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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2013-5月号 (Vol.64, No.3)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2013-5

特集:「パーソナルビジネス」

富士通は,自社の開発拠点と製造工場を持つ強みを生かしてパソコン製造に取り組んでおります。本特集では,富士通のパソコンで提供しているサービス・ソリューション・アプリケーションの開発,およびパソコンに搭載している要素技術をご紹介します。


執行役員
齋藤 邦彰
執行役員
齋藤 邦彰 写真

パーソナルビジネス特集に寄せて(PDF)

クラウド社会への移行により,ICTを利用する時空間が広がっています。パソコンも,ハード面では目的や利用シーンに応じて進化し,ソフト面でも使いやすくするユーザインタフェースへと進化しています。また機能面においても,いつでも・どこでもの具現化に加えて,安心安全とエコ意識の高まりへの対応など,ICTが果たす機能・役割への期待も大きく変化しています。富士通のパーソナルビジネスは,このようなICTを取り巻く環境の変化に素早く対応し,フロントエンド発で新しいライフスタイルやワークスタイルを提案してまいります。

特集:パーソナルビジネス 目次〕

サービス・ソリューション・アプリケーション

  • 次世代生体認証システムと仮想化対応
  • エンジニアリングクラウドを実現するラックマウント型ワークステーション CELSIUS C620
  • 生命保険業の営業タブレットPCの開発
  • Sense YOU Technology BizによるPCセキュリティの強化
  • 市販のバーコード/磁気ストライプリーダコンポーネントを使用した小売業界タブレットソリューション
  • My Cloud プラットフォームを活用したビジネス展開
  • 家庭内エネルギーマネジメントシステムの構築(My Cloud エコ)
  • 家庭用無線電力メータF-PLUG
  • My Cloud - Best Life Support技術
  • 女性向けのデザインにこだわったUltrabook:Floral Kiss

要素技術

  • 美しいデザインの軽薄ボディと堅ろう化技術
  • FM3ベースのキーボードコントローラ
  • ノートPC内蔵手のひら静脈認証技術
  • 視線検出技術によるパソコン操作のアシスト
  • 富士通パソコン製造のMade in Japanのこだわり

特集:パーソナルビジネス


サービス・ソリューション・アプリケーション

今日,企業では多数の業務システムが運用されており,それらを使用する際の認証手段としてパスワード認証が多用されている。こうした中,シングルサインオン(SSO)システムの導入や,アプリケーションによるID/パスワードの自動入力で利用者・管理者の負担軽減が図られてきている。しかし,この方式には認証に用いるID/パスワードを安全に運用しなければならないという課題がある。富士通では,ID/パスワードを一元管理する個人認証専用サーバ「Secure Login Box」や生体認証実施後にID/パスワードを自動入力するソフトウェア「SMARTACCESS/Premium」によるSSOシステムを提供してきた。近年では,業務システムの運用効率化から従来のITシステムと業務アプリケーションのWebサービス化や一部クラウドサービスを利用して構成される複合型のシステムが広がりつつあり,認証システムはこのようなシステム構築の動向に対応していく必要がある。
本稿では,認証システムの現状と課題を整理した上で,設計・開発した次世代の生体認証システムについて述べる。

山嶋 雅樹, 和田 篤志, 鎌倉 健

製造業の設計現場で使用するワークステーションでも仮想化の動きがあり,富士通は高速画像圧縮技術によって,3次元CADやCAEなど多彩なアプリケーションをクラウド環境で利用可能にするソリューション「エンジニアリングクラウド」を2011年6月に発表した。そして,既存のCAD資産を生かしながら段階的に仮想化へ移行したいお客様に向けて最適なマイグレーションプランとして提供するコンセプトでラックマウント型ワークステーション「CELSIUS C620」を開発した。
本稿では,CELSIUS C620のハードウェア設計で工夫したポイント,および開発したソリューションの特徴について紹介する。

広末 庸治, 鈴木 政幸, 尾形 伸治, 秋冨 哲生

富士通は,PCの国内開発・製造というメリットを生かして,お客様企業の業種や業務にフィットするカスタマイズPCの開発を行っている。生命保険業界の大手である第一生命保険株式会社様(以下,第一生命様)では,「お客さま第一主義」という経営理念のもとに,ご契約の全ての場面において,全てのお客様に均一で高品質なコンサルティングを提供することに取り組まれており,全国約1400ある営業拠点で展開する営業職員に加えて,窓口などのスタッフも活用する営業業務用端末を富士通が開発させていただくことになった。開発に当たって,第一生命様からは,お客様の見やすさと使いやすさを考慮した,携帯性に優れ,紙を扱うような使い勝手を実現することといったご要望をいただき,試作を重ね2012年に高速通信LTEを搭載したタブレットタイプの営業業務用端末を開発した。

