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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2008-3月号 (VOL.59, NO.2)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2008-3

特集: 環境

本特集号では,富士通グループ全体の環境活動のコンセプト,および具体的な活動としまして,製品・サービスの環境価値向上,環境負荷低減など温暖化防止への取組みなどについて紹介しています。


取締役上席常務 グループ経営担当
岡田 晴基
取締役上席常務  グループ経営担当 岡田 晴基 写真

環境特集に寄せて(PDF)

富士通グループは,ICT産業のリーダとしての役割を強く認識し,自らの環境負荷低減は当然のこと,自社のハードウェア製品やソリューションでお客様の環境負荷低減を図り,社会全体・地球規模の環境負荷低減に向けて継続的に貢献してまいります。

特集: 環境 目次〕

総括

  • 富士通グループの環境への取組み

環境経営の基礎

  • 富士通グループの環境マネジメントシステム
  • 富士通グループのグリーン調達の取組み

製品・サービスの環境価値向上

  • スーパーグリーン製品の拡大と環境効率ファクターの達成
  • PCサーバPRIMERGYにおける省エネ化技術への取組み
  • 植物性プラスチックの研究開発と製品適用
  • 光触媒チタンアパタイトの開発と応用
  • 製品含有化学物質規制への対応
  • 国内・海外での製品リサイクルの取組み
  • ICTの活用による環境負荷削減の取組み
  • 環境業務を支援するソリューション

地球温暖化対策

  • 地球温暖化防止に向けた富士通グループの取組み
  • グリーン物流の取組み

工場・事業所における環境負荷低減

  • 製造系事業所における環境負荷低減活動 ‐グリーンファクトリー活動‐
  • 半導体工場における環境負荷低減活動

環境社会貢献

  • 富士通グループの環境社会貢献活動

特集:環境


総括

富士通は,1935年の創業以来「自然と共生するものづくり」という考えのもと,環境を経営の最重要事項の一つとして位置付け,環境保全をコストではなく,企業のバリューとしてとらえるという姿勢で様々な取組みを行ってきた。富士通グループ独自の環境方針と中期の環境行動計画を定め,「すべてをグリーンにします」をスローガンに社員一人ひとりによる環境活動を推進している。
さらに,富士通グループにおける環境負荷低減にとどまらず,近年のIT分野における環境に関する社会動向を踏まえ,グリーンITによりお客様の環境負荷を低減するプロジェクト“Green Policy Innovation”を2007年12月より新たに開始している。
本稿では,環境活動を経営の枠組みに合わせて体系的に実行するための環境経営の枠組みと,富士通グループの環境への取組みについて紹介する。

髙橋 淳久

環境経営の基礎

温暖化,資源枯渇などに代表される問題は今や地球規模での危機である。各メーカ企業は,このような問題を意識した,グローバルな環境保全対応や環境負荷低減,環境規制の強化に貢献する製品・ソリューションをお客様に提供するには活動の基盤作りが必要である。富士通グループは,その基盤として,環境マネジメントシステム(EMS)を活用し情報の共有,コミュニケーションの強化のため,富士通および国内外の連結グループ会社を対象にグローバル統合EMSを構築し運用・推進している。これにより,迅速な情報の伝達,および,必要な情報の体系的な収集ができ,効率的な活動となっている。
本稿では,富士通グループのグローバルEMSの推進体制,活動組織,および活動を紹介する。

田邉 茂,川口 努,朽網 道徳

持続可能な社会の実現のためには,経済活動と環境活動の共存はもとより,環境活動の進展が経済の発達につながることが企業に求められている。また,RoHS指令やREACH規則などのグローバルな環境法規制の動向を見据えると,企業のリスクマネジメントとして,サプライチェーン全体における含有化学物質の管理を強化していくことが必須となってきている。それらの状況を鑑(かんが)み,富士通グループでは,2007年4月に第5期環境行動計画を策定し,それに伴いグリーン調達活動も第5期として新たにスタートした。具体的には,サプライチェーン全体における環境活動を強化するために,「環境マネジメントシステムの高度化」「含有化学物質管理システムの構築」を二つの柱として,お取引先の活動を支援していく。
本稿では,富士通グループにおける「グリーン調達活動」の全体像とその取組み状況について述べる。

