全てがオンラインでつながる「アフターデジタル」の時代に企業はどうDXに取り組めばいいのか
2020年3月19日更新
【セミナー情報】
2019年12月3日(大阪)
DXを成功に導くために必要な情報システムとは ~アフターデジタルに備える~
富士通Japanは2019年12月3日、経営者・経営企画・情報システム部門向けのセミナー「DXを成功に導くために必要な情報システムとは ~アフターデジタルに備える~」を開催しました。セミナーでは、最新キーワードの『アフターデジタル』の解説と、『アフターデジタル』の時代に企業がどうDXを推進していくのか、その取り組みのポイントが紹介されました。
基調講演 デジタル先進国に学ぶDX(デジタルトランスフォーメーション)~アフターデジタルの世界~
日本はまだ「ビフォーデジタル」「アフターデジタル」こそDXのキーワード
富士通株式会社 シニアエバンジェリスト
松本 国一
基調講演には、富士通 シニアエバンジェリスト 松本 国一が登壇しました。松本は以下の4点について解説しました。
- オンライン化の動きが加速し、アフターデジタルの世界へと突入
- アフターデジタルはDX(デジタルトランスフォーメーション)を考える上で重要なキーワード
- 中国・深圳はアフターデジタルの先進地域
- 5G、AI、xR(VR/AR/MR)は、アフターデジタルを支えるテクノロジー
図版1 「飛行機は約70年」、「電話は約50年」と、長い年月がかかって普及した過去のテクノロジーと比較して近年登場したオンラインテクノロジーは爆発的な速度で普及した
インターネットやSNS、IoTなど人々がネットワークに繋がるオンラインテクノロジーが急速に普及しています。過去を振り返ると、世の中に変革をもたらしたテクノロジー、例えば飛行機や電話、テレビなどは広く普及するまでに、いずれも数十年の年月がかかりました。
ところが、インターネットは10年以内、SNSはわずか数年で爆発的に普及。人々の暮らしは一気にオンライン化し、オフラインは存在しなくなるとさえ言われる「アフターデジタル」の世界に突入しつつあります。
現代の人々は、スマートフォンに代表されるようなオンラインでつながる機器を常に持ち歩いています。身の回りには、人感センサーや監視カメラなどネットワークにつながる様々な機器が日常的に存在し、人々はオフラインではなく、常にネットワークにつながった「オンライン状態にある」といえるでしょう。「オンラインが当たり前」の環境が「アフターデジタル」です。
ところが、日本の多くの企業はまだまだ「ビフォーデジタル」の状態にあります。リアルな人々が、オフラインを軸にデジタルをどのように活用しようかを考えています。例えば、「基幹システムにモバイルPCやスマートフォンでアクセスして動かしたい」と考えているような世界観は、ビフォーデジタルにほかなりません。「O2O(Online to Offline)」の概念です。
それに対し、アフターデジタルの世界は、全ての人や機器がネットワークで繋がっているのが前提になります。デジタル化された世界の中で、リアルがどういうように変わっていくのか、リアルをどのように変えていくのかと考えることが重要です。それが「OMO(Online Merges with Offline)」の世界です。
オンラインテクノロジーの活用は今後、企業の成長の鍵を握り、アフターデジタルは企業がDXを考える上で重要なキーワードとなるのです。
アフターデジタル先進地域 中国の深圳からDXを学ぶ
アフターデジタルの先進地域として、世界から非常に注目されている地域があります。中国の深圳市です。松本は、深圳市の発展を定点観測するために2012年から頻繁に訪れています。当時は「世界の工場」といわれていた深圳市ですが、2018年に訪れたときには、日本と同様かそれ以上のデジタル先進地域へと様変わりしていました。
1980年代後半から日本が約30年間をかけて歩んできた道のりを、わずか6年で駆け抜けたのが深圳市です。「日本の5倍速で動いている」といえるでしょう。
その深圳市に本社を構える有名なICT企業が、数多くあります。例えば、通信機器とネットワーク・ソリューションの世界的なリーディングカンパニーであるZTE(中興通訊)、中国のスマートフォンのシェアでトップクラスのファーウェイなどです。インターネット事業を手がけているテンセントも深圳市の企業です。そして、「平安好医生」というスマートフォンアプリを活用した、アフターデジタルの実践で急成長を遂げた中国・平安保険も深圳市が創業の地です。これらの企業が、深圳市のアフターデジタルを加速させ、牽引しているのです。
5G、AI、VR/AR/MRがアフターデジタルの世界を支える
