管理会計の課題・問題点とは?できない・わからない理由とその解決策 その2

2019年10月28日更新

管理会計の仕組みを組織に導入していくためには、様々な問題点を解決する必要があります。前回のコラムでは管理会計の3つの課題をご紹介しましたが、今回はさらに別の3つの課題をご紹介します。そしてその課題の解決方法もご説明します。

管理会計の6つの課題とその解決策

管理会計を導入・活用するには、様々な課題があります。管理会計は、多くの場合、企業の経営陣が意思決定に役立つ情報を入手することを目的に導入されます。その際、経営判断に影響を与えると考えられる売上げや利益などの予測値をどう分析して取り込むのかといったことが課題になります。また、実際に経営陣が意思決定に活用するのであれば、経営分析の結果を理解しやすいかたちで提示したり、活用しやすいかたちにまとめたりできることも大切になります。ここでは、おもに経営陣が意思決定に役立てることを考えて管理会計を導入・活用する際に、考慮しておくべき課題や解決策について説明します。

未来に発生する予測値データをどう管理会計に取り込むか

従来型の財務会計システムは、すでに確定した「過去データ」を取り扱うことがほとんどでした。過去のデータをもとに前年同月比などを分析していたのです。しかし、管理会計では、今後発生する未確定のデータをも取り扱う必要があります。たとえば、過去のデータから売上データを予測し、それを経営判断に取り入れる場合は、管理会計システムの中に、予測データを取り込む必要があります。

しかし、従来型の財務会計システムの中に未来データを取り込むと、従来のデータと混在してしまい、人的なミスや混乱が発生しかねません。財務会計システムで未来に発生すると予測される未確定データを取り扱うことは、困難であると言えます。

このため、今後発生する未確定データを管理会計システムに取り込むのであれば、財務会計と管理会計を一致させるという、財管一致の考え方を持つ会計システムを導入するか、もしくは財務会計と管理会計でデータを分離するかを選択することになりますデータの混在を避けながら、過去データと未来データを考慮に入れて分析できるようになります。

また、未来データは多くの場合、予測を伴います。予測は、前年同期の数値などを考慮に入れて、経験や勘を頼りにおこなわれるかもしれません。近年では、AI(人工知能)が機械学習することで、予測の精度を上げるケースも出てきました。今後はAIによる精度の高い予測が主流になってくる可能性があります。

企業の組織変更に柔軟に対応できる管理会計システムを導入する

どんなに高機能な管理会計システムを導入したとしても、企業活動の実情に合わせて変化できる、柔軟性を持ち合わせていないとうまく活用することは難しいでしょう。特に考慮に入れる必要があるのが企業の組織体制の変更です。組織体制の変更は、管理会計に重大な影響を与えます。

というのも、管理会計上で事業部別や部署別といった分析をしている場合、変更した組織体制を管理会計上に反映させる必要がでてくるからです。頻繁に組織体制の変更があることが理由で、管理会計システムの導入を諦めている企業も少なくないのではないでしょうか。

組織体制の変更を管理会計システムに反映させるのに、組織をはじめから設定し直す必要がある管理会計システムもあるでしょう。しかし、それでは特に規模の大きな企業の場合は、組織の入力の手間が膨大となり現実的ではありません。

このように規模の大きな企業や組織変更が頻繁におこなわれる企業が、管理会計システムを導入する場合、柔軟性も考慮に入れて製品選定をするようにしてください。管理会計システムの中には、組織変更に対してすべての組織をはじめから設定することなく、変更部分だけを設定すればよいものもあります。

管理会計システム面が持つ機能面や価格面だけで製品選定をすすめるのではなく、管理面も考慮に入れて製品選定を進めれば、組織の実情を反映させた管理会計を実現できるでしょう。

理解しやすく、活用しやすい管理会計とする工夫も必要

管理会計は、その性質上、データを収集するだけではなく、収集したデータを集計したり、グラフィカルに表示させたりする必要があります。多角的な分析を行うためには、多角的な視点でデータを集計し、それを見える化する必要があるのです。しかも、管理会計上にあるデータを使って経営判断をおこなうのは経営層であり、場合によってはITの取り扱いに慣れていないかもしれません。いくらたくさんの機能を持つ管理会計システムでも、利用者である経営層が使いこなせなければ意味をなしません。

こうした点を考慮に入れて、あえて利用頻度の低い機能を省き、使いやすさを重要視した管理会計システムもあります。会社のパソコンだけではなく、外出先などでもスマートフォンを使って管理会計システムにアクセスし、その場で意思決定ができるものも増えてきました。

このように、管理会計システムは、経営層が使いこなせるものではないと、導入効果が低くなってしまいます。管理会計システムを導入する際は、その製品選定の過程で必ず経営層に参画してもらい、経営層の判断を仰ぐようにしてください。せっかく導入した管理会計システムの効果を最大化するのは、経営層次第なのです。

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著者プロフィール

富士通Japan株式会社
ソリューション事業本部 GLOVIA会計・人事給与事業部 会計ビジネス部 プロジェクト課長 稲田 智

2000年、富士通株式会社入社。業務パッケージGLOVIAシリーズの設計・開発に従事。
2010年より株式会社富士通マーケティング。経営管理、会計の製品企画や拡販に従事。
現在は次世代ERPであるGLOVIA iZの構想立案・製品企画に取り組む。

※本コラム中に記載の部署名、役職は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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