2023年03月16日 更新

食品ロスへの取り組みを行うメリットは?
対策の具体例も紹介  

日本では多くの企業や店舗で食品ロスが発生しています。食品ロスを減らせれば、企業や店舗にとってさまざまなメリットがあります。そのため、対策を検討している企業も多いでしょう。この記事では、食品ロスへ取り組むメリットや、食品ロスへの対策事例などを紹介します。企業や店舗の担当者の方はぜひ参考にしてください。

食品ロスの問題は大きい

食品ロスは世界的にも大きな問題になっています。日本も例外ではなく、膨大な量の食品ロスが発生しているのが現状です。ここでは、日本国内における食品ロスの量や問題点を紹介します。

日本国内の食品ロスの量

日本では年間約500万トンもの食品ロスが発生しており、1人当たりに換算すると年間41kgもの食料を捨てている計算になります。一方で、国連世界食糧計画(WFP)による2019年の食糧支援量は約420万トンです。

つまり、日本国内の食品ロスの量は食糧支援量よりも上回っていることになります。食糧を必要としている人がいる一方で、まだ食べられる食品が大量に廃棄されていることは大きな問題です。食品ロスの内訳として2020年のデータを挙げると、事業者から275万トンで53%、家庭から247万トンで47%排出されており、事業者の方がわずかですが多い傾向にあります。

参考:食品ロス削減ガイドブック|消費者庁新しいウィンドウで表示

環境への負荷にも繋がる

食品ロスは食料問題以外にも環境への負荷に繋がる問題のため、SDGsの目標達成にも関わってきます。SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

廃棄される食糧は可燃ごみとして焼却処分されるため、焼却による温室効果ガスの発生による環境への負荷となり、SDGs13の「気候変動に具体的な対策を」に反します。

ほかにも、食料や水などをむやみに消費する行為は、SDGs6の「水・衛生」やSDGs14の「海洋資源」、SDGs15の「陸上資源」などに反する問題です。食品ロスが国際的にも問題として捉えられていることがわかります。

企業が食品ロス対策で得られるメリット

企業が食品ロスの対策をするとさまざまなメリットが得られます。ここでは、食品ロス対策のメリットを紹介するため、対策を検討している企業担当者の方は参考にしてください。

廃棄費用を減らせる

食品ロスを減らす対策をすれば廃棄品が減るため、同時に廃棄にかかる費用も減らすことができます。特に、食品製造業や外食産業、小売業などでは大量の食品ロスが発生するため、多額の廃棄費用がかかります。廃棄品と廃棄費用が減れば、売上や利益の上昇が見込めるでしょう。

さらに、廃棄物を減らすことで処分する際に排出される二酸化炭素を削減することも可能です。環境問題に取り組む企業にとって、食品ロス対策に取り組む意義は大きいでしょう。

材料費や人件費を減らせる

食品製造業や外食産業では、食品の製造や調理の過程において材料費や人件費などがかかります。しかし、食品ロスの量をあらかじめ把握して、仕入れる原料や製造する食品の量を調整すれば、材料費や人件費の削減が可能です。

さらに、材料費や人件費などのコストが減った分、利益率は上昇します。つまり、食品ロス対策として過剰な生産をやめれば、企業の利益が増える可能性があるのです。そのためには、できるだけ正確に必要な生産量を予測する必要があります。

企業のイメージアップに繋がる

食品製造業や外食産業、小売業などで食品ロスへの対策をすれば、環境に配慮しているとしてイメージアップに繋がります。廃棄食品は可燃ごみとして焼却処分されるため、食品ロス対策が温室効果ガスの排出抑制に繋がって環境への負担が減るためです。

環境問題への取り組みや資源の無駄使いを抑える試みは、SDGsに準じる行いとして企業のアピールポイントにもなります。企業イメージが向上すれば売上アップや優秀な人材の確保など、さまざまなメリットが得られるでしょう。

小売価格の低下に繋がる

小売業で食品ロスへの対策を行うと、小売価格の低下につながることもメリットです。食品の小売価格は、廃棄にかかる費用が上乗せされて設定されているため、廃棄量が少なくなればその分だけ価格の低下を狙えます。