アフターデジタルを支える代表的なテクノロジーは、「5G」、「AI(人工知能)」、「VR/AR/MR」です。富士通は、これらの分野における最新テクノロジーを提供しています。
図版2 通信キャリが提供する5Gと異なり、ローカル5Gは企業単位で自社ニーズに沿った専用利用が可能
高速大容量、同時多接続、低遅延が特徴の5Gは、2020年から通信キャリアによる商用サービスがスタートしますが、富士通はローカル5Gに注目しています。ローカル5Gのメリットは、「免許が不要で事業者が独自のネットワークを組むことができる」こと。例えば、工場の中でローカル5Gを活用すれば、製造装置など各種機器を遠隔操作できるケーブルレスなネットワークを構築できます。
AIの分野では、富士通は「Zinrai(ジンライ)」を開発・提供しています。今後、AIは、モビリティや医療、社会インフラ、人事システムなど、活用領域がさらに広がっていきます。
VR/AR/MRの分野では、富士通はマイクロソフト社のMRヘッドセット「HoloLens」と組み合わせた「インテリジェントダッシュボード」を提供しています。MRヘッドセットとインテリジェントダッシュボードを、ものづくりの現場で活用することで、工場の見える化や製造工程の業務改善を実現できます。
デジタルを制する者がこれからの世界を制す 今はデジタル化を進める最後のチャンス
日本の企業の多くは、まだ、「ビフォーデジタル」の世界観の中にいます。ところが、デジタル先進国では、すでに「リアル自体がデジタル化」されています。これからは、ビフォーデジタルの世界観でのデジタル活用ではなく、オンラインが前提のアフターデジタルの世界におけるデジタルトランスフォーメーションを目指すことが大切です。「デジタルを制する者が、これからの世界を制す」。今はデジタル化を進めるラストチャンスでもあるのです。
第二部 GLOVIA iZで具現化するDX(デジタルトランスフォーメーション)~実行力こそが成功の最大要因~
デジタル化への「実行力」こそDX成功の最大要因
第二部では、富士通Japan ソリューション事業本部 浦谷 秀一が、DX実現のための「3つのポイント」を説明しました。
富士通Japan株式会社 ソリューション事業本部
浦谷 秀一
図版3 DX化への道を進んでいる海外と比べ、日本では部分適用、部分最適にとどまっている
日本では多くの企業がDXにどう取り組めばいいのか悩んでいます。企業がDXをうまく進められない背景には、レガシーシステムの存在があります。さらに、2025年にはレガシーシステムの担い手であるエンジニアが大量に退職する、いわゆる「2025年の崖」がやってきます。
つまり、社内のデジタル化を実現できていない環境では、IoTやAI、チャットボットなどの最新テクノロジーを導入しても部分適用や部分最適にとどまってしまいます。そもそも日本の企業の多くは、いまだに「守りのIT投資」を重視する傾向にあります。
その結果、製品やサービスを変革するIT投資に至っておらず、大企業も中堅・中小企業も「DXはまさにこれから」という段階。横一線でスタートラインに立っている状況です。今、大切なことは、「DXへの取り組みを実行するかしないか」の決断です。DXへの取り組みを「実行した企業こそが生き残る」のです。
DXを成功に導くポイントは、以下の3つです。
- アナログをデジタル化すること
- デジタル化したモノをつなげていくこと
- 新たなサービスや業務を生み出すこと
「アナログをデジタル化すること」の第一歩は、企業が保有する様々な「社内データをデジタル化する」ことです。まずは社内データをデジタル化し、将来的には社外のデータも含めてデジタル化して社内システムに取り込んでいくことで、総合的にDXに取り組む環境を企業内に構築できます。
「デジタル化したモノをつなげていくこと」では、デジタル化したデータを一元管理することが重要です。社内や社外のデータをデジタル化できたとしても、それらが社内に点在し、バラバラに管理されている状態では、新しい製品やサービスを生み出す考えに至りません。データを一元管理し、「つなげていくこと」で「新たなサービスや業務を生み出す」取り組みを実践することが大切です。
こうした取り組みを既にスタートしている企業があります。例えば、食品製造卸A社では、新たな収益源を確立したいという課題がありました。
これまでは、社内に製品の売れ筋・売上・顧客情報といった情報が散在し、それぞれのデータを紐付けることが困難でした。そこで、各種情報をより活用できるようにERPを導入し、社内に散在した情報の紐づけを可能にしました。
さらに、社内の情報だけに止まらず、社外の情報活用も進め、地域の平均個人所得・平均年齢といった国政情報を社内システムに取り込んで分析しました。その結果、地域別で取扱う商品の平均単価アップが実現できたのです。
