Withコロナ時代の働き方改革 第2弾
加速する行政のデジタル化!人事総務業務は電子申請で変わる!
2020年12月4日更新
【セミナー情報】
2020年9月29日(火)GLOVIAオンラインサロン 第二回
昨今のコロナ禍で、私たちの働き方は否応なしに変革を迫られました。その中で省庁も開始したハンコ文化に終わりを告げる取り組みは、民間企業にも様々な形で波及し始めています。
特に人事部門が関わる業務では、社会保険関連の手続きや年末調整業務に代表される、外部機関への申請届出業務のさらなるWeb化が加速しています。
前回のオンラインサロンでは、よりスムーズに業務を推進するための一つの方法として「年末調整申請Web化」の取り組みについてご紹介いたしました。今回は、リクエストを多く頂いた「社会保険・労働保険の電子申請」をテーマにご紹介します。
はじめに ~Withコロナ時代の働き方、市場動向~
富士通Japan株式会社
商品戦略推進本部
ソリューションビジネス推進統括部
ソリューションコンダクターセンター
担当課長 宇田正幸
富士通Japan株式会社 宇田より、現在の市場動向をもとに、Withコロナ時代における働き方の意識変化と見えてきた課題について説明しました。
2020年、新型コロナウイルスによって、我々の働き方はもとより、生き方、価値観など大きく変わりました。調査では新型コロナウイルスを契機に約90%の企業がテレワークを導入、もしくはその対象者を拡大したという結果が出ています。
その一方で、テレワーク環境が整ったとしても、出社せざるを得ない状況が続いています。「テレワーク移行に伴い発生した業務遂行上の課題の中で、現在まで未解決の課題は何か」という質問に対し、約70%の企業が「ペーパーレスの決裁・手続」と回答しています。
人事総務部門の取り巻く環境として、「行政機関への申請手続き」「年末調整や勤怠など社内申請」「給与明細の発行」といった業務があります。それらは紙であるが故に手書き、印刷・封緘のほか、「紙が届く、紙を送る、チェックする」、さらに“マイナンバー”がセンシティブな情報のため、出社し・行政機関へ出向く必要がある、というのが実態です。
行政手続きのデジタル化政策
出典:日本CHO協会「新型コロナウイルスの影響と働き方の変化に関する調査」
2020年9月に新政権になりました。その「骨太の方針」で「書面・押印・対面」を原則不要にするという目標が掲げられました。内閣府の調査によると押印が必要な行政手続きは約1万1千種類あり、一気に進むのか今後も注目すべき話題になると思います。
また、2020年4月より資本金1億円以上の企業などに対し、電子申告・電子申請の義務化されました。
その利用状況というと、e-Taxのほうは87.1%とかなり浸透していますが、e-Govに関しては約22%と進んでいません。
理由として、使い勝手が悪い、導入までのハードルが高いためです。
行政が進める“電子化”を見据えた企業としての取り組み方~社会保険・労働保険の電子申請編~
株式会社エフアンドエム
オフィスステーション事業本部
副本部長 佐々木宗一郎氏
つづいて、株式会社エフアンドエム オフィスステーション事業本部 副本部長 佐々木宗一郎氏が登壇し、社会保険・労働保険の電子申請ついて説明しました。
コロナ対応、テレワーク対応が注目されていますが、法律が改定し、残業時間の上限規制や同一労働同一賃金の実現について、まずは大企業からですが段階的に導入されることとなります。あるアプリでは近くを通っただけでブラック企業がここにあると知らせるようなものもあります。
SNSが浸透した今日では、罰則の有無に関わらず、ふとした落ち度で「ブラック企業」にならないよう、注意していくことが必要です。
行政手続き電子化に向けた背景
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2017)」
行政手続きの電子化については、テレワークが一気に進んだことで注目されましたが、元々数年前から取り組まれていました。
なぜ電子化が始まったかというと、日本は高齢化が進み、加えて生産性年齢人口も少なくなっているのに、生産性が主要先進7ヵ国の中でも最下位だからです。
