2023年06月26日 更新

購買行動とは?
マスメディア・Web・SNS時代の購買モデルを解説  

消費者の購買行動は、世の中の状況に応じて変わっていきます。時代に合った購買行動モデルを把握し、マーケティングに役立てましょう。

この記事では、購買行動の意味を踏まえて、時代別に分けた3つの購買行動モデルの種類や特徴を解説します。マーケティング施策の立案に役立ててください。

購買行動とは

購買行動の定義や、購買行動を分析した購買行動モデルについて解説します。

購買行動の定義

購買行動とは、消費者が商品やサービスを購入する際に取る行動です。多くの消費者は商品・サービスを知ってから購入に至るまでに、特定の心理状態や行動を経験します。

購買行動と混同されやすい言葉に、消費者行動があります。購買行動と消費者行動との違いは、消費者行動には「属性」が含まれることです。消費行動に影響を及ぼす属性には、消費者の年齢・ライフステージ・趣味・職業などが挙げられます。

購買行動は分析が可能

消費者の購買行動を分析し、モデル化したものを購買行動モデルと呼びます。企業のマーケティングを円滑に進めるためには、購買行動モデルをベースにした戦略の立案と実行がポイントです。

BtoBとBtoCでは、それぞれの想定する購買行動モデルが異なる点に注意しましょう。BtoBでは担当者と決裁者が異なる場合が多く、複数の社内稟議を経て購買に至るため購買行動モデルが複雑化します。

購買行動モデルを知る重要性

購買行動モデルをベースにすると、効果的なマーケティングが可能です。購買行動モデルの重要性を解説します。

購買行動モデルはマーケティングに役立つ

消費者の購買行動を想定することは、マーケティングにおいて重要です。予備知識がなければ、購買行動の想定は困難です。一方、購買行動モデルがあれば、購買行動を想定しやすくなります。マーケティングを見直すときも、購買行動モデルで消費者の行動を段階的に見られると、改善すべき工程を見つけやすくなります。

購買行動モデルの3つの区分

消費者の購買行動モデルは時代とともに変化しています。時系列で見ると、購買行動モデルは、マスメディア時代・Web時代・SNS時代の3つに分けられます。古い購買行動モデルに合わせても、マーケティングの成果は期待できません。企業には、時代に合わせた購買行動モデルの選択が求められます。

「マスメディア時代」における購買行動モデルの種類・特徴

マスメディア時代は、新聞・テレビ・ラジオ・雑誌などが活発に使われていました。マスメディア時代の購買行動モデルを解説します。

AIDA(アイダ)

AIDA(アイダ)では、Attention(注意・認知)・Interest(興味・関心)・Desire(欲求)・Action(購入)の順に、消費者の心理状況や行動が変化します。AIDAは購買行動モデルの基本で、ほとんどの購買行動モデルのベースになりました。

AIDMA(アイドマ)

AIDAをベースに提唱されたAIDMA(アイドマ)では、Desire(欲求)とAction(購入)の間にMemory(記憶)が組み込まれています。Memoryとは、商品やサービスに対する記憶です。AIDMAをベースにしたマーケティングでは、広告やキャンペーンなどを通じて、商品やサービスが消費者の記憶に定着するように計画されます。

AIDCAS(アイドカス)

AIDCAS(アイドカス)は、住宅や自動車など高価な商品やサービスにマッチするモデルで、AIDMAをベースに提唱されました。AIDCASでは、消費者は購入する価値があるとConviction(確信)したうえで、Action(行動)を実行します。また、Action(購入)後のSatisfaction(評価)により、顧客満足度が左右されます。

「Web時代」における購買行動モデルの種類・特徴

Web時代では、一般消費者がオンラインを活用するようになりました。Web時代における購買行動モデルを解説します。

AISAS(アイサス)

AISAS(アイサス)も、AIDMAをベースに提唱された購買行動モデルです。AISASでは、Action(購入)の前後に、Search(検索)とShare(共有)が組み込まれています。Web時代になり、SNSによるコミュニケーションが活発化しました。AISASは、オンラインのコミュニケーションを反映した、比較的新しい購買行動モデルと言えます。

AISCEAS(アイシーズ)