小売価格が低下すれば消費者が手に取りやすくなるため、売上が伸びる可能性があります。売れ残る数が減って廃棄量が減るため、利益率も上昇しやすいでしょう。

企業による食品ロスへの対策方法

企業による食品ロスへの対策はさまざまな方法があります。ここでは、それぞれの業種にあった方法について紹介するため、企業担当者の方は参考にしてください。

賞味期限を延長する

食品製造業の場合は、賞味期限を延長すると食品ロスの削減につながります。賞味期限は、パッケージの包装や保管方法などの改善で延長できる可能性があります。

賞味期限が長くなれば、飲食店や小売店などが発注量を見誤ってしまった、需要が減少したなどの理由で食品が余ってしまっても、在庫として長く保管することが可能です。そのため、全体として廃棄される食品の減少に繋がります。

年月表示に変更する

食品製造業者が小売店などへ商品を納入する際、前回納入した商品よりも賞味期限の日付が新しいものか、または同じものを納入することが慣習となっていました。しかし、このルールでは1日でも賞味期限が古いと納入できないため、食品ロスが発生しやすくなります。

そのため、食品製造業ができる食品ロス対策として、賞味期限を「年月日」表示から「年月」表示に変更することが可能になりました。「年月」表示ができるのは賞味期限が3か月を超えるものに限られますが、在庫管理がしやすくなり賞味期限切れによる廃棄を減らせます。

売れやすくするための工夫をする

食品製造業では、小売現場で売り切りやすい商品の開発や工夫などを施すと食品ロス対策になります。具体的には、長期保存が効きやすく、小売・消費者ともに廃棄する可能性が少ない冷凍食品など、長期保存が可能な商品のバリエーションを増やすことが有効です。

また、消費者のターゲット層を絞って、内容量を調整する方法もあります。近年では単身世帯が増加しているため、1商品あたりの量を減らすことで売れやすくなるでしょう。

廃棄品や規格外の食材を流用する

通常なら廃棄される食品や規格外の食材を流用することで、外食産業や食品製造業などで食品ロスを減らせます。パンの耳など需要が少なく廃棄されやすい食品、市場に流せない規格外の野菜や果物なども加工品の材料として使えば、需要の少なさや規格外であるデメリットを帳消しにできます。

また、余剰在庫や規格外の食品を仕入れれば生産者の利益還元に繋がるため、取引先との信頼関係の構築やサプライチェーンを確立できることもメリットです。

仕入れ量を調整して使い切りを意識する

外食産業ができる食品ロス対策として挙げられるのが、使い切りを意識した仕入れ量の調整です。仕入れ量を調整すれば過剰な在庫を保管するスペースを少なくでき、食品ロスの減少による廃棄費用を節約できるなど、利益率の上昇にも繋がります。

仕入れる食材を適量にするには、徹底した在庫管理が欠かせません。また、できるだけ正確にオーダー数を予測することも重要です。曜日や天候、イベントなどの変動要因も考慮する必要があります。

まとめ

食品ロスへの対策は、温室効果ガスの減少によって環境への負担を少なくするだけでなく、売上や利益率の上昇など企業にとっても実利的なメリットが多いといえます。しかし、ノウハウや実績がないと、システムの構築や体制の変更を行うのは難しいでしょう。

富士通Japanでは、ICT業界の最前線で培ったテクノロジーを駆使し、お客様の経営課題解決に向けたソリューションを展開しています。富士通グループの知見を結集させ、全社をあげて課題の解決に取り組みます。食品ロスの削減に向けた施策を検討しているものの、有効な解決策を打ち出せない場合は、ぜひご相談ください。

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著者プロフィール

富士通Japan株式会社
流通ソリューションビジネス統括部
沖津 里枝

【事業内容】
流通業における準大手、中堅・中小企業向けのソリューション・SI、パッケージの開発から運用までの一貫したサービス提供。
AIやクラウドサービス、ローカル5Gなどを活用したDXビジネスの推進。

富士通Japan株式会社

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