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プレスリリース【技術開発】

2019年3月11日
富士通アドバンストテクノロジ株式会社

5Gやミリ波帯向けの基板材料特性を高精度に測定する構造を開発

富士通アドバンストテクノロジ株式会社注1は、基板材料の誘電特性を高精度に測定する構造を開発しました。平衡形円板共振器法注2を採用し、誘電体平板材料と円板銅箔と共振器とを隙間なく接触し、且つ、測定用の誘電体平板材料を取付けると同時に励振線を自動調芯する構造を特長とします。これにより、簡単且つ再現性の高い比誘電率と誘電正接の測定ができます。さらに本共振器はミリ波帯を含む広い周波数帯域(10GHz~95GHz)、広い温度範囲(-55℃~+160℃)に対応しており、装置の稼働環境を想定した測定が可能です。

本技術の詳細は3月11日(月曜日)から3月13日(水曜日)まで拓殖大学文京キャンパスで開催される「第33回エレクトロニクス実装学会 春季講演大会」にて発表いたします。

開発の背景

5G通信や車載レーダー等をターゲットとした高周波・高速伝送用プリント配線板材料の開発が各社にて行われており、これらの性能を示すため、装置の稼働を想定した周波数や環境温度下での比誘電率、誘電正接の測定が重要となっています。ミリ波帯を含む高周波域まで比誘電率、誘電正接を測定できる方法は複数あり、その一つに平衡形円板共振器法があります。この方法は、広い周波数帯域・温度範囲での測定が可能ですが、共振器のネジ締結や円板銅箔の位置合わせやなどに熟練した技術を要し、測定精度等に課題がありました。今回、それらの課題を解決する新たな構造の平衡形円板共振器を開発しました。

開発した技術

平衡形円板共振器法は、100GHz超まで比誘電率、誘電正接の測定が可能な手法の一つですが、

  1. 円板銅箔と平板材料、および平板材料と共振器との間に空気層が入らないように取付けなければならない
  2. 励振線と円板銅箔の中心をそれぞれ高精度で調芯しなければならない

といった制約から「測定者や測定繰り返しでバラつきが出る」「測定に時間が掛かる」といった課題がありました。

今回開発した共振器は、新たな押圧制御構造により、調芯軸に近い中心部が均一に加圧され、的確に空気を取り除きます。また、共振器形状を円筒形とし、上下励振線と円板銅箔の位置合わせを外形基準としたことで、円板銅箔と誘電体平板を指定順にセットするだけで自動的に調芯される構造となっています。これにより、誰でも高精度に、短時間で広帯域な周波数(10GHz~95GHz)での比誘電率・誘電正接の測定ができるようになりました。また、共振器の構成部材は全て耐熱性を考慮した設計となっており、広い温度範囲(-55℃~+160℃)での測定ができます。加えて、押圧に偏りがある場合、通常は簡単に割れてしまうガラスのような脆性材料の測定も可能となりました。

効果

本共振器を用いて誘電体平板の周波数応答波形の取得、比誘電率・誘電正接の算出注4を5回実施し、その誤差が1.5%以下となることを確認しました。従来型平衡形円板共振器注5の誤差3%から半減を実現しています。
図1には10GHz~95GHzでシクロオレフィンポリマ系材料(厚さ0.38mm)を測定した結果を、図2には10GHz~50GHzで高周波用材料(厚さ0.25mm)の温度特性(-40℃、+20℃、+80℃、+150℃)を測定した結果を示します。
いずれも周波数、温度の上昇により比誘電率(グラフではεrまたはDk)、誘電正接(グラフではtanδまたはDf)が、想定通りに変化する結果が得られております。
本共振器にて高精度、且つ、必要な周波数、温度で得られた比誘電率、誘電正接を、装置設計での信号伝送シミュレーションに活用することで、開発コストおよび期間の削減が期待できます。

図1 測定事例:シクロオレフィンポリマ系材料の周波数応答特性とDk/Df(10GHz~95GHz)
-周波数応答波形--Dk/Df測定結果-
図1 測定事例:シクロオレフィンポリマ系材料の周波数応答特性とDk/Df(10GHz~95GHz)

図2 測定事例:高周波用材料Dk/Dfの温度特性
図2 測定事例:高周波用材料Dk/Dfの温度特性

図3 今回開発した平衡形円板共振器外観
図3 今回開発した平衡形円板共振器外観

今後の予定

2019年春から本装置を使用した比誘電率・誘電正接の測定サービスを開始する予定です。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

注1 富士通アドバンストテクノロジ株式会社:本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 宮澤 秋彦
注2 平衡形円板共振器法:マイクロ波とミリ波帯において誘電体平板材料の垂直方向(厚さ方向)の複素比誘電率を測定する方法。小林禧夫埼玉大学名誉教授(サムテック有限会社代表取締役)注3にて世界で初めて実用化された。
注3 サムテック有限会社:埼玉県さいたま市
注4 比誘電率、誘電正接の算出は厳密解析計算ソフトSUM-DISK AUTO TEMP Ver.1.3(サムテック有限会社)を使用
注5 従来型平衡形円板共振器:SUM-DISK(サムテック有限会社)

お問い合わせ先

富士通アドバンストテクノロジ株式会社
ビジネス推進室

電話:044-742-2100(代表)
受付時間:9時~17時(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)