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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2006-5月号 (VOL.57, NO.3)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2006-5

特集: 「ユビキタス」

本特集では,製品として展開しているRFID,モバイル,手のひら静脈認証などキーテクノロジの適用事例,および今後製品化を予定している諸技術(コミュニケーション技術,端末/センサ技術,バックエンドシステム技術)を紹介いたします。


経営執行役 サービスプロダクトビジネスグループ副グループ長
長野 佳久
経営執行役 サービスプロダクトビジネスグループ副グループ長 長野 佳久 写真

ユビキタス特集に寄せて(PDF)

富士通は,ユビキタス社会の新たな価値創造を進めるために,種々のユビキタスコンピューティング技術および各種製品,No.1システムインテグレータとしてのシステム構築力,システム運用ノウハウを結集して,お客様とともにICT利活用の知恵を育ててまいりたいと考えます。

特集: ユビキタス 目次〕

適用事例概要

  • ユビキタス社会への富士通の取組み

適用事例

  • ユビキタスネットワーク社会実現に向けた関係省庁の施策
  • 食品流通分野におけるUHF帯RFIDシステムの適用
  • UHF帯RFIDを利用した社内資産管理
  • モバイルFeliCaによるオフィス入退室管理システム
  • 千葉工業大学様における「静脈認証IC学生証システム」
  • 手のひら静脈センサの小型化・低価格化
  • アドホックネットワーク技術への取組み
  • セルフチェックアウトシステム
  • インテリジェント車いすロボット

ユビキタスを支える技術の概要

  • ユビキタス技術の展開

ユビキタスを支える技術

  • ユビキタス社会を支えるRFIDタグ関連機器
  • RFIDミドルウェア:RFIDCONNECT
  • 多用途向け有線センサネットワーク:S-wire
  • タスクコンピューティングによるユビキタス社会の実現
  • ユビキタス時代のショッピング情報提供プラットフォーム
  • カラー電子ペーパー
  • サービスロボット:enon
  • 大画面インタラクションシステム:UBWALL
  • 印刷型ステガノグラフィ技術
  • ナレッジマネジメントツール:ビジネス情報ナビゲーター
  • ユビキタス携帯端末への取組み

特集:ユビキタス


適用事例概要

コンピューティングパワーが社会の至る所に存在(=遍在)し,それらを有機的に利活用することにより新たな価値創造を行い,社会を質的に変えていくのがユビキタス社会である。このことは,すでに技術革新の流れとICT産業の方向性の中でいくつもの例で実現されている。
本稿では,最初にユビキタスコンピューティング技術の動向について述べる。つぎに最近注目すべき利活用事例をトレーサビリティ,モバイル,セキュリティの観点に分類して報告し,富士通が育てている今後注目のユビキタス諸技術を紹介する。最後に,富士通としてのユビキタス社会への取組みについて,考え方や実現ステップを紹介する。

神戸 正利,市川 秀樹

適用事例

2006年1月高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)において,「e-Japan戦略」,「e-Japan戦略II」に次ぐ新しいIT戦略として,「IT新改革戦略-いつでも,どこでも,誰でも ITの恩恵を実感できる社会の実現-」が発表され,「いつでも,どこでも,何でも,誰でも」使えるユビキタスなネットワーク社会実現を目標とし,インフラ整備などのIT施策が推進されることとなった。またユビキタスネットワーク社会実現に向け,関係各省庁においてもユビキタス関連施策が積極的に展開されている。
本稿では関係省庁における主なユビキタス施策の動向を整理するとともに,様々な実証実験を取り上げ,ユビキタスネットワーク社会実現に向けた富士通の取組みについて紹介する。

百枝 薫,岩崎 孝一

食品流通分野におけるRFIDに対する期待感の高まりを受けて,昨年より食品流通にかかわる企業17社に参集いただき「流通RFID研究会」を開催してきた。
本稿では,本研究会で議論されたメーカ,卸,小売り間にまたがるサプライチェーンをターゲットとしたRFIDシステム適用モデルの策定とその可能性について論じており,RFIDの活用によるメリット,例えば商品の賞味期限管理や各チェーン間での最適化,物流作業効率化などが期待される一方で,読取りに関する技術的な課題やチェーン間の調整など解決すべき様々な現状課題も記載している。さらには今後への取組みとして,納品用クレートの資産管理をターゲットとした導入モデル構築や搬送システム連携(コンベア上読取り)など現在推進中のプロジェクトについても論じており,食品流通分野への普及に関する具体的な適用モデルとして参考になるものと考える。

