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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2007-9月号 (VOL.58, NO.5)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2007-9

特集: 「ITプラットフォーム」

急激に変化し続ける社会環境の中にあって,ITシステムは,企業自らのビジネスを支えていく基盤そのものになってきております。
本特集では,最適なインフラを構築していくために必要となるプラットフォームの基本技術への現在の取組みや,サーバ製品,ストレージ製品,ネットワーク製品のハードウェア,ソフトウェアの新しい技術について,その一端をご紹介いたします。


経営執行役常務
システムプロダクトグループ長
富田 達夫
経営執行役常務 システムプロダクトグループ長 富田 達夫 写真

ITプラットフォーム特集に寄せて(PDF)

富士通がTRIOLEとして目指す価値はAgility(機敏性),Continuity(継続性),Efficiency(効率性)の三つのお客様のニーズに応えていくことであり,これを満たすための最適なITプラットフォームの提供こそが,富士通の目指すべき重要な役割の一つであると考えております。

特集: ITプラットフォーム 目次〕

TRIOLE

  • IT基盤TRIOLEの目指すITインフラ最適化

TRIOLEを支えるプラットフォーム

  • 基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”のパーティショニング技術と動的構成制御機能
  • サーバ集約の課題を解決するブレードサーバPRIMERGY BX620 S4の新技術
  • エンタープライズストレージETERNUS8000のテクノロジ
  • 統合をコンセプトにネットワークの安定性・安全性を実現するIPCOM EXシリーズ

基礎テクノロジ 仮想化と環境技術

  • サーバ仮想化技術とその最新動向
  • 仮想化システム環境における自動化技術
  • コンパクトサーバ PRIMERGY TX120を実現する革新技術
  • 大規模プリント基板の電源ノイズ解析
  • SPARC64 V/VIの省電力技術と将来展開

一般

  • 富士通の非接触型手のひら静脈認証装置“PalmSecure”を利用した学校食堂向けe-POSシステム

特集:ITプラットフォーム


TRIOLE

オープン化の進展により,様々な企業内の部門・業務にITが浸透してきた。これにより,業務改善や経営のスピードアップが実現され,経営とITの関係は切っても切り離せないものとなっている。このような状況において,富士通のIT基盤TRIOLEの活動では,過去4年間で約9000件に及ぶ提案実績を様々な切り口で収集している。これらの情報を分析し,お客様の利用シーンを浮き彫りにすることでインフラの全体像を明確にしてきた。お客様のITインフラの使われ方を製品の切り口ではなく,「利用シーン」として分かりやすくすることで,サーバ,ストレージ,ネットワーク,セキュリティ,運用など,すべての要素を総合的に組み合わせたインフラ最適化モデルを開発した。従来,部分最適でしか論じられていなかったITインフラの最適化を全体最適化の観点から論じることで,ますます高度化するITを経営のニーズに合わせてスピーディに対応していく。
本稿では,TRIOLEが推進しているインフラ最適化の手法とそれを支えるプラットフォームの取組みについて紹介する。

三津濱 元一,村本 重樹

TRIOLEを支えるプラットフォーム

基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”では,基幹システムとして必要とされる高性能,高信頼性,高可用性,柔軟性をオープンプラットフォームにより実現している。とくにメインフレームに匹敵する高信頼性を実現する富士通独自の完全自立復旧型の2重化同期化機構(DSSA:Dual Synchronous System Architecture)の搭載,オープンスタンダードの採用(OS:Linux,Windows,プロセッサ:Intel Itanium2),データセンタに向けた最適化機構(フレキシブルなパーティショニング,マルチOSスケールアウト,スケールアップ作業に対応)を実現している。
本稿では,これらを実現するための基礎技術を説明し,さらに,一つの筐体内を複数に分割し,それぞれを独立したシステムとして動作させることができるExtended Partitioning(XPAR)と,それらのシステムを停止することなく構成変更を可能とするDynamic Reconfiguration(DR)について説明する。

本田 育史,小林 弘典

企業のITシステム最適化が進む中,富士通の約9000件の商談分析によるとブレードサーバがインフラ最適化の重要なIT基盤であり,ブレードサーバ導入の8割がサーバ集約化であった。お客様にとっては,サーバ集約には,経営層によるITシステムの全体像把握やユーザ部門のサーバ運用負荷からの解放,情報システム部門のITコスト削減の期待がある一方で,統合によるネットワーク設計の複雑化や情報システム部門の負荷増大などの問題もある。富士通は,多くのインフラ最適化商談の経験からこれらサーバ集約の問題を把握し,この問題を解決するため,ブレードサーバを進化させ,ネットワーク機能の拡張によるITシステムの柔軟性向上,仮想化技術による運用管理の容易化,低消費電力化を実現したブレードサーバPRIMERGY BX620 S4を開発し,販売を開始した。
本稿では,これらを実現した技術を紹介する。

