2023年03月23日 更新
食品ロスとは?世界や日本で行われている食品ロス対策も紹介!
食品ロスとは、まだ食べられるものがごみとして廃棄されてしまう問題のことです。2015年の国連サミットで掲げられた、「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」の目標に反するとして、解決が望まれています。この記事では、日本や世界の食品ロスの現状や対策方法などを紹介します。食品ロスについて知りたい方は参考にしてください。
食品ロスとは?
製食品ロスとは、食べられるものを可燃ごみとして廃棄してしまうことを指します。食品ロスが発生する原因は、小売業や外食産業における売れ残りや食べ残し、商品の賞味期限切れなどさまざまです。
食品ロスにより経済的な損失が発生するだけではなく、可燃ごみとして廃棄するため焼却時に発生する温室効果ガスが増えて環境への負担が大きくなります。また、食料や水などの資源を無駄にしてしまうこともデメリットです。そのため、食品ロスは解決すべき問題として対策が求められています。
食品ロスの現状
FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では年間で食料生産量の3分の1に当たる量である13億トンもの食料が廃棄されています。日本でも食品ロスが発生しており、2017年度の推計値では1年間で522万トンもの食料を廃棄していました。これは東京ドーム約5杯分にもなる膨大な量で、国民1人あたり毎日お茶碗1杯分の食糧を捨てている計算になります。
世界的に食品ロスへの対策が進められており、廃棄される食料を減らそうという流れができています。
世界全体の食品ロスの量と原因
世界全体では、年間13億トンという膨大な量の食品ロスが発生しています。しかし、なぜ食品ロスは発生してしまうのでしょうか。ここでは、食品ロスが発生する原因を先進国と途上国に分けて紹介します。
先進国における食品ロスの原因
先進国における食品ロスの原因は大きく分けて2種類に分けられます。
1つ目は、小売り店舗や外食産業において、消費者による食べ残しが発生していることが原因です。また、仕入れや仕込みのしすぎによって過剰に商品を用意してしまい、売り切れずに余ったものを廃棄するケースも見られます。
2つ目は、家庭で調理する際に可食部分まで取り除いてしまうことです。また、作りすぎ買いすぎなどによる食べ残し、賞味期限を超過してしまい捨てることも原因として挙げられます。
途上国における食品ロスの原因
途上国における食品ロスは、主に技術力の低さが原因です。野菜や果物などの栽培技術が発達していないため、収穫可能になった作物を収穫しきれずに枯れさせてしまうケースがあります。
また、不適切な管理や保存によって生産や貯蔵、輸送などの段階で腐らせてしまい、食べられなくなるケースも少なくありません。さらに、ニーズを把握できていないため、必要とされるところに必要な食品が届かず、食品ロスになることもあります。
世界で行われている食品ロス対策
世界で行われている食品ロスへの対策や取り組みを紹介します。ここでは、各国の食品ロスへの取り組みについて紹介するため、食品ロス対策の参考にしてください。
規格外の野菜を販売(アメリカ)
アメリカでは、規格外の野菜や果物などを販売、自宅まで配送するサービスが提供されています。規格外の野菜は品質に問題がないにもかかわらず、サイズや形状などが規格に沿わないという理由で廃棄されているのが実情です。
一方で、農家から規格外の野菜を直接買い取り、通常の値段から3割から5割程度値引きしてオンライン販売を行うサービスも登場し、食品ロスへの取り組みが進められています。
消費期限が近い食材を好きな値段で購入できる(オーストラリア)
オーストラリアのスーパー「OzHarvest Market」は、消費者が好きな値段で商品を購入できることが特徴です。この店では、形が歪だったり消費期限が近かったりするものの、品質には問題がない食品が提供されています。
消費者が自由に値段を決められるため、商品を購入しやすく、食品ロスの削減につながることがメリットです。また、経済状況が厳しい人にとっては、食糧事情の改善に繋がっています。
アプリで余った食材をユーザー同士で共有できる(イギリス)
イギリスのロンドンでは、2015年に食材を必要としている人へ譲渡できるアプリ「OLIO」がリリースされました。不要になった食品の画像を譲渡する場所や時間などと共に登録し、ほかのユーザーが連絡をして譲渡してもらう仕組みです。
ユーザーは個人に限らず、飲食店などの企業も余ってしまった商品を提供できます。そのため、「OLIO」は食品ロスへの対策と貧窮している人への経済的な支援を同時にできる優れたサービスといえます。