細貝 正男,大枝 健一,溝口 芳三

製品・サービスの環境価値向上

富士通グループでは,1993年度から製品環境アセスメントを実施し環境配慮型製品の開発を推進している。2007年度から開始した第5期富士通グループ環境行動計画では,製品の環境価値向上を強化するため,二つのプログラムを実施している。一つ目は,第4期行動計画から取り組んでいるトップグループの環境要素を持つスーパーグリーン製品の開発を,グループ全体に拡大し,より多くのスーパーグリーン製品を創出することである。二つ目は,新たな取組みである環境効率ファクターを導入し,2009年度までに2005年度製品比で環境効率を2倍にすることを目指すものである。これらの取組みは製品の全ライフサイクルを通じた環境負荷を低減するだけでなく,より高いパフォーマンスを備えた製品をお客様に提供することを目標としている。
本稿では,スーパーグリーン製品の開発における推進活動とその製品事例,および環境効率ファクターの取組みを紹介する。

高山 晴穂,篠村 理子,中神 好正,藤井 正隆

日本における国内総消費電力の約5%がIT機器であり,経済産業省の予想によると2025年にはIT機器の総消費電力量は2006年の約5倍となり,省エネ化が進むほかの産業分野と異なりIT業界のみが消費電力の増加が予想されている。また,企業にとっては,データセンタ運営にかかわる電力・空調費の削減などのため,ビジネス的見地からもPCサーバに対して省エネ化の関心が高まってきている。このような状況の中,富士通では,以前より,オフィス設置サーバの省エネ化に取り組んできた。
本稿では,PCサーバにおける最新の省エネ化技術の紹介と,オフィス設置サーバとして業界最高水準の環境性能を達成したPRIMERGY TX120を例に,開発コンセプトと環境負荷低減への貢献度について紹介する。

藤巻 秀明,万谷 忠

近年,石油や石炭などの化石資源の消費による二酸化炭素(CO2)排出量の増加に伴い,地球温暖化が急速に進んでおり,CO2排出量の低減が急務となっている。このような状況において,資源に限りがある石油の代替材料として,焼却処分時のCO2の発生量が少なく地球への環境負荷が少ない植物性プラスチックの活用に関心が高まっている。富士通では,1990年代から,植物性の材料(バイオマス)を原料とする植物性プラスチックに着目し,開発を行ってきた。その結果,トウモロコシを原料とするポリ乳酸をベースとし,植物性プラスチックの難燃化,ポリマーアロイ化技術を開発し,2005年春より,ノートパソコンの筐体に適用している。さらに,トウゴマを原料とするポリアミド11を用いた柔軟な植物性プラスチックを開発し,2007年春より,ノートパソコンの部品に適用している。本稿では,植物性プラスチックの開発技術,ライフサイクルアセスメント評価結果について紹介する。

木村 浩一,堀越 裕三

カルシウムヒドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2(以下,CaHAP)は歯や骨の無機成分であり,医学,歯学では人工骨,人工歯根などの医療用材料として,また吸着材や化学センサ,触媒材料など幅広い分野で応用が期待されている。酸化チタンは光半導体物質であり荷電子帯と伝導帯のバンドギャップに相当する光エネルギーを吸収して強い酸化分解力を持つヒドロキシラジカルを生成し,有機物を水と二酸化炭素にまで完全に酸化分解する。この酸化チタンの光触媒効果を環境浄化に利用するため抗菌タイルや空気清浄機フィルタなどの実用化研究が盛んに行われてきた。しかし酸化チタンには有機物を吸着する能力に乏しく分解効率の向上が課題となっていた。著者らはCaHAPのタンパク質などの有機成分を特異的に吸着する能力と,酸化チタンの光触媒効果双方の特性を併せ持つ新しい光機能材料,チタンアパタイトの開発に成功した。

