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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2008-1月号 (VOL.59, NO.1)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2008-1

年頭ご挨拶

特集: 「ITコアサービス」

本特集号では,「可視化・分析技術」「人材育成」をはじめ,ITコアサービスを支える基盤技術・運用技術の研究・開発に関する富士通の取組みと,お客様の「フィールド・イノベーション」に貢献する富士通の最新サービスについて,ご紹介いたします。


経営執行役常務
サービスプロダクト
ビジネスグループ長
石田 一雄
経営執行役常務 サービスプロダクトビジネスグループ長 石田 一雄 写真

ITコアサービス特集に寄せて(PDF)

富士通は,お客様への運用サービスを起点とした企画・設計・構築を実施するライフサイクル提案を推進するとともに,市場とお客様ニーズに適合したITコアサービスの拡充とその基盤となる技術の研究・開発を積極的に推進することで,お客様の競争力向上に貢献してまいります。

特集:ITコアサービス 目次〕

概要

  • 国内ITサービス市場動向と富士通の取組み

ITとプロセスを進化させる最新サービス

  • 人とビジネスをつなぐネットワークサービスFENICS IIへの取組み
  • 富士通のSaaSへの取組み
  • 富士通の映像関連サービスビジネス

ITとプロセスを変える基盤技術

  • データ分析による現状業務の可視化 —業務プロセス可視化技術:BPM-E—
  • システム稼働状況をリアルタイムで可視化するシステム可視化技術
  • サービスプロセスへのトヨタ生産方式の適用
  • データセンタ統合情報基盤
  • Unified System Management Technology for Data Centres
    (データセンタ向け統合システム管理技術)

安定運用を実現する運用技術

  • ダウンロードセンタを活用したHDD復旧時間短縮によるお客様満足度向上
  • お客様システムトラブルの多発監視による安定稼働の実現
  • お客様ITシステムインフラの運用・保守への取組み

人材育成

  • サービスマインドを持ったプロフェッショナルの育成

特集:ITコアサービス


概要

国内経済は緩やかな回復基調にあるものの,グローバルな競争の激化,商品のライフサイクル短期化・低価格化など,経営環境は依然として厳しい状況である。こうした中,環境変化に迅速に対応し企業が成長するために,ITに対しても,「安定運用」「内部統制対応」など,経営基盤を盤石にするという役割と,「新規事業の創出」「営業力強化」など,戦略的な役割の両方が求められている。限られたリソースでこの要件に対応するため,企業は社外リソース活用を含むIT投資の最適化を進めている。
こうした背景により,ITサービスへのお客様ニーズ,すなわちITサービス市場は拡大を続けており,とくにITアウトソーシングの伸びが顕著である。また,SaaS(Software as a Service)などの新しいサービスも生まれてきている。
本稿では,ITサービス市場の動向について述べ,最後に富士通の取組みを紹介する。

大塚 尚子

ITとプロセスを進化させる最新サービス

富士通は,1985年の通信自由化を契機にネットワークサービスであるFENICSの提供を開始した。最近では,IT技術の広がりやネットワークの低価格化などにより,日常生活においては当たり前のようにネットワークが利用され,通信と情報の融合(ICT:Information and Communication Technology)の動きも広がっている。その一方で,お客様のニーズも多岐にわたり,従来のような画一的なサービスでは対応できない面も現れてきた。そこで従来の「拠点と拠点をつなぐ」といったFENICSサービスから,新たに「人とビジネスをつなぐ」という従来のネットワークサービスの概念を拡張したFENICS IIを2007年5月に発表し,多様なお客様の要求に応えられるようなサービスの実現に取り組んでいる。
本稿では,FENICSの新たな取組みとして発表したFENICS IIサービスの概要と新サービスについて述べるとともに,今後の展開についても紹介する。

大澤 達蔵,中庭 憲一

昨今,業務システムを自社個別に構築し所有するのではなく,すでに提供されているサービスを活用することで,機器,インフラ設備,IT人材などの情報システムリソースへの投資を抑止するとともに,即効性のある導入効果を期待するものとして,SaaSへの関心が高まってきている。このことはITの活用方向について,主として企業内の業務効率化を目的とした価値よりもビジネス価値への応用性が高まってきていることを示している。
ネットワーク経由で必要な業務アプリケーションを活用する考え方については,従来よりASPとして存在し,なおかつ情報システムリソースの有効活用については,アウトソーシングが存在しているが,なぜ,今SaaSへの期待が高まっているのか。
本稿では,このSaaS出現の背景,動向を踏まえながら富士通の取組みの方向性と今後提供していくサービスの概要について説明する。

