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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2012-9月号 (VOL.63, NO.5)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2012-9

特集:「スマートフォン」

本特集号では,富士通のスマートフォンについて,開発の基本的な考え方,防水/薄型,らくらくスマートフォン,Windows Phoneなどの技術の特徴,スマートフォンを活用した垂直統合システムの事例,製造革新への取組み,などについて紹介します。


執行役員常務
大谷 信雄
執行役員常務 大谷 信雄 写真

スマートフォン特集に寄せて(PDF)

富士通は,フィーチャーフォンからスマートフォンへの急激な市場変化にいち早く対応し,2011年度には国内携帯電話機市場で初めてシェアNo.1を獲得しました。ヒューマンセントリックなインテリジェントソサエティを実現するユビキタスフロントとしてスマートフォンの重要性は増しており,海外向け,法人向けを含めて展開していきます。

特集:スマートフォン 目次〕

総括

  • 富士通のスマートフォン開発への取組み

サービス・アプリケーション

  • ヒューマンセントリックエンジンとサービス展開
  • スマートデバイスの業務活用の課題と解決に向けた
    取組み
  • スマートフォンを活用したサービス・アプリケーション
    事例
  • スマートフォンの業務活用に求められるネットワークサービス
  • コンテキストデスクトップ技術
  • モバイル環境向け高速シンクライアント技術
    Mobile RVEC(モバイルレベック)

富士通スマートフォンの特徴

  • スマートフォンの防水/薄型技術への取組み
  • らくらくスマートフォン商品化への取組み
  • Windows Phone端末開発の取組み
  • タブレット端末の開発と今後の展望
  • 近距離無線通信による機器連携技術

基盤・要素技術

  • スマートフォンデザインに向けた取組み
  • スマートフォンのユーザインタフェース
  • スマートフォンを支えるハードウェアプラットフォーム
  • Androidソフトウェアプラットフォーム開発への
    取組み
  • LTE対応Multi-RAT(Radio Access Technology)
    ベースバンドLSI
  • スマートフォンのセキュリティ技術

製造・生産革新

  • スマートフォンのものづくりを支える自動化手法
  • スマートフォンの製造革新

特集:スマートフォン


総括

フィーチャーフォンからスマートフォンへと急激なパラダイムシフトが起きている中,富士通はいち早くスマートフォンへ軸足を移し2011年度にはNTTドコモ様・KDDI様合わせて11機種を市場投入し,国内携帯端末シェアNo.1を実現した。2012年度は,獲得した国内ポジションを堅持するとともに,らくらくスマートフォンの投入を足がかりにグローバル市場への本格参入を図る。
富士通スマートフォンの強みは,最先端プラットフォーム採用による業界No.1の基本性能,世界トップクラスの無線技術,これまでに培ってきた「見やすさ」「聞きやすさ」「タッチの快適さ」などの独自技術,国内工場における卓越したものづくり力である。更に,スマートフォンの開発では,フィーチャーフォンと異なり,Android OSの採用などオープン環境での開発が必須であり,新たな開発力強化の取組みも進めている。
本稿では,これらの富士通の強みを生かしたスマートフォン戦略と新たな市場開拓への取組みについても紹介する。

髙田 克美

サービス・アプリケーション

富士通では,らくらくホンの開発を軸に「見る・聞く・話す」などの使いやすさを実現するための独自技術と,携帯電話に搭載されているセンサを活用して人を見守るための機能を実現する独自のセンシング技術を培ってきた。これらの技術をスマートフォン向けに体系化してヒューマンセントリックエンジン(HCE)として集大成し,省電力化・高機能化を図るためにLSI化(HCE-LSI)を行い,スマートフォンに搭載している。HCEは,他社とは異なる究極の使いやすさを実現するだけでなく,富士通が提唱しているヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティをユビキタスフロントとして支える上でも鍵となる戦略的な位置付けを担う。
本稿では,HCEの狙いとスマートフォン搭載機能の概説により携帯機製品としての優位性を紹介するとともに,HCEを活用したサービス展開について述べる。

