2023年01月27日 更新

WMSとは?機能や倉庫管理におけるメリット・デメリットなどを徹底解説  

倉庫管理の効率化を目指して、WMS(倉庫管理システム)の導入を検討する企業も増えています。WMSを導入する際には、自社にとって効果が高いシステムかどうか、機能やメリット・デメリットを把握することが重要です。この記事では、WMSの基本的な機能や他システムとの違い、メリット・デメリットなどを解説します。ぜひ参考にしてください。

WMS(倉庫管理システム)とは

WMSとは「Warehouse Management System」を略した言葉で、日本語にすると倉庫管理システムとなります。その名の通り、倉庫の入出庫管理や在庫管理などが行えるシステムです。

倉庫物流は作業工程が煩雑になりがちです。また、リアルタイムでの管理が難しいという課題もありますが、WMSを導入することにより倉庫管理のスピードと正確性が向上します。管理・保管場所や製造年月日、賞味期限などの多くの情報を取り扱わなければいけない在庫管理の負担も軽減できます。

WMSが必要とされる背景

倉庫管理は、業務が煩雑でミスが多くなりやすい業務です。入出庫が起こるたびに情報を更新しなければならないうえ、検品やピッキングなど多くの業務があるため、ヒューマンエラーも起こりやすくなります。

従来の人の手による管理では、適切な管理がされず余剰在庫や欠品が生じやすいため、WMSによる倉庫管理の必要性が高まっています。

WMSと他システムの違いとは

WMS以外にも、倉庫管理で使われるシステムがあります。ここでは、WMSと他システムとの違いについて解説します。

基幹システムとWMSの違い

基幹システムは、すでに活用している企業が多いでしょう。WMSとの大きな違いは、入出庫作業のサポートが行えるかどうかです。基幹システムでは、企業全体の在庫数・生産数・仕入状況・売上などを連動して管理できます。しかし、それぞれの倉庫内での管理の仕方までは把握できないため、倉庫管理にはWMSのほうが向いています。

TMSとWMSの違い

TMSとは、「Transportation Management System(輸配送管理システム)」のことです。TMSは配送を管理するためのシステムなので、倉庫内の入出庫や在庫管理などを行うWMSとは管理する業務の種類が異なります。WMSは倉庫内の物流を、TMSは倉庫から出た後の配送関連の管理をすると覚えておくとよいでしょう。

WMSの基本機能とは

WMSには4つの基本機能が搭載されています。ここでは、それぞれの機能について詳しく解説します。

入荷管理

入荷管理では、商品や部品などの入荷予定や入荷状況の管理だけでなく、ラベル発行や格納まで管理できる機能です。取引先からの入荷予定の情報を取り込むことができ、情報にエラーがある場合には照会や訂正なども行えます。入荷実績などのやりとり、どこに入荷した商品を置いたかを把握できるなど、商品の管理に役立ちます。

出荷管理

出荷管理は、出荷依頼や出荷指示、梱包、ピッキング、検品などが行える機能です。取引先から送信される出荷依頼データを読み取って、在庫と照らし合わせてピッキング指示などの出荷準備をサポートできます。また、出荷依頼一覧から送り状を印刷したり、荷札や納品書などを作成したりすることも可能です。

在庫管理

在庫管理は、在庫照会や移動の指示などが行える機能です。どこに在庫があるのか把握できるうえ、製造年月日や賞味期限などの情報も一元管理できるため、適切な在庫管理に役立ちます。また、在庫の新旧もわかるため管理の負担も軽減できます。在庫の移動情報などの登録や移動指示書の印刷なども可能です。

棚卸管理

棚卸管理とは、棚卸データの作成や印刷、実際の在庫とデータとの誤差の確認などが行える機能です。棚卸作業は、人の手で行うと膨大な時間と労力がかかる作業ですが、WMSの棚卸管理を活用することで簡素化でき負担が軽減します。ハンディターミナルを使用してデータを集約できるだけでなく、一覧にしてわかりやすく出力することも可能です。

WMSの導入による5大メリット

WMSを導入することで得られるメリットは多くありますが、ここでは主なメリットを5つ紹介します。

1:庫内作業の正確性向上

庫内作業は大量の商品を取り扱います。そのため、人の手による作業ではヒューマンエラーが発生しやすく、正確性に欠けるという問題がありました。

WMSを導入することで、ラベルやバーコードの読み込みによる正確なデータ入力が可能になります。これにより、入力ミスが防止され、在庫の差異を減らしたり誤出荷を防げたりするメリットがあります。

