2023年03月30日 更新
物流マネジメントとは?メリットやシステムの種類など課題への対策も紹介!
昨今の物流業界は人材不足や労働者の高齢化、需要の増加による業者への負担増などさまざまな問題を抱えています。
そこで本記事では、物流業界が抱えている問題と、解決するための「物流マネジメント」について解説します。物流マネジメントの重要性や目的などについても解説するため、物流業の担当者の方はぜひお役立てください。
物流マネジメントとは?
物流マネジメントとは、物流に関するさまざまな業務を効率的に行うための手法です。物流とは輸送だけではなく、保管や流通加工、包装、荷役など、商品と消費者の間にある時間・空間のギャップを埋める作業や工程全般を指します。
そして、物流に関する業務が効率的に行えれば、扱える荷物の量が増える、人件費や輸送費などのコストを抑えられる、顧客の元にスムーズに届けられて満足度の上昇に繋がるなどのメリットが得られます。
物流が抱えている課題と対策
現在の物流が抱えている課題と対策について解説します。課題を解決できればさまざまなメリットを得られるため、物流業の担当者の方は参考にしてください。
誤出荷
商品の管理方法や出荷業務が統一されていないと発生するのが誤出荷です。誤出荷が起きると、誤って届けた荷物の回収と正しい荷物を改めて届ける手間がかかるなど、非常に効率が悪いだけではなく顧客にも悪い印象を与えてしまいます。
誤出荷を少なくするためには、商品の品目や色などを識別しやすくする、出荷業務をマニュアル化して個人で差が出ないよう統一するなどが挙げられます。
人材やスペース不足
物流業では、需要を捌ききれるだけの人材や、荷物を扱うスペースが不足している場合が多いです。需要に対して満足な人員を確保するのが難しいと、現場の労働者に大きな負担がかかってパフォーマンス低下を招きかねません。また、倉庫の保管スペースが不足していると効率的なロケーション管理や在庫管理が難しくなってしまいます。
これらは、業務を効率化することで1人あたりにかかる負担を減らしつつ、出荷のサイクルを早めて荷物が倉庫に滞在する時間を減らせば、スペース不足の改善が狙えます。
在庫管理
在庫管理の仕組みが煩雑になっていたり、担当者によって管理方法が異なっていたりすると、正確な在庫が分からなくなる恐れがあります。
また、在庫が把握できていないと商品が購入された後に欠品が発覚し、顧客に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
業務を効率化して在庫管理を簡単にする、管理方法を統一して担当者によって差が出ないようにするなどで対策が可能です。
各種サービスの品質維持
食品や衣類など、旬が存在する物は期限が過ぎてしまうと品質の低下に繋がりやすいです。そのため、出荷業務が非効率的で届けるまで時間がかかってしまうと、商品価値が下がって費用対効果を得にくくなります。対策として挙げられるのは、在庫管理業務を効率化して出荷を早く行えるようにすることです。
情報共有のタイムラグ
特に対策をしていないと、商品の出荷後に配送トラブルなどが起こっても情報が届くまでに時間がかかる場合が多いです。情報共有にタイムラグがあるとトラブルへの初動対応が遅れてしまい、顧客へ納期通りに商品を届けられなくなるなどの問題が発生してしまいます。
しかし、物流マネジメントとして配送管理システムなどを導入しておけば、トラブルが起きた際にすぐに対応が可能になります。
物流マネジメントの目的
物流マネジメントの目的やメリットについて解説するため、物流マネジメントの導入を考えている物流業の担当者の方は参考にしてください。
物流業務を効率化する
物流マネジメントの目的として挙げられるのが、物流業務の効率化です。在庫の管理方法が適切であることや、出荷までの流れが円滑であるなど、物流業務が効率的だと多くの業務や荷物を捌けるようになって生産性が上昇します。さらに、物流業務が効率的になれば無駄な作業が減って長時間労働の抑制や、人件費などのコスト削減にも繋がります。
物流の品質の上昇
物流の品質を上昇させるのも、物流マネジメントの目的として挙げられます。商品に欠品がないか、顧客に届けられた時点で商品の品質が維持されているか、商品の種類や数量に誤りはないか、納期までに届けられているかなど、物流はさまざまな面で品質が評価されます。
物流の品質が良いと顧客の満足度の上昇に繋がり、取引先からの信頼を得られて今後の展開の足掛かりにもなります。
物流にかかるコストの削減
物流マネジメントによって、物流にかかるコストを削減できる可能性があります。作業の効率化によって少ない時間で多くの業務を行えるようにする、必要な人員を減らして人件費をカットするなど、さまざまな側面からコストの削減を狙います。
他にも、物流全般の業務を可視化することで、不要な工程の削除や適切な予算を組んで余計なコストがかからないようにすることも可能です。
物流マネジメントを行う上での重要性
物流マネジメントを行う上での重要性について解説します。
物流マネジメントの導入を考えている、物流マネジメントの運用について知りたい物流業の担当者の方は参考にしてみてください。
