Skip to main content

Fujitsu

Japan

アーカイブ コンテンツ

注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2005-1月号 (VOL.56, NO.1)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2005-1

年頭ご挨拶

特集: 「TRIOLE」

富士通のTRIOLEは,システムの安定性・機敏性・効率性を実現するユビキタス時代のIT基盤です。本特集では,まず経営革新のためのIT活用について述べ,それを実現する上でのIT基盤TRIOLEの考え方・取組み,TRIOLEを構成する各製品,フィールドでの事例,最後にこれらを支える先進技術について紹介しております。


取締役専務
伊東 千秋
取締役専務 伊東 千秋 写真

TRIORE特集号に寄せて (PDF)

富士通は,グリッド技術を活用したオープンアーキテクチャのIT基盤TRIOLEにより,お客様の本来のニーズである「より効率的な経営」「より高度な商品・サービスの提供」をご支援して参ります。

特集: TRIOLE 目次〕

ITを活かす

  • 経営革新を加速するIT投資マネジメント

進化するTRIOLE

  • ビジネスを支えるTRIOLE
  • TRIOLEテンプレートによるプラットフォームインテグレーション
  • スピード時代のシステム構築基盤
  • ITシステムの自律化技術
  • 富士通のサーバ開発の考え方と優位性
  • 経営資源としてのデータの安全・柔軟な運用を支えるストレージ:ETERNUSとSoftek
  • シンプルで高信頼なネットワークサーバ

フィールド事例

  • 国際塩基配列データベース検索システムへのInterstage Shunsakuの適用
  • 日本放送協会様におけるTRIOLEを適用した全国ロボットカメラモニタリングシステム

TRIOLEを支える先進技術

  • TRIOLEの目指すテクノロジ
  • オーガニックコンピューティング
  • 仮想自律化のためのシステム技術

特集:TRIOLE


ITを活かす

厳しい経営環境が続く中で,ITを戦略的に活用した経営革新に取り組んでいる企業が業績を回復させている。ITをテコにした経営革新(以下,IT経営革新)のテーマも「効率化/合理化」のような内向き投資から,「市場拡大/顧客拡大」などの攻めの投資にシフトしており,その成果の把握や評価が難しくなっている。
本稿では,IT経営革新を加速するためのIT投資マネジメントの三つの方法を提案する。第一は,個別IT投資案件の成果を確実に引き出す革新プログラムのマネジメントである。第二は,全社的視点で効果最大化を実現するためのアプリケーションポートフォリオマネジメントである。そして第三は,企業内でIT経営革新活動を「常態化」させるためのヒト・組織のマネジメントである。これらの方法を駆使することにより,IT投資の成果を着実に導き出すことができるものと考える。

佐藤 正春

進化するTRIOLE

事業を取り巻く環境は激しく変化し,企業は生き残りをかけた経営革新に向け,経営の効率化や新しいビジネスの創造に取り組んでいる。企業がビジネスで攻め勝つためには,予測困難な市場の変化に対し,スピーディにビジネス展開できる柔軟性や信頼性が必要であり,企業戦略を実行する上で,ITシステムが重要なかぎとなると考える。
TRIOLE(トリオーレ)は,グリッド技術を適用したテクノロジ(技術)と富士通独自のメソドロジ(方法論)により,上記のような企業ビジネスを支えるITシステムの要件を実現するIT基盤である。
本稿では,ビジネス環境の変化に合わせ,企業価値となる「ビジネスの機敏性(Agility)」「ビジネスの効率性(Efficiency)」「ビジネスの継続性(Continuity)」を支えるIT基盤「TRIOLE」について概説する。

前田 倫子,望月 友明,三津濱 元一

オープン環境で主流となったベストオブブリードシステムは,製品間の整合性の問題でシステムの構築・運用に多大なコストと労力を要することが分かってきた。
富士通のIT基盤「TRIOLE」では,これらの課題に対処するため,検証済みのIT基盤としてTRIOLEテンプレートを用意した。TRIOLEテンプレートを活用することで,設計・構築段階から運用まで高品質で安定したシステムの提供を実現する。TRIOLEテンプレートでは,オープンシステムのメリットである製品選択の自由を生かすため,富士通製品以外の様々な製品も採用する。さらに,最新の技術やお客様のニーズを常に取り入れ,継続的に最新化する。
本稿では,TRIOLEテンプレートについて概説し,オープンシステムの課題解決への取組み,効果や今後の展開について述べる。