中俣 等, 則信 教英

プレスリリース富士通のスレート型パソコン5万台を新営業端末として第一生命様が導入

企業内での業務をはじめ,社会活動のあらゆるシーンでPCが活用され,PCセキュリティの重要性がますます高まっている。富士通では,確実な本人認証を実現する「手のひら静脈認証」「指紋認証」「スマートカード認証」や,これらを業務システムと連携して管理するための認証サーバ「Secure Login Box」など,PCセキュリティに必要な製品を提供してきた。今回,PCログイン後のセキュリティを強化する製品として「Sense YOU Technology Biz」を開発した。本機能は,ログインユーザの在席状態を検知し,離席すると即座にPC画面をロックすることで,悪意を持つユーザの成りすましや,秘密情報の不用意な漏えいを防止する。
本稿では,Sense YOU Technology Bizの開発背景,在席状態を検知する継続認証技術,および製品の機能について述べる。

嶋崎 麻雄, 米永 彰, 松田 高弘

スマートフォンやタブレットの出現は小売業界に変化をもたらした。従来のレジや販売時点情報管理(POS)端末では機能が不十分になり,柔軟でコスト効率が良く,高い耐久性とバーコードデコードやクレジットカード/デビットカードによる支払処理の機能を備えた携帯型のモバイルPOS端末の市場ニーズがある。
本稿では,バーコード/磁気ストライプ(クレジットカード)リーダと富士通の標準タブレットを統合し,モバイルPOS端末化するという課題に対する全く新しい取組みについて述べる。具体的には,最小限のカスタム設計で市販のバーコードリーダや磁気ストライプリーダのコンポーネントを富士通製タブレットと統合して使用できるようにする方法について詳しく説明する。

Rajesh Sundaram

インターネットを活用したサービスは,情報検索・閲覧を中心とした初期段階を経て,インターネット経由でのショッピング・デジタルコンテンツの消費が拡大している。近年は,スマートフォンやタブレット端末の急速な普及がインターネット利用シーンを大きく広げ,実店舗での購買・消費で成り立っている従来型ビジネスのあらゆる分野において,インターネットサービスを組み合わせることで,ビジネス拡大を狙う機運が高まっている。このような状況を踏まえ,富士通はサービス共通基盤「My Cloud プラットフォーム」をリリースした。同プラットフォームを介し,個人のお客様に対して,単なる「モノ」としてユビキタス端末を提供するだけでなく,お客様のやりたい「コト」に応える様々な付加価値サービスをセットで提供する。また法人のお客様は,同プラットフォーム上で個人向けサービスを展開することで,効率的な開発・運用とMy Cloud アカウント所有者へ効果的にアプローチすることが可能となる。

中西 猛, 須田 治彦, 内川 森, 白石 裕二, 河西 寿幸

2011年の東日本大震災以降,エネルギー問題は転換期を迎え,需要と供給のバランスを取って最適な需給制御を行う必要性が出てきている。この問題を解決するためにはエネルギーマネジメントシステムの実現が不可欠であり,中でも住宅のエネルギーマネジメントシステム(HEMS)によるエネルギー需要データ収集は必須要素である。しかし,エネルギー需要データ収集のために追加ハードウェア(HEMSコントローラ)を導入することのハードルは高く,HEMS普及の阻害要因の一つとなっている。そこで富士通では,HEMS導入の促進に向けた新たなアプローチとして,人々の生活に密着し広く普及しているPCにHEMSのコントローラ機能を搭載することにより専用ハードウェアの導入を回避し,一般家庭におけるHEMS導入のハードルを下げることを試みている。
本稿では,富士通の新しいPCのコンセプト「My Cloud」とその中で実施しているHEMSへの取組み「My Cloud エコ」について概説した後,その技術要件とそれを解決する通信ミドルウェアでの取組みを説明する。

曾根田 武, 高橋 英一郎

エネルギーに対する意識の変化に伴い,省エネや節電に大きな関心が寄せられるようになり,家庭内においてもコンセントに挿して簡単に電力の測定ができる機器が注目を集めるようになってきた。富士通も,富士通ビー・エス・シーが主体となって開発した家電機器の消費電力が測定できる無線電力メータ「F-PLUG」をパソコンのBTOオプションとして販売を開始した。仕様検討には,F-PLUGに搭載しているマイコン開発元の富士通セミコンダクターも加わり,富士通との3社で実施し,ブレインストーミングを繰り返して,ユーザ目線に立った便利で使いやすい電力計測システムの実現を目指した。F-PLUGは電力だけでなく温度や湿度,照度も測定できる。
本稿では,F-PLUGとその制御アプリケーションソフトウェアのコンセプトと機能を紹介する。

青山 裕司, 岡田 玲二

個人向けPCの機能強化およびPCを取り巻く環境の変化に伴い,お客様がPCを利用する際の負担も増え,メーカサポートへのニーズが高まっている。富士通は,お客様が問合せするサポート窓口の品質向上に取り組むだけでなく,お客様が問合せすること自体を「お客様負担」と考え,問合せ発生要因に着目し,問合せをしなくて済む環境を提供する「My Cloud - Best Life Support」技術を開発した。
本稿では,PCの問合せがなぜ発生するかを考察した上で,「購入直後」「年数経過後」のそれぞれの問合せシーンで対応するためにMy Cloud - Best Life Supportで取り入れた技術,および2012年よりPC製品へ適用を開始した事例を紹介する。