佐竹 功二

富士通では,映像圧縮や著作権管理などの映像ビジネスに欠かせない特徴ある技術を保有している。また,映像配信のための大容量ネットワークのインターネットインフラの運用経験と先進的なお客様とのビジネス経験を併せ持っており,これらの技術とノウハウ・経験を基にした映像関連のサービスビジネスを展開している。
本稿では,映像関連サービスビジネスとして,コンテンツプロバイダ向けのネットTV向け映像配信ソリューション,双方向コミュニケーションを可能とする「場」のメディア化ソリューション,企業内でも活用できる映像監視・配信ソリューションについて紹介する。また,これらを通じて映像関連ビジネスに必須の要件を明らかにするとともに,映像を活用したビジネスを展開するお客様をサポートする富士通のソリューションについて説明する。

鈴木 茂之,藤山 武彦,猪俣 彰浩

ITとプロセスを変える基盤技術

企業統合・分割やテクノロジの進化など変化の激しい環境に適合すべく,企業は自社業務・システムの見直しを繰り返してきた。その結果,肥大化・複雑化が進み,現状を把握することが困難になってきている。著者らは,企業が蓄積しているデータに着目し,これを分析することで現状業務・システムのプロセスを可視化する技術(BPM-E:Business Process Management by Evidence)を開発した。これにより,詳細な業務知識や膨大なヒアリングなどを最小限に抑え,システムに手を入れることなくデータベースの情報からIT化された業務プロセスを可視化することが可能となった。また,可視化されたプロセスから現状業務・システムの課題を仮説する活用手法を考案した。
本稿では,開発した業務プロセス可視化技術,およびその活用方法を具体的な事例を交えながら紹介する。

西村 比朗志,岩貞 正樹,金井 剛,加藤 光幾

複雑化,ブラックボックス化が進み,ITシステムの運用管理の難しさが増している。この問題に対するソリューションの一つとして,著者らはITシステムの動作を見える化する「システム可視化技術」の開発を進めている。
この技術は,資源・構成管理を主目的とする一般的な運用管理ソフトウェアと異なり,一連の業務トランザクションの動作タイミングをリアルタイムに把握し,それを「普段の動作とずれていないか」という視点で表示することができる。すでにお客様との試行で高い評価をいただいており,商品化を目指した準備を進めている。
本稿では,まず,この技術の概要と特長について説明し,つぎに,現在の技術レベルとビジネス化の状況について紹介する。さらに,今後の技術開発とビジネスの方向についての考えを述べる。最後に,ビジネス可視化技術を含む技術的なビジョンを示す。

武 理一郎

富士通のITコアサービスの柱の一つであるITアウトソーシングサービスの現場では,お客様への高い価値の提供,業務品質の向上を目指した業務プロセス改善活動が進められている。この活動では改善手法として定評のあるトヨタ生産方式を適用しているが,生産現場のための改善手法をアウトソーシングサービスの現場に適用するに当たっては様々な課題があり,適用のための創意工夫が必要であった。とくに,サービス業務という目に見えないものをいかに見える化し,標準化(型決め)し,後戻りすることなく継続的に改善を積み上げていくかが大きな課題であった。
本稿では,トヨタ自動車株式会社様と共同開発したオフィス業務向け業務プロセス改善支援システム“KAIZENGEAR”を適用し,上記の課題を解決することでプロセス改善活動の効果を上げている富士通のアウトソーシング事業の事例を紹介する。

村本 徹也,山端 哲

データセンタは規模と複雑さが増大し続けている。高品質なサービスにはサービスマネジメントを支える運用支援ツールが欠かせない。お客様のビジネス・イノベーションのスピードに見合う迅速・高品質なIT運用の管理基盤として,CMDB(Configuration Management Database)や運用支援ツール,およびそれらの間のデータ連携が重要である。業界ではCMDB連携に関する方式標準化の動きもある。富士通は,標準化仕様を取り入れながら,データセンタに内在する各種情報の統一表現とデータ交換を目指し,ITIL(IT Infrastructure Library)V3で導入されたCMS(Configuration Management System)における情報統合レイヤの構築に取り組んだ。運用管理情報のデータ構造化と統一表現により運用データの活用が容易となった。またCMDB内の情報や運用支援ツール間での相互データ活用により,提供サービスのスピードアップと品質向上を実現した。

