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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2007-3月号 (VOL.58, NO.2)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2007-3

特集1: 「3.5世代移動通信」 特集2:「最新映像符号化H.264/AVC」

3.5世代移動通信特集では,NTTドコモ様のご指導をいただきながら,富士通の持つ無線技術,デジタル信号処理技術,ソフトウェア技術,電子デバイス技術などを結集して開発したHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)技術・製品をご紹介いたします。また,最新映像符号化H.264/AVC特集では,H.264/AVCの市場からの要求に応えるべく,新しいサービスやソリューションに対する高い完成度の共通基盤を提供するという視点から,富士通が取り組んできた成果をご紹介いたします。


常務理事 モバイルシステム事業本部長
岩渕 英介
常務理事 モバイルシステム事業本部長 岩渕 英介 写真

3.5世代移動通信特集に寄せて(PDF)

富士通はIMT-2000の研究開発段階から,インフラシステムおよび携帯端末の開発に先駆的役割で携わり,第3世代携帯電話サービスの実用化とその後の発展の一翼を担ってきました。常に先駆者としての役割を強く認識し,さらなるワイヤレスコミュニケーション技術の発展に取り組み,次世代の移動通信システムの構築やサービスの充実に継続的に貢献してまいります。

特集1: 3.5世代移動通信 目次〕

  • HSDPAの概要
  • HSDPA対応無線ネットワーク制御装置
  • HSDPA対応無線基地局装置
  • HSDPA端末装置開発への取組み
  • モバイルサービス基盤技術への取組み
  • ユーザを中心にした携帯電話・情報家電連携

富士通研究所フェロー 画像・バイオメトリクス研究センター長
松田 喜一
富士通研究所フェロー 画像・バイオメトリクス研究センター長 松田 喜一 写真

最新映像符号化H.264/AVC特集に寄せて(PDF)

富士通は,HDTVやブロードバンドネットワークを生かした新しいサービスを実現するために,「画像の富士通」をキャッチフレーズに,今後とも優れた製品の提供とその基礎となる研究開発を進めてまいります。

特集2: 最新映像符号化H.264/AVC 目次〕

  • H.264/AVCの適用動向と富士通の取組み
  • 組込みプロセッサ向けH.264/AVCコーデックミドルウェア技術
  • H.264/AVC準拠HDTV対応ビデオコーデックLSI
  • IPネットワーク対応H.264/AVCコーデックシステム
  • ワンセグ放送向けオーディオ符号化技術

特集1:3.5世代移動通信


HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)は,第3世代移動通信システムに採用されている方式の一つであるW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式に導入されたパケット通信に特化した下りアクセス方式であり,3GPP(3rd Generation Partnership Project)において技術仕様が策定された。この方式の導入により,最大384 kbpsだった従来の下り伝送速度が,最大で14.4 Mbps,平均でも2~3 Mbpsまで向上し,多種多様なマルチメディアサービスへの適用が期待されている。
HSDPAでは,複数ユーザで一つの無線チャネルを時分割で使用する共有チャネルを用い,さらに,適応変調方式,HARQ(Hybrid-ARQ)といった技術を新たに導入することで,ピーク伝送速度の高速化,低遅延,高スループットを達成した。本稿では,これらの新技術の概要説明を行うとともに,端末における受信性能改善技術の一例を示す。また,今後の標準化動向にも言及する。

川端 和生,古川 秀人,杉山 勝正

プレスリリース次世代携帯電話の受信品質を高める技術を開発

HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)は,W-CDMA方式を採用する無線系アクセスネットワークにおいて,下り方向,最大14.4 Mbpsの高速パケット伝送路を提供するための技術である。この技術は当該ネットワークにおいてエンドユーザがダウンロードするコンテンツの容量を大幅に拡大させ,より豊富で多彩なサービスを実現可能とした。
本稿では,無線系ネットワークのマネジメントノードである無線ネットワーク制御装置(RNC)におけるHSDPAサービスの適用概要を述べるとともに,効率的にユーザデータを転送可能とする仕組みについて解説する。また,HSDPA機能を追加するに当たり,既存の音声データや個別のパケットデータを含めて最も効率的に,かつ効果的に無線系ネットワークを制御するソフトウェア技術の特徴について述べる。