物流業B社では、従業員の行動データを収集して生産性向上を図りたいという課題がありました。そこでB社では、人やモノの動きをデジタル化する試みをスタートしました。
その結果、倉庫のピッキングでは、人の行動データを収集・活用し最短の移動距離や棚の最適な配置ができるようになりました。また配送ルートでは、車の移動データを収集・活用することで、最適な配送計画の自動立案ができるようになりました。
人やモノの動きをデジタル化する試みをスタートしたことで、B社ではそのノウハウをサービス化できないか検討にするまでに至っています。
デジタル化においては、「目指すべき地点を決めてそこに向かって進んでいく」といったお客様は多くありません。迷いながら、まずはとにかくデジタル化を進めていくというお客様が大半です。
既存モデルの個別要素をデジタル化する「デジタルパッチ」からスタートし、既存モデルとデジタル要素を融合する「デジタルインテグレーション」へと進め、新しいサービスや新しい業務を生み出してDXへと到達するというのが正しい進め方と言えます。それでは、具体的にどのような手法でそうした取り組みを実行していけばいいのでしょうか。DXを成功に導く3つのポイントを実現するには、富士通Japanの統合業務ソリューション(次世代ERP)「FUJITSU Enterprise Application GLOVIA iZ」(以下、GLOVIA iZ)の活用が効果的です。特に良質な経営情報を迅速に把握できる「GLOVIA iZ経営」は、社内データだけではなく社外データも取り込んで一元管理できます。DXに取り組むための情報活用基盤を企業内に構築できるのです。富士通Japanは、「GLOVIA iZ」で企業のDXへの取り組みを支援します。
第三部 フリーコンサルティングサービス ~デジタル変革へのご支援~
フリーコンサルでデジタル化を支援 社内の「合意形成」でDXを円滑に推進する
第三部では、富士通Japan コンサルティングサービス推進統括部 澤田 隆広が登壇。DXの実現に取り組む企業を支援する富士通Japanのフリーコンサルティングサービスについて説明しました。
富士通Japan株式会社 コンサルティングサービス推進統括部
澤田 隆広
企業がDXを進めるにあたって重要となるのが「デジタル化」への取り組みです。それでは、企業において「どの部署がデジタル化を推進する役割を担う」のでしょうか。
ITインフラのクラウド化や情報セキュリティの強化といったシステム部門の専任領域と異なり、AIやIoTなどの技術導入を進める場合、事業部門と情報システム部門が「共同」して取り組むことが求められます。あるアンケートでは、「今後デジタル化を企画・推進する役割はどの組織が担うべきと考えますか?」という質問に対して、「IT部門と事業部門の共同チームを作って進めていくことが望ましいと考える人」が6割を超えました。
ところが、国内の中堅・中小企業の多くはIT部門(情報システム部門)に多くの人材を配置するだけの余裕がありません、年商100億円規模の企業でも情報システム部門に5名前後の人員しか配置できないのが実情です。今後、デジタル化のための企画を立案・実施したくても、「人員不足で手が回らない」ことが懸念されます。
図版4 フリーコンサルティングは社内の合意形成に特化したサービス
そこで、富士通Japanでは「フリーコンサルティング」サービスを提供しています。これは、企業の情報システム部門の担当者が社内でのデジタル化の企画・立案、他部門との調整をスムーズに進めていただけるようにサポートするサービスです。お客様の社内でDXの推進を円滑に進めるための「合意形成」に特化しているのが特徴です。企業のデジタル化を支援し、DXへの取り組みをサポートすることで、「経営に貢献するIT投資」を可能にします。
フリーコンサルティングでは、まず、デジタル化検討の準備として「企業ごとの方針」や「体制づくり」を支援します。デジタル化へのニーズがどのレベルにあるのかを把握し、お客様企業の「デジタル化戦略」を整理することからスタートします。
そして、フリーコンサルティングでは、企業がDXを推進するために重要となる次の3つを支援します。
- 「デジタル化」で何を目指すべきかの認識合わせ
- 「デジタル化」の全体像の共有と優先順位の明確化
- 「デジタル化」を推進する体制を考える材料の提示
「認識合わせ」、「全体像の共有と優先順位の明確化」、「体制づくり」は、DXを推進する第一歩です。富士通Japanでは、フリーコンサルティングサービスで、お客様がその一歩を踏み出すことを支援します。
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