勤怠管理システムの選び方「働き方改革関連法に対応した3つの選定ポイント」前編

2021年1月27日更新

勤怠管理は、企業が従業員の就業状況を適正に管理し、賃金の支払いの基礎としたり、労働環境を健全に保ったりするためなどに行うものです。2019年4月1日には、「働き方改革関連法」が施行され、その結果、「残業時間の上限を規制」、「1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得を企業に義務付け」、「労働時間の状況を客観的に把握するように、企業に義務付け」は確実に実施しなければなりません。

しかし、勤務形態はどんどん複雑化しています。特に、従業員の多い企業(例えば300名以上の企業など)や、工場や様々なチェーンを展開している飲食・小売業など、多様な勤務形態がある企業では、複雑化の傾向が強く、手作業での集計に工数がかかっています。

そこで、本コラムでは働き方改革法に対応した勤怠管理システムを選ぶ時の3つのポイントについて解説します。

勤怠管理とは?

勤怠管理とは、使用者が従業員の労働時間を適正に把握することをいいます。従業員の働き過ぎに配慮し、その健康を管理するとともに、正確な賃金の支払いの基礎とすることなどのために行う必要があり、組織全体のバランスを最適に保つ役割も担います。

働き方改革と勤怠管理の重要性

図1:客観的な打刻を正確に管理図1:客観的な打刻を正確に管理

2019年4月1日に「働き方改革関連法」が施行されました。

これにより、企業は「労働時間を適正に把握するように、企業に義務付け」、「1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得を企業に義務付け」、「残業時間の上限を規制」の確実な実施が求められています。

だからこそ、勤怠管理による労働時間の「適切な把握」が重要になります。突発的な残業、有給休暇が予定通り取得できなかったなどの事象はリアルタイム発生するため、最新の労働時間を把握できるかが勤怠管理では重要となります。

労働時間を適正に把握するように、企業に義務付け

労働時間を適正に把握するには労働日ごとの始業・終業時刻を記録することが求められます。

そのため、2019年4月1日に施行された「労働安全衛生法」では、労働時間の客観的把握が義務付けられました。その具体的な方法は、2017年1月20日厚生労働省策定「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に準じます。ガイドラインには使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によることとあります。

  • (ア)使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること
  • (イ)タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること
  • (ウ)自己申告制の場合、申告内容と実労働時間との乖離確認を客観性を持たせて実施すること

特に、(ウ)の自己申告制の場合、自己申告だけでは、残業代未払いや長時間労働の温床になるため、パソコンの使用時間(電源ON/OFF時刻、メールの送信履歴)や、(イ)のタイムカード、ICカード等の客観的な記録などを併用し、そこに乖離がないかを確認する必要があります。そして、乖離がある場合はその理由を記録するなど客観性を保つ必要があります。

多くの企業が採用する、打刻を行いながら残業した場合は別途残業申請を行う方式は(イ)に該当しますが、同時に(ウ)の時刻申告制と同様の対処も求められています。

この「自己申告内容の確認」や「乖離の確認」には、非常に工数がかかります。ここが勤怠管理の大きな課題となり、労働時間の適正な把握を阻害する要因の1つとなっています。

なお、「タイムカード、ICカード等の客観的な記録と申告された始業時刻、就業時刻との乖離」のことを、本コラムでは、「入場乖離」や「退場乖離」と呼称します。

1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得

今までの有給休暇の取得は「従業員の権利」として、従業員が与えられた日数の中で必要な時に、従業員が申告をして取得していました。これからは「会社の義務」として取得させなければなりません。そのため、取得実績だけでなく「取得予定が立てられているか?」の管理が必要となります。「年次有給休暇管理簿」を作成し、各個人の取得毎に「時季(取得日)」「日数」「基準日(付与日)」の記載をし、3年間の保存が必要です。

残業時間の上限を規制

長時間残業を取り巻く環境として、本人や直属の上司は、長時間残業を認識しています。それでも、長時間残業になってしまうのは、 「仕方が無い」「対策がない」など現場での改善意識が欠如しているからです。

さらに、新型コロナ対応でテレワークが一気に浸透しました。そのため、働く姿が見えづらくなり労働時間の把握はさらに難しくなってきました。テレワークでは、オンオフの切り替えが難しく、夜遅くや休日でも仕事をしてしまう人が多いのが実態です。

長時間残業はトラブルなどに伴い突発的起こります。誰が、いつ、どのくらいの長時間残業をするのか?は(システムや管理部門では)予想困難です。残業申請をまとめて行われると一夜にして残業が増える可能性があります。そのため、人事部門による全従業員の「リアルタイム監視」が必要になります。

また、残業時間の上限を規制すると、残業を少なくみせるために退勤打刻をした後も働き続ける「隠れ残業・サービス残業(賃金不払残業)」が発生することが懸念されます。

ニューノーマルな働き方と勤怠管理

近年これほど劇的に働き方を見直すことはなかったと思います。同じ時間に、同じ場所で、顔を見ながら仕事を進めるスタイルが難しくなりました。新しい日常・新しい常識のニューノーマルな働き方には、それにマッチした管理が必要となります。

次回コラムではこんな時代だからこその「勤怠管理システムの選び方」について紹介します。

勤怠管理システムの選び方「働き方改革関連法 に対応した3つの選定ポイント」後編 >>

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著者プロフィール

富士通Japan株式会社
商品戦略推進本部 ソリューションビジネス推進統括部 ソリューションコンダクターセンター
相澤 好信

経済産業省推進資格ITコーディネータを取得
総務省よりテレワークマネージャーを委嘱
人事部門向けの課題調査、解決策の提示などの支援を3年で約300社実施

※本コラム中に記載の部署名、役職は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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