法律で食品廃棄を禁止(フランス)
フランスは、法律による規制で食品ロス対策を目指しています。2016年に、フランス内のスーパーマーケットで食品を廃棄することを禁止する法律が施行されました。法律の施行により、売れ残った食品は寄付するか、飼料などへ転用することが義務付けられました。
違反した場合は75,000ユーロ(約1,000万円)の罰金、もしくは2年の懲役が科されるなど、刑罰も設けられており、国が企業による食品ロスへの取り組みを促しています。
余った機内食を寄付(カタール)
2020年の1月、カタール航空のケータリング会社である「Qatar Aircraft Catering Company」が、フードバンク「Hifz Al Naema」と協力して余剰食糧の再分配を行う計画を発表しました。
航空会社ではこれまで、余った機内食や未提供の食品など、未開封のものでも毎日200キロから300キロ程度の食品が捨てられていました。これらの食品はフードバンクを通して地元のコミュニティに寄付され、食品ロスへの対策が行われています。
廃棄食品を引き取ってレストランで使用(イタリア)
イタリアでは、廃棄食品を引き取ってレストランで使用するという形式で、食品ロス対策に取り組んでいます。2015年のイタリア・ミラノで行われた万国博覧会をきっかけとし、本来廃棄されるはずだった食品を使って料理を提供するレストラン「Refettorio Ambrosiano」がオープンしました。
廃棄される食品といっても、いずれも賞味期限が近いものや規格外なだけで品質には問題がないものです。さらに、ミシュランの星を獲得した一流のシェフが作っているため、地元の人々から高い評価を得ています。
フードトラックで各地を巡りながらアップサイクル(オランダ)
オランダ国内で3店舗展開されているレストラン「Instock」は、廃棄食品をアップサイクルした料理を提供しています。さらに、フードトラックによる販売も行い、食品ロス問題に取り組んでいることも特徴です。
フードトラックという形式のため、通常の店舗に比べて場所に関する制約が緩く、オランダ各地を巡って料理を提供できます。また、食品ロス問題についての提起やメッセージの発信も行っています。
日本で行われている食品ロス対策
日本でもさまざまな方法で食品ロス対策が行われています。ここでは、日本国内における食品ロスへの取り組み内容を紹介するため、食品ロス対策の参考にしてください。
食品ロス削減推進法を制定
日本では食品ロスを対策する法律として、2019年の10月1日に食品ロス削減推進法が施行されました。食品ロス削減推進法には、食品ロスの定義や、食品ロス削減を推進するための施策や方針などが盛り込まれています。
食品ロスに対する問題を提起するとともに、施策や方針を決めることで足並みを揃えて食品ロス削減を推進することが狙いです。食品関連事業者が消費者とのコミュニケーションを活性化させることで、食品ロスへの取り組みが一層進むことが期待されています。
フードバンクによる福祉施設などへの無償提供
フードバンクとは、食品として品質に問題がないにもかかわらず、さまざまな理由で販売ができないものを企業や生産者から寄贈してもらい、必要とする人々に再分配するシステムです。
日本では国内初のフードバンクとして、2002年に「認定NPO法人 セカンドハーベスト・ジャパン」が設立されました。同法人ではフードライフラインの拡充とともに、食品ロスへの取り組みを行ってきました。また、農業法人も食品を寄贈できるサービスを提供し、少しずつ食品ロス対策への活動が広がっています。
まとめ
食品ロスは、温室効果ガスの増加や資源の無駄使いなど環境的な問題に繋がるため、削減に取り組むべき問題です。また、商品価値のあるものの破棄は経済的な損失も大きく、実利的な観点からも削減に取り組むべき問題でもあります。しかし、食品ロスを削減するためには、ICTを活用した効果的な施策が必要です。
富士通Japanでは、企業の経営課題解決に向けた取り組みのなかで、業種や業務のノウハウを蓄積してきました。ICT業界の最前線で培ったテクノロジーを駆使し、お客様の経営課題解決に取り組みます。食品ロスの削減を目指している場合は、ぜひご相談ください。
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著者プロフィール
富士通Japan株式会社
流通ソリューションビジネス統括部
沖津 里枝
【事業内容】
流通業における準大手、中堅・中小企業向けのソリューション・SI、パッケージの開発から運用までの一貫したサービス提供。
AIやクラウドサービス、ローカル5Gなどを活用したDXビジネスの推進。
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