PDCAサイクルを回すのが重要
物流マネジメントを行う上で重要となるのが、PDCAサイクルを回すことです。PDCAとは、Plan、 Do、 Check、 Actのそれぞれの頭文字を取った略称で、上記4つの工程を繰り返すことで業務の継続的な改善を目指します。
実績やデータなどの客観的事実を基に計画を立て、計画を実行に移し、実行した結果得られた成果を評価し、問題点などがあれば改善案を出して新たな計画を立てるという、一連のサイクルとなっています。物流マネジメントでも業務や管理方法など、さまざまな場面でPDCAサイクルを回し、効率化や最適化を図るのが大切です。
KPIを設定して改善点を洗い出す
KPIを設定して改善点を洗い出すのも、物流マネジメントを行う上で大切なことです。KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、業務の進行状況を評価するための定量的な指標です。物流マネジメントにおいては、主に「コスト・生産性」「物流・配送条件」「品質・サービスレベル」の3つが重要な指標となります。
自社の物流の効率化がどれぐらい進んでいるか、進捗が悪い場合はどんな原因があるかなど、設定したKPIから逆算して問題点の発見や、改善策を実施するのが大切です。
システムの種類
物流マネジメントのシステムの種類について解説します。システムによって特徴や適している目的が異なるため、物流マネジメントのシステムについて知りたい物流業の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
WMS(倉庫管理システム)
WMSは「Warehouse Management System」の略称で、倉庫管理を行うデジタルツールやシステムのことを指します。マスタや在庫の管理の他、出荷や入荷、返品なども一元で管理ができるため、倉庫業務の効率や正確性の向上が期待できます。
また、業務の効率が上がれば作業時間が短縮できるため、長時間労働の抑制や倉庫業務に必要な人員を削減して人件費をカットできるなどのメリットも得られます。
TMS(配送管理システム)
TMSは「Transport Management System」の略称で、商品の出荷から顧客に届くまでの工程を管理する情報ツールです。荷物の量に合わせて配送に最適な車の数を算出したり、GPSと連携して配送車の位置情報を把握することで荷物の到着時刻を予測したり、運賃データの出力やドライバーの日報の自動作成など、物流に関する幅広い業務の効率化が狙えます。
物流マネジメントを行う方法
物流マネジメントを行う方法について解説します。それぞれのメリットや注意点なども合わせて解説するため、物流マネジメントシステムの導入を考えている物流業の担当者の方は参考にしてください。
自社で設備を用意して管理する
物流マネジメントを導入する場合、自社で設備の用意から管理まで行う方法があります。自社で物流マネジメントを行う利点として、倉庫の場所や導入する設備を自由に決められる、外部の会社や人員が入らないため管理がしやすいなどが挙げられます。
しかし、各種設備や人員を用意するには多額の初期投資が必要な他、物流マネジメントによる適切な管理や効率的な業務を行うためのノウハウが欠かせません。
専門の業者に委託する
物流マネジメントを導入する際は、専門の業者に委託する方法もあります。専門の業者に委託するとシステム構築などの手間がないため、スムーズな導入が可能です。また、運用に関するノウハウもあるため、効率的な業務を実現できる可能性が高いでしょう。
ただし、専門業者への委託は一定の費用がかかります。そのため、自社の業務の規模と委託先が行ってくれる業務の規模が合っているか、費用対効果から見て適切なコストかなどの確認が必要です。
まとめ
本記事では、物流マネジメントの概要や、物流が抱える課題と対策方法、物流マネジメントの重要性やシステムの種類、導入の形式などについて解説しました。
物流マネジメントを導入すれば、業務の効率化やコストの削減の他、顧客や取引先とのスムーズなやり取りが可能になる一方、導入や運用に関してノウハウが必要なので、ハードルが高いと感じる企業も多いと思われます。
そこでおすすめしたいのが、富士通Japanへのコンサルティング依頼です。富士通Japanは多くの企業で課題解決を行ってきた実績や、ICT業界の最前線で培ったテクノロジーやノウハウを持っており、物流マネジメントの導入以外にもさまざまな問題に対処が可能です。物流マネジメントの導入を考えている場合は、富士通Japanへの依頼を検討してみてください。
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著者プロフィール
富士通Japan株式会社
流通ソリューションビジネス統括部
沖津 里枝
【事業内容】
流通業における準大手、中堅・中小企業向けのソリューション・SI、パッケージの開発から運用までの一貫したサービス提供。
AIやクラウドサービス、ローカル5Gなどを活用したDXビジネスの推進。
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