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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2010-11月号 (VOL.61, NO.6)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2010-11

特集:「サーバ」

本特集では,ヒューマンセントリックな社会の活動を支えるサーバプラットフォームの最新技術と富士通の取組みを紹介します。


執行役員常務
システムプロダクトビジネスグループ長
豊木 則行
執行役員常務 システムプロダクトビジネスグループ長 豊木 則行 写真

サーバ特集に寄せて(PDF)

富士通のサーバ開発の歴史は,約50年前にメインフレームの開発に着手したときから始まり,その開発方針は「安心してお客様にご利用いただくこと」であり,今もそれは変わりません。メインフレーム,オフコン,UNIXサーバ,PCサーバとその時代の要請に応える新しいサーバを開発し,それらすべてがサーバポートフォリオとして現在も継続しています。いつの時代においても最新のテクノロジを提供し続けることが富士通の使命と考えています。

特集:サーバ 目次〕

総括

  • 富士通のサーバ開発の取組み

サーバ基礎(要素)技術

  • SPARC64プロセッサの過去・現在・未来
  • 高性能プロセッサのクロック設計技術
  • サーバ向け高速伝送技術
  • ハイエンドプロセッサ内蔵SRAM技術
  • グリーンIT化の電源・冷却・筐体技術

プラットフォーム・基盤製品

  • サーバの安定稼働を支える品質保証技術
  • お客様資産継承を高い信頼性で支えるGSシリーズ
  • 仮想化技術でお客様のTCO削減に貢献する
    SPARC Enterpriseシリーズ
  • データセンターに最適なサーバプラットフォーム
  • 社会基盤を支える高信頼基幹IAサーバ
    PRIMEQUEST 1000シリーズ
  • 業務システムを強力にサポートするビジネスサーバ:
    PRIMERGY 6000シリーズ
  • 通信サービス向けATCAサーバシステム
  • ETERNUS DXシリーズ

オペレーティングシステムおよび運用管理製品

  • Oracle Solarisの仮想化技術
  • SPARC Enterpriseの仮想化技術の活用と
    ICT社会への貢献
  • PRIMEQUESTを支えるLinux OSの機能強化への取組み
  • クラウドを支える仮想化インフラの統合管理

特集:サーバ


総括

富士通は1954年に日本初の実用リレー式計算機FACOM100コンピュータを完成させて以来,これまで様々なICTのパラダイムシフトに対し,高信頼・高性能をテーマに掲げ,その変化ごとに最先端の技術を開発・提供することで,常にお客様のニーズに応えてきた。
そして今,ICTへの企業ニーズの変化,仮想化などの技術革新,地球温暖化などの社会環境の変化が,コンピュータパラダイムを変容させようとしている。それがクラウドコンピューティングであり,ICTのインフラであるサーバもその変化への対応が求められている。
本稿では,新たなコンピュータパラダイム,クラウドコンピューティングの進展の背景を踏まえ,この潮流に対する富士通のサーバ戦略,サーバ開発の取組み,サーバプラットフォーム展開について紹介する。

吉山 正治, 鳥山 晃嗣

サーバ基礎(要素)技術

SPARC64は,富士通が開発しているSPARC-V9アーキテクチャプロセッサのシリーズ名である。本プロセッサシリーズは1990年代から初代プロセッサの開発が始まり,2010年現在もなお新世代プロセッサの開発が継続的に行われている。初代のSPARC64プロセッサの周波数は118 MHz,トランジスタ数はわずか2千万個強であった。一方,最新のSPARC64 Ⅷfxでは周波数が2 GHz,トランジスタ数が7億個以上に達している。
本稿では,時代のニーズに合わせて変革を遂げてきたSPARC64プロセッサの開発の歴史を振り返り,各世代の強化の変遷をたどる。

丸山 拓巳, 本車田 強, 森田 國樹, 青木 直純

サーバに搭載される高性能プロセッサにおいて,高周波クロック信号をチップ全体に分配するための設計技術を紹介する。クロック同期方式では,プロセッサ内のすべての同期式順序回路に,同じタイミングでクロック信号が到達するように設計しなければならない。クロック周波数の高速化,チップサイズの増大,低抵抗配線の使用により,チップ内配線のインダクタンスの影響が無視できなくなっているので,設計時にはインダクタンスを十分考慮する必要がある。本技術は,クロックのスキューやクロストークノイズを抑えるための回路設計技術,またその技術を実際のチップ内に実現するCAD技術から構成される。さらに,実際に設計したクロック回路をシミュレーションして,クロック伝送におけるインダクタンスの影響を設計段階で電気的に解析することができ,プロセッサの高性能化に貢献している。