若村 正人

富士通グループでは,2003年に欧州で制定されたRoHS指令をはじめとした,製品含有化学物質の規制への対応として,鉛を含まないはんだ材料の開発など先進的な活動を推進してきた。昨今,製品含有化学物質の規制は,日本や中国,韓国においてRoHS指令に類似した法律が制定され,北米など様々な国や地域において新たな法規制の動きが見られ,世界的に広がりつつある。これらの製品含有化学物質の規制に対応するためには,組織的な推進体制が重要である。
本稿では,富士通グループがこれまでに進めてきた「製品含有化学物質の管理」に関して,製品含有化学物質の規制対応で構築した富士通グループの組織体制や化学物質含有データの管理方法など,特徴的な取組みを中心に紹介する。

永宮 卓也,山田 真理子,今村 孝志

国内の動きがゼロエミッションと廃製品のリサイクルに向かう状況の中,1998年12月に国内業界初のリサイクルシステム(富士通リサイクルシステム)を構築した。これは,富士通グループが事業系向けのお客様に対して廃製品を回収し,処分するスキームである。子会社,パートナ会社が運営する富士通リサイクルセンターを全国5箇所に設置し,お客様の窓口として富士通ロジスティクス(当時)が担当して運用を開始した。現在は,廃棄物処理法に基づいて,広域認定を取得し,事業系と個人のお客様向けの廃製品回収のスキームを構築し,製品リサイクルサービスとして運用している。また,海外におけるリサイクルスキーム構築を2002年より開始し,2007年12月までに米国,カナダ,オーストラリア,フィリピン,シンガポールの5箇国7拠点でリサイクルサービスを実施している。

工藤 孝,市村 真

2008年から京都議定書で定められた第一約束期間が始まった。日本の2006年のCO2排出量(速報値)は,基準年(1990年)の排出量から比べて6.4%の増加であり,日本は,2012年までに12%以上の削減をしなければならない状況にある。とくに商業・事業所などからのCO2排出量は基準年と比べると42%増加している。富士通グループでは,ICTが社会の環境負荷の削減に大きく貢献できるとの考えから,ICT導入前後の,紙の変化量,人・物の移動の変化量,オフィススペースの変化量などから,導入後に15%以上のCO2削減効果をもたらすソリューションを環境貢献ソリューションとして認定する制度を2004年から導入し,ICTの持つCO2削減効果の見える化を積極的に進めてきた。この認定制度を通じて,社内の環境への意識改革を図るとともに,「ICTソリューション導入による環境への貢献」を,お客様へ分かりやすく提示してきた。本稿では,環境貢献ソリューション認定制度の背景と概要,認定して提供してきたソリューションの事例および適用効果を紹介し,さらにソリューションの環境負荷評価手法の標準化に取り組んだ経緯についても紹介する。

端谷 隆文,飯田 憲一,朽網 道徳

企業では,これまで法規制対応と自主的な目標から環境活動に取り組んできた。近年,欧州において製品に含有される化学物質に関する法規制が強化され,輸出企業を中心にそのサプライチェーンに連なる企業も巻き込んだ環境活動が求められてきた。一方,環境配慮型製品を企業の競争力と考えて,環境活動を経営に生かす企業も現れてきている。
今後も,企業の環境業務の範囲や業務量の拡大に伴い,環境業務の効率化や企業経営に環境情報を生かす仕組みの構築などを目指して,環境業務ソリューションを導入する企業の増加が予想される。
本稿では,環境マネジメントシステム分野,事業所の環境負荷低減活動を支援する分野,および製品の環境負荷低減活動を支援する分野などに分けて,環境業務ソリューションに求められる機能と導入効果について述べる。