林 優幸,長谷川 英世

2005年4月の総務省令改正により国内でも読取り距離の長いUHF帯RFIDタグが利用可能となった。
富士通では早くよりUHF帯RFIDタグの可能性に注目し,対応製品の開発を進め,2005年9月には国内で最初に製品化を行い,提供を開始した。これに伴い,社内でもRFIDを応用したシステムを立上げ,ITおよび運用の両面から実行ノウハウの蓄積を行うべく,RFIDタグによる資産管理システムを構築し,大きな効果を得た。
本稿では,UHF帯RFIDタグを適用した資産管理システムの機能概要とシステム構成,適用効果について紹介し,後半では適用範囲拡大における課題と展開計画について述べる。

山本 浩憲,南里 恒裕

モバイルFeliCaは,携帯電話に搭載されたFeliCa ICチップおよびFeliCaを利用するプラットフォームの総称であり,2004年7月よりこのモバイルFeliCaに対応したサービスが国内各所で開始されている。モバイルFeliCaは,利用者がICチップに搭載するアプリケーションを自分で随時,追加・削除でき,いつでもどこでも利用できるユビキタス社会のキーデバイスとなることを想定した様々な利用シーンへの適用が期待されている。富士通では,ICカードソリューションの発展形態として,モバイルFeliCaを活用したソリューションの提供を進めており,様々な業種のお客様へ,ICカード・モバイルの安全性・利便性を生かしたシステムを提供していくことを計画している。
本稿では,モバイルFeliCaを富士通のソリューションに適用した事例として,東京ガス都市開発株式会社様が運営する超高層複合ビル・新宿パークタワーに導入したオフィス入退室管理システムを紹介する。

沼田 英司,小野津 崇之,望月 謙治

富士通は,金融市場でスタートした手のひら静脈認証技術を一般市場へと展開し,文教分野としては,千葉工業大学様向けに「静脈認証IC学生証システム」の開発,提供を行った。
このシステムの特長は,キャンパス内に設置した情報キオスク端末で,「非接触型手のひら静脈認証技術」を搭載した「多機能ICカード」により学生を確認し,学生情報や成績情報などの個人情報を安全かつ瞬時に閲覧することにある。
非接触型手のひら静脈認証技術には,高精度・高適用率や,衛生的であり心理的抵抗感の少なさといった利点があるが,本システムを導入された千葉工業大学様では,静脈データをIC学生証に登録することにより安全性に配慮するとともに,大学という教育の場であることから,個人が自己責任により個人情報を管理していくことの重要性を学んでいくといった教育的視点も重視され,導入が決定された。
本稿では,静脈認証IC学生証システムを導入された千葉工業大学様の事例を紹介する。

若林 晃

偽造キャッシュカードへの対策強化が求められる中,富士通の「非接触手のひら静脈センサ」は,大幅な小型化と低価格化を中心としたエンハンスにより第2ステップに進んだ。新小型手のひら静脈センサは反射方式の原理的な利点を生かし,光学系を小面積の1箇所に集約することにより大幅な小型化と低価格化を実現した。新小型手のひら静脈センサは金融機関への導入が進んでおり,さらにグローバル市場に適用分野を広げている。
本稿では,まず新小型静脈センサの課題を述べ,つぎに開発技術,金融機関での導入を 紹介し,最後にグローバル市場への製品展開について述べる。

川合 裕昭,木村 修治

「いつでも」,「どこでも」で表現されるユビキタスコンピューティングは,「いつでも」,「どこでも」,「意識せず」につながることのできるネットワークインフラが存在して成立するものである。その夢のようなネットワークは,今後,様々な技術により実現されると考えられている。富士通は,その技術の一つになると考えるアドホックネットワーク(Ad-hoc Network)技術へ取り組んでいる。本技術は,新社会インフラ(基本通信網)としての活用や,センサネットワークインフラ,災害現場での臨時的ネットワーク構築,ITS領域での車々間通信などへの応用が期待されている。
本稿では,アドホックネットワークに求められる要件と,富士通の本技術への取組み,および適用事例を紹介する。