田中 隆一,村井 孝,津田 高至,辻 克明

システムの短期構築,開発生産性の向上,信頼性向上の実現には,フレームワークの適用が有効である。とくに,大規模システム開発においては,構築スタイルの統一によるプログラムの可読性向上,作業者に依存しない品質・保守性の向上のために不可欠なものとなる。富士通は,フレームワークをIT基盤「TRIOLE」の一部と位置付け,下位インフラの変化に対するアプリケーション変更の抑制や,運用のための仕組みの共通化を目指している。富士通が提供するフレームワークの体系B2.Sframeworkでは,従来からミッションクリティカル対応など,より高機能・広範囲へと拡張してきた。加えて今回,クライアント向け製品Client J Frameworkの追加と,Interstage Application Framework Suiteの各種機能の拡充,ミッションクリティカル対応機能を追加した。
本稿では,これらの追加機能を紹介する。

小川 俊雄,中山 朋治,元田 孝司,保西 義孝

ITを経営に活用することで企業の競争力を強化するITシステムは,大規模化・複雑化していき,できるだけ人の介入や判断を減らして自律運用していくことが求められる。富士通の統合運用管理ソフトウェア“Systemwalker”は,運用の安全性を確保した上で,システムの柔軟な構成変更を可能にしてトラブルからの復旧やリソース割当ての最適化を行い安定稼働を実現するとともに,運用のサイクルにおいて管理者の管理業務を支援することでTCOの削減を実現する。
このようなソリューションを実現するために,リソース制御を行うSystemwalker Resource Coordinatorとサービス管理を行うSystemwalker Service Quality Coordinatorを,IT基盤「TRIOLE」の仮想・自律システム基盤の中核製品として位置付けている。
本稿では,仮想・自律システム基盤の自律化を実現する機能を説明する。

鈴木 久智,平尾 哲宏

ユビキタス時代に求められるデータセンタは,大規模な負荷変動と24時間365日連続運転など,システムのミッションクリティカル性への要求が高まっている。一方,システムの構成は複雑化し,構築・導入・検証の長期化や,運用・管理コストの増大など,データセンタの課題も顕在化しつつある。このような中,富士通では,オープン,ミッションクリティカル,グローバルの三つのキーワードを基本にサーバを開発し,こうした高度な要求と課題に対応していく。オープン化の追求では,グローバルのメインプレイヤとともにエコシステムを確立し,お客様のソフトウェアやソリューションの選択自由度を最大化する。ミッションクリティカルの追求では,メインフレーム時代から培った高信頼・高性能な技術にこだわる。さらに,グローバルに通用し,競争力のある製品を世界に展開していく。
本稿では,こうした富士通のサーバ開発の考え方と優位性を紹介する。

佐川 千世己

ストレージシステムは企業情報システムを構成する重要なプラットフォームとして,サーバやネットワーク機器とともに,高信頼性,高可用性に富んだ情報システムを実現する使命がある。本稿で説明するETERNUSは,このような情報システムを実現するため,ディスクアレイから,ネットワークストレージサーバ,テープライブラリ,ファイバチャネルスイッチのみならずアーカイブストレージ,バーチャルディスクライブラリまでトータルなハードウェアを提供する。また,Softekは,ストレージハードウェアを有機的に管理するソフトウェア製品群を提供する。これらハードウェア・ソフトウェアをトータルで活用することにより,ストレージとして自律した環境を作り上げることができる。これにより,IT基盤「TRIOLE」の中核製品としてお客様の業務要件を満たすサービスレベルを保証するストレージシステムの構築と,運用負担の軽減を目指す。
本稿では,富士通のストレージ製品群のコンセプトとそれを実現する製品群について説明する。

松本 一志,石川 卓也

企業のITシステムが激しく変化するビジネス環境に対応するためには,インターネットや広域イーサネット/IP-VPNなどブロードバンドインフラを最大限に活用する必要がある。ところが,これらのインフラを効率良く利用するために,システムのサーバと外部ネットワークを接続するシステムフロントは複雑化し,構築・運用コストがますます増加しているのが現状である。
本稿では,システムフロントの現状を分析するとともに,これらの問題を解決すべく,IT基盤「TRIOLE」におけるプラットフォームインテグレーションの考え方を装置として実現した製品「ネットワークサーバIPCOM Sシリーズ」について,適用領域,適用事例とともに紹介する。

