販売管理システムの選び方「エクセル、スクラッチ、パッケージ、クラウドの比較とメリット・デメリット」その1
2020年3月6日更新
企業が事業を展開していくうえで重要な業務が販売業務です。商品やサービスを販売し、代金を回収するまでの一連の流れが販売業務であり、その流れを整理・管理するのが販売管理システムです。販売管理システムは、利益を生み出す源を明確にしてくれる機能もあり、企業にとってとても重要なシステムといえます。しかし、実際には、各社で業務が異なることもあり自社に合った販売管理システムを選ぶのは簡単ではありません。販売管理システム選びで失敗しないために、「エクセル・スクラッチ・パッケージ・クラウド」に焦点を充て、そのメリットとデメリットについて説明していきます。
本コラムでは、「エクセル」と「スクラッチ」に焦点を充て、そのメリットとデメリットについて説明していきます。
販売管理をエクセルで行う場合のメリット・デメリット
販売管理システムは、仕入れや在庫、受注、請求といった複数の業務を管理する機能で構成されます。企業の規模が小さい場合には、例えば「A社に●●製品を●●個販売し、在庫が●個に減り、売上高は●●円を計上」というように、それぞれの機能をエクセルで管理することもできるでしょう。そこで、まずはエクセルでの販売管理のメリットとデメリットを説明します。
販売管理をエクセルで行う場合のメリット
販売管理をエクセルで行う場合の最大のメリットは、実質的に無料でできるということです。エクセルのライセンスは必要になりますが、業務で使うパソコンにマイクロソフトのオフィスがインストールされていないということはないはずです。普段から使い慣れたエクセルを使って、手軽に気軽に販売管理を始めることができるのがメリットです。
企業の規模が小さいうちは、販売管理業務も単純で、エクセルによる管理で十分な場合も少なくありません。今でも、多くの小規模事業者では、エクセルで販売管理を実施しているのが実情です。
販売管理をエクセルで行う場合の注意点は、販売管理を構成する仕入れや在庫、受注、請求といった「機能ごとにエクセルで管理する」ということです。エクセルで作った見積書を、エクセルの台帳で管理するのはわかりやすい販売管理手法です。受注した顧客に対し、発注書・仕入・請求・入金といった各プロセスの進捗を、エクセルで管理することもできます。とにかく簡単で無料であること、エクセルで販売管理をすることのメリットはこの点に尽きるといえます。
販売管理をエクセルで行う場合のデメリット
販売管理をエクセルで行う場合のデメリットは、企業の規模が大きくなり、販売管理業務が複雑になるとエクセルでは管理しきれなくなることです。エクセルで販売管理を行う場合、実質的に仕入れや在庫、受注、請求といった各業務を個別に管理することになりますが、基本的には各業務のデータを連携させることはできません。例えば、受注データを更新すると、自動的に売上や在庫のデータが更新されるというように、エクセル間をまたがってデータ連携させることはできないのがほとんどです。実質的には、システム化されているとは言い切れないのです。
このため、企業の規模が拡大し、業務が複雑になっているにもかかわらず、エクセルによる管理を継続していると、複数同時入力を行いたい場合、エクセルではできず、各自がダウンロードしていた物を上書きして更新してしまうなど二重入力や入力ミスが発生しやすく業務効率の低下が懸念されます。エクセルだけでの管理は限界を迎え、場合によっては「手書き書類とエクセルの二重管理」という事態すら発生してしまいます。
このようにエクセルの問題点を解決するために、エクセルのマクロ機能を使って解決しようとする試みもあるでしょう。たしかにマクロ機能を使えば、ある程度の業務の自動化も実現できるかもしれません。しかし、作ったマクロ機能をメンテナンスができる担当者が移動や退職でいなくなってしまうと、プログラムが放置されてしまうことになります。変化の速いビジネス環境において、誰もメンテナンスできないということは、事業を継続するうえで致命的な問題になりかねません。
販売管理システムをスクラッチ開発で行う場合のメリット・デメリット
販売管理をエクセルで行うことが限界を迎えると、いよいよ本格的な販売管理システムの導入に踏み切る企業が増加します。そうした企業の多くが検討するのが、販売管理システムをスクラッチで開発することです。企業における販売管理業務は、販売する品目や採用する戦略に応じて千差万別です。このため、自社のニーズを反映しやすいスクラッチ開発に踏み切ることが多いのです。ここでは、販売管理システムをスクラッチ開発で行う場合のメリット・デメリットについて解説します。
販売管理システムをスクラッチ開発で行う場合のメリット
販売管理システムをスクラッチで開発する場合のメリットは、どんな企業のニーズであっても、柔軟に対応できるという自由度の高さにあります。独自性の高い商材で販売業務が複雑であっても、現状業務をそのままに自社に合った販売管理システムを導入できます。このため、現場の混乱を極力抑えながら、販売管理システムを導入できるのが大きなメリットです。
また、最初からスクラッチで構築するので、「自社に最適な販売管理システムを探す手間がかからない」こともメリットです。現在、販売管理システムとして市販されているパッケージシステムには、大規模なものからニッチな業種向けのものまでたくさんの種類があります。このような販売管理システムの中から自社に最適なものを選定する必要なく、開発ベンダーに自社のニーズや要件を伝えるだけで、販売管理システムが構築されます。業務を効率化できるのはもちろんのこと、経営層が求めるデータ分析やレポーティング機能などもニーズに応じて実装することができます。このように、自社に合った販売管理システムを導入できるのは大きなメリットです。
販売管理システムをスクラッチ開発で行う場合のデメリット
自由度の高さから、販売管理システムの多くはスクラッチで開発されています。しかし、メリットばかりではなくデメリットもあります。
まずは、保守・メンテナンス性の問題です。開発当初は、自社内にも開発ベンダー側にも担当者がおり、責任の所在は明確でした。しかし、長く使い続けるにつれ、担当者が退職したり異動したりして、販売管理システムのメンテナンスを「誰もできない」という事態に陥ってしまうことも少なからずあるようです。たとえ有料の保守契約を締結していたとしても、満足な保守サポートが提供されないことも多いようです。
このような状況になると、新しい機能の追加や、機能修正が非常に難しくなります。それどころか、ちょっとした機能変更であっても高額な費用を請求されることも少なくありません。先日の消費税増税に伴い、単なる税率変更に予期せぬコストがかかった企業も少なくないのではないでしょうか。ハードウェアの老朽化や、OSのバージョンアップのたびに販売管理システムを改修する必要が出て、長期的にみると莫大なコスト負担をしている場合も少なくないはずです。
ここまで販売管理をエクセルする場合のメリットとデメリット、スクラッチのシステムで販売管理をする場合のメリットとデメリット説明しました。次回は、パッケージシステムとクラウドで販売管理をする場合のメリットとデメリットを説明します。
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著者プロフィール
富士通Japan株式会社
東京ソリューション営業本部 東京GLOVIAソリューション統括営業部
課長代理 井上 康
1997年、富士通ビジネスシステム株式会社入社。様々な業種の基幹システム導入を営業として実施。
2016年 富士通ERPシステムであるGLOVIA iZシリーズの専任ソリューション営業として、システム面から顧客の企業価値を高める活動に注力している。
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