給与計算のチェック・確認でよく発生する5つのミス

2020年1月23日更新

企業と従業員は雇用契約により正しく給与を支払うことが定められ、給与計算ミスは許されません。それでは、給与計算をおこなう際に発生するチェック・確認ミスにはどのようなものがあるのでしょうか。

給与計算のミス1「従業員個人の生活環境の変化」

給与計算は、条件が何も変わらなければ前月と支給額は変わらないため、複雑な計算をやり直す必要はありません。しかし、本人の生活環境が変わると、多くの場合、給与計算をやり直す必要があります。

結婚や出産があれば、労働条件によっては手当が支給されるかもしれません。扶養家族が増えるため、社会保険料も変わります。地域によって住民税は異なるため、引っ越しも給与計算に影響を与えます。
重要なことは、こうした従業員の生活環境の変化を企業が正しく認識し、給与計算に正確に反映させる必要があるということです。このため、従業員の生活環境に変更があった場合は、会社に対し変更届を遅滞なく提出させる必要があります。

しかし、従業員は個人の生活環境の変化が給与に影響を与えることを把握できていないことも多く、会社に届け出を出すことを先延ばしにすることも少なくありません。このため、本来支払うべき支給額と実際の支給額に差異が発生してしまうのです。このような場合は、条件が変更された時期を加味して、遡って給与計算を算出しなおす必要があります。従業員個人の生活環境の変化を把握しにくいことが原因で、給与計算ミスは発生しやすくなるのです。

給与計算のミス2「企業が起因する条件変更」

給与計算に影響を与えるのは、従業員個人の生活環境の変化だけではありません。企業側が起因する条件変更も決して少なくありません。所属や勤務地、職種の変更は、多くの場合給与計算に影響を与えます。ベアをおこなう方針を会社が決定すれば、全従業員の給与テーブルを変更しなくてはなりません。

とくに、近年では働き方改革への重要度が高まっていることが原因で、給与計算に影響を与える可能性も高まってきました。テレワークの進展により在宅勤務が普及すれば、労働条件の変更により給与計算への影響は避けられません。週休3日制の導入や、週30時間労働といった、従来にはない新しい制度を導入する企業も出てきました。

従業員が働きやすい環境を作ることができなければ、企業は優秀な従業員を確保することが難しくなってきました。このため、企業は労働条件や就業規則を、柔軟に見直す必要性に迫られています。こうした働き方改革の流れが、給与計算のチェックや確認に影響をあたえ、計算ミスが発生しやすい要因にもなっているのです。

給与計算のミス3「チェックリスト・ダブルチェックだけでは不完全」

給与計算のミスは、労働基準法に違反することになるため、許されることではありません。万が一、給与計算ミスに気付かず給与支払いを実施すると、従業員満足の低下や従業員の離反を招く可能性があります。さらに、遅延や未払いなど発生した場合は企業として社会的な信頼を失いかねません。このため、チェックシートを作成したり、複数の従業員によるダブルチェックをしたりして、給与計算ミスを未然に防ぐことが求められます。

たとえ、給与計算システムを導入し、できる限り計算を自動化していても、多様化する給与体系のすべてを自動化するのは難しいのが実情です。設定項目自体に誤りがあるかもしれません。計算を自動化しているから給与計算のチェックをおこなう必要がないという訳にはいかないのです。

一般的に、給与計算のチェック業務は、前月の支給額との比較により行います。チェックリストを作成していても、確認するべき箇所が膨大になり、見落としてしまうことはあり得ます。たとえダブルチェックをしていても、給与計算ミスを見落としてしまうことはあるはずです。給与計算ミスをなくすためには、チェック業務の効率化が求められているといえるでしょう。

給与計算のミス4「締め日に追われてしまう」

給与は正確に計算して、定められた支給額を支払えばよいというものではありません。給与の支給日を定めて、一定期日に支払うことが義務付けられているのです。支給額と同様に、支給日に遅れた場合も労働基準法違反となってしまいます。

このため、企業では給与計算の前提となる残業時間やその他の条件変更の提出に期日を設け、「月末締め翌月10日支払い」といったルールを定めて給与を計算します。つまり、給与計算を担当する人事部門の担当者は、締め後の給与支給日という納期に毎月追われることになるのです。

給与計算を担当する従業員が正常に出社し、カレンダー上の休日も少なければ大きな問題はおきません。しかし、給与支払日に休暇が重なる場合などは、短期間で給与計算業務を行う必要があります。このような場合に、納期に追われることで計算ミスやチェック・確認ミスは発生しやすくなってしまうのです。

給与計算のミス5「不慣れな給与計算システムのインターフェース」

給与計算には、複雑な計算が求められ、人の手作業では限界があります。給与計算のシステム化は、チェック・確認ミスを最小化し、効率性や正確性を向上させるためには、きわめて有効であるといえます。働き方改革の進展で、多様化する従業員の働き方のニーズに応えるために、給与計算の複雑性は増しています。人手による手計算でこうしたニーズに応えることは限界があるのです。

しかし、給与計算システムを導入したからといって、必ずしも効率性が上がり、給与計算のミスもなくなるわけではありません。たしかに、給与計算自体は、あらかじめ条件を設定しておくことで、ある程度自動化することはできるでしょう。それでも、人事担当者が入力する必要のある人事情報は決して少なくありません。人事制度の変更があれば、給与計算の設定条件を変える必要もあります。

問題は、給与システムのインターフェースが分かりにくいことが原因で、入力ミスや設定ミスが発生する可能性が高まってしまうことです。当然、このようなミスは給与計算のミスに直結します。システム化が給与計算の現場を混乱させてしまうこともあるのです。

それでは、次回コラムでは、ご紹介した5つの給与計算のミスに関して、どのようにミスをなくすのかの具体策をご紹介しましょう。

5つのミスをなくす給与計算の確認方法とは? >>

他社ではどう活用しているのか?
人事給与システムの活用事例

下記のような無料PDFがダウンロードできます。

  • 人事業務を「全体最適」により、ミスとムダを省いたスマート化を実現する、人事業務の「働き方改革」を支援する課題適応例
  • 各事業グループの人事給与・会計システムを集約、多角化経営を推進する経営基盤を強化した日本エコシステム株式会社様の事例
  • 新しい働き方を支援する人事業務に関するコラム集

著者プロフィール

富士通Japan株式会社
ソリューション事業本部 GLOVIA会計・人事給与事業部 人事給与ビジネス部
プロジェクト課長 武田 幸恵

富士通ERPシステムであるGLOVIA iZシリーズの企画・開発・拡販に従事。
人事総務部門の業務効率化や人材データの効果的な活用法などシステム面から顧客の企業価値を高める活動に注力している。

※本コラム中に記載の部署名、役職は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

FUJITSU Enterprise Application GLOVIA iZに関するお問い合わせ

  • WEBでのお問い合わせはこちら

    入力フォーム

    当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。

  • お電話でのお問い合わせ

    0120-835-554
    (通話無料)

    受付時間:平日9時~17時30分(土曜・日曜・祝日・当社指定の休業日を除く)

ページの先頭へ