村松 勝,住谷 壽美,舛巴 智

地球温暖化対策

京都議定書において,日本は,2008年から2012年の温室効果ガスの平均排出量を1990年比6%削減することを約束した。一方で,2005年度における温室効果ガスの排出量は1990年比7.8%増加している。エネルギー起源の二酸化炭素排出量において約65%を占める産業界は,それぞれの業界ごとに自主行動計画を作成し,国の目標を達成すべく活動を推進している。電機電子業界においても,自主行動計画の引上げが行われ,これまでの取組みに加え,さらなる活動の強化が求められている。これらの規制などが強化される中,富士通グループでは2007年度から第5期環境行動計画をスタートした。本計画の中で,地球温暖化防止に向けた取組みとして,国内においては,第4期計画から継続してエネルギー消費CO2排出量の絶対量削減目標を掲げている。
本稿では,これまでの活動に加え,今後の課題となる製造プロセスにおける活動ならびにオフィス部門の取組みを紹介する。

川口 清二,角野 夕一,藤井 正隆

2006年4月に「エネルギーの使用の合理化に関する法律」が改正(通称:改正省エネ法)され,輸送事業者だけでなく荷主企業へも物流における環境保全への取組みが強く要求されている。富士通は,従来から様々なグリーン物流の取組みを行ってきているが,「輸送CO2排出量を2010年度末までに2000年度比30%削減」という業界トップレベルの厳しい目標を掲げ,サプライチェーン全体にわたる環境負荷低減活動を展開している。
本稿では,この目標達成に向け,富士通が注力している「モーダルシフトの拡大」,「グリーン物流パートナーシップ推進事業」として取り組んだ首都圏を対象とした「部品調達から製品配送まで一貫した集中配車コントロールによるCO2削減の取組み」などの事例を交えながら紹介する。

丹羽 和彦

工場・事業所における環境負荷低減

富士通グループでは,地域社会との共生を目指し,工場操業における,様々な環境関連法規制に対し,より厳しい自主管理の枠組みに基づき,環境管理活動を実施してきた。
社会や事業形態の変化により,個々の工場が置かれている環境は異なるが,事業所という場所の概念に基づく環境活動は,現在も富士通グループの環境活動の基盤となっている。
本稿では,富士通グループ環境方針によるコンプライアンス確保の自主的な活動体系に加え,これまで継続してテーマに掲げてきた廃棄物削減,化学物質排出量の削減の取組み,第5期環境行動計画において新規に目標として設定したグリーンファクトリー制度の概要を紹介する。

川口 清二,水島 裕永,藤井 正隆

半導体工場は,様々な資源や大量のエネルギーを消費している。そのため,環境影響の軽減,とくに環境に対する影響度の大きな有害物質の使用量削減およびCO2やフロン系ガスなどの地球温暖化ガスの削減は市場要求も伴い半導体業界全体としての対応が求められる大きな課題となっている。
その課題に対し,富士通グループは2002年9月より,製造プロセスの定期見直しにより,資源投入量・使用エネルギーを削減し,環境負荷の低減を図る「グリーンプロセス」活動を実施している。また,省資源化と省エネルギー化を標準とした「グリーンファクトリー」を構築している。双方の導入により他社に先駆けた環境対策を推進している。
本稿では,このような半導体工場における環境負荷低減のための取組みについて,述べる。

今野 順一,八島 勝郎,水永 邦光

環境社会貢献

近年の地球温暖化をはじめとする地球環境問題は,人類が解決すべき喫緊の課題である。私たち一人ひとりは地球環境問題を認識し,ともに手を携えてその解決に向けて行動を起こす必要がある。富士通グループ社員一人ひとりも企業市民として,地域の方々と連携し地球環境問題の解決に向けて地域貢献,自然環境保全,環境教育などの活動を進めている。
本稿では,富士通グループの環境社会貢献活動の考え方,活動の具体例,活動推進のための施策について紹介する。

川口 努,畠山 義彦,小谷 真由美

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