石坂 欣也, 小松 裕成

富士通は,大容量のデータを高速で伝送するという顧客のニーズに応えるべく,サーバ向けの高速伝送技術開発に取り組んでいる。高速伝送技術はそれを支える高速送受信回路と高速信号伝送路により構成されており,それらを最適に組み合わせることで目標性能を達成している。
本稿では,高速送受信回路開発への取組み方法として送受信回路の構成を説明する。また,実際の回路を評価する目的の試作チップでは伝送レートが20 Gbpsクラスの伝送波形も観測されており,本結果についての紹介を行う。さらに,高速信号伝送路については,信号を安定に伝播させるためにシミュレーション精度向上の取組みを紹介する。全体での精度向上を図るためには,伝送路を構成する各部品を精度良く評価してシミュレーションモデルへ反映させることがポイントとなってくる。

安達 裕幸, 山田 順, 水谷 康志

富士通は,社会基盤を支えるサーバ商品に搭載するプロセッサを国内では唯一独自開発している。その開発戦略は,半導体部門と協力してテクノロジと同時にプロセッサを並行開発するものである。ここで紹介するSRAM技術とは半導体製造と回路方式の複合技術であり,高性能,小面積,低消費電力の相反する要件を高いレベルで満足させ,テクノロジの立上げと同時に完全動作させるために必要な技術である。プロセッサのシステムクロック限界を律速するのは1次キャッシュ用高速SRAMの動作速度であり,処理のボトルネックとなる外部メモリのアクセス頻度を決めるのは2次キャッシュ用高密度SRAMの搭載容量である。この観点からSRAMはプロセッサのキーコンポーネントと言える。一方,半導体の微細化に伴い様々な弊害が顕在化し,SRAMの記憶素子であるメモリセルの製造ばらつきが増大している。このためサーバプロセッサの要件を満たせるようなSRAMの開発は非常に難易度が増している。本稿では,このような状況の中で,富士通がサーバプロセッサ用SRAMをどのように開発しているのかを紹介する。

中台 裕志, 伊藤 学, 植竹 俊行

国内での省エネ法の改正,欧州でのEuP指令Lot3導入,米国でのコンピュータサーバENERGY STARプログラムの強化などサーバに対するグリーンIT化の要求はますます高まってきている。また,お客様のサーバに対する環境負荷軽減の要求も強くなっている。これらの要求に対して,富士通はグリーンIT技術による消費電力削減,省資源化,リサイクル率の向上など環境負荷軽減に配慮したサーバ開発に取り組んでいる。
本稿では,サーバのグリーンIT化に対する電源・冷却・筐体の取組みについて具体例を交えて紹介する。

鵜塚 良典, 板倉 和彦, 山岡 伸嘉, 北村 智善

プラットフォーム・基盤製品

サーバ製品は,社会や企業の基幹業務を担うシステムの核であり,常に安定した稼働品質が求められる。近年テクノロジの急速な進歩により,高機能・高性能に加え,仮想化や省電力化,さらにはクラウド対応などサーバ製品を取り巻く環境変化に伴い,お客様が求める品質も変化している。サーバ製品の品質保証もこの変化に対応した開発プロセス最適化,評価技術開発など安定稼働を保証するための見直しを図ってきた。
本稿では,「品質は源流から確実につくり込む」を基本方針としたサーバ製品の開発プロセスならびに評価技術と,QCD(Quality,Cost,Delivery)を追求した品質マネジメントについて紹介する。

松尾 雅史, 内山 裕司, 栗田 祐一

富士通のメインフレームは,MシリーズからGS(グローバルサーバ)シリーズに至るまで,35年以上にわたりお客様資産を継承しつつ社会インフラシステムの中核を担ってきた。これまで培ってきたテクノロジをほかのサーバ開発の礎としていくとともに,変化するニーズについても幅広く対応すべく継続的な開発を行ってきた。近年,経営スピードの向上,ITコスト削減の観点から,大規模システムへの統合が加速しており,従来以上に高性能と,業務継続に必要な高信頼性が求められている。また,グリーンITによる環境負荷への配慮や,クラウドコンピューティング時代への対応も今後の重要な課題となっている。
本稿では,GSシリーズのハードウェア・ソフトウェアの概要とそれを支えるテクノロジについて述べるとともに,高性能,高信頼性への取組みについて説明する。