野村 浩司,岩尾 忠重,細川 武司,山田 健二

「セルフチェックアウトシステム」という言葉が,日本の流通小売業システムとして使われ出してから2~3年がたった。2005年から,日本の店舗でも本格的な導入が始まり,今後はPOSシステムと並んで店舗システム構築の柱となることが予想される。
本稿では「セルフチェックアウトシステム」が欧米で製品化された背景と,日本国内で普及し始めた背景を紹介し,富士通が日本の小売業向けに商品・店舗レイアウト・取引に適したシステムとして開発した製品を紹介する。また,具体的なソリューション事例として,株式会社オークワ様のシステム導入事例も紹介する。

矢野間 幸弘,舞田 光毅,武藤 裕子

今後,日本では高齢化がますます進むと予想されており,移動手段として車いすを必要とする人の数が増えると考えられる。車いす利用者の利便性向上,介助者の負担軽減を考えると,自律的に移動できる車いすの実現が望ましい。著者らは,NEDO様の次世代ロボット実用化プロジェクトの一環として,アイシン精機様,産業技術総合研究所様と共同で自動走行が可能なインテリジェント車いすロボットの開発を行い,愛・地球博で実証実験運用を行った。本ロボットは,自律的な移動,障害物の自動回避などの基本機能のほかに,利用者への各種情報提供,信号機との連携,センタでのロボットの状態管理などの機能を有しており,ここには富士通がITSの分野で培ってきた位置情報サービス,移動体の動態管理などの技術が生かされている。本稿では,このロボットシステムの概要を紹介するとともに愛・地球博で行った実証実験について報告する。

畑瀬 勉,若松 喜美,西村 英記,山本 博利

ユビキタスを支える技術の概要

あらゆるところに同時に存在することを意味するユビキタスコンピューティングという言葉が1988年に生まれてから,ほぼ20年を経て,その概念は,RFID(無線タグ)や携帯電話などによって,現実のものとなっている。ユビキタス化の大きなインパクトは,従来の情報世界という論理的な世界と,モノがあり人が移動する現実世界とが相互に結びつけられ連携がとられたことにある。この連携は,Web2.0と呼ばれる新しい情報世界の動向とも共通する大きな事象である。
本稿では,このユビキタス化を実現する技術やその効果を本特集号の各論文を中心に概観する。さらに,将来のユビキタス社会のサービス像として,情報活用/情報サービスの取捨選択を個々のユーザや現場の状況に合わせて動的,かつ柔軟に行う形態としてユーザ・セントリック・コンピューティングの概念を示した。

勝山 恒男

ユビキタスを支える技術

2006年1月,共用化技術や小電力型リーダライタを規定した省令の再改正が行われ,UHF帯RFIDの本格利用が可能となった。
富士通は,上記省令再改正を受け,共用化に対応したUHF帯RFIDタグ,および機器の出荷を2006年3月より開始した。RFIDタグは,実際の業務への適用に当たって求められる多様な環境に対応するため,樹脂タグ,金属対応タグ,リネンタグなど豊富なラインナップを用意した。また機器についてもPC接続型のリーダライタ,CFタイプのリーダライタ,ゲートアンテナ,ラベルプリンタなどをラインナップし,柔軟なシステム構築を可能とした。
本稿ではこれらのRFIDタグ,機器および適用例について述べる。

橋本 繁,山本 浩憲

RFIDは無線電波を利用して非接触で識別でき,また複数を同時に識別することができるという特性により,あらゆるモノを可視化し効率的な管理と生産性の向上を実現できる基盤技術として注目されているが,その複数同時識別の特長を生かすためには大量のICタグとの安定的な通信や膨大なICタグ情報を処理する必要がある。富士通ではRFID特有の技術とノウハウをRFIDミドルウェアとして凝縮し,ICタグとの高速アクセスを実現するデバイス制御機能,種類の違うICタグを共通インタフェースで読書き可能なアクセス共通化機能,ICタグに対するセキュリティ機能など,RFIDシステムの開発期間短縮とコスト削減を実現するための機能を実装している。
本稿では,富士通が開発したRFIDミドルウェアであるRFIDCONNECTの特長と機能について紹介する。