中条 薫, 大田 恭士, 高木 和幸, 椎谷 秀一

現在,コンシューマ市場ではスマートフォンやタブレット端末に代表されるスマートデバイスや,スマートデバイス上で動作するアプリケーション,およびLTEやWiMAXといった高速無線通信の普及が急速に進んでいる。このような流れを受け,法人企業においてもスマートデバイスを自社の業務の中で活用し,売上げの拡大や業務効率化につなげるための検討が進められているが,セキュリティ面や既存の業務システムへの接続などの導入に向けた課題も見えてきている。
本稿では上記の流れを受け,営業現場での活用サービス「モバイル営業支援サービス(仮称)」,および同システムを企業システムへ導入する際の手法として端末,ネットワーク,サービスプラットフォーム,サービスを垂直統合で導入する手法について紹介する。

高原 伸知, 矢崎 昌朋

近年,スマートフォン・タブレットはコンシューマ市場で爆発的な普及を遂げている。その可搬性の高さや高機能性,ノートPCと比較した場合の低コスト性などの利点から,スマートフォンの出荷台数は,2016年度で3500万台を超えると予測されている。この新しい端末を導入することでワークスタイルを変え,組織を活性化しビジネスを変革できるという期待から,導入を検討している企業が増えている。しかし,スマートフォン・タブレットを企業で導入するには「セキュリティ」「導入・運用コスト」など多くの解決すべき課題もある。
本稿では,スマートフォン・タブレットを安全かつ効果的に活用していただくために富士通が提供するサービスやアプリケーションを紹介する。

松村 直哉, 根津 博史, 元山 英幸, 高世 雅之

コンシューマ市場で急速に普及を遂げたスマートフォン・タブレットを企業のビジネスツールとして,オフィスワークや顧客接点業務,各現場の専門業務などで活用する検討が進んでいる。一方,スマートフォンの業務活用に当たっては,セキュリティへの不安,導入・運用のためのITスキル不足といった課題を解決することが求められる。具体的に検討を進めるに当たり,業務データの利用方法という点でスマートフォンの適用形態がいくつかあり,それぞれの課題が異なることを認識した上で,業務内容,コスト/展開期間,既存システム環境,運用負荷などを考慮して,自社に合った適用形態・ソリューションを選定していくことが必要である。
本稿では,スマートフォン適用形態を整理するとともに,社内のWebアプリケーション利用時に生じる「情報漏えいや不正接続」「既存システムのスマートフォン対応」といった課題を端末,ネットワーク,アプリケーションの視点で解決したネットワークサービスについて活用例を交えて紹介する。

木村 元幸

現在,急速に普及するスマート端末とクラウドを垂直に統合し,人の状況に応じて最適なサービスを提供するコンテキストアウェアなサービス基盤の研究開発を進めている。この度,人の状況に応じてサービスを絞り込み,最小限のサービスをスマート端末に提供するコンテキストデスクトップ技術を開発した。
本稿では,コンテキストデスクトップ技術のコンセプトと構造,適用例について解説する。コンテキストデスクトップは,端末やセンサから得られた実世界データに基づいて,アプリケーションを自動配信し,利用できるアプリケーションセット(デスクトップ)を自動的に切り替える。これにより事前にアプリケーションをインストールしておかなくても必要なとき,必要な場所で最適なアプリケーションを利用することができる。

松本 達郎, 二村 和明, 司波 章, 藤井 彰

プレスリリース時間や場所に応じて必要なアプリケーションが自動配信・自動実行される情報端末技術を開発

プレスリリース場所に応じてスマート端末に最適なサービスを提供する基盤技術を開発

スマート端末側にサーバ側の業務データを保持する必要がないシンクライアントは,モバイル環境においてもビジネス効率化の有力なソリューションとして注目されている。モバイル環境でシンクライアントを実現するに当たっては,帯域の変動が大きくパケットロスも多いネットワークでの安定した画面データ転送の実現や,マウス操作を前提とした仮想デスクトップ環境をタッチインタフェースのスマート端末から操作するためのユーザインタフェースが課題である。
これらの課題に対して,ネットワークの帯域変動の状況に応じて動的に画面データ量を削減する技術や,パケットロスが多い低品質なネットワーク向けに操作遅延を抑える高速データ転送技術と,タッチインタフェースの指による対象の直接操作を生かしたユーザインタフェースを含むMobile RVEC(モバイルレベック)を開発した。これらの技術により,スマート端末でモバイル環境から社内アプリケーションを遠隔操作し,顧客先で対話的な商品説明が可能になるなど,モバイル環境におけるシンクライアントの新しい用途を拡大することが可能となる。

