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近年における、世界の最大の関心事の1つに地球規模の環境問題があります。 これは、地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨などのように、時間的、空間的に大きな広がりを持っており、 それらのデータを効率的に得るためには人工衛星からのリモートセンシングが重要となります。 富士通エフ・アイ・ピーは、オゾン層破壊の監視、メカニズム解明のための大気観測センサーILAS、ILAS-IIのデータ処理運用システムの開発と研究支援を実施してきました。
地球観測衛星「みどりII(ADEOS-II)」
[出展元:独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 JAXA様]
ILAS( Improved Limb Atmospheric Spectrometer) 及びその後継機であるILAS-Ⅱ( Improved Limb Atmospheric Spectrometer-Ⅱ)は、 人工衛星による地球環境観測の一環として、環境省により開発された衛星搭載センサーで、オゾン層変動の監視を行うことにより、 オゾン層破壊メカニズム解明の国際的な取組に貢献することを目的としています。 そして、その目的達成のために地球の南北両極域におけるオゾン(O3)、硝酸(HNO3)、亜酸化窒素(N2O)、二酸化窒素(NO2)、メタン(CH4)、水蒸気(H2O)などの 大気微量成分濃度、エアロゾル、気温、気圧などの高度分布を太陽掩蔽法を用いて観測します。
当社は独立行政法人 国立環境研究所様からの業務委託により1990年からILAS、1995年からILAS-Ⅱのデータ処理システム開発を行うとともに、 システムの運用業務も受注してきました。『ILASデータ処理運用システム』及び『ILAS-Ⅱデータ処理運用システム』は、センサーの観測計画作成から観測データの受信、 センサー運用に関わる情報交換、データ処理、データ評価・解析、データ(プロダクト)提供までを含む、地上処理系全体をカバーする衛星搭載センサーの 総合的なデータ処理運用システムであることが特徴です。
ILASは、「ADEOS」(ADvanced Earth Obseving Satellite、和名:「みどり」)に搭載されて1996年8月に宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構)種子島宇宙センターから打ち上げられ、 1996年11月からシステムの本格運用が開始されました。そして、翌1997年6月に衛星の不調により運用停止となるまでの約8ヶ月間、センサーによる観測及びシステムの運用が行われました。 また、後継機であるILAS-Ⅱは、環境観測技術衛星「ADEOS-Ⅱ」(ADvanced Earth Observing Satellite-Ⅱ、和名:「みどりⅡ」)に搭載されて昨年2002年12月14日に 宇宙開発事業団種子島宇宙センターから打ち上げられました。そして、2003年1月から3月までの機器チェックアウト期間を経て、2003年4月よりシステムの本格運用が開始されています。
富士通エフ・アイ・ピーは、研究者と十分に協議しながらILAS および ILAS-Ⅱデータ処理運用システムの開発を進めてきました。主な開発方針を以下に示します。
ILAS-Ⅱシステム概要図(国立環境研究所様提供)
ここでは、ILAS-Ⅱデータ処理運用システムについて紹介します。ソフトウェアシステムの構成としては、 データ処理サブシステムを中心に10のサブシステムから成り、システムメンテナンスや障害の波及防止のため、 各機能の独立性を高めています。また、大部分の機能をWWWブラウザから利用可能とすることにより、 操作性の向上及び遠隔オペレーションを可能としています。ILAS-Ⅱにより観測された大量のデータを滞りなく処理するため、 計算機システムには、ワークステーション48台をハイパフォーマンス・スイッチにより相互結合網で結んだ分散メモリ型計算機を導入し、 並列計算機として用います。大容量のデータ保存については、合計5TByteを超えるデータの保管と検索のために デジタル・マス・ストレージシステム、データベース用に大容量アレイディスクを導入しました。 これらは、並列計算機及びその他のワークステーションからの利用が可能となっています。
システムの核となるデータ処理サブシステムは、大別してレベル0-1処理とレベル1-2処理に分けられます。 レベル1処理は、NASDA/EOC(宇宙開発事業団/地球観測センター)を経由して受信したILAS-Ⅱの観測データであるレベル0データを処理し、 物理的に意味のある透過率データを求めるまでを行います。レベル2処理では、可視センサーと赤外センサーの透過率データから、 オゾンなどの大気微量成分の高度分布データを最終的に算出します。赤外センサーデータを用いた処理では、大気分子による太陽光吸収の計算に膨大な演算や大量のメモリが必要とされるため、並列計算機を用いた処理や、ルックアップテーブルと呼ばれるテーブルデータを用いた処理で対応しています。 その結果、1日に行われる28観測分のデータ処理を滞らせないという、処理時間要求を満足することができました。
1997年11月から8ヶ月間稼動したILASの観測データを解析した結果は、広く世界中の研究者に利用されており、 ILASデータの国際的な信頼を獲得することができました。また、ILAS-Ⅱデータ処理運用システムは2003年4月から本格稼動しており、 2003年冬季における南極域の大規模なオゾンホール出現に関する解明研究に重要なデータの取得に成功することができました。
機関名 | 独立行政法人 国立環境研究所 様 |
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所在地 | つくば市小野川16-2 |
事業内容 | 地球環境保全、公害防止、自然環境保護などに関する調査、研究および環境保全に関する知識の普及など |
ホームページ | http://www.nies.go.jp/ |
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