加藤 貢

センサネットワークとは,至る所にセンサが配置され,そこから様々な情報を収集するためのネットワークである。その適用分野は,畑や水田から河川やがけなどの危険区域,またオフィス,病院,家庭など様々であり,土中,水中や構造物への埋込みなどの要望もある。しかし,これまでのセンサネットワークでは,無線を利用しているためこれらの要望に応えることができない。そのため,富士通は,有線式のセンサネットワークであるS-wireの研究・開発を行っている。S-wireとは,各ノードは有線で複数のノードに接続されており,有線によりデータ通信および電源の供給を行う方式である。有線のため土中,水中や構造物などの埋込みも可能である。また,切断などの検出や経路の自動生成も可能である。本稿では,実用的なセンサネットワークの要件を議論し,S-wireの詳細,実装およびアプリケーションについて述べる。

岩尾 忠重,山田 健二,野村 浩司,細川 武司

ユビキタス社会実現のキーワードとして「いつでも,どこでも,だれでも」がよく引用 される。このうち「いつでも,どこでも」は,高速でセキュアかつシームレスなネットワークの整備が進むことによって一層現実味を帯びてきた。また,ネットワーク機能を有した情報機器が増えることによって遠隔からでもサービスや機器を「いまここで」利用することも可能になった。しかし,こういった形態でサービスを利用しメリットを享受しているのは,まだまだ一部のユーザに限られている。この課題を解決する手段の一つとして「タスクコンピューティング」という技術を富士通研究所と米国富士通研究所が共同で研究開発した。
本稿では,タスクコンピューティングの概要と,これを使ったアプリケーションについて利用シーンを中心に述べる。

郷田 誠

ユビキタス技術が進展し,消費者のショッピング環境は劇的に変化しつつある。一つはRFID技術による流通経路の効率化とトレーサビリティに関する取組みであり,もう一つは,インターネットなどのデジタルメディアを通じた消費者に対する商品情報提供およびショッピングそのものの仕組みの変化である。
富士通は,消費者や流通店舗を取り巻くIT環境の変化を背景に,消費者の購買意欲増進と店舗売上げの向上を目指して,商品広告の配信段階から店頭での実際の購買段階に至るまで,利便性が高く効果的な情報サービス「ショッピング情報提供プラットフォーム」を開発した。本プラットフォームは,効果的な買い物を支援するスマートショッピングリストとスマートカートから構成される。
本稿では,最初にスマートショッピングサポートシステムで買い物メモを効率的に作成し,続いて店舗におけるスマートカートとの連携によって実現する,効率的,効果的なショッピングシステムについて解説する。

関口 実,菅坂 玉美

電源を切っても表示を維持でき,明るいカラー表示が可能な電子ペーパーを開発した。開発した対角3.8インチ,QVGA(320×240画素)のカラー電子ペーパーは,反射率が30%と高く,4096色のカラー表示が可能である。厚みは0.8 mmと薄く,R=60 mmの曲率で曲げても表示に変化は見られなかった。さらに,表示の維持に電力が不要な上,書換えも低消費電力であることから,公共の場所での情報表示や商品広告など,紙のように扱える新しい電子メディアとして様々な応用が可能である。
本稿では,開発したカラー電子ペーパーの構造,表示の仕組み,表示特性,およびアプリケーションについて紹介する。

吉原 敏明,富田 順二,新海 知久

近年,ロボットは,産業用ロボット以外に個人と接し,サービスを提供する用途への展開が始まっている。これまでは,家庭向けのロボットが数多く開発されてきたが,公共分野への適用を想定したロボットも発表されてきている。これらのロボットは,様々なサービス業務を人と分担することができ,不特定多数の人と共存して希望のサービスを提供する。富士通では,オフィスや商業施設などで,案内,搬送,巡回の3種類のサービスをベースとしたネットワークシステム連携により,様々なアプリケーションサービスを提供できるサービスロボット“enon”を開発した。
本稿では,本サービスロボット“enon”の開発のねらい,サービスロボットの全体構成,安全性を確保するための設計,2005年に商業施設において実験運用した適用事例などを紹介する。

