2015年12月10日更新

企業力アップのためのお役立ち 第01回 グローバル勤務への下準備:海外進出前に考えるべきこととは?

マケナ雅美 氏

イメージ

企業の海外進出には当然のことながら高額の資金が必要であり、「海外進出するならばしっかり成功させたい」と考えるのが当然といえます。企業がグローバル化を達成するためには、手始めとして海外の拠点で活躍できる、グローバル勤務に適した人材を育てる必要があります。今回はそのために企業ができる取り組みについて考えてみましょう。

海外勤務への憧れは減少傾向に

「海外勤務」と聞くと、誰もが憧れる好感度の高いポジションに感じますが、実は最近の傾向では一概にそうとはいえないようです。2015年9月に産業能率大学が発表した「第6回新入社員のグローバル意識調査」によると、「海外で働きたいか?」という質問に対し、「海外で働きたくない」と回答した割合は「63.7%」と過去最高値を記録。そう感じる理由としては、「語学力に自信がない」「海外生活に不安がある」「仕事能力に自信がない」といったものが挙げられました。

企業のグローバル化が進むなかで、こういった現状は若干心配な結果といえます。企業の海外拠点を設立し、その基盤を作り上げる過程で、自社の社員にその拠点で勤務をしてもらうことは、スムーズな経営のために重要なポイントになります。そこで大切なのは、どうやって自社の社員に「グローバル勤務」を魅力的なポジションとして感じてもらえるようにするかということです。

まずは自信をつけさせる

上記の調査結果によると、グローバル勤務に魅力を感じない大きな理由のひとつとして、「自信のなさ」があるようです。海外という新しい土地で業務をこなすだけでなく、現地の人々とコミュニケーションをとったり、新しい環境で生活をしたりするためには、体力はもちろんメンタル的にも強さが問われます。「○○ができない」「××は苦手だ」といった苦手意識を払拭し、自信を持って新生活に臨めるタフさを身につけておくことがキーとなってきます。

そして、自信は一日で身につくものではありません。語学スクールに通わせたり現地を下見に行かせたりと、しっかりと下積みを経験しましょう。また、海外での生活に向きそうな人材を見極める力もぜひつけたいところです。コミュニケーション能力が高く、文化や言葉の壁を乗り越えてチャレンジできるタフな人、そして、現地のスタッフと信頼関係を上手に築くことができる柔軟性を持つ人を探しましょう。

海外事務所の基盤作りを丁寧に行う

海外で事務所を設立し、企業の基盤を作るのは、たやすいタスクではありません。グローバル化を真剣に考えているならば、社員が仕事に集中できるように、しっかりとした基盤を作っておきましょう。事務所を治安の良い安全な場所に選ぶことはもちろんですが、「居住区はどんな感じか」「車や交通面で不便はないか」「日本の食料は入手できるのか」「(家族を連れての海外勤務の場合)子供達が通いやすい学校が揃っているか」といった、生活に関する情報の下調べもしっかり行いたいところです。

仕事だけでなく生活の心配もしなければならないようでは、グローバル勤務に魅力を感じさせることは難しくなります。海外へ拠点を移したら、すぐに日常生活が支障なく開始できるよう、丁寧な基盤作りを行っておきましょう。最初は面倒な点も多いかもしれませんが、海外進出を成功させて長期にわたりビジネスを行ううえで、その基盤作りは損のない投資となるはずです。

憧れのグローバル勤務ポジション作りを!

グローバル化は企業のさらなる成長へ向けての大切なステップです。うまく成功させるためには、社員にグローバル勤務に興味を持ってもらい、海外拠点でもしっかりと成果を出せるグローバル社員を育成していくことが大切です。計画性のある下準備を行い、誰もが憧れるグローバル勤務のポジションを作り上げていきましょう。

著者プロフィール

マケナ雅美 氏

Texas A&M University、経済学部卒。福岡出身、現テキサス在住。大卒後、化粧品や医薬品の臨床試験を行う米国の会社のアジア部門にて、翻訳・通訳業務、日本やヨーロッパの顧客へのマーケティング業務を主に新しい分野で働く楽しみを覚える。経済のみでなく、テクノロジー、スポーツ、料理、アンティークなど幅広い興味を持つ。

マケナ雅美 氏

マケナ雅美 氏コラム一覧

ページの先頭へ