浜田 裕,後田 智司

富士通は,株式会社NTTドコモ様向けにHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)機能に対応した無線基地局装置を開発した。HSDPA方式は,3.5世代移動通信システムとして位置付けられ,第3世代移動通信方式で採用されているW-CDMA方式の伝送速度向上を目的として標準化が行われた方式である。HSDPA機能の実現に当たっては,すでに稼働しているW-CDMA無線基地局設備の資産を有効に活用し,一部ユニットの交換によるシームレスな移行や,低コスト/低消費電力化や高トラフィックに対応し,加速する第2世代から第3世代移動通信への移行と移動通信サービスの需要拡大にも備えた無線基地局装置を完成させた。
本稿では,設備導入コストを抑えたHSDPA対応の無線基地局装置について,その概要と特徴を紹介する。

米田 強,平田 修也,津田 知宏

プレスリリースNTTドコモ「Super 3G無線基地局装置」の開発・製造メーカーに選定

富士通は,高速通信が可能なHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)に対応するFOMA端末を株式会社NTTドコモ様と共同で開発した。この端末は最大で3.6 Mbpsのデータダウンロード速度を実現しており,これによって従来の端末に比べて約10倍の通信速度を提供することが可能となる。このように,通信速度が大幅に向上する反面,電池の持ち時間や小型化など本来携帯電話に求められる基本的な性能を維持しなければならないため,無線プロトコルや信号を処理するベースバンドLSIを新たに開発し,従来のFOMA端末と遜色のない性能を達成した。
本稿では,今回開発したHSDPA端末のプラットフォームの特徴と今後の方向性などを紹介する。

松村 孝宏,新井 康祐,早坂 勝則

携帯電話の高機能化,第3世代・第3.5世代などの移動通信網の広帯域化により,音楽やビデオ映像などリッチなメディアを用いたサービスの利用が進むとともに,業務での活用も急速に進んできている。業務利用においては,モバイル営業支援システムなどのように固定網とPCを中心としたオフィスでの利用の延長で,携帯電話からの利用が行えるケースや,現場作業支援システムなどのようにモバイル専用業務として提供されることも多い。しかし移動通信環境は,従来のオフィス利用環境と異なり,移動先で電波到達圏外となったり,電波が不安定になったりするなど,いくつかの課題を抱えている。
本稿では,第3.5世代,第4世代移動通信も視野に入れたモバイルソリューションの提供に向けて,これらの課題に対応したモバイルミドルウェアに関する富士通研究所の取組みについて紹介する。

奥山 敏,松井 一樹,松倉 隆一

プレスリリース高品質無線IP電話システム

プレスリリースユビキタストランシーバ技術

ユビキタスな環境では,機器・サービス・データなどをその所在にかかわらずユーザの視点で組み合わせて活用する,ユーザ・セントリック・コンピューティングの実現が重要である。現在,携帯電話の進化や情報家電の相互接続標準規格であるDLNA(Digital Living Network Alliance)の普及に伴い,携帯電話と情報家電の連携方式が盛んに研究・実用化されている。しかし,移動先の携帯電話から自宅の情報家電に蓄積したコンテンツを視聴する場合,従来方式では携帯電話自身がリモートアクセスやコンテンツ表示を行うため,表示画面が小さく消費電力が大きいなどの問題があった。そこで著者らは,携帯電話をキーとして,移動先にある表示機器と自宅の情報家電とを連携させる技術を開発した。携帯電話上と自宅側の二つのゲートウェイを協調動作させることで,セキュリティを確保しつつ,低消費電力で高速なコンテンツ配送を実現した。

毛利 隆夫,福田 茂紀,竹間 智

特集2:最新映像符号化H.264/AVC


従来のMPEG-2に比べて2倍以上の圧縮率を実現する動画像符号化方式H.264/AVCが2003年にITU-TとISO/IEC共同で国際標準化された。H.264/AVCは,その性能の高さからモバイルからHDTVまでの幅広い適用分野で採用が進んでいる。一方,その実用化に当たってはMPEG-2の10倍程度の演算量や符号化制御の難しさなど多くの課題がある。富士通では,これらの課題に取り組み,MPEG-2に比べて2倍以上の効率を最大限生かしつつ,富士通独自の低演算量,高画質を実現する符号化方式の開発に成功した。そして,この富士通独自の開発技術を武器に,デバイス技術からネットワーク技術までの強みを生かし幅広い分野のH.264/AVC対応の製品を開発している。
本稿では,H.264/AVCについて,特徴,適用動向,実用化の課題と課題を解決するために富士通が開発した技術,および富士通の製品適用への取組みを説明する。

