2021年12月28日

今や主流!「クラウドシステム」のメリットを詳しく解説 第02回 新たにリリースしたクラウド型電子カルテシステム「HOPE Cloud Chart II」の開発責任者に聞く

富士通Japan株式会社

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いま、さまざまな業種や業界で広く普及している「クラウドシステム」。医療の領域にもクラウド化の波が着実にやってきている背景を受け、今回「クラウド」をテーマに2回にわたりコラムをお届けしております。
前回の第1回コラムでは、ヘルスケア業界におけるクラウド普及の背景や需要についてお伝えしました。そして第2回の今回は、富士通が2021年にリリースした、クラウド型電子カルテシステム「HOPE Cloud Chart II」について、開発責任者に、このシステムのリリースの背景や思いと共に、そのメリットについて聞きました。

1. 今回新たにリリースしたクラウド型電子カルテシステム「HOPE Cloud Chart II」では、病院様のどのようなご要望のもと開発しましたか?開発者の思いをズバリ教えてください

イメージ 「HOPE Cloud Chart II」開発責任者
富士通Japan株式会社 辻元 洋典

「HOPE Cloud Chart II」の前身の「HOPE Cloud Chart」を2014年に提供し約6年が経つ中で、これからのクラウド型電子カルテシステムを考える上で、改めて様々な課題の洗い出しを進めながら、リリースまでの9ヶ月間検討開発を行いました。
今回の製品開発にあたり一番念頭においたのはお客様のニーズに合わせられるクラウドです。
クラウドというと、「使いたいときに使いたい機能を、使いたいだけ」というように、お客様のニーズにどこまで応えられるかというところが重要です。
このCloud Chart IIでは機能・インフラ面でCloud Chartにはなかった様々な選択肢を設け、お客様自身で選択しカスタマイズできる電子カルテを目指しました。
近年、サブスクリプションといわれるクラウドサービスが主流となりつつありますが、Cloud Chartでは包括機能をもとに一律の価格提案をさせていただきました。
Cloud Chart IIでは、あえてサブスクリプションをやめ、中小病院特有の様々な業態の違いに対応できるよう、お客様が納得して電子カルテ自体の機能を取捨選択してお使いいただけるようにしております。
また、もう一つ重要な点として、電子カルテをお使いいただくことが、お客様の業務効率化、ひいては経営改善の一助になれるようクラウドならではの価値を届けたかったというところです。
従来のクラウド型電子カルテのように、ただ単にデータセンターで動かすというだけではなく、お客様の様々なデータがセンターに集まっている点を最大限に生かしました。地域の中で、患者様の動向や疾病の傾向など、データが見せてくれることは多くあります。ましてや病院様に設置される電子カルテでは難しかった「データ集約」が、クラウドでは実現可能となるのです。このクラウドの利点を生かし、お客様への付加価値を提案していこうと考えました。Cloud Chart IIでは、「経営改善」をキーワードに、クラウドで集約したデータを活用したサービスを提供するという発想です。
このような想いのもと、病院様にとって付加価値のある電子カルテシステムをお届けできればと考え、7年ぶりとなるクラウド型電子カルテシステムをリリースいたしました。

2. クラウドと聞くと、レスポンスが心配です・・・何か対策はしていますか?

クラウドになるとどうしてもレスポンスが心配というお声をいただいております。データセンターと病院とのネットワークの遅延の影響を受けたり、アプリケーションのサーバー負荷が高くなったりと、レスポンスに影響を与える部分は多岐にわたります。Cloud Chart IIでは、レスポンス低下の要因を可能な限り排除するため、ネットワークには法人向けIP-VPNを採用し、ネットワーク渋滞による遅延を回避したり、お客様が使用する接続台数に応じてサーバースペックやサーバー数を増減させる仕組みを取り入れています。

その他、データセンターと病院間の通信量が極力少なくなるよう、Cloud Chartと同様に、電子カルテアプリケーションをすべてデータセンターで動作させるようにしています。
病院様の端末では、データセンターで動作しているアプリケーションを投影することで、端末やネットワークに負荷をかけずに動作させることができます。

また、ノンストップ運用という点で、Cloud Chart IIの基盤となるデータセンターは、ヘルスケア業界だけでなく、金融・流通・社会基盤等々の業界において採用されている、業界No.1の基盤を利用しております。JDCCという、日本データセンター協会が定めたデータセンターファシリティスタンダードがあるのですが、弊社が利用しているデータセンターは最上級の格付け基準である「ティア4」[注1]を取得しております。ティア4とは以下の指標となっておりますが、こういった外部企業の基準を満たした基盤で病院様の大切な診療データをお預かりしておりますので、安心して富士通Japanの電子カルテシステムをご利用ください。

[注1] ティア4とは
  • 災害に対し、データ保存の安全性が保たれながら、可用性も確保した非常に高いレベルでの対災害性がある。
  • 一部設備が一時停止や一障害が発生しても、継続して提供できる。またより高いレベルでの冗長構成の設備がある。
  • 敷地、建物、サーバー室、ラック内のIT機器すべてのアクセス管理が行われている。
  • 想定しているエンドユーザーの稼働信頼性が:99.99%以上である。

このように、業界No.1の基盤を採用し、仕組みにも一工夫入れることで、電子カルテの安定稼働を実現しています。

3. どの病床数・病院形態に対応していますか?

