2023年8月更新

企業が行うべき攻めのカーボンニュートラル戦略とポイント(2)  

カーボンニュートラルはただのCSR、ただのコスト削減の手段ではなく現在社会で注目されている環境問題への明確なアクションとして企業が取り組むべき課題です。

2026年にEUが導入する予定の国境炭素税に続き、国内でも炭素税導入のための法改正が見えてきている中、カーボンニュートラルに対して受動的な取り組みに留めることなくより能動的なアクションを実践することは企業価値を高めることができる手段でもあります。

今回はカーボンニュートラルを行うべき背景から注意すべきポイント、そして富士通Japan株式会社がカーボンニュートラル戦略策定においてみなさまをご支援できるサービスをご紹介いたします。

カーボンニュートラルのすゝめ ~実現に向けて、次の一手とは~
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6.カーボンニュートラル実践に向けた実行ステップ

カーボンニュートラル実現に向けては長期的な取り組みになるためしっかりと段階を経て決定していく必要があります。
具体的には、次のようなプロセスを経て、経営層から実務メンバーまでを巻き込みプロジェクトを推進していかなければなりません。

1.経営戦略内での位置づけ、目標設定

経営方針としてカーボンニュートラルをどう組み込むか、そしてどこをゴールとして目標とするべきかを設定します。
企業理念との一貫性、長期計画としての自社の目指すべき場所との整合性を取り経営層と一体となって決定する必要があります。

2.現状の取り組み整理と課題抽出

企業としての目標に対しての現状確認も必要です。
現時点においてどの程度温暖化ガスを排出しているのかをサプライチェーン全体を通して計測し、どの程度削減しなければならないのか、またそれぞれの工程での排出量とその削減に対する課題を洗い出します。
目標設定と並行して行う、いわゆる「As is/To be」の関係性となります。

3.中期計画(マイルストーン)の策定

カーボンニュートラル実現は2050年までの達成に向けた長期的な取り組みとなるため、各工程において課題検討から目標達成までを逆算しながらマイルストーン設定をしていくことが重要です。
達成できそうな目標であること、その前段としてどのようなステップが必要かなどを洗い出して組み立てていきます。

4.実行計画の検討

マイルストーンが定まったら具体的に各ストーン達成に向けたKPIの設定と施策の洗い出しを行います。
サプライチェーン排出量全体がスコープに入るため社外のコントロールも必要になり、関係各所との連携が非常に重要です。
オプションの洗い出しと検証計画の立案、関係部門との合意、プロジェクト管理体制の構築などが求められます。

5.施策実行と振り返り

実際の施策がスタートしたらきちんとデータがとれているか、施策が予定通りに進んでいるかをしっかりと監視する必要があります。
当然計画との乖離も発生してくるので、都度の振り返りと軌道修正とを行いつつ、全体としてのマイルストーン達成に向けたアクションを継続することが重要です。

この中で特に重要なのがプランニング部分です。
自社の経営戦略については社内のメンバーが最もよくわかっている部分ですが、カーボンニュートラル実現に向けての部分においては法改正、SDGsやESG投資についての投資家観点でのポイント、データの収集方法や分析手法に対する知見、外部評価指標に対する対応ノウハウや現実的なマイルストーン設定などに関する情報をいかにインプットしてうまく組み合わせるかが成功の鍵を握るといっても過言ではありません。

社内で担当者をアサインする際にはこうした観点でのインプットを考慮したうえでの適任者を選び出すことが必須となります。

7.実現に必要不可欠なのは、グランドデザインの策定と経営戦略における位置付け

カーボンニュートラルの実現に向けて、把握可能な範囲からのGHG排出量の算出、現場レベルでの改善から着手されている企業が多いと思います。確かに、カーボンニュートラルは、省エネが重要な施策となっており現場の改善活動は必要不可欠です。但し、今の活動の延長線上に明確な実現ストーリーはありますでしょか?

例えば2050年にカーボンニュートラル実現を宣言しているのであれば、目標達成に向けて、中期計画を設定し、その頃までに、どのような状態としてあるべきか、バックキャストにて目標・ビジョンを設定すべきではないでしょうか?
更に、中期計画達成に向けては、暗中模索で推進するのではなく、具体的なIT利用を実現手段として毎年の施策に組み込み、カーボンニュートラル計画実現を見える化し、着実に推進すべきと考えています。

なお、中期計画・毎年の施策において、環境担当の方だけで推進するのではなく、中期計画を経営層にご理解・ご認識頂き全社戦略に位置付けて推進する事も、需要な成功要因であることも合わせて提言させて頂きます。

カーボンニュートラルのすゝめ ~実現に向けて、次の一手とは~

カーボンニュートラルを推進しなければならない背景基礎知識、環境の変化やステークホルダーへの効果的な取り組みの開示方法などをまとめたホワイトペーパーをご用意いたしました。

今回ご紹介いたしましたカーボンニュートラル実現に向けてのご説明についても詳細に記載しております。

カーボンニュートラルに取り組み始めた企業の皆様にぜひ一度ご覧いただき、全体像の理解とこれから取り組むべき内容を把握していただければと思います。

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著者プロフィール

著者プロフィール

富士通Japan株式会社
ソリューショントランスフォーメーション本部
シニアマネージャー
大串 吉正

1996年入社後、Web系の開発部門を経て、製造業・流通業のお客様のアカウントSEとして様々な基幹系システム・情報系システム構築のプロジェクトマネジネントを担当。
現在は、お客様のカーボンニュートラルの実現に向けて、SE経験を活かし、お客様の環境・状況を考慮して最適なグランドデザインを策定する中期計画立案・実現に向けた具体的な施策立案検討支援サービスを展開中。

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