販売管理システムの選び方・導入の仕方「リプレイスの5つの課題とは?」
2020年3月19日更新
販売管理システムは、ほとんどの企業ですでに導入・活用されているため、これから販売管理システムを導入するには、既存システムからのリプレイスを伴うことがほとんどです。
新規にシステムを導入することと比較し、リプレイスの場合には、特有の注意点や難しさがあります。また、販売管理システムは、企業の基幹システムに位置づけられ、システムを停止することが難しいという側面もあります。ここでは、販売管理システムをリプレイスする際の課題、手順と注意点について説明します。
販売管理システムのリプレイス導入時の5つの課題
見積もりから納品、請求、入金にいたる、一連の活動を管理する販売管理システムは、事業活動全体を管理するシステムに位置づけられます。企業によっては、販売管理システムの停止は、販売活動の停止に直結する企業もあるでしょう。このように、販売管理システムは、企業にとってもっとも重要なシステムになっているのです。それでは、販売管理システムのリプレイスには、どのような課題があるのでしょうか。
導入課題1:自社の都合と関係なくリプレイスが必要になる
販売管理システムは、ハードウェア上で動作し、ソフトウェアとしてOSやデータベースなどのミドルウェア、アプリケーションが複雑に絡み合うシステムになります。企業の基幹システムに位置づけられるため、大規模なシステムになりやすく、サーバだけではなく、ネットワークやクライアントの影響も受けやすいといえます。
そうなると、ハードウェアやソフトウェアの保守サポート期間や、バージョンアップの影響を受けやすくなります。ハードウェアは5年程度で保守サポートが終了し、ソフトウェアはバージョンアップを繰り返します。このため、販売管理システム自体には、何の問題がなくとも、自社の都合に関係なくリプレイスをせざるを得ないという状況に陥りやすいのです。
外部要因でリプレイスするとなると、決まられたスケジュールに則って進めなくてはなりません。「〇月〇日で保守が終了」とアナウンスされれば、それまでにリプレイスを完了させなければならないのです。保守終了やバージョンアップを無視して利用し続けるという選択肢もあるかもしれませんが企業の基幹システムに位置づけられるため、万全の信頼性や冗長性が求められ変更せざるをえません。
販売管理システムには、自社分都合ではなく「他社都合」でリプレイスをしなくてはならないことが多いというのが課題のひとつといえるでしょう。
導入課題2:カスタマイズを作り直す必要がある
販売管理システムは、日々の事業活動と密接に結びついており、システムを利用する機会も多いシステムです。多くの従業員が、販売管理システムを利用することになるでしょう。このため、販売管理システムには、現場の商習慣やニーズを反映し、ほとんどの場合、カスタマイズが必要になります。販売管理システムのすべてをカスタマイズにより対応することもあるでしょう。パッケージの販売管理システムであっても、多かれ少なかれ何らかのカスタマイズは避けられないはずです。
そうなると、販売管理システムをリプレイスする場合には、カスタマイズ部分の扱いをどうするかという問題に頭を悩まされるはずです。単なるバージョンアップにも関わらず、カスタマイズをやり直す必要があるため、多額のコスト負担が発生するということもあり得ます。
たとえパッケージ型の販売管理システムであっても、カスタマイズを避けることが難しいので、製品選定時には、カスタマイズが発生することを前提に検討しなければなりません。バージョンアップをするたびにカスタマイズが発生するようでは、企業のコスト負担は想定以上に膨れ上がります。
導入課題3:コスト負担を経営層に納得させるのが難しい
ここまで解説してきたように、販売管理システムには、他人都合でリプレイスせざるを得ない状況に陥りやすいという特徴があります。カスタマイズの問題も考慮に入れれば、企業が負担するべき販売管理システムのリプレイスコストは、膨大になりやすいという側面もあります。
そうなると、販売管理システムのリプレイスについて、経営層の合意を得るのが難しくなります。何の問題もなく順調に使っており、なおかつ企業の基幹を担っているシステムであれば、経営層の納得を得るのはなおさら難しくなるでしょう。
販売管理システムのリプレイスについて経営層の合意を得るために、保守サポートの終了といった、「他社都合」だけを説得材料にすることは得策であるといえません。近年の販売管理システムには、SFAやRPAといった生産性を向上させるシステムとの連携が容易にできるようになっています。クラウドを使えば、BCP対策、TCO削減に役立てることも出来るでしょう。販売管理システムによっては、経営層向けにBI機能を提供するものも少なくありません。
販売管理システムを「受け身」でリプレイスにするのではなく、生産性向上やコスト削減といった「攻め」の姿勢でリプレイスを前面に出すことで、経営層の合意を得る必要があるといえます。
導入課題4:情報システム部門と現場のギャップを埋める必要がある
販売管理システムのリプレイスは、サーバやソフトウェアの運用サポートをおこなう情報システム部門が主導しやすいという特徴があります。ところが、販売管理システム自体は、現場の営業部門などの従業員が使います。このため、両部門にギャップが生まれやすいのです。
販売管理システムは、現場の業務と密接に結びついているため、リプレイスにより現場の業務フローを変える必要があるかもしれません。販売管理システムのリプレイスは、現場の混乱を招きやすいため、情報システム部門と現場部門のコミュニケーションが欠かせません。多くの場合、プロジェクトチームを組んでリプレイスを進める必要があるでしょう。
従来は当たり前のようにおこなっていた、システムへの入力自体を減らすというアプローチも必要かもしれません。紙でおこなっていた業務を電子化できれば、生産性の向上やコスト削減を実現しやすくなるはずです。
販売管理システムのリプレイスは、情報システム部門と現場部門のどちらが欠けてもうまくいきません。両部門が協力し販売管理システムのリプレイスを進めることで、働き方改革や企業の競争力向上につなげることができるシステムを構築できるでしょう。
導入課題5:データマイグレーションを考慮に入れたシステムにする必要がある
販売管理システムをリプレイスする以上、旧システムと新システムのデータマイグレーションとは切っても切り離せません。しかし、OSやデータベース、アプリケーションに加え、カスタマイズも絡む販売管理システムは、データのマイグレーションが極めて難しいのが実情なのです。新システムに、旧システムのデータをすべて引き継ぐとなると、莫大なコスト負担を覚悟しなければなりません。
このため、引き継ぐべきデータの取捨選択をおこなうとともに、マイグレーションはおこなわない、という選択肢も視野に入れなければなりません。旧システムをそのまま残しておけば、新システムを稼働しても過去のデータを確認することは可能です。
なんでもマイグレーションするという考え方では、販売管理システムのリプレイスは失敗するリスクが高まります。本当に必要なデータを適切な方法で引き継ぐという考え方が求められるといえるでしょう。
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著者プロフィール
富士通Japan株式会社
東京ソリューション営業本部 東京GLOVIAソリューション統括営業部
課長代理 井上 康
1997年、富士通ビジネスシステム株式会社入社。様々な業種の基幹システム導入を営業として実施。
2016年 富士通ERPシステムであるGLOVIA iZシリーズの専任ソリューション営業として、システム面から顧客の企業価値を高める活動に注力している。
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