Fishtech養殖管理
-CONCEPT-

水産養殖の新しいスタンダード

Fishtech養殖管理は、どこにいても、だれにでも養殖管理ができるシステムです。水温・水質を測るセンサーと水中カメラをIoT化することで、どこにいても水槽の状況が把握でき、生きものごとに適した水質を保てるので、一つの水槽で複数の種を管理できます。また、すべての作業実績がクラウド上に保存されるため、育成ノウハウが毎日蓄積されていきます。PCやスマートフォンなど使い慣れたデバイスで操作できるため、老若男女問わず作業分担できます。

現場で利用されるFishtech養殖管理

社会課題を解決するプロジェクト

日本はここ30年で、漁獲量が1/3にまで低下しています。世界においても人口爆発の中で、天然の水産資源は急激に減少しており、SDGs(注1)など人類の共通課題のひとつにも挙げられています。水産業の喫緊の改革が求められる中、特にタンパク供給源としての養殖は発展させなくてはならない領域です。
そういった社会課題を背景に、デザイナーと営業がタッグを組み、富士通グループ社員全員が参加する社内コンペにエントリーし、最優秀賞を受賞するところからこのプロジェクトが始まりました。ビジネス立ち上げにあたり、自ら富士通本社営業部門に異動し、水産イノベーションチームの一員としてお客様を開拓。同時に、現場のニーズから導かれる水産養殖のあるべき姿をアドバンスデザイン(注2)として提案。展示会出展などを通して、最初のお客様である神恵内村様との出会いに繋がりました。

  • 注1
    SDGs:Sustainable Development Goals。2015年に国連で採択された17項目から成る持続可能な開発目標。先進国を含めた世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標として、民間企業の技術やイノベーション力を積極的に役立てていくことが強く求められています。
  • 注2
    アドバンスデザイン:先行開発デザイン。製品化のデザイン開発に先立って開発されるデザインをいう。アイデアやテーマを幅広く探求したり、展示会向けのデザインとして市場の反響を得るなどの目的で開発されることがある。
水産養殖のあるべき姿をアドバンスデザインとして提案

北海道神恵内村のウニ・ナマコ陸上養殖

神恵内村は、人口900人に満たない北海道で一番小さな漁村です。かつては漁業で栄えた神恵内村ですが、密漁や乱獲、近年の地球温暖化に伴う磯焼け等、漁業経済を取り巻く環境は厳しさを増しています。一方、ニセコ、アジア圏などの水産物への依存はますます拡大しています。こういった背景の中、村は新たな地域産業としてウニ・ナマコの陸上養殖を企画していました。ICTを活用し、ウニ・ナマコの養殖を確立、漁業から養殖へ雇用をシフトし、かつての賑わいを取り戻したい。
2018年の秋、神恵内村とFishtechの描くビジョンが合致し、実証実験に向けた活動が急ピッチで始まりました。志を同じくするエンジニア・営業・デザイナーが部門横断で結集し、クラウド上にシステムを構築、2019年の春から実証実験が始まっています。

ウニに白菜を給餌する神恵内村の水産技術員
プロジェクトメンバー一同。中央が神恵内村の高橋村長

未来を具体化する、デザインの力

その事業がどこへ向かうべきか、どうすれば価値提供できるのか、テクノロジーが進化すればするほど選択肢が増えるため、関係者全員が同じビジョンを共有することが難しくなってきています。
そういった中で、Fishtech養殖管理-CONCEPT-は、デザイナーが各フェーズにおいて、漠然としたビジョンにカタチを与えることにより、推進力を得て成長してきたプロジェクトと言えます。
それは、メンバーを奮起させるための企画書であったり、新しい働き方を提案するアプリケーションの仕様であったり、プロジェクト活動の広報・広告であったり、シーンに応じてアウトプットは異なるものの「目指す姿を具体的に表現する」点は一貫しています。専門家として色・形を最適化するだけにとどまらず、いち表現者としてプロジェクトの中核を担うことで関係者の潜在能力を最大限に引き出す。これもまた、デザイナーが果たすべき役割のひとつだと考えます。
日本における養殖事業は、国の存続を担う食糧安全保障であり、文化の一角を占める重要な産業です。お客様と共に先進的な養殖の未来像を描き、日本の、世界の水産養殖を盛り上げていきます。

ソリューション&プラットフォーム・デザイングループ國村 大喜
國村 大喜
ページの先頭へ