給与計算のミスをなくす5つの具体策
2020年1月31日更新
前回のコラムでご紹介した給与計算のよくあるミス。このようなミスをどのように改善すれば良いのでしょうか?ここではその具体的な解決策をご紹介します。
給与計算の具体策1「従業員個人の生活環境の変化への対応方法」
従業員個人の生活環境の変化に起因する給与計算ミスを回避するためには、従業員の生活環境変化を、迅速かつ正確に把握することが求められます。しかし、生活環境に関する届け出が紙でなされているような場合、人事担当者が変更情報をシステムに入力しなおす必要があります。そうなると、人事担当者への負担は大きく、人的ミスも発生しやすくなるでしょう。給与計算を手計算に依存している場合は、社会保険料の計算方法や、労働条件をすべて把握している必要があり、人的ミスの発生確率はさらに高まります。
従業員の生活環境変化に起因する給与計算ミスをなくすためには、給与計算システムを導入し、社会保険料の計算はもちろんのこと、手当や残業代の算出方法もできる限り設定しておき、自動的に給与計算ができるようにしておくことが重要です。そのうえで、従業員の生活環境に伴う届け出を電子化し、従業員自身が婚姻や出産、引っ越しといった情報を変更できる仕組みを導入するとよいでしょう。システム化により、人事担当者の依存度を減らすことが、給与計算ミスの低減につながるのです。
給与計算の具体策2「企業が起因する条件変更への対応方法」
従業員の働くことへの価値観の多様化により、企業の側も多様な働き方を支援するために、柔軟性の高い給与体系を導入するようになりました。このことは、給与計算も多様化し複雑化していることを示唆しています。このため、給与計算システムには、設定の柔軟性が求められています。
しかし、多くの場合、給与計算システムに設定できる項目は限られます。企業独自の計算方法を反映させるためにはカスタマイズが必要となり、システムの導入費用も運営費用も膨れ上がる可能性があります。給与計算システムを導入する際は、自社の就業規則や労働条件を満たすことができるものを選定する必要があるのです。
柔軟性に加えて、設定の予約機能があると便利です。たとえば、4月1日より給与計算に影響を与える制度変更がある場合、あらかじめ給与計算システムに設定をおこなっておくことで、確実に制度の変更を計算に反映させることができます。予約の機能は、部署や個人ごとといったレベルで設定できれば、多様な働き方の支援につながるはずです。制度変更の始まりだけではなく終わりも設定することで、制度に沿ったミスのない給与計算につなげることができるでしょう。
給与計算の具体策3「チェックが行き届かないことに対する対応方法」
給与計算のチェック業務を効率化するためには、まずは全体の支給額の差異を把握したうえで、部署ごと、個人ごとにブレークダウンして確認できることが重要です。いきなり個人レベルで詳細の確認をしているようでは、チェック業務は膨大になり、計算ミスを見落とす可能性は高まります。全体の視点から差異を把握し、差異がある部分のみをブレークダウンして確認することで、チェック業務を効率化することができるのです。
給与計算システムによっては、前月度との支給額の比較をおこなう際、差異がある部分のみをハイライトして可視化できるものもあります。さらに、ハイライト部分をクリックするだけのマウス操作だけで、部署ごとや個人ごとの変更箇所を確認できれば、チェック業務は格段にはかどるでしょう。チェック業務の効率化のためには、確認しやすいインターフェースを兼ね備えているかどうかも、重要な機能になります。
同時に、給与計算システムには、さまざまな条件により、照合表を出力できることが求められます。前月比較はもちろんのこと、役職が変わった従業員など、条件を指定して条件に合致した従業員のみを抽出できれば、チェック業務の確実性と効率性を向上させることができるでしょう。
給与計算の具体策4「締め日に追われてしまうことへの対応方法」
給与計算は、たとえ自動化がなされていても、変更があった従業員の人事情報の変更や、チェック業務などが必要となり、人事担当者への負担は決して小さくありません。このため、特に規模の大きな大企業ともなると、複数人で分散して給与計算業務をおこなう必要があります。
しかし、分散するといっても単純に業務を分散するだけでは、逆に効率性を失う恐れもあります。部署や支店によって、人事制度が異なるような企業の場合は、現場の就業規則に精通した人事担当者が給与計算をおこなった方が効率性は上がるのです。したがって、給与計算システムには、単純に業務を分担するのではなく、部署や支店ごとに給与計算業務を分散することが求められます。各部署や支店でおこなった給与計算の結果を、本社部門がチェックする体制も効率的であるといえるでしょう。
給与計算の具体策5「不慣れな給与計算システムのインターフェースへの対応方法」
給与計算システムには、給与計算をおこなう人事担当者でも抵抗なく使うことができるインターフェースが求められます。それでは、どんな要件を満たせば、人事担当者が抵抗なく使うことができるのでしょうか。
給与計算業務には、計算という文字が含まれることから分かるように、エクセルが使われてきました。エクセルであれば、ある程度複雑な計算式を設定することができるため、給与計算業務の現場に、エクセルは広く普及したのです。このため、多くの場合、給与計算をおこなう人事部門の担当者は、エクセルであれば抵抗なく使える可能性が高いのです。
このため、給与計算システムを導入しながら、人事担当者の混乱を避けるためには、エクセルベースのインターフェースをもつ製品を選定するとよいでしょう。製品によっては、エクセルに計算式を入力するように、給与計算の条件を設定できる場合もあります。給与計算システムのインターフェースに気を配ることで、人事担当者の混乱を避け、効率性と確実を避けて、給与計算ミスを回避することができるのです。
他社ではどう活用しているのか?
人事給与システムの活用事例
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著者プロフィール
富士通Japan株式会社
ソリューション事業本部 GLOVIA会計・人事給与事業部 人事給与ビジネス部
プロジェクト課長 武田 幸恵
富士通ERPシステムであるGLOVIA iZシリーズの企画・開発・拡販に従事。
人事総務部門の業務効率化や人材データの効果的な活用法などシステム面から顧客の企業価値を高める活動に注力している。
※本コラム中に記載の部署名、役職は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
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