2023年06月26日 更新

品質管理のあるべき姿とは?
現状やおさえるべきポイントなどを解説  

品質管理の質を向上させるには、理想のあるべき姿を意識することが大切です。品質管理のあるべき姿は、どのようにイメージすればよいのでしょうか。この記事では、品質管理のあるべき姿についてくわしく解説します。品質管理部の現状とともに、品質管理部のあるべき姿や具体的なポイントなども解説するため、ぜひ参考にしてください。

品質管理のあるべき姿

ここでは、品質管理の概要とともに、あるべき姿を実現するにはどうすればよいか解説します。

品質管理とは

品質管理とは、製造工程で不良品を発生させないための取り組みのことです。不良品が発生した場合、原因を検証して改善を目指します。具体的には製品の図面をもとにし、性能や機能が当初の設計どおり再現できているかチェックします。

品質管理により製品の質が上がり、その状態を維持できれば、市場における評価を高めることが可能です。顧客からも信頼されやすくなるでしょう。その結果、売上向上を期待できます。

品質管理の考え方

品質管理では、基本的に悪いものを作らないようにする必要があります。また、悪いものを流さないことも重要です。そのためには、万が一不良品が発生した際は、範囲の特定を徹底しなければなりません。

また、品質管理においては、各工程の担当者が品質の改善を図る意識をもつことが大切です。高品質な製品を提供する意識の高まりによって品質がさらに安定するため、売上の向上にもつながりやすくなります。

品質管理のあるべき姿を実現するには

自社がイメージする品質管理のあるべき姿を実現するには、明確な目標を定める必要があります。何をいつまでにどの程度改善するか、事前に決めましょう。たとえば、特定の期間のうちに各工程で発生する不良品の数について定めるのも1つの方法です。

ただし、長期間にわたる目標を立てると、具体的に何をすればよいか判断しにくくなります。
たとえば、3か月単位のように期間を区切ったほうが取り組みやすくなります。

品質管理部門のあるべき姿

ここでは、品質管理部門のあるべき姿について具体的に解説します。

悪いものを作らない

悪いものを市場に出さないことは重要ですが、そもそも製造段階で悪いものを作らないようにする必要があります。不良品については優先的に対応し、再び同じ問題が発生することを防止しましょう。

設計や開発の段階で、不良品を出さないための検討を行うことも大切です。試作を重ね、できる限り完璧な状態で量産を開始しましょう。その後は、自主検査や工程能力の管理を徹底してください。

品質保証の責任範囲

品質保証の責任範囲は、製品が基準を満たしているかどうかだけでなく、顧客が満足できるかどうかも含んでいます。品質保証の内容や取り組みが企業に対する信用を左右する可能性もあるため、慎重な対応が必要です。顧客満足度を高めるには、品質管理部門のあるべき姿を追求し続ける姿勢が重要だと言えるでしょう。

顧客の満足を考える

「ISO9001」は、2000年の改訂において、製品に対する顧客満足を目的として追加しました。「ISO9001」とは、スイスの非政府機関の「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」が定める品質マネジメントシステムです。

品質管理においては、品質管理部門が顧客の満足を第一に考える必要があります。自社の成長や売上向上を意識しつつも、常に顧客の立場に立って品質管理に取り組むことが大切です。

参考:ISO 9001(品質) | 日本品質保証機構(JQA)新しいウィンドウで表示

品質管理部門の現状

品質管理部門には、どのような特徴や課題があるのでしょうか。ここでは、品質管理部門の現状を解説します。

製品の不具合が改善しない

品質管理部門では、不具合が発生した際に迅速に対応する必要があります。しかし、実際には短期間での改善が難しいトラブルやクレームが発生する場合も少なくありません。製品を製造している間は何らかの不具合が発生する可能性があるため、困難な課題に対する適切な対応を常に求められています。

品質管理部門は要求されるレベルが高い

同じ企業でも、部門ごとに評価基準は異なります。品質管理部門は、要求されるレベルが特に高い部門です。不良品を発生させないことが当たり前だと考えている企業も多く、常に完璧な状態を求められます。そのため、単に不良品を発生させないという目標を達成するだけでは、特別な評価を得られないケースもあります。

品質管理部門と製造部門との軋轢

製造工程において何らかの不具合が発生すると、品質管理部は製造部に指摘する必要があります。しかし、品質管理部門と製造部で信頼関係がうまく構築できていなければ、不具合の発生がきっかけとなり軋轢が生じる恐れもあるでしょう。その場合、問題をスムーズに解決できないだけでなく、各部門の負担もより大きくなります。

品質管理部門はクレーム対応に追われやすい

品質管理部門はクレームにも対応しています。クレームには真摯に対応し、場合によっては内容を分析して再発防止に努める必要があるでしょう。ただし、クレームの件数が多いと、その分だけ品質管理部門の負担も大きくなります。それぞれに丁寧に対応しているからといって、必ずしもクレームの件数が減るとは限らない点に注意が必要です。

品質管理でおさえるべきポイント

ここでは、品質管理においておさえるべきポイントについて具体的に解説します。

品質管理のために製造工程を理解する

品質管理においては、製造工程に対する理解が重要です。製造工程を正しく理解していなければ、トラブルが発生した原因の解明や対策ができません。

また、理解が足りていない状態で他の部門へ指示を出しても説得力がなく、信頼を得られないでしょう。全体の流れを把握したうえで、品質管理に取り組む必要があります。

品質管理における分析手法を習得する

品質管理においては、さまざまな分析手法を活用できます。たとえば、PDCAサイクル、QC7つ道具、5ゲン主義(5現主義)、なぜなぜ分析など、さまざまな分析手法があるため、それぞれを活用できるようにしましょう。分析手法を使いこなせると状況に応じて最適な分析ができ、適切な判断を実現できます。

社内の良好な関係を構築する

品質管理部門は、社内の各部門と協力しながら製品の質の向上を目指します。そのため、各部門との良好な関係の構築が重要です。そのためには、組織横断的な仕組みを整備する必要があります。自社全体でスキームを構築し、各部門が連携しながら品質向上を目指せる仕組みづくりを行いましょう。

クレームを振り返り分析する

クレームには、品質の向上につながる重要な意見が含まれています。そのため、単に対応して終わりにするのでなく、内容を細かく分析して再発防止につなげることが重要です。具体的には、クレームの履歴を保存し、後から振り返る仕組みを作る必要があります。

なお、クレームの履歴で似た内容が多い場合、早急に改善しなければ信用の低下につながる恐れもあるため、特に注意が必要です。

まとめ

製品の質を向上させるには、あらかじめ品質管理のあるべき姿を具体的にイメージすることが大切です。また、品質管理の成果を出すためには、品質管理部門のあるべき姿も意識する必要があります。

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著者プロフィール

富士通Japan株式会社
流通ソリューションビジネス統括部
沖津 里枝

【事業内容】
流通業における準大手、中堅・中小企業向けのソリューション・SI、パッケージの開発から運用までの一貫したサービス提供。
AIやクラウドサービス、ローカル5Gなどを活用したDXビジネスの推進。

富士通Japan株式会社

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