2017年03月03日更新
企業力アップのためのお役立ち 第15回 災害対策のために今、企業ができること
酒井麻里子 氏
大規模な自然災害は、いつ、どこで発生するか分からず、また発生したときには大きな影響をおよぼすものです。いざというときに社員や設備、データなどを守り、業務への影響を最小限にとどめるために企業は何をするべきなのでしょうか? 企業が知っておきたい防災対策の基本についてご紹介します。
災害に備えて必要な準備とは?
防災のために実施するべきことは数多くありますが、これらの対策を大別すると、「従業員や顧客の安全を確保するための対策」と「設備やデータなどを守るための対策」の2種類になります。
(1)「人」を守るための対策
まずは、従業員を対象として、災害に備えた基本的な対策が必要になります。社内や工場内などに危険な箇所はないかを点検すると同時に、災害発生時の対応方法を周知したり、防災訓練を実施したりすることを通して、社内の防災意識を高めることが大切です。
また、従業員が帰宅できなくなった場合は社内に滞在できるように、非常食や飲料水、毛布や簡易トイレなどを備蓄することも必要になります。これらの備蓄品は、社内でまとめて保管する方法のほか、あらかじめ従業員一人ひとりに配布する方法もあります。
さらに、不正確な情報が出回り、従業員の間で混乱やパニックが起きた場合の対応や、火災などの二次災害が発生した場合の初期消火や避難誘導などが必要になる場合もあるでしょう。
(2)データや設備を守るための対策
災害によってサーバーが被災してデータが消失すれば、その被害は甚大です。また、製造業で工場が被災することによる商品供給の停止や、オンラインサービスの機能が停止することによる機会損失の発生など、災害で業務が停止することによる影響は多岐にわたります。
このような災害による業務の停止を最小限にとどめ、少しでも早く復旧させるためには、データや設備を守るための対策が欠かせません。たとえば、サーバーの被災によるデータ消失を防止するためには、同時に被災する可能性の低い複数の拠点にバックアップを保存することや、クラウドサービスを活用することが有効でしょう。
具体的に被害を想定する
防災対策を実施するにあたっては、どのような被害が起こりうるのかを、できるだけ具体的に想定することが大切です。自社の所在地で発生する可能性のある大規模災害について、想定されている被害の大きさや内容を確認し、それに対処できるだけの対策を実施することが必要です。また、過去に起きた災害の事例を学ぶことは、実践的な対策を行ううえで効果があります。
また、それぞれの対策において、「だれが」「どのように」実施するのかを明確にしておくことも重要になります。たとえば、自社サーバーが被災し、バックアップからの復旧が必要になった場合の担当者や体制を決めておくことや、具体的な復旧手順のマニュアルを用意しておくことなどがこれにあたります。さらに、社屋が利用できなくなった場合に復旧作業にあたる場所やそこで使用する機器などの確保などもあらかじめ決めておく必要があるでしょう。
日ごろの対策と心がけが、いざというときのリスクを防ぐ
災害対策は、実施しているつもりでいても確認漏れがあったり、過去に設定した対策が現状に合わないものになっていたりする場合があります。災害はいつ発生するか分からないものですが、災害によってどのようなリスクが起こりうるのか、それを防ぐために何ができるのかについては、予想や対策が可能です。
いざというときに、従業員や設備、データといった自社の資産を守り、災害の影響を最小限にとどめるためには、日ごろの対策と防災に対する意識が不可欠です。改めて、現在の災害対策を見直してみてはいかがでしょうか?
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著者プロフィール
酒井麻里子 氏
IT系コンテンツを多数手がけるライター。著書に『これからはじめるスマホユーザーのためのLINE Facebook&Twitter安心・かんたんスタートブック』(秀和システム)など。
初心者ユーザーに向けたスマホやPCソフトの使い方から業界最新ニュース、Webマーケティングまで、ITに関することを幅広く扱っています。
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