藤巻 秀明,松原 正和,篠田 雅敏

近年1台のストレージ装置に搭載されるディスク容量は爆発的に増大し,複数のサーバから接続されるために,サーバは計画的な停止ができても,ストレージ装置は停止できず,24時間365日の無停止運用が要求される。このため,高性能かつ高信頼な装置の開発が今まで以上に重要となり,故障部品交換,ファームウェアによる新規機能の提供,構成の変更に至るまで装置を止めずに行う必要がある。このような要求を満たすため,富士通は,ストレージ製品に対して,ハードウェアの冗長構成に徹底的にこだわり,メインフレームで培った高い技術に支えられて,無停止運用に向けた機能,技術を開発してきた。
本稿では,最新のエンタープライズストレージであるETERNUS8000における無停止運用を実現するリダンダントコピー,サイクリックミラーリング,活性ファームウェア交換などの活性交換技術,ディスク暗号化やRAIDマイグレーションなどのデータ保証へのこだわり機能,QuickOPCやSnapOPCなどのバックアップ機能,リモートメンテナンスなど保守性を高める取組みについて紹介する。

石川 準

企業システムに対する安定性・安全性に対する要求はますます高まってきている。
本稿では,企業システムを構成しているネットワークの立場から,まず,安定性・安全性を実現するWANエッジ領域とサーバフロント領域を説明し,それぞれの領域における安定性・安全性を阻害する要因とそれへの対策となる機能について述べる。つぎに,富士通のネットワークサーバIPCOM EXシリーズにおいて,「統合」の基本コンセプトの基で,従来機種で培った安定性を実現する機能に加えて,導入・設計の簡素化と運用・トラブルシューティングの簡素化を図ったことを述べ,さらに本シリーズにおいて強化した安定性,シンプル性,安全性について述べる。最後に,本シリーズのWANエッジ領域とサーバフロント領域への適用事例について紹介する。

天満 尚二

基礎テクノロジ 仮想化と環境技術

急激に変化するビジネス環境を支えるITシステムはますます大規模化,複雑化しており,要件に応じた最適なITインフラの迅速な構築が重要な課題となっている。サーバ仮想化技術はこれを解決するための基盤技術であり,物理的なハードウェアの制約にとらわれることなく仮想的なサーバを柔軟に構築する技術である。サーバ仮想化技術により,TCO(Total Cost of Ownership)の削減や変化への迅速な対応が可能になる。富士通の基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”およびPCサーバ“PRIMERGY”では,ソフトウェアによるサーバ仮想化技術として,オープンソースのXenの技術を利用した「仮想マシン機能」を提供している。
本稿では,サーバ仮想化技術の背景と動向,富士通の仮想マシン機能とXenの構成概要,および基幹システムへの適用に不可欠な大規模メモリ管理方式への対応,I/O処理の高速化・機能拡張,RAS強化の開発について解説し,最後に今後の展開を述べる。

小口 芳彦,山本 哲

近年,ITインフラの最適化,システム投資の効率化に加え,サーバ省電力化への対応として,拡大したシステムをブレードサーバに集約し,集積効率や運用効率を向上させることへの関心が高まっている。また,マルチコア化によるCPU性能の向上や,仮想化技術の進化に伴い,集約できるシステム(業務)の数は増加している。しかし,システムの集約には,整合性の取れた各種の構成変更や安定した運用が必要となり,サーバの集約に伴うシステム管理者の負担は増す一方である。このような背景から,富士通は,システム管理者の負担を軽減し,ブレードサーバシステムの運用性,可用性の大幅な向上を実現するサーバ仮想化管理ソフトウェアであるSystemwalker Resource Coordinator Virtual server Editionを開発し,販売を開始した。
本稿では,従来製品の技術について簡単に触れた後で,本製品の統合サーバ管理,SAN仮想化管理,リソースの割当てや変更を自動化するサーバオーケストレーションのそれぞれの技術を紹介する。

