管理会計システム・ソフトを選ぶときに比較すべき5つの比較項目 その2
2019年12月13日更新
企業が管理会計システムや管理会計ソフトを導入するためには、機能や価格だけでなくどのような点に注意し比較、検討する必要があるのでしょうか。前回のコラムでは管理会計システム・ソフトの導入課題についてご紹介しましたが、今回は、管理会計システムやソフトを導入する際の「管理会計システムの比較項目」について解説します。
導入課題を未然に防ぐための管理会計システム・ソフトの5つの比較項目
管理会計システム・ソフトを導入するにあたり、検討するべき課題は決して少なくありません。しかし、実用性の高い管理会計システム・ソフトを導入するためには、検討課題を疎かにすることはできません。経営者の経営判断を支援する管理会計システム・ソフトは、企業の競争力をも左右する要因になる可能性があるからです。
それでは、管理会計システム・ソフトを導入する場合、どのような軸で製品選定を進めればよいのでしょうか。ここでは、後悔しない管理会計システム・ソフトの導入をするための、5つの比較項目について解説していきます。
比較項目1:システム間の確実なデータ連携機能
管理会計システムは、その性質上、販売管理システムや在庫管理システム、生産管理システムなどと連携し、会計データを多角的に分析するためのデータを取得する必要があります。しかし、中途半端なデータ連携では、システム間で数値に差異が発生するなど、不整合が発生しやすくなります。管理会計システムを導入する際は、システム間のデータ連携方法も確認する必要があるのです。
管理会計システムによっては、データウェアハウスにデータを集約させることで、データを統合し、システム間で同じデータを扱うことができるものもあります。このことは、財務会計システムと管理会計システムのデータを一致させる、いわゆる財管一致を確実に実現できます。
システム間でデータが異なることは、誤った経営判断を経営者にさせてしまい、会社に混乱を発生させかねません。そうなると、管理会計システムの本来の目的を達成できないばかりか、場合によっては管理会計システムの導入が経営状況を悪化させるということにもなりかねません。
見栄えの良いグラフィカルなインターフェースだけに目を奪われてはいけません。信頼性の高いシステムを実現するためにも、システム間のデータ連携方法も考慮に入れて製品選定をすすめるようにして下さい。
比較項目2:組織の変更や経営者のニーズに応えることができる柔軟性
変化の早い経営環境に対応するために、企業の組織体制はダイナミックに変化します。このため、部署異動が多いと感じている従業員も多いのではないでしょうか。場合によっては、会社を飛び出して、関連会社がグループ会社に移動になる従業員も少なくないはずです。ときには、経営陣が刷新ということもあるでしょう。
このような場合、管理会計システムにも大きな変更を加える必要があります。部署や事業部ごとに、採算性を把握している場合は、変更した組織体制を反映させる必要があるからです。
しかし、組織をまた一から設定し直す必要がある管理会計システムでは、管理の手間が煩雑になります。変更があった組織だけを部分的に修正できるインターフェースをもつなど、管理の手間を削減できる機能をもつ管理会計システムを選定するようにしてください。
また、経営陣が刷新されるような場合、従来とは全くことなる視点で管理会計システムを活用するかもしれません。こうした場合に、フレキシブルに対応できないと、経営陣が代わるたびに、管理会計システムも刷新する必要に迫られるかもしれません。管理会計システムは、変化に対応できる柔軟性も重要な要素になるのです。
比較項目3:部門別の採算性を正確に把握するための多様な配賦設定機能
管理会計システムを導入すると、ほとんどの場合、売上や利益をセグメント別に把握することが求められます。セグメントは、顧客別や商品別、店舗別、地域別など、企業の置かれている状況や経営者のニーズによって異なりますが、いずれの場合でも問題になるのが、費用の配賦です。
分類したセグメントに直接的にひもづく直接費であれば特に問題なることはありません。どのセグメントに属する費用なのかを正確に把握し、直接的に賦課してください。問題は、複数のセグメントにまたがって発生する間接費です。間接費の代表例としては、本社の家賃や人件費など、販管費に属する勘定科目が中心となります。
間接費の配賦方法にも答えはありません。実情を正しく把握するために、売上比率や、従業員比率、販売数量などを加味して各セグメントに配賦します。企業の実情を正しく反映させたセグメント会計を実現するために、柔軟に配賦設定できる管理会計システム・ソフトを選定してください。
比較項目4:多様なレポーティング機能
管理会計システムが経営層のためのシステムだからといって、実際に経営層が直接利用するケースはすくないでしょう。現実的には、経営企画室のような部署が管理会計システムを操作し、レポーティング機能を使って必要なデータをインプットし、経営層に提出することが多いはずです。
そうなると必要になるのが、レポーティング機能です。経営層が必要な情報を、グラフィカルで分かりやすいインターフェースで出力できる管理会計システムであることが重要です。企業によっては、すでに自社で独自のフォーマットを作成し、レポートを作成しているかもしれません。このような場合は、導入する管理会計システムと独自のレポートを連携できる機能が重要となります。
比較項目5:非会計データとの連携機能
顧客ニーズが多様化し経営環境が劇的に変化する環境下で、管理会計システムを使って的確な意思決定をおこなっていくために必要なデータは、会計データだけでは十分ではありません。当然、店舗別や商品別、事業部別といったセグメント会計も重要になりますが、それ以外にも、天気、SNSから入手できるデータ、トレンド、客層、といった非会計データを取り込む必要があるのです。
このため、管理会計システムを選定するうえでは、非会計データを取り込むインターフェースをもっているのか、そして非会計データと会計データを紐づけて管理できるか、といった視点が必要になります。すでに販売管理システムや在庫管理システムといった、業務システムの中に、管理会計に役立つ非会計データが入力されているかもしれません。このような場合は、業務システムと管理会計システムを連携させて、非会計データを取り込むことができる機能も重要となります。
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著者プロフィール
富士通Japan株式会社
ソリューション事業本部 GLOVIA会計・人事給与事業部 会計ビジネス部 プロジェクト課長 稲田 智
2000年、富士通株式会社入社。業務パッケージGLOVIAシリーズの設計・開発に従事。
2010年より株式会社富士通マーケティング。経営管理、会計の製品企画や拡販に従事。
現在は次世代ERPであるGLOVIA iZの構想立案・製品企画に取り組む。
※本コラム中に記載の部署名、役職は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
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