中川 章

H.264/AVCは,近年注目を集めている動画像符号化方式である。従来のMPEG規格に比べて高圧縮性能であること,適用可能なアプリケーション領域が広いことが特長である。富士通では,H.264/AVCをハードウェア(LSI),ソフトウェア(コーデックミドルウェア,システムソリューション)の両面で開発を進めている。
本ソリューションの最大の特長は,ソフトウェアならではの柔軟性を生かした高画質最適化や機能追加などの顧客カスタマイズである。例えば,エンドユーザの手元でアップデートを行うなど,アップグレードへの継続的な対応を可能とする。つまり,システムの継続性,トータルコスト削減に対して有効である。
本稿では,メディアプロセッサとミドルウェア処理を中心とする組込みシステム向けH.264/AVCコーデックのソリューションについて述べる。

久保田 智規,此島 真喜子

次世代動画像圧縮技術として期待される標準規格H.264/AVCに準拠し,HDTV(High Definition Television)画像を圧縮・再生するビデオコーデックLSIを開発した。本LSIでは,高精細画像の圧縮処理で課題となる外部メモリアクセス量を,従来に比較して25~45%低減する「プリフェッチメモリ制御技術」を採用し,富士通が長年にわたり蓄積してきた高画質化アルゴリズムを最適実装することにより,優れた高画質性能と低消費電力特性を両立した。本LSIは,独自の低消費電力メモリであるFCRAM(Fast Cycle RAM)2個と1パッケージ化され"MB86H50"として製品化されており,HDTV画像のAVエンコード処理時においてメモリを含むチップ全体で約600 mWという業界トップレベルの低消費電力を実現した。これにより,ポータブルAV機器やハードディスクレコーダ,ホームネットワーク機器など様々な機器で高精細映像の高画質での録画・再生・伝送を可能にした。

中山 寛,渡部 康弘,東 明浩

プレスリリース映像処理LSI MB86H50

近年,地上デジタル放送の開始や大画面テレビの普及などに伴い,映像コンテンツのHD(High Definition)化が進む一方,ネットワークの高速化・低価格化により,IPネットワークによる映像配信というサービスもより身近になってきている。そして現在では膨大なデータ量であるHD映像コンテンツを安価なIPネットワークで収集・配信したいというニーズへと発展してきている。
本稿では,このような需要に対応するため,従来方式の2倍以上のデータ圧縮を実現する最新映像符号化方式"H.264/AVC"を用いた,IPネットワークによるHD映像コンテンツのリアルタイム伝送技術を世界に先駆けて実用化し,国内外を問わず多様な映像ソリューションを実現するプロダクトとして開発したH.264/AVCコーデック"IP-9500"を紹介する。

宮坂 秀樹,溝口 美智子,梅崎 靖

符号化技術の進歩に伴い,映像や音声を高能率に圧縮することが可能となり,ワンセグ放送やコンテンツ配信サービスなどの新しいサービスが普及している。ISO/IECでは,2003年に最新のMPEGオーディオ規格としてHE-AAC(High-Efficiency Advanced Audio Coding)方式を標準化した。HE-AACは従来のAAC(Advanced Audio Coding)方式をベースとして圧縮率を高めた音声符号化方式である。ワンセグ放送では,映像(H.264/AVC)と音声およびそのほかの情報を含めた合計のビットレートが約400 kbpsと低いため,できるだけ音声のビットレートを減らして映像のビットレートを多くすることが望ましい。富士通は,現行のワンセグ放送におけるビットレート(48 kbps)よりも低い32 kbpsの低ビットレート条件で高音質を実現するHE-AACエンコーダ方式を開発した。
本稿では,HE-AACの符号化音質を向上する技術を紹介し,音質評価試験結果によりその有効性を示す。

鈴木 政直,大田 恭士,伊藤 隆


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