AISCEAS(アイシーズ)は、AISASをベースに比較・検討を加えた購買行動モデルです。AISCEASでは、消費者がSearch(検索)してから購買に至るまで、十分なComparison(比較)とExamination(検討)がなされます。オンラインで簡単に商品やサービスを比較できるようになった状況を受け、AISCEASをベースにしたマーケティングでは差別化が求められます。

ZMOT(ズィーモット)

ZMOT(ズィーモット)とは、「店舗を訪れる消費者は、すでに購入する商品・サービス決める」という考えによる購買行動モデルです。ZMOTをベースにしたマーケティングを成功させるためには、オンラインで商品やサービスの訴求力を高めることがポイントです。

FMOT(エフモット)

FMOT(エフモット)は、ZMOTの前提となった購買行動モデルです。「消費者が店頭に陳列された商品を見てから購入を決めるには、わずか3〜7秒ほどしかかからない」という考えが、FMOTのベースになっています。短時間で商品やサービスの魅力を伝えることが、FMOTをベースにしたマーケティングのポイントです。

SMOT(エスモット)

SMOT(エスモット)とは、商品やサービスの継続購入をきめるプロセスです。商品の品質などがよければ、消費者は再び商品やサービスを購入する可能性があります。次回使えるクーポンやリピーター割引などを活用して、消費者に次回の購入を後押ししましょう。

TMOT(ティーモット)

TMOT(ティーモット)は、消費者が商品やサービスに愛着を持ち、ファンになるというプロセスです。企業が安定した売上を得るためには、TMOTをベースにしたマーケティングにより、消費者に商品やサービスを繰り返し購入・使用してもらう必要があります。

「SNS時代」における購買行動モデルの種類・特徴

近年のマーケティング施策は、SNSを意識して展開されています。SNS時代における購買行動モデルを解説します。

VISAS(ヴィサス)

VISAS(ヴィサス)では、Viral(口コミ)・Influence(影響)・Sympathy(共感)・Action(購入)・Share(情報共有)の順に、消費者の心理状況や行動が変化します。VISASで、消費者の行動を強く決定づける要素は「共感」です。商品やサービスそのもの以外に、消費者は口コミの影響を受けて購買に至る場合があります。

SIPS(シップス)

SIPS(シップス)では、Sympathy(共感)・Identify(確認)・Participate(参加)・Share&Spread(情報の共有・拡散)の順に、消費者の心理状況や行動が変化します。

SIPSをベースにしたマーケティングでは、気軽に購買行動モデルに参加したいと消費者に感じてもらうことがポイントです。個々の消費者が情報の共有と拡散を繰り返すと、マーケットが広がります。

ULSSAS(ウルサス)

ULSSAS(ウルサス)は、User Generated Contents(消費者が運営するコンテンツによる認知)から、購買行動が始まります。認知後は、Like(好印象)・Search1(SNSの検索)・Search2(検索エンジンの検索)・Action(購入)・Spread(拡散)の順に、消費者の心理状況や行動が変化します。複数の方法で検索される点がULSSAS の特徴です。

購買行動モデルの注意点

購買行動モデルの概要を押さえたのみでは、マーケティングに成功するとは限りません。購買行動モデルの注意点を解説します。

モデルだけでは捉えきれない場合もある

現代はスマートフォンですべての購買行動が完結するため、購買行動モデルでは説明できないケースも見られます。特にBtoCでは、購買行動が当てはまらないケースが多くなりがちです。

BtoCでは消費者が自由に情報収集できるうえに、BtoBと違って購買行動モデルのフローが確立されていません。複数の戦略を組み合わせて、マーケティングの成果を高めましょう。たとえば、ターゲットに対して強い影響力を持つインフルエンサーを起用すると、瞬間的に消費者の購買意欲をかき立てられます。

まとめ

消費者の購買行動モデルは、時代に合ったものを選ぶ必要があります。また、購買行動モデルに当てはまらないケースもあるため、複数のマーケティング施策の併用をおすすめします。

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著者プロフィール

富士通Japan株式会社
流通ソリューションビジネス統括部
沖津 里枝

【事業内容】
流通業における準大手、中堅・中小企業向けのソリューション・SI、パッケージの開発から運用までの一貫したサービス提供。
AIやクラウドサービス、ローカル5Gなどを活用したDXビジネスの推進。

富士通Japan株式会社

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