藤原 隆,日比 賢伸,吉川 茂洋,矢澤 浩

近年,内部統制によるデータ保全性の市場ニーズの高まりにより,従来パソコンを使用してデータ管理を行っていた企業のデータ集中管理のためのサーバ導入が進んでいる。その場合,サーバ選択のポイントとして,大きさ・低消費電力・低騒音が重視される。一方,小型化,低消費電力化の技術革新も進んでおり,富士通は,これらの市場ニーズや技術革新を踏まえ,机上設置でデスクトップパソコンと並べて使える大きさ・低消費電力・低騒音を実現したコンパクトサーバPRIMERGY TX120の提供を開始した。
本サーバには,2.5インチハードディスクの採用やコンポーネントの小型化などの省スペース技術,低消費電力部品の採用やPWM(Pulse Width Modulation)ファンなどの省エネルギー技術,ヒートパイプ冷却方式やプッシュ-プル冷却方式などの静音化技術が備わっている。また,サーバとしての信頼性についても,従来の1wayサーバに劣ることのない信頼性技術を備えている。

谷川 亮直,万谷 忠,小林 憲明

デジタル機器の動作周波数の高速化とLSI動作電圧の低電圧化に伴いLSI,パッケージ(PKG),システムインパッケージ(SIP)およびプリント基板(PCB)などから構成される機器において,電源グランドバウンスノイズ,同時スイッチングノイズ,EMIなどのノイズ問題のために開発期間の長期化とコスト増加の問題が顕在化している。著者らは,LSI,PCB一体の大規模電源ノイズ解析を設計上流段階から設計完了後の検証段階までのすべての設計段階において適用することにより,最適なノイズ対策設計の作り込みが実現可能なCADシステムである電源ノイズ解析システムを構築して装置設計に適用した。これによりノイズ問題発生による設計手戻りの発生を大幅に削減することができた。
本稿では,本システムの特徴とハイエンドサーバへの適用について説明する。

佐藤 敏郎,安達 裕幸

高性能マイクロプロセッサは,集積度の向上によって性能向上を果たしてきたが,同時に消費電力が大きくなってきた。
本稿では,はじめに消費電力について,回路がスイッチングして消費するアクティブ電力と,回路が動作しなくても電源を入れただけで流れるリーク電流に起因するスタティック電力に分けて説明する。つぎに,SPARC64 V/VIに適用したアクティブ電力,スタティック電力などの省電力技術について説明する。アクティブ電力の削減については,回路のスイッチングを減らす設計上の工夫を説明する。また,スタティック電力についても設計上の工夫を説明し,さらに使いこなしの工夫による電力削減について説明する。そして,これらの技術を適用したSPARC64 V/VIの消費電力について分析し,最後に今後の方向性に言及する。

井上 愛一郎

一般

ヨーロッパにおける非接触型手のひら静脈認証装置“PalmSecure”(以下,PalmSecure)アプリケーションの初の実用化は,意外な形で実現された。富士通が開発したPalmSecureの生体認証技術は,そのセキュリティレベルの高さから,銀行や行政機関向けが主な適用分野となっていた。ところが今回,スコットランドの公立小学校の児童が利用する学校食堂での給食代金の決済方法に適用され,その真価を発揮したのである。このビジネスチャンスの発掘には,富士通ヨーロッパ(FEL)の持つ新規ビジネスモデルが寄与している。同ビジネスモデルは,想定可能なアプリケーションに対する予断は一切行わず,エンドユーザのニーズはエンドユーザとの直接対話によってのみ見極めるのである。また,富士通のグループ企業やグループ以外の企業とともに一様に緊密な協調関係を結ぶことによって,ユーザのニーズに最適な様々なソリューションを提供するというものである。今回FELは建設会社(Amey),ソフトウェア開発会社(Abelon),およびソフトウェア開発/システムインテグレーション会社(Yarg)と特に綿密な連携をとった。こうした連携の結果開発されたソリューションにより,児童はPalmSecureリーダに手のひらをかざすだけで,食事の支払いが迅速かつ簡単に行える。現金,食券,スワイプカード(磁気カード)などはもちろん,誤用や不正使用が発生しやすいシステムを一切使用する必要がないのである。FELのソリューションは,スコットランドのペイズリーにある公立トッドホーム小学校で順調に設置,運用され,本稿執筆時点ではスコットランドにある他校でも導入されている。また,英国中の学校でその導入が検討されている。

Mike Nelson,Tim Wright,芦田 博史


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