アメリカと業種別生産性を比較したところ、事務従事者の生産性が低いとされています。原因として、企業は営業向けシステムを積極的に導入していますが、事務従事者向けシステム導入は遅れています。そのため、生産性が低くなっています。
「ハイテク日本はFAXがフル回転」「アメリカではFAXは骨董品としてスミソニアン博物館に展示されることが決まった」とニューヨークタイムズに記事が掲載されました。それぐらいアメリカに比べ日本の事務従事者向けシステムの導入がされていないという例です。
日本がこれから目指す国として「エストニア」があります。なじみがない国かもしれませんが「skype」の発祥の国です。旧ソ連時代からITに強く1991年、ソ連崩壊の過程で独立を回復した現在では、個人番号カードにより様々な情報をWeb上から取得、申請できる「国土をクラウド化した国」と言われています。
日本でも「マイナンバーカード」を使用しコンビニで証明書の取得ができるなど電子化をすすめており、今年からは年末調整を「マイナポータル」を活用していくなど国主導で電子化が促進されていきます。
社会保険に関する手続きは、内閣府 規制改革推進会議にて「改革が必要な重要分野」とされており、力を入れられていきます。
電子申請義務化対応で“はまってはいけない”落とし穴
電子化に関するお問合せを多数受けますが、単純に電子化すればすべて解決するものではない、はまってはいけない落とし穴に注意してほしいです。
よくある思い違いとして、電子化は資本金1億円超の企業は義務化になると数年前から言われており、すでに対応済みと認識していたものは「法人税」であり、社会保険・労働保険も電子申請できていると思っていることです。
また、2020年1月から一部の「雇用保険適応窓口」来所の受付時間が8:30~16:00に短縮されています。今までは17:00まででしたが、受付を短くすることで電子化を促進するためです。さらに厚生労働省は新型コロナウイルス対策として、社会保険の手続きは「電子申請」や「郵送」を推奨し、直接窓口での提出は控えてほしいと呼びかけています。
実際に、コロナ感染の影響で大阪市北区の梅田公共職業安定所(ハローワーク梅田)や、奈良市役所が一時的に休止しました。今後、電子化推進に伴い行政窓口は閉鎖されていく方向性が高いため、窓口に行っても出せない状況が発生することになるでしょう。
専門家による代理申請の注意点
2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化しました。専門家の社会保険労務士に任せていているから安心ではありません。社会保険労務士の電子化割合は50%前後です。顧問の社会保険労務士が電子申請を行っているか確認する必要があります。
自社で手書き申請している企業の注意点
手段として、「e-Gov」と「gBizIDを用いた電子申請」があります。「gBizID」は電子証明書が不要ですが、対応している帳票数がすくないため、現時点では「e-Gov」の方が電子申請対応帳票も多く、義務化対応に適しています。
しかし、「e-Gov」は準備の段階で多くの手間がかかり、ポップアップロック機能を停止することでセキュリティが脆弱になるという心配がありこの段階で断念するケースが多いです。なんとか「e-Gov」を使用できるように整えたとしても、手書きの申請書と同じ入力画面が表示され、1枠ずつ手入力が必要であり、継続手続きは毎回入力が必要となります。手書きの手間と何ら変わりがありません。
e-Gov利用者アンケートより、事前準備が「難しかった」計75.0%、操作性が「難しかった」計65.6%という集計結果が使いづらさを物語っています。
オフィスステーションを利用した場合の労務手続きにかかる作業時間比較
「オフィスステーション」はe-Gov外部連携APIに対応しているため、面倒なPC設定は不要です。電子証明書の取得だけで、すぐに社会保険・労働保険の電子申請を始めることが可能です。
また、「GLOVIA iZ 人事給与」とCSVデータ連携が可能なため、従業員・給与情報を連携することができ、抜け漏れなどがなく電子申請まで行うことができます。
電子申請前に確認として、見慣れた申請書になったものを確認・印刷することも可能です。
HRテクノロジーの7つの種類