病床20床から400床までの中小規模病院様を対象としています。従来のCloud Chartでは、300床未満の病院様へのサービス展開でしたが、クラウド型電子カルテのニーズも年々増えていることから、対象レンジを広げています。
また、急性期から慢性期の病院様を対象としておりますが、大学病院様や大規模病院様で提供していた機能を踏襲していますので、例えば異動された方が初めてCloud Chart IIをお使いただく場合も、「あれ、使いなれた機能だ!」とのお声をいただくことも多々あります。もちろん、弊社の電子カルテを使ったことがない方でも、操作・運用に関わる教育コンテンツをご提供しておりますので、病院様の操作教育の手間の削減にもお役立ていただけるかと思います。

4. 他社と異なる「HOPE Cloud Chart II」のメリットを開発者の視点で教えてください

① 経営に特化した機能を新たにリリース

今回、経営ダッシュボードを新設機能として基本サービスに組み込んでおります。本機能は、クラウド上で動作する医事・電子カルテシステムからデータを収集し経営判断に必要な様々な項目を参照いただけるサービスです。冒頭でもお話しましたが、業務や経営改善のためにも役立つ電子カルテシステムかと思います。
Cloud Chart IIを選んでいただいたお客様の経営改善に寄与できるよう、病院経営改善に取り組んでいるコンサルタントと協力し、実際のコンサルティングで使用する情報や、厚労省の病院経営管理指標で定義されている項目をピックアップすることで、お客様の病院経営状況の可視化を容易にしています。
病院の経営状況というと、おこがましいですが、いままで経営状態を把握するためにDWH等から情報を抽出し加工していただいていましたが、ダッシュボード形式で容易にご確認いただけるため、病院様のデータ収集の負担削減につながります。
どんなものでも改善するために現状把握が重要です。本機能により、手間をかけずに見ていただくことで病院経営のさらなる改善を進めていただけると考えております。

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② 病院規模や形態の変化に合わせて、好きな機能を自由に選択できる

小規模の病院様では、使用するオーダー数も中規模病院様とは異なってきます。一律の価格設定ではなく、オーダー種に応じた機能を取捨選択いただくことで、お客様の業態にあわせたクラウド型電子カルテをお使いいただくことができます。
また、近年病院機能再編など、今までの病院経営を変更するケースも出てくるかと思います。そういった場合でも、買切り型の電子カルテシステムとは異なり、導入後も柔軟に機能を変更できる点もメリットとなります。月額サービスとなっているため、途中からでも機能サービスの変更が可能な部分がクラウドの良さであり、昨今の市場にも対応することが可能です。

③ クラウドだからこそ、インターネットや外部システムとの連携が可能

医療システムの世界は、情報漏えいのリスクから閉鎖されたネットワークで構成されていることがほとんどです。しかし、昨今、様々な診療をサポートするサービスや情報がインターネットを介して提供されております。
クラウドだからこそセキュリティを担保した形で、追加の設備投資なく、インターネットへアクセスできる環境を実現しました。Cloud Chart IIでは院内の端末から、カルテを使いながらインターネットへアクセスすることが可能です。業務中に調べ物などでインターネットへアクセスする、インターネットを介してオンライン診療を使用するといったことができるようになります。ニューノーマルといわれるなかでの、日々の診療業務をサポートするツールとして、Cloud Chart IIをご活用ください。

【参考】HOPE Cloud Chart IIとは

富士通Japanが2021年にリリースした中堅病院様向けクラウド型電子カルテシステム。
サーバー現地設置型電子カルテシステム「HOPE LifeMark-MX」の画面UIそのままに、クラウド化したサービス。
リリースして既に50ユーザー様で採用されており、今後の富士通Japanの中核となるクラウドサービス(2021年12月現在)

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下記公開サイトにも「HOPE Cloud Chart II」の情報を掲載しております。ぜひご覧ください。
クラウド型電子カルテシステム HOPE Cloud Chart II(ホープ クラウド チャート ツー)

以前配信をした、オンライン診療システムとの連携ももちろん可能です!
【参考】オンライン診療の算定ポイントとICT活用最新情報【連載記事】
第01回 コロナ禍における「オンライン診療」の算定ポイントを徹底解説
第02回 いま求められる「オンライン診療」を実現する富士通のヘルスケアソリューション

開発者プロフィール

富士通Japan株式会社
辻元 洋典(Tsujimoto Yosuke)

入社後18年にわたり、ヘルスケアソリューションの開発を担当。現在は開発責任者として、クラウド型電子カルテシステムの開発を手掛けている。過去には、モバイルソリューション「HOPE Pocket Chart」や患者向けサービス「HOPE LifeMark-コンシェルジュ」の開発に携わり、富士通Japanのヘルスケアソリューションの創出に尽力。

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著者プロフィール

富士通Japan株式会社

【事業内容】
自治体、医療・教育機関、および民需分野の準大手、中堅・中小企業向けのソリューション・SI、パッケージの開発から運用までの一貫したサービス提供。AIやクラウドサービス、ローカル5Gなどを活用したDXビジネスの推進。

富士通Japan株式会社

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