谷内 康隆,小林高洋,大塚 浩

富士通が持つ統合システム管理技術(USMT)は,Webサービス標準仕様を活用した強力かつユビキタスな基盤である。アプリケーションサービスおよびソフトウェアサービスからハードウェア構造に至るまで,データセンタのすべての階層におけるコンポーネントを管理するための統合機能を提供する。USMTはオペレータに対し,単一統合管理インタフェースを提供する。この場合,操作主体のオペレータは自動管理アプリケーションであるのか,人間であるのかは問わない。このインタフェースを介して,統合された共通管理機能にアクセスすることができ,同機能をデータセンタにあるコンポーネントに適用することが可能となる。本稿では,富士通グループ内および富士通のお客様に対する事業価値提案活動の概要を説明するとともに,USMTがこの価値提案活動にどのように生かされているかについて述べる。

David Snelling,Sven van den Berghe,Michel Drescher

安定運用を実現する運用技術

パソコン製品の長時間ダウンとなる要因の一つであるハードディスクドライブ(HDD)故障において,その復旧には現地でのインストール作業などに多大な工数と時間を要しており,これらの短縮が大きな課題であった。
この課題を解決するため,インストールマスタを格納したダウンロードセンタを核とし,保守用部品を在庫している全国のパーツセンタに設置したダウンロードサイトによるマスタダウンロード,HDDへの書込み機能を組み合わせ,オンデマンドでOSやアプリケーションソフトウェアをインストールしたHDDを迅速に提供できるインフラを新たに構築した。
本稿では,ダウンロードセンタのインフラ構築による復旧時間短縮,さらには,本インフラのリカバリサービスビジネスへの応用など,お客様満足度向上への取組みと,今後の新規ビジネス展開について紹介する。

高城 博章

富士通では,お客様システムの安定稼働を強力にバックアップする保守・運用支援サービス“SupportDesk”を提供している。システムを構成する広範囲なオープン系製品群について,ハードウェア障害からソフトウェアトラブル,Q&Aまでを富士通サポートセンタ(OSC:One-stop Solution Center)の専門技術者がワンストップで対応し,お客様システムにおけるトラブルを迅速に解決している。
SupportDeskでは品質向上のため,サポート品質,製品品質など複数の視点で品質管理を行い常にPDCAを回しているが,さらにサポート力を高めるため「お客様単位のトラブル多発監視」を品質管理に取り入れた。
本稿では,お客様単位のトラブル多発監視専門チームにおける監視手法やその活動と結果について紹介する。

中村 隆文,水澤 信彦,伊藤 昌彦

企業活動に情報技術(IT)が溶け込む中,これらを支えるITシステムインフラは時々刻々と新しい機能や機器が追加され,システムの構成は複層的になってきている。さらに,ITシステムインフラの担当者もネットワークやDB,OSなど,機能単位の分業化が進み,システムの全体像はますますとらえにくくなっている。そこでITシステムインフラの提案から設計・構築のプロセスの見直しと標準化を実施することで,運用要件に応じたITシステムインフラの設計情報をデジタルデータとして管理しておき,構築や運用時における変化についてもデジタル情報として実機から採取するようにした。
それによって設計時の情報と現在の情報を比較,分析することが可能となり,システムの全体像をとらえ,お客様のITシステムインフラの安心・安全・安定な運用を継続できるシステムサポートインフラの構築とその運用を行っている。

長谷川 満

人材育成

IT社会は年々進化の速度を増し,アウトソーシングをはじめ,ITを活用した様々なサービスがお客様のビジネスを支えてきている。サービスビジネスで最も重要な経営資源は「人材」である。サービスとは無形で,お客様に満足していただいて初めて価値あるものになるのであり,お客様の立場に立ってサービスを実行する「人材」に大きく依存するからである。そのため,富士通では,「人材育成」を最重要課題に掲げ,「サービスマインドを持ったプロフェッショナルの育成」を目指している。富士通では,入社時からプロフェッショナルに至る人材育成体系を整備し,サービスマネジメントを体系的に学ぶ仕組みを構築している。さらに,サービスビジネスに従事している者にとって最も重要なものは,お客様の立場に立ったサービスマインドと人間力であるとの認識のもと,技術力だけでなくサービスマインドと人間力の涵養(かんよう)にも取り組んでいる。

菊田 志向,隈部 壽明,田中 順子


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