千葉 孝司, 豊西 浩司, 佐野 好次, 後藤 義嗣

富士通はUNIXサーバの開発において,今まで培ってきたメインフレームの各種技術を採用し,ミッションクリティカル分野を支えるために必要な高い品質・性能を実現してきた。加えて,初期投資とTCOの削減を実現する仮想化技術をベースにしたコンソリデーション機能についても,早い段階から取り組んできた。これは,技術進歩に伴うサーバ処理性能・機能強化により,仮想化資源の細分化や集約度を向上させ,より一層のTCO削減を可能とするものである。そのほか,新旧CPU混在搭載などの機能による初期投資の最適化や,サーバ管理の一元化による管理コスト削減にも取り組んでいる。
本稿では,UNIXサーバSPARC Enterpriseシリーズにおいて,稼働資産と安定性を確実に保証した上で,ICT基盤のライフサイクルに渡るTCO削減を実現する取組みについて紹介する。

金野 雄次, 福村 祐美, 村上 浩

富士通のPCサーバシリーズは,当初FMサーバという名称で1990年代初め頃より開発を開始した。2000年以降,PRIMERGYサーバという名称でグローバルに販売を展開している。ハードウェアとしては主にインテル社のアーキテクチャを採用し,WindowsやLinuxなど業界シェアの高い標準OSをサポートすることによりお客様の多種多様なニーズに応えることができる製品として豊富なラインナップを提供し続けている。
本稿では,PRIMERGYシリーズの特長について解説し,とくにデータセンター向けに最適化したプラットフォームPRIMERGY CX1000の省電力技術,冷却技術を説明する。

Franz-Josef Bathe, 杉本 利夫, 前田 英信, 田次 輝久

クラウド時代を迎えるにあたり,サーバプラットフォームでは高信頼性・高可用性だけでなく,ICTリソースの有効活用,効率運用のために仮想化技術が基本技術として要求されている。
富士通は2005年,オープンスタンダードであるIA技術とLinux/Windowsをベースに,メインフレーム開発で長年蓄えてきたノウハウと経験を結集し,基幹IAサーバPRIMEQUESTを開発した。市場投入以来,オープンミッションクリティカル市場を開拓し,様々な社会基盤システムに採用されている。そして更なる進化を目指し,従来シリーズの特長に加えて仮想化対応の強化,長期サポートの提供,グリーンICT対応の強化などを備える新モデルPRIMEQUEST 1000シリーズを開発し,2010年3月から販売を開始した。
本稿では,新モデルである1000シリーズのねらいと特長,採用技術について説明する。

廣瀬 元義, 佐藤 啓治, 栗田 真広, 本田 育史

オフコンのベストセラー機となったKシリーズの後継であるPRIMERGY 6000シリーズは,中堅企業の基幹サーバとして,あるいは部門サーバとして,業務システムを強力にサポートするビジネスサーバである。インターネットやパソコンなど,企業を取り巻くビジネス環境の変化に柔軟に対応しながら,「高信頼性」「高性能」「資産継承」を特長として発展してきた。そのために,富士通独自アーキテクチャであるKシリーズのハードウェアやOSは,オープンの技術と融合して進化しながら,新しい機能を提供し続けてきた。
本稿では,PRIMERGY 6000がこれまで取り組んできた高信頼性技術やOSの特長を紹介するとともに,クラウド時代に向けた仮想化への取組みについて説明する。

中本 豊秋, 中野 賢一, 荒武 幸二

IPネットワークは高速かつ大容量に,また,より安全性と経済性を備えたネットワークに進化し,今後,多様なサービスがIPネットワーク上に構築されていく。このようなIPネットワークサービスをスピーディに実現すると同時に,資産を継承しつつ円滑にネットワークの拡張を実現することが今後のシステムを構築する上で重要な要素である。
PICMG3.0(ATCA:Advanced Telecom Computing Architecture)は,主に通信事業者の要求に応えるために制定された,オープンスタンダードな国際標準規格である。富士通ではネットワークサービス構築基盤製品であるUB300をはじめとし,今後のIPネットワークサービスを構築するプラットフォームとして,本規格に準拠したハードウェア製品およびミドルウェア製品を提供しており,すでに商用システムで稼働している。
本稿では,最新ATCAモデルについて,富士通が提供するハードウェアプラットフォームを中心に紹介する。

