販売管理システムの選び方・導入の仕方「リプレイスにおける課題の解決方法」
2020年4月10日更新
販売管理システムは、ほとんどの企業ですでに導入・活用されているため、これから販売管理システムを導入するには、既存システムからのリプレイスを伴うことがほとんどです。そして、販売管理システムのリプレイスには、「前回のコラム」で紹介したように、特有の課題や注意点、難しさがありますここでは、販売管理システムをリプレイスする際の課題をどう解消しながら導入していくか、そのポイントを説明します。
販売管理システムリプレイスの課題を解決するために必要なこと
ここまで見てきたように、販売管理システムは、大規模で重要なシステムであるがゆえに、さまざまな解決するべき導入課題があります。それでは、課題を解決するために、どのような点に注意してリプレイスを進める必要があるのでしょうか。
解決のポイント1:カスタマイズ部分を継承する
販売管理システムが、各社固有の業務と密接に結びついている以上、旧システムでおこなったカスタマイズを、新システムに引き継がなければなりません。ほとんどの場合、カスタマイズを再度やり直す必要があるでしょう。しかし、販売管理システムのリプレイスのたびにカスタマイズをやり直していては、コストが莫大になります。販売管理システムを実際に活用できるようになるまでの時間も長期化する恐れがあります。
カスタマイズ部分は、販売管理システムと切り離し、新システムにそのまま継承できることが望ましいのです。販売管理システムによっては、カスタマイズ部分を自社のパッケージ製品とは切り離すという設計思想を採用している場合があります。
このような販売管理システムは、カスタマイズ部分をまるでブロックのように、新システムから旧システムに付け替えることができます。このような、カスタマイズ部分が製品から切り離されたシステムの場合、従来のカスタマイズ部分を有効に利用しながら、機能追加や修正にも容易に対応できるでしょう。
カスタマイズ部分を継承させるのであれば、将来のリプレイスを見据えて、カスタマイズ部分が製品から切り離されたシステムや、カスタマイズそのものを避けるシステム構築が求められるのです。
解決のポイント2:他のシステムと連携させる
販売管理システムは、それ単独で動作することはありません。企業の基幹システムを担う販売管理システムは、在庫管理システムや生産管理システム、財務・会計システム、その他のSFAやワークフローなどの業務システムと密接に結びついているのです。
このため、他のシステムのリプレイスに引きずられて、販売管理システムをリプレイスするということが起こり得ます。逆に、どんなシステムとも親和性の高い販売管理システムであれば、リプレイスを避けてそのままほかのシステムやアプリケーションと連携させることができるのです。販売管理システム自体をリプレイスする際にも、システム間連携を実現させることで、業務効率向上が実現しやすくなります。
近年では、ハンディーターミナルを使った棚卸し業務の効率化や、RPAと連携した業務自動化の試みが頻繁におこなわれるようになりました。販売管理システムだけに目を向けていては、システムのリプレイス部分最適にとどまり、大きな恩恵を得ることは難しくなります。システム間連携を見据えた販売管理システムのリプレイスを進めるべきであるといえるでしょう。
解決のポイント3:クラウド対応可能な販売管理システムを導入する
近年では、システム導入をクラウド化することは当たり前となってきました。従来であれば、会社の重要な資産が格納されやすい販売管理システムをクラウドに移行することは、避けられてきました。しかし、販売管理システムも、クラウド運用が積極的に採用されるようになっています。複数台のサーバで構成されることが多い大規模システムでも、クラウドを使えば運用負担はかなり軽減できます。サーバのサポート終了も気にせずシステム運用できるので、今後のリプレイスを回避することにも役立ちます。
システムの停止が業務の停止に直結する販売管理システムは、クラウド運用がもたらしてくれるサーバの信頼性とも相性がよいといえます。オンプレミスであれば、拠点をまたいだBCP対策には莫大なコストがかかりますが、クラウドであればほとんどの場合、標準的にBCP対策がなされています。高いセキュリティ強度も販売管理システムに求められるため、販売管理システムリプレイスの際にはクラウドも検討するべきです。
とくに、クラウドにより販売管理システムを導入する場合、クラウドサービス事業者と販売管理システムを提供する事業者が異なることが多いかもしれません。重要度が高い販売管理システムは、保守サービス性を考慮に入れ、両者を同一事業者に統合することも検討したほうがよいといえるでしょう。
解決のポイント4:システム全般や販売管理業務に熟知したベンダーを選定する
大規模システムになりやすい販売管理システムは、リプレイスともなると既存データのとのマイグレーションや、カスタマイズ判断など、高い技術力を前提とした設計業務が欠かせません。ネットワークやハードウェアから、ミドルウェア、アプリケーションに至るまで幅広い知識が求められます。
パッケージ製品の開発ベンダーが、ハードウェアやクラウドサービスに加えて、ミドルウェアなども提供している場合は、窓口一本化によりプロジェクトスピードも上がりやすくなります。各分野の技術者の協力も得られやすいため、販売管理システムのリプレイスもスムーズに進められるでしょう。
リプレイスにあたってベンダー選定を進める場合には、システム全般や業務といった上位層の知識や経験の有無も重視するようにしてください。業務と密接に結びついている販売管理システムは、現場を理解し改善提案までできるようなコンサルティングの知識が求められるのです。
解決のポイント5:ともに成長できるパートナーを見つける
経営環境がダイナミックに変化する中で、販売管理システムは柔軟性をもって業務に合わせて変更を加えたり、新たなシステムと連携したりすることが求められます。販売管理システムのリプレイスが完了すれば終わり、というわけにはいかないです。中長期的に販売管理システムを使うので、サポート契約は必須です。
このときに、自社のカスタマイズニーズに柔軟性をもって対応してもらうことは当然のこと、ときには、多くのユーザー要望を反映して製品のバージョンアップの際に機能追加してくれるようなベンダーと取引をするべきです。
販売管理システムを提供するベンダーによっては、ニュースメールや冊子を配信し、日々の販売管理システムの運用に有益な情報を提供したり、ユーザー同士の交流会の場を提供したりしてくれることもあるでしょう。販売管理システムベンダーは、単なる導入ベンダーという枠を超えたビジネスパートナーとして捉えるべきなのです。
業務の自動化に働き方改革と、企業に求められる社会環境は目まぐるしく変化しています。環境に適応した販売管理システムにするためにも、本当に信頼できるパートナーと販売管理システムのリプレイスに対応するようにしてください。
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著者プロフィール
富士通Japan株式会社
東京ソリューション営業本部 東京GLOVIAソリューション統括営業部
課長代理 井上 康
1997年、富士通ビジネスシステム株式会社入社。様々な業種の基幹システム導入を営業として実施。
2016年 富士通ERPシステムであるGLOVIA iZシリーズの専任ソリューション営業として、システム面から顧客の企業価値を高める活動に注力している。
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