大橋 隆之, 茂木 邦夫, 菅谷 創一

富士通は2012年10月に「持っていることが嬉しくなる,PCにエレガンスを」を商品コンセプトに,FMV初となる本格的な女性向けのパソコン「Floral Kiss」を発表し,翌月より発売開始した。デジタルカメラやスマートフォンなど各デジタル機器が女性をターゲットとした商品展開を広げている中,女性向けと謳(うた)っているパソコンはカラー変更や天板のデザインを変えただけのものしか存在しなかった。「本当に女性が欲しいと思う,女性に響くパソコンを一から作りたい」という思いを抱いていた女性社員が集まって2011年6月よりエレガントPCプロジェクトという名で本格的に始動した。そもそも女性はどんなところに魅力を感じるのか,どういうライフスタイルを送っているのか,パソコンをどのような用途で使用し,どのような利用スタイルなのかを調査/分析し,ハードウェア・ソフトウェア・アクセサリ・プロモーションの全てにおいて「女性らしさ」にこだわり商品化を進めた。
本稿では,Floral Kissの開発で最も注力したハードデザインの具現化を中心とした商品化の取組み・チャレンジを紹介する。

鬼澤 美穂, 三條 美加子

要素技術

近年,スマートフォンやタブレット端末の台頭により情報処理端末を持ち歩くシーンが増えている。このような流れの中で,モバイル端末としての役割を担ってきたノートパソコンにおいても可搬性の重要な要素である薄型化・軽量化・堅ろう性が求められている。また,持ち歩きのシーンが増えるに伴い,他社との差別化ができる美しい外観・デザインも商品価値を決める重要な要素となっている。お客様が求める商品を提供するためには,この二つの要素の両立は不可欠である。
本稿では,ともすれば相反しがちな美しいデザインを表現しつつ,軽薄ボディと堅ろう性を実現する技術を紹介する。

大西 益生, 軽石 毅

富士通は,ノートブックPC向けに,富士通セミコンダクターFM3ファミリのワンチップマイクロコンピュータを使ったキーボードコントローラ兼パワーマネジメントコントローラを開発した。また,これに合わせてRTOS(Realtime Operating System)を採用した制御ファームウェアを開発し,多岐にわたる機能を持ちながら低消費電力とレスポンスの良さを両立させた。

小池 信之

インターネットの普及で個人情報などの漏えいの防止に対する関心が高まっている。このような状況の中で,近年,身体的特徴に基づいて利用者本人を認証する生体認証技術が注目されてきている。富士通では,2004年に世界で初めて手のひら静脈認証技術を金融ATM向けに実用化した後,情報システムへのログインや入退室管理,患者や受験生の本人確認などの用途でグローバルに展開を進めてきた。パーソナルビジネスの分野でも,企業向けにスタンドアロンあるいは認証サーバと連携したシステムの開発を進め,利用者とシステム管理者の負担を軽減させつつ,安心安全な利用者認証を提供してきた。
本稿では,手のひら静脈認証センサをノートPCに内蔵するための取組みを紹介する。今回の開発は,手のひら静脈認証技術の特徴を捉えたセンサの小型化・薄型化の実現とともに,利用面においても容易な認証を可能とするためのユーザインタフェースの改良,および静脈認証をBIOS認証と連携させたシングルサインオン機能も充実させた。

横澤 宏, 森原 隆

近年,富士通はICT活用による「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」を掲げ,従来のシステム中心から人間中心の考え方にシフトし,新たな情報ネットワーク社会の実現に取り組んでいる。ICTが人間の行動やニーズを理解し,先回りして必要な情報をさりげなく提供する仕組みに焦点を置いており,その一環として,富士通は「Sense YOU Technology」と称したユーザモニタリング技術を開発し,自社のパソコンに対して機能を提供してきた。人間の視線は人の思いや行動に通じていると言われており,富士通と富士通研究所は,人の状態をモニタリングする「視線検出技術」の開発に取り組んできた。これにより,安価かつ小型のカメラと近赤外LEDを用いてパソコンのデザイン性も損なうことなく内蔵することが可能となった。
本稿では,視線検出技術に関する要素技術と特徴,および適用例と今後の展望について紹介する。

小暮 貴史, 古謝 伸之, 小田切 淳一, 中島 哲

パソコン製造が次々と国内から海外シフトしていく中,富士通のパソコンは国内製造にこだわっている。世界経済も低迷しているさなか,海外ベンダとのコスト競争においては非常に厳しい状況を迎えているが,富士通のパソコンの「Made in Japan」にこだわったものづくりは,海外ベンダを凌駕(りょうが)し,パソコン量産工場は世界をリードするところまで歩みを進めている。事実,各工場では生産革新活動におけるものづくりの効率化はもとより,工場カスタマイズにおけるお客様への付加価値の訴求,地域に根差した貢献,事業継続対応を通して企業としての社会的責任を着実に遂行している。これらは全てMade in Japanの強みであり,国内製造にこだわるゆえんである。
本稿では,富士通のパソコン製造部門のものづくりの理念である「匠」と「疾風」のもと,Made in Japanにこだわる活動について紹介する。

白石 孝行, 石川 友則, 貝嶋 洋隆


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