神田 真司,村瀬 有一,岡林 桂樹,麻田 務

ユビキタス社会を実現するIT機器は,これまでモバイル端末が主流であった。著者らは,現場に設置される環境埋め込み機器が今後重要性を増し,さらに,環境埋め込み機器とモバイル端末との相互作用が,世の中に変化をもたらすと想定している。すでに,空港,駅,店舗などの現場で広告効果の高い大画面のディスプレイが使用されているが,片方向の情報提供サービスにとどまっている。一方,お得意様カードや定期券などの非接触ICカード化は目覚ましく,今後も各社の活発な活動が予定されている。さらに,インターネット広告がラジオ広告を上回るとともに,マス広告であるTVコマーシャルが効かなくなってきている。
本稿では,大画面による「気づき」,「インタラクション」,非接触ICカード使用の「パーソナライズサービス」の特徴を持つ環境埋め込みシステム“UBWALL”を紹介し,そのインタフェースや適用場面,および現場広告の効果などに関して説明する。

尾崎 暢,内藤 宏久,紀伊 隆弘

近年,カメラ付携帯電話の普及が急速に進んでおり,チラシなどに印刷されたQRコードやバーコードを用いたインターネットサービスも多くなった。しかし,これらのコードは,人間が見ても全く意味がなく,誌面のデザインを損なうという問題がある。この問題を解決すべく開発した印刷型ステガノグラフィ技術は,印刷された画像に利用者の目には見えない形でデータを埋め込むことができ,印刷物の利便性を高める。家庭用プリンタなどで印刷したデータ埋込み画像を,携帯電話のカメラなどで撮影するだけで,様々なデジタルコンテンツを素早く呼び出す。本技術は,カタログや雑誌の写真から商品情報やお店の情報を見るなどが一般的に考えられる使い方だが,ほかにもゲームなど幅広い用途での利用が期待されている。
本稿では,印刷型ステガノグラフィ技術の原理や要素技術について紹介する。

野田 嗣男,師尾 潤,千葉 広隆

インターネットやイントラネットの普及により,コンピュータが扱うデータ量は増加の一途である。従来は,RDB(Relational Database)のような体系的に管理・運用されたデータが主であったが,ネットワークの発展で日常的に発生するメールやWebなどテキストで書かれている非構造化データが大幅に増え続けている。これらの非構造化データの活用は,ユビキタス社会において企業競争力の決め手と考える。非構造化データは,断片的な情報として散在している場合が多く,知識として活用するためには,それらを統合して全体を俯瞰できるようにしなければならない。情報統合のコストを縮小し,断片的な情報を関係付けることにより,有機的な知識としての活用を低コストで可能とする技術が必要となる。
本稿では,断片的な情報を統合して全体を俯瞰するビジネス情報ナビゲーターについて,人検索システム(KnowWho)と金融情報システムを例に紹介する。

松井 くにお,津田 宏,片山 佳則

ユビキタスサービスの実現に,サーバやネットワークの役割は大きい。しかし,最終的にサービスが利用されるのは,使用者とのインタフェースである。ユビキタス端末はその最終インタフェースの役割を果たすものである。
サービスは場所,タイミング,対象にかかわらず提供されなければならない。また,サービスが多様化するなかで,携帯する端末の種類を無限に増やすことは利便性を著しく損なう。したがって,ユビキタス端末では多様なサービスを一つの端末で実現することが第一の目標である。サービスに接続する多様なネットワークをまとめて取り扱い,異なるサービスを統合して提供する機能が必要になる。また,既存端末も含めて,異なる端末でも同じサービスが提供できなければならない。富士通はこの二つの目標を達成すべく,デュアルモード端末(携帯機能,PDA機能を有する複数無線インタフェースの端末),ブロードバンド対応端末,ソリューションプラットフォームの開発を行った。

山澤 昌夫,西山 聡一,伊藤 善之


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