2023年03月23日 更新

生産管理の課題とは?
具体的な業務内容と効率化できる手段を徹底解説  

食品メーカーをはじめとする製造業では、利益の最大化を図るにあたって「生産管理」の徹底が不可欠です。しかし、取り扱う製品の種類や量が増えることによって製造工程が複雑化し、生産管理が困難になることも少なくありません。そのため、効率的な生産管理が可能な自社に最適な方法をみつけることが重要です。

本記事では、生産管理の目的や課題、具体的な業務内容、効率化に繋げる方法について解説します。成功事例も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

生産管理の役割とは

製造業で重要視される生産管理について、まずは概要や役割などについて解説します。

生産管理の概要

生産管理とは、食品メーカーなどの製造業では欠かせない、製品の生産工程を管理する活動のことです。計画に沿った製品の生産のために重要な活動であり、計画的な製品の生産を実現することは、企業の利益向上にもつながります。

生産管理では、広域での複数の業務を管理するため、部署間の連携や情報共有が必要です。企業によっては、専門の生産管理部門を作るところもあります。

生産管理の役割・目的

生産管理を実施する大きな目的として、品質(Q)・コスト(C)・納期(D)=QCDの最適化があります。QCDの最適化は、製品の生産をしている企業が利益向上を目指すために欠かせない課題の1つです。

生産計画や工程管理、原価管理などの生産に関わる広い範囲の業務を、適切な管理によりQCDを最大化させ、効率的な利益の確保を目指します。そのためには、生産管理の担当者が自社の生産業務についてよく理解し、的確に改善すべき課題を見つけることが重要です。

工程管理との違い

生産管理は、工程管理よりも広域の業務を対象としています。工程管理は、製造における各工程の作業内容や人員配置について細かく管理することを指します。一方、生産管理は、受注情報の把握から品質管理までの製造にかかわるさまざまな業務を管理することを指しており、工程管理もこの中に含まれます。

生産管理の具体的な業務内容

製造業の利益創出のために重要な役割を持つ生産管理ですが、具体的には一体どのような業務があるのでしょうか。以下では、生産管理の具体的な業務内容について解説します。

生産管理業務1.受注管理・需要予測

製品の生産は、顧客からの受注情報の管理や需要予測を立てることからスタートします。生産管理で重要となる「生産計画」に必要な確認作業です。

該当製品、数量、納期などの受注情報を整理し、必要な部門への共有が必要となります。さらに的確な需要予測ができれば、より大きな利益創出につながる生産計画が立てられるでしょう。

生産管理業務2.生産計画

生産計画とは、どの製品を、どのくらいの量で、いつまでに製造する必要があるのかスケジュールを立てる業務です。自社の生産能力と受注情報を整理して、最適なスケジュールを立てる必要があります。納期の厳守や生産性の向上を目指すためにも重要な業務です。

より現場に沿った生産計画にするためには、細かい単位で具体的に計画を立てます。最初に大まかなスケジュールを組んでから、細かくみていくとよいでしょう。

生産管理業務3.材料の調達・発注管理

作成した生産計画に従って、製造に必要となる材料の調達、発注業務です。できるだけ生産計画通りに生産できるように、発注のタイミングや発注内容を調整する必要があります。材料の調達・発注管理は、生産ラインをストップさせないために重要な業務です。

生産管理業務4.生産工程の管理

実際に生産を開始したら、現場の作業が生産計画に沿えるよう工程を管理することも重要です。生産工程の管理は、作業効率や現場の進捗状況を把握する必要があります。また、顧客の要望により、作業順序や製造数の変更などがあった場合に、現場の作業をコントロールする役割もあります。タイムロスを軽減し、納期に間に合わせるために重要な業務です。

生産管理業務5.品質管理

品質管理では、不良品の選別や不良情報の管理をします。企業が製品を通して、顧客の信用を得るために重要な業務です。高い品質維持のためには、作業工程の確認や検品作業のほか、不良情報に基づいた改善活動も必要となります。

生産管理業務6.在庫管理

利益の最大化には、最適な在庫数になるように都度調整が必要です。在庫管理では、原材料や製品、不良品などを含めた広範囲に渡って企業が所有する資産を把握し、適切な販売や生産ができるように管理します。適正在庫を保てば、保管コストなどの無駄なコストを削減でき、企業のキャッシュフロー改善にもつながります。

