フリーコンサルタントとして、多くのERP導入や会計システムの構築に関わる。

広川 敬祐 氏

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