松田 正宏, 松井 一樹, 佐藤 裕一, 亀山 裕亮

プレスリリース操作応答を10倍高速化することで動画やグラフィックスをスムーズに活用できる高速シンクライアント技術を開発

プレスリリース仮想デスクトップの操作応答性能を向上させる高速表示技術を開発

富士通スマートフォンの特徴

スマートフォンは,高機能化と長時間使用に対応した大容量電池の搭載,および見やすさを追求するための大画面化が進み,大型化の傾向にある。一方,日常生活で携帯して使用する端末であるため,持ちやすさ,コンパクト感や防水機能をはじめとする使いやすさや安心感も求められる。この相反する要求を両立し,更にはデザイン性を高めたトータルの商品性を向上させた製品を開発し,市場のニーズに応える必要がある。そのような多様化するスマートフォンの商品性を実現するためには,それぞれの商品コンセプトに合わせた技術開発が重要であり,薄型やデザインフォルムに合わせた防水構造,構成部品一つひとつの薄型化追求や部品レイアウトの効率化などの取組みを行ってきた。
本稿では,そのような市場環境にあるスマートフォン開発において,防水と薄型技術およびそれら技術の更なる進化についての取組みを紹介する。

早川 成廉, 藤井 茂弘, 高橋 次郎

NTTドコモ様と共同開発した富士通製「らくらくホン」は2001年から現在に至るまで16機種を製品化し,2000万台を超えるロングセラー商品である。携帯電話市場が急速にスマートフォンへシフトする中で,シニアもスマートフォンへの関心が高まっている。このような市場環境を踏まえて,富士通では,NTTドコモ様と共同で「らくらくホン」の新ラインナップとして「らくらくスマートフォン」の商品化に取り組み,2012年8月から提供を開始している。徹底した調査,分析により主な利用層であるシニアの価値,課題を抽出し,年齢,身体能力を意識することなく利用できるスマートフォンを,ハードウェア,ソフトウェアの全てを見直して開発を行った。
本稿では,らくらくスマートフォンの開発で最も注力したタッチパネルのユーザインタフェース開発を中心とした商品化の取組みを紹介する。

古木 健悦, 菊地 淑晃

富士通はWindows Phone 7.5を世界に先駆けてプラットフォームとして適用し,世界初の同OS搭載スマートフォンを商品化した。スマートフォン市場がiPhone,およびAndroid端末で大きくけん引されている中,富士通はAndroid端末の製品開発のみならず,新機軸を打ち出しつつあるWindows Phone端末についても早期に開発検討を開始し,Microsoft社と商品ポリシー,技術独自性に対するポリシーなどを理解・共有して自社スマートフォンの開発を推進している。本製品開発では,サクサク性能や省電力性能,動作の安定性(品質)を実現しつつ,Windows Phoneへの独自仕様の実装を推進している。また,デバイスおよびインタフェースにある制限事項や評価基準をクリアして,ソフトウェアの安定性やセキュリティ面の堅ろう性を担保している。
本稿では,これらを含め,Android,iOSに並ぶ第三のスマートフォンプラットフォーム展開についても解説する。

西村 諭, 上田 昌伸

富士通では,LTE,ワンセグに対応した防水機能搭載の高機能なタブレット端末を2011年に国内向けに製品化している。10.1インチ 1280×800画素の大画面,高精細ディスプレイ,デュアルコアCPUを採用し,タブレット端末でありながら防水,ヒューマンセントリック機能を搭載し,ワンセグに対応することで富士通端末ならではの使い勝手を実現している。また,防水端末としての使い勝手の向上のためのジェスチャー機能の開発や,大画面エンタテインメント端末として音響性能向上のためにフロントステレオスピーカ構造を開発し,スマートフォンとは異なる訴求力を持った端末を実現している。
本稿では,スマートフォンに比べ大画面を実現するための技術的な取組みについて説明し,大画面化に伴う新たな利用シーンを想定して搭載した機能や作り込みにこだわった点について説明する。また,今後のタブレット端末開発に向けて,クラウドサービス利用の更なる拡大への対応とヒューマンセントリック技術との関わりについて述べる。

