2022年6月16日更新

キャッシュレスの今を知る 第02回 キャッシュレス利用率80%に向けて、超えるべきハードル

富士通Japan株式会社 阿部 美寿々

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プリペイドカード(電子マネー)などのキャッシュレス決済の普及に伴い、決済手数料負担の増加に頭を抱えている企業様が増えており、ご相談をいただくケースが増えております。
そこで今回、日本のプリペイドカード(電子マネー)などのキャッシュレス決済の市場環境と今後、お悩みの解決策をご紹介いたします。

キャッシュレス決済比率目標

第1回のコラムでも掲載した通り、日本のキャッシュレス決済比率について、2021年は32.5%にのぼり、10年前と比べると2倍以上の成長を見せております。
また、政府はさらなる拡大を目指しており、2025年には40%、将来的な目標としては80%まで、キャッシュレス決済比率を段階的に引き上げることを目標としています。

決済比率目標達成へキャッシュレス、マイナポイント還元事業などの政府取組

政府の取り組みには、さまざまな目的がありますが、その一つとして2025年のキャッシュレス決済比率40%の達成が挙げられ、2019年のキャッシュレス消費者還元事業や、2020年から継続して行われているマイナポイント還元事業などを実施してきました。
一方、民間ではコロナウィルスの影響によるネット販売の普及、フードデリバリーや事前注文サービス等の近年台頭している新しいサービス形態の普及・浸透が急速に進みました。その背景として、キャッシュバックやポイント還元の大規模イベント等、QRコード決済各社が繰り広げている陣取り合戦の過熱が挙げられます。
これら市場環境の変化によって、比較的キャッシュレスとは縁遠かった中小規模の小売業や飲食業においても消費者からキャッシュレス決済への対応を求められ、まずは2025年のキャッシュレス決済比率40%という目標に近づいていくものと思われます。

CBDCや給与デジタル払いの検討

次に、将来目標であるキャッシュレス決済比率80%についてです。
高い目標ではありますが、下記のグラフにある通り、海外ではキャッシュレス決済比率が80%に達している国もあり、日本においても不可能ではない将来目標とされています。
キャッシュレス後進国である日本は、この状況から取り残されないよう、CBDC(中央銀行デジタル通貨)やデジタル給与払いの解禁等、あらゆる検討がなされています。

決済手数料の増加に対する解決手段~自社電子マネーの活用~

2025年に40%、将来的には80%までキャッシュレス決済比率が伸長したとき、現状のキャッシュレス決済比率32.5%からすると店舗の決済手数料の負担は現状の約1.3~2.7倍になります。そのため、決済手数料の抑制は早期に対応すべき重要課題といえます。
今回は、その決済手数料増加の解決策の一つとして、自社電子マネー(ハウス電子マネー)を紹介します。
自社電子マネーとは、店舗・ECサイト等のマルチなシーンに活用できるプリペイド式決済手段です。自社が発行主体となり、自店の支払いのみに使えるカードであるのが特徴です。

クレジットカードやQRコード決済の手数料は、業種や取扱高等により多少変動はあるものの、3%前後が相場とされています。それに対して自社電子マネーでかかる手数料は、システム利用料の1%前後のみです。
実際に、年商100億円の企業で手数料負担額の推移をシミュレーションしました。手数料は、クレジットカード・QRコード決済が3%、自社電子マネーが1%で仮定し、キャッシュレス決済比率が政府の目標である40%、80%になった場合の手数料をそれぞれ算出しています。
クレジットカード・QRコード決済の手数料は、キャッシュレス決済比率が高まれば高まるほど大きくなります。一方、自社電子マネーでは、手数料はシステム利用料に対してのみ発生するため、手数料を抑えることができます。

決済手数料抑制だけではない!自社電子マネーの効果とは?

決済手数料抑制以外に自社電子マネーにはどのような効果があるでしょうか?
自社電子マネーのメリットとよくいただく疑問の声にお応えしていきます。

【メリット】

  • ① システム利用料のみ負担していただくため、決済手数料を安く抑えることが可能です。
  • ② プリペイド式のため、事前入金による未来売り上げの確保が可能です。
  • ③ マネーの残高があることで「またあの店に行こう!」という再来店動機につながります。

それでは、それぞれのメリットを確認してきましょう!

◆メリット①:決済手数料が安価!
自社電子マネーは決済手数料を安く抑えられる分、そのコストを販促に充当することで、自社ファンの育成に効果的に活用いただいています。
なお、システム利用料に販促経費を加味してもクレジットカードやQRコード決済よりも安価に運用していくこと可能です。

◆メリット②:未来売り上げの確保が可能!
自社電子マネーはプリペイド式のため、前受金によるキャッシュフローの良化という効果もあります。
クレジットカードやQRコード決済の場合、利用者が買い物をした後、約1ヶ月程度で加盟店への入金があり、入金サイクルが長いとされています。
自社電子マネーの利用者はあらかじめカードに入金をしておき、買い物をします。自社が発行主体となるため、お店側は商品が売り上がる前(利用者が入金した時点)に現金が手元に入ってきますのでキャッシュフロー良化につながります。手元資金が潤沢であることは、安定した企業経営につながり、経営視点で大きなメリットになっています。

◆メリット③:再来店動機につながる
自社電子マネーの残高が残っていると、「またあの店に行こう!」という再来店動機につながります。さらに、自社電子マネーには有効期限があり、失効すると、自社の退増益として収益計上することができます。業種・業態によっても異なりますが、全体のチャージ金額の0.5%前後が失効残高として収益計上できるとされています。

さて、上記メリットに対して、自社でしか使えないマネーが本当に使われるのか?とご質問いただくことが多くありますが、実際に当社システムの自社電子マネーカードの入金額は、5年間で3倍以上伸長しています!つまり、消費者に活用いただいている決済手段だといえます。

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決済手数料の課題解決と更なるデータ活用、マーケティング展開

上記のシミュレーションでもご紹介した通り、今後キャッシュレス決済の普及が促進される状況下においては、早期に対応するほど手数料負担抑制の効果は高まります。その効果を最大限発揮するためにおすすめの製品として、富士通の「ValueFrontキャッシュレスソリューション」をご紹介します。
「ValueFrontキャッシュレスソリューション」は、決済手数料負担の削減はもちろん、集客・固定客化、自由なデータ活用、デジタルマーケティングへの展開が出来るサービスです。
そのサービスの一つである「ValueFront 電子マネーサービス」では、汎用的な電子マネーとは異なり、そのお店だけで使ってもらえる専用電子マネーとして、単なるキャッシュレス化にとどまらず、自社ファン育成や新しい販促施策にも有効活用いただけます。
キャッシュレス決済の導入をうまく活用して、さらなる事業拡大をサポートさせていただければと思います。

「ValueFrontキャッシュレスソリューション」の詳細はこちらからご確認いただけます。
https://www.fujitsu.com/jp/group/fjj/services/keyword/cashless/

著者プロフィール

富士通Japan株式会社
e-ビジネスサービス統括部 サービスビジネス推進部

阿部 美寿々

学生時代にチアダンス世界大会で優勝。入社後は、富士通アメリカンフットボール部FRONTIERSの連覇をチアリーダーとして支える。
今はスポーツ界からの一線を退き、キャッシュレスサービスを通じて企業の応援を中心に活動。
皆様のビジネスの成功を応援しています。

阿部

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