河崎 裕哉, 松岡 章一, 牧野 篤博, 小野 嘉久

近年,ICTシステムの複雑化,データ量の増大に伴い,ICT管理者の運用業務に対する負担は増大する一方である。それに伴い,ストレージ装置においても効率的な運用管理機能の提供は,確実にデータを保持するといった基本機能に次いで重要な設計上の課題になっている。また最近では環境への配慮についての関心の高まりにより,ICT製品においても単に機能といった側面だけでなくいかに環境に配慮しているかが製品の大切な指標になってきている。
本稿では,ストレージ装置に対するこのような要求の変化に対して,ディスクアレイ装置ETERNUS DXシリーズで取り組んでいる効率的な運用管理機能の提供と環境に配慮した製品作りを紹介する。

熊野 剛

オペレーティングシステムおよび運用管理製品

ICTインフラは,システム最適化に向けたコスト削減が急務となっており,仮想化技術を用いたシステムリソースの有効活用が大きく注目されている。Oracle Solaris Operating Systemでは,サーバを仮想化するSolarisコンテナおよびOracle VM Server for SPARCと,ストレージを仮想化するSolaris ZFSを標準提供している。Solaris ZFSは,高信頼ファイルシステムであり,ストレージプール技術やスナップショット/クローン技術により,システムのディスク使用を効率化する。
本稿では,Oracle VM Server for SPARCのドメイン管理,リソース管理,ドメインマイグレーションと,Solarisコンテナのゾーン管理,リソース管理,ゾーンマイグレーションについて触れる。さらに,Solaris ZFSのZFSストレージプールおよびZFSファイルシステムについて紹介する。

小澤 彰利, 鈴木 克之, 垰田 雅己

近年,サーバ,ストレージ,ネットワークなど仮想化技術の実装が当たり前の時代になってきている。しかし,単に仮想化技術を使うだけでは本来の目的であるシステムの最適化やコスト削減の効果は得られない。重要なのは,目的に合わせて仮想化技術をどのように生かすかということである。技術が高度化するに従い,その技術を生かしてお客様ICT環境を改善・変革していくことが求められる。
本稿では,富士通のUNIXサーバである“SPARC Enterprise”の仮想化への取組みを活用技術の視点で論じ,ICT社会へどのように貢献してきたかを事例を交えて紹介する。

額田 大, 佐鳥 昭生

Linuxはオープンソースソフトウェアであり,Linuxコミュニティにおける様々なボランティアの開発,テスト,障害修正活動により急速に進歩してきた。富士通は,Linuxをボリューム領域からミッションクリティカル領域までをカバーするIAサーバ用の主要OSとして位置付けて,積極的にLinuxコミュニティに参加し,機能強化に取り組んでいる。
本稿では,Red Hat Enterprise Linux 5のベースであるカーネル2.6.18版以降に追加・改善された機能の中から,富士通がコミュニティで機能強化や品質強化に参加した,Cgroup(システムの資源管理),トレース機能(システムの挙動の可視化),スケジューラ改善(システムの応答性改善),Xeon 7500番台のMCAリカバリ機能(マシンチェック機構を利用した影響範囲の限定と回復)について述べる。

石井 宏延

企業内でのプライベートクラウド構築と運用に対するニーズに応えるため,富士通は2010年4月にServerView Resource Orchestratorを発表し,全世界に向けて提供を開始した。本製品は,企業内クラウドを運営する際に,サーバ,ストレージ,ネットワークのリソースを仮想化した資源プールとして一括管理するとともに,標準化された論理サーバ(L-Server)テンプレートをもとに,社内利用者に対してL-Serverを自動的に払い出して開設する機能を持つ。仮想基盤として広く使われているVMware,Hyper-V,Xenに対応し,すべてのクラウド環境を統合的に管理するツールとして有効である。さらに,ServerView Resource Coordinator VEの機能を利用した実サーバの統合運用機能もサポートしている。
本稿では,企業システムのクラウド化に対する富士通の対応方針を述べるとともに,その基盤となるResource Orchestratorのコンセプトおよび適用例を述べる。

江崎 裕, 松本 一志

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