吉澤 博之, 石田 誠, 吉鶴 福智

マルチネットワーク下でのシームレスな機器連携は,富士通が提唱するヒューマンセントリックな世界の実現にとって欠かせない技術である。その中でも,Wi-Fi,Bluetooth,NFCといった近距離無線通信技術による機器連携は,エンタテインメント,健康,コミュニケーションの分野で,場所や状況を問わず適切なサービスをユーザに提供することができる。例えば,スマートフォンにあるコンテンツをTVで再生したり,レコーダにあるコンテンツをスマートフォンで制御してTV出力したりするオーディオビジュアル機器連携,ハンズフリー通話やオーディオ再生を車載機器から制御できるようにする車載機器連携,測定機器で取得したデータを簡単に吸い上げ,ネットワーク上のサーバにデータを蓄積し,医療やフィットネスに活用するヘルスケア機器連携がある。
本稿では,近距離無線通信技術を概説した後,その応用技術として,スマートフォンとオーディオビジュアル機器,車載機器,ヘルスケア機器との連携における富士通の取組みを説明する。

田村 俊哉, 増田 勲

基盤・要素技術

近年,通信インフラやWebサービス,アプリケーション,端末の充実によって,携帯電話からスマートフォンへ切り替えるお客様が急速に増加している。また,国内メーカが主流であったフィーチャーフォンに対して,スマートフォンは海外メーカが多数を占めるため,デザインに求める嗜好性や品質に対する考え方も徐々に変化してきている。そうした市場環境の中で,お客様にとって魅力あるデザインを的確に創出していくためには,お客様の利用シーンや使い方,嗜好性への理解に基づいて,富士通としての独自性や差異化のポイントを明確にしながら,お客様の価値を体現するデザインの開発が求められている。
本稿では,これまでの携帯電話の進化に触れながら,富士通が取り組んでいるスマートフォンデザインのアプローチやデザインに求められる条件を明らかにし,それらに対する考え方や具体的な実例を紹介する。

川見 充彦

スマートフォンの普及により,タッチによる操作が一般的なものとなってきている。これまでフィーチャーフォンにおいて標準であったキーによる間接操作から,タッチパネルによる直接操作になったことで,操作のルールや手順を学習しなくてもスムーズに使えるようになった。
本稿では,この直接操作の学習効果を更に高め,携帯電話の操作が不得手なユーザでもマニュアルを見ずに使うことのできる直感的ユーザインタフェース向上の取組みについて紹介する。更にタッチならではの使い方を生かした例として,富士通独自の手書きによる文字認識技術を利用した文字入力方式についても紹介する。

谷村 壮, 上野 壯

スマートフォンは,Apple社やGoogle社がけん引力となり,近年急激に普及している。2012年度には国内販売される携帯電話の内,スマートフォンの割合が70%を超える勢いである。スマートフォンでは,従来の携帯電話からユーザインタフェースがタッチパネルになったことにより,ディスプレイの大型化,高解像度化が進み,また,ブラウザにおいてもネットワークの高速化に伴い処理するデータ量も急激に増加している状況である。このように,スマートフォンには数年前のパソコンに匹敵する処理能力が必要であるとともに,モバイルとしての宿命とも言える省電力化との両立をいかに実現していくかが大きな課題となっている。
本稿では,スマートフォンを支える高性能ハードウェアプラットフォームの中でも急激な進化を遂げているアプリケーションプロセッサを紹介し,スマートフォンに求められる,性能,省電力化といった大きな技術課題に対する富士通の取組みについて述べる。

小川 徹, 伊藤 憲一, 松島 幸治

Androidプラットフォームを採用したスマートフォンは,2008年10月に市場に登場し,スマートフォン市場で先行したApple社のiPhoneの出荷台数を追い抜き,ユーザの携帯電話の利用シーンに大きな変化をもたらした。Androidはオープンソースソフトウェアとして開発・配布され,メーカ各社は自製のハードウェア上に独自技術を加えてインテグレーションしている。Androidプラットフォームはソフトウェア,ハードウェアともに速いサイクルで進化していることに加え,ネットワークインフラもWiMAXやLTEが立ち上がり,ユーザの利用シーンやサービスも拡大し続けている。富士通も防水機能,ワンセグ,FeliCa,赤外線機能を搭載したREGZA Phone T-01Cを2010年12月に発売し,以降,特徴的な機能を加え利便性を高めたAndroidスマートフォンの開発に取り組んできた。
本稿では,Androidソフトウェアプラットフォームのシステム設計で重要な要素となってきているメモリ管理と消費電流管理,ユーザの利便性向上のためのマナーモード,Mobile REGZA Engineで実現している高画質化技術,DLNAによるAV機器連携技術の取組みについて紹介する。