天満 尚二

フィールド事例

国立遺伝学研究所生命情報・DDBJ研究センター様は,「国際塩基配列データベース」を構築し,このデータベースの検索システムをインターネットで広く研究者に公開している。近年のバイオ研究の進展により,国際塩基配列データベースは,増加の一途をたどっており,検索システムのレスポンス悪化,システムメンテナンスコストの増大などの問題を抱えていた。この問題を解決するため,国立遺伝学研究所生命情報・DDBJ研究センター様は,富士通が開発した高速XML型データベースエンジン“Interstage Shunsaku Data Manager”を国際塩基配列データベース検索システムの検索エンジンに適用し,検索条件によらず10秒以内の検索レスポンスという良好な結果を得ることができた。これは富士通が提供するIT基盤「TRIOLE」の既存IT資産を活用することによって,柔軟なシステムを実現した事例である。
本稿では,従来の問題点を挙げ,Interstage Shunsakuの適用ポイント,導入効果を紹介し,最後に今後の展望について述べる。

西宮 直樹

日本放送協会様は,災害や事件の映像をいち早く視聴者へ発信するため,全国に点在するロボットカメラ(定点カメラ)の映像をブロードバンドネットワークにより東京放送センターに収集し,同時に全支局に映像配信するシステムを構築した。2004年10月の新潟県中越地震においても,発生直後に地震映像を放送することに役立ち,緊急報道に貢献している。本システムは,ブロードバンド映像ソリューション“Broadsight”によるTRIOLEフロント統合基盤とPRIMERGY,ETERNUS,Systemwalker Centric Managerにより短期間で高信頼のシステム構築がなされている。インターネットの普及とともに,映像を業務システムに取り入れたシステム構築は今後より浸透していくと予想される。
本稿では,IT基盤「TRIOLE」を活用した,大規模な映像収集・配信システムの構築について紹介する。

渡邊 優,竹谷 淳,中平 和孝

TRIOLEを支える先進技術

ITシステムが大規模化すると同時に,24時間止まらないビジネスに合わせたITシステムの無停止運用が求められている。このようなITシステムの運用負担は年々増大している。著者らは,ITシステムの高信頼性,高可用性を実現するためにIT基盤「TRIOLE」において,生体が外部環境の変化や細胞の死滅などに対応して,生体システムとして常に安定に制御されているメカニズムに注目し,生体の持つ自律機能・仮想機能をコンピュータシステムで実現することで,大規模なITシステムの無停止運用という要求に対しても,オペレータの負担を増大させることなく,高信頼性と高可用性を実現するテクノロジを目指して研究開発に取り組んでいる。
本稿では,IT基盤「TRIOLE」がどのように生体機能の実現を目指し,どのようなテクノロジを開発しようとしているのかについて概観する。

秋元 晴雄

近年,汎用コンピュータ部品の高性能化,低価格化が進んでいる。しかし,それらをそのまま組み合わせただけでは,高性能,高信頼,高可用なITシステムは構築できない。また,システムの大規模化,複雑化のために,人手に負えないほど運用管理が困難になってしまう。オーガニックコンピューティングとは,それらの汎用部品をベースとしつつ,高性能,高信頼,高可用なITシステムを構築,管理,運用する技術である。構成を工夫することによって,専用部品の使用を最小限に抑え,ソフトウェアとしてはシステム自身が最高性能を出すように制御する自律運用機能や,運用しながらハードウェアの取替えを可能にする新陳代謝機能を実現している。
本稿では,オーガニックコンピューティングの概要,試作したシステム,機能について説明する。

小沢 年弘,安里 彰,鈴木 和宏,勝野 昭

社会・経済活動を支えるITシステムの堅ろう性や信頼性を実現する基本機構として,仮想・自律機構への期待が高い。
本稿では,IT利用時のビジネス要件やシステム運用要件に基づいて,運用時に管理者・保守者が行っていた諸判断を集約した「ポリシー」と呼ばれる情報を用いたシステムの自律運転のための制御アーキテクチャを述べる。また本稿では,ビジネス要件を最上位とする4種に区分した階層構成を提案している。さらに,進化した仮想自律機構を活用するための利用技術として,将来のサービス要求量を推定することで,最も経済的なIT運用を支援する分析技術の概要についても触れる。これらの技術は,今後のユビキタス社会の中で,さらに発展することが期待されている。

勝山 恒男,木村 康則


---> English (Abstracts of Papers)