HRテクノロジーには、採用、タレントマネジメント、エンゲージメント、勤怠管理、手続き、給与計算、健康管理の7つの種類があります。
昨今のコロナ禍の影響で、これらのテクノロジーを利用し、テレワークを推進、ペーパーレス推進、人をなかなか採用しにくい世の中でテクノロジーに置き換えることで企業の成長を促す方針に舵が切られ始めています。
つまり、これらは企業のあり方や働き方を変革する大きなテクノロジーです。
このテクノロジーを使うためには、人事・給与の基幹システムの整備が最も重要です。まずは、基幹システムでしっかり管理できているかを確認し、それぞれに応じたテクノロジーを使用することをお勧めいたします。
人事給与システムの重要性
最後に、富士通Japan株式会社 武田より、ニューノーマルが人事労務管理にもたらす課題と富士通グループでの導入事例について説明しました。
ニューノーマルが人事労務管理にもたらす課題
富士通Japan株式会社
ソリューション事業本部
GLOVIA ERP事業部 会計ビジネス部
プロジェクト課長 武田 幸恵
コロナ禍において、人事労務管理の課題が多く発生しています。弊社でもテレワーク勤務を前提とし、出社する場合は時差通勤などを利用し、出社率25%も制限することで密にならないようにしています。他社でも同様な動きがあり、出社を予約制にする企業もあります。
通勤形態や通勤事情が変わることで、通勤定期券の廃止や在宅勤務手当など新規手当の支給を検討する必要があります。
このほか、評価制度の見直しや、働きすぎることへの注意、インターバル勤務体制など様々な変化に対する取り組みがあります。
人事総務部門においては、諸届の種類が多く、年末調整のような制度対応が必要な申請書類があり、チェックも大変です。そのためハンコ文化からなかなか抜け出せずにいます。
富士通グループのペーパーレス導入事例
ペーパーレス推進の効果
富士通グループでは約20年前から、人事諸届(家族異動、住所変更など)は紙運用から電子化へシフトし始めました。
従来型の運用では、社員が起票した紙伝票を上司が押印し、人事部へ回覧していましたが、新形態の運用では上司承認を省略しました。
人事諸届については、上司を経由せずとも手続きは完了できるためです。
この場合、上司は部下が引っ越した、家族が増えたなどの人事諸届の情報が届きませんが、こまめにコミュニケーションを取り、部下との情報共有を行っています。
出張旅費や経費精算などは、上司責任で精査を行うようにし、でも上司の承認を必須としています。
申請伝票ごとの内容に合わせて、承認ルートの見直しを行うことで、業務の効率化も可能となります。
効率化の真の目的
定型業務の効率化を行い、その分を人材戦略立案や、働き方改革の推進など付加価値業務へのパワーシフトすることが効率化の真の目的です。
「GLOVIA iZ」では「人事給与」「就業」に加え、従業員が利用する「フロント」を取り揃えており、業務効率化をご支援できるERPパッケージとなっています。
ニーズに沿った課題解決のご提案
富士通Japan株式会社では本日ご紹介しました内容以外にも、テレワークや人事総務部門の業務効率化を推進するために、富士通グループならびにパートナー商品など、お客様のニーズに沿った課題解決をご提案させていただきますのでお気軽にご相談ください。
ニューノーマルが人事労務管理にもたらす課題
(注)株式会社富士通マーケティングは10月1日に富士通Japan株式会社に統合されました。
(注)当記事は富士通Japan株式会社が取材・制作したものです。
※本コラム中に記載の部署名、役職は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
他社ではどう活用しているのか?
人事給与システムの活用事例
下記のような無料PDFがダウンロードできます。
- 人事業務を「全体最適」により、ミスとムダを省いたスマート化を実現する、人事業務の「働き方改革」を支援する課題適応例
- 各事業グループの人事給与・会計システムを集約、多角化経営を推進する経営基盤を強化した日本エコシステム株式会社様の事例
- 新しい働き方を支援する人事業務に関するコラム集
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