生産管理業務7.原価管理

原価管理とは、製品の生産に必要な原材料や作業工程にかかるコストの予測、把握、分析して管理する業務のことです。事前の予測原価と実績原価を比較し、利益向上のために改善します。原価の予測や実績のデータは、今後の利益拡大のためにも貴重な情報となります。

食品メーカーが抱える生産管理の課題

より効果的な生産管理のためには、自社の課題と向き合い改善が必要です。ここからは、食品メーカーにおける生産管理の課題について解説します。

部署間の情報共有

生産ラインにおける各部署が個別管理をしており、部署間の情報共有がうまくできていないことが課題となっています。部署間の連携がうまく取れていないと、正確な状況がわからず、生産計画からのずれや納期遅れが発生してしまう恐れがあります。

情報共有が必要なときに何度も連絡を取り合うのは非効率であり、リアルタイムな情報の把握は困難です。そのため、リアルタイムで情報共有ができるシステムなどの導入が必要となります。

業務の属人化

管理内容の情報共有がうまくできないことから、業務が属人化していることも大きな課題です。特定の業務が属人化してしまうと、担当者が変わったときに慣れるまでに時間がかかってしまい、時間やコストのロスにつながります。食品メーカーをはじめ製造業でも人材不足が深刻化しているため、誰でも簡単に生産管理ができる仕組みづくりが求められています。

トラブルや環境変化への迅速な対応

生産管理では、生産中のトラブルや納期変更、自然災害や感染症などの環境変化などに対し、臨機応変な対応が必要となります。部署間の連携が取れていないとイレギュラーが起きた場合にうまく対応ができません。迅速な対応ができるように体制を整えるためには、リアルタイムな情報が管理できるシステムの導入などが求められます。

生産管理を効率化する「生産管理システム」

生産管理システムとは、生産管理に関する情報を一元化して管理できるシステムのことです。生産管理システムを取り入れることで、各部署との連携や情報共有も容易となり、生産管理における各業務を効率的に進められます。

生産管理システムに搭載されている機能

生産管理では広い範囲の業務の管理が求められるため、生産管理システムの機能も多岐にわたります。生産管理システムに搭載されている機能の例は、以下の通りです。

  • 生産計画
  • 原材料の管理
  • 在庫管理
  • 製造工程管理
  • 原価管理

さまざまな機能が利用できるため、各部署にて個別で管理していたものが1つのシステムに統一できます。リアルタイムなデータ反映も可能です。

生産管理システムのメリットとデメリット

生産管理システムは、各業務の情報を一元化して管理できるため、情報共有がしやすく作業の効率化につながります。リアルタイムで情報を確認できるため、状況に応じた臨機応変な対応が可能となるのもメリットです。

生産管理システム導入にはコストがかかる点がデメリットとなりますが、生産管理の効率化は利益の向上も期待できるため、費用対効果があるのか事前にシミュレーションすれば無駄にはなりません。

生産管理システム導入の成功事例

ある食品メーカーでは、市場ニーズの変化や商品のライフサイクルが短期化していることから、食品業界向けの基幹システム「FUJITSU Enterprise Application GLOVIA smart FoodCORE(グロービア スマート フードコア)」を導入しました。

導入後2年で、製品ごとの原価管理や在庫管理の精度向上により、スピーディな経営判断のほか、在庫ロスによる損失の抑制などにつながっています。また、グループ全体でシステムを統一したことにより、運用コストの削減にもつながりました。

まとめ

日々の製品生産において、的確な生産管理が重要視されている食品メーカーですが、情報共有の難しさや業務の属人化などが課題となっています。今後はさらなる人材不足が懸念されているため、より効率的な生産管理に役立つ生産管理システムの導入がおすすめです。

多数のシステム導入実績のある富士通Japanでは、生産管理システムの導入支援もしています。お客様の経営課題の解決に真摯に向き合ってきた中で得られた業種・業務ノウハウやICT業界の最前線で培ったテクノロジーに関する富士通グループの知見を結集させ、全社をあげて課題の解決に取り組みます。

生産管理についてお悩みの方は是非、富士通Japanにご相談ください。

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著者プロフィール

富士通Japan株式会社
流通ソリューションビジネス統括部
沖津 里枝

【事業内容】
流通業における準大手、中堅・中小企業向けのソリューション・SI、パッケージの開発から運用までの一貫したサービス提供。
AIやクラウドサービス、ローカル5Gなどを活用したDXビジネスの推進。

富士通Japan株式会社

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