本田 亮, 小林 誠, 南雲 正彦, 川勝 保博

富士通は,NTTドコモ,NEC,パナソニック モバイルコミュニケーションズと共同でLTE(Long Term Evolution)やHSPA+(High Speed Packet Access Plus)に対応するMulti-RAT(Radio Access Technology)通信機能を1チップで実現するベースバンドLSIを開発した。移動体通信の高速トラフィック需要はスマートフォンの普及によって急激に増加しており,多くの国や地域でデータ伝送の高速化が進められている。一方,データ伝送の高速化において採用される通信方式は,国や地域によって異なり,また,旧来方式も併存することが多く,携帯端末用の通信プラットフォームやその核となるベースバンドLSIは多様な通信方式をサポートすることが望まれる。
本稿では,多様な通信方式に対応するために開発したMulti-RATベースバンドLSIの特徴と主要技術,および今後の技術開発の方向性について紹介する。

佐々木 啓, 寺尾 康弘

スマートフォンはサービス機能実現のため,個人情報,ネットワーク事業者情報,企業情報などが格納されている。これらスマートフォンの多くはオープンOSを採用しており,誰でもソースコードなどの情報を入手可能であり,悪意を持った人々による不正情報取得の脅威にさらされている。このような脅威に対し,富士通はSecure Boot,Linux Security Module,TrustZoneTMなどの複数技術を用いて情報の保護を行い,安全なスマートフォンを提供する。
Secure Bootはスマートフォン起動プログラムの書換えを検出し,第三者による改造プログラムの起動を不可能にして事業者情報の保護を行う技術である。Linux Security Moduleは,工場出荷後にインストールされたプログラムによる情報アクセスを制御し,不正な情報アクセスを禁止して個人情報漏えいを防止する技術である。TrustZoneはハードウェアでプログラム動作環境を分離し,オープンOS上のプログラムからの不正情報アクセスを防止してバンキングサービスの安全性を担保する技術である。
本稿では,Secure Boot,Linux Security Module,TrustZoneのそれぞれの技術を紹介する。

阿部 保彦, 池田 仁, 江村 真史

製造・生産革新

昨今のスマートフォン化により,「開発期間の短縮とコスト削減」が最も重要なキーワードとなっている。そのためには,短期製造に対応した垂直立上げ技術および機種変更に対応した自動化手法が必要である。富士通周辺機(FPE)では,これまで携帯電話やタブレットPCなどのユビキタスプロダクト製品の開発・製造,また大型システムプリンタやものづくりを支える自動化設備などのメカトロニクス技術を蓄積してきた。これらの技術を応用した自動化手法を活用し,汎用化を進めながらMade in JAPANにこだわったものづくりを展開している。FPEの手法は,各種ロボット(パラレルリンクロボット,多関節ロボット,直動ロボット)をプラットフォームとして,FPEに合った自動化システムにするためにロボットハンド部や試験連携など周辺部分を独自にカスタマイズしたことを特徴としている。
本稿では,スマートフォン開発製造に求められる課題と,保有技術を活用した解決手段を中心にMade in JAPANのものづくりをサポートする自動化技術を中心に紹介する。

荻野 学, 山田 弘志, 後藤 光宏, 助友 誠司

携帯電話の製造は,フィーチャーフォンからスマートフォンへの変化点の中にある。更に,世界経済の低迷に伴い,日本の製造業にとって,6重苦とも言われる厳しい時代を迎えている。海外ベンダとの厳しいコスト競争にさらされている中で,携帯電話の基幹工場として,富士通モバイルフォンプロダクツ(FMPL)は,お客様へより高い品質の製品を提供するとともに国内でのものづくりの生き残りをかけて生産革新に取り組んでいる。
本稿では,FMPLが行っている四つの柱(スマートフォン試験革新,自動化/ロボット化,試作/評価強化,製造/修理スタンダード化)について紹介する。

東口 裕


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