2:倉庫管理業務の効率化

WMSの導入により、倉庫内のどこに何があるのかを正確に把握できるようになります。従来よりも探す手間を削減でき、出入荷作業のスピードアップにつながります。

また、複雑化しやすい作業を平準化できるため、経験やスキルのある従業員以外でも円滑な作業が可能です。時間がかかる作業を円滑化することで、同じ時間でより多くの業務ができ生産性も向上します。

3:リアルタイムでの倉庫管理

人の手によるアナログ管理では、データが反映されるまでにタイムラグが生じてしまいます。そのため、現在の正確なデータを把握したい場合、再確認しなければならず無駄な手間がかかっていました。

WMSの場合は、リアルタイムでデータが反映され、常に正確な情報を把握できます。倉庫内の作業状況などもわかるため、的確な指示や判断にもつながります。

4:人件費などのコスト削減

倉庫内の作業は工数が多く、短時間で作業を済ませるには人員が必要でした。しかし、WMSではハンディターミナルのバーコードを読み取るだけで管理でき、工数が削減されるため適正な人員配置が可能です。

無駄な人員を配置せずに済み、人件費削減にもつながります。また、作業が平準化され新人でも行えるようになるため、ベテランに依存しない現場づくりが可能です。

5:保管スペースの有効活用

倉庫内のどこに何があるのかといった、ロケーション管理ができるため保管スペースの有効活用にも効果的です。

すべての従業員が配置や商品データを容易に把握できるため、円滑に作業が進められるでしょう。保管場所の配置を変更する際もWMSなら簡単にデータ変更でき、作業全体の時間を削減できます。

WMSの導入で考えられるデメリットとは

WMSには多くのメリットがある一方で、見逃せないデメリットもあります。WMSの導入前に押さえておきたい2つのデメリットを解説します。

導入・運用にコストがかかる

WMSは、システム導入時に費用が発生するほか、利用していくなかでシステム使用料が発生します。トータルの費用目安を確認し、費用対効果を検証しましょう。

WMSの導入によって人件費の削減が可能であるため、コストは将来的に回収できる可能性が高いです。とはいえ、導入や運用にかかるコストが高すぎるとメリットが薄れてしまうため、事前にしっかりと検証しましょう。

導入の準備や教育が必要になる

WMSは導入して終わりではなく、実際に使いこなすことが重要です。導入前には、倉庫内のスタッフや関係者への周知、マニュアルの作成や経理への確認など、さまざまな準備が必要となります。

導入後は、WMSの効果を最大限に引き出すために、従業員への教育や研修などを行う必要があり、導入効果を実感できるまでには時間や手間がかかりがちです。

導入に最適なWMSの選び方とは

WMSを導入する際には、自社に合ったシステムを選びましょう。ここでは、WMSの選び方について詳しく解説します。

解決したい課題の明確化

まずは自社の課題を明確化しましょう。倉庫内業務のどのような課題を解決したいのか、WMS導入の目的を明確にすることで、必要な機能などが把握しやすくなります。課題が浮き彫りになると、自社に合った使いやすいシステム、業務に必要な機能が搭載されているシステムを選べるようになるため、費用対効果を高められます。

機能性と操作性

WMSを導入しても、使いこなせなければ導入した意味が薄くなります。使いこなすことでシステムや機能のメリットを最大限に活かせるため、機能性だけではなく操作性も重視しましょう。従業員が簡単に操作できるかどうか、確認することが重要です。また、既存システムとの連携が取れるかどうかもチェックしましょう。

サポート・セキュリティ体制

WMSを初めて導入する際は、わからないことも多いでしょう。よくわからないまま導入しても使いこなせず、作業効率は向上しません。導入や運用をスムーズにするためにも、サポート体制が充実しているシステムを優先的に選びましょう。

また、倉庫管理では重要な情報も取り扱うため、セキュリティ面も大切です。なかでも、情報漏えいが発生すると自社の信頼を失うことになるため、セキュリティ面の確認は欠かせません。

まとめ

WMSとは、倉庫の入出庫管理や在庫管理などが行えるシステムです。煩雑になりがちな倉庫管理の負担を軽減でき、作業の効率化や正確性の向上、人件費などのコスト削減につながります。WMSを提供している会社は多くあるため、自社の目的に合ったWMSを選びましょう。

富士通Japanは、多数の導入実績のなかで得られた業種・業務ノウハウや、ICT業界の最前線で培ったテクノロジーに関して、富士通グループの知見を結集させ、全社をあげて課題の解決に取り組んでいます。WMS導入をお考えなら、お気軽にお問い合わせください。

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