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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2004-9月号 (VOL.55, NO.5)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2004-9

特集: 「電子自治体とヘルスケア ~e-Japanの新しい展開に向けて~」

本特集号では,e-Japan戦略IIにおける利活用の重点施策「自治体とヘルスケア」分野での富士通グループのビジネスの現状と展望について,電子自治体と行政分野への展開,医療分野への展開,情報セキュリティへの取組みを紹介しております。


取締役副会長
高島 章
取締役副会長  高島 章  写真

電子自治体とヘルスケア ~e-Japanの新しい展開に向けて~特集に寄せて(PDF)

富士通グループは,e-Japan発展のために大いに貢献してまいりました。そして,今,政府は整備したITインフラを使って国民生活を豊かにする政策に軸足を移しました。富士通グループは,真に多くの人達が望んでいることを発掘し,ITで解決していきます。

特集: 電子自治体とヘルスケア ~e-Japanの新しい展開に向けて~ 目次〕

概要

  • e-Japanの新しい展開に向けた富士通の取組み

行政

  • 自治体における新たな行政モデル構築とIT経営
  • 市町村合併と電子自治体
  • 行政システム最適化への取組み
  • EAに基づく電子自治体ソリューション
  • EAを支える富士通のミドルウェア製品
  • 行政CRMへの取組み
  • 電子政府の総合窓口:e-Gov
  • 「教育の情報化」と学校教育ソリューション“@SCHOOL”

ヘルスケア

  • 富士通の医療制度改革への取組み -診断群分類別包括評価制度への取組み-
  • Web版電子カルテシステム
  • 成長し続ける電子カルテシステム -医療ワンストップソリューション-
  • 公立八女総合病院の電子カルテ導入事例
  • 診療現場における患者の安心と医療安全への情報技術の活用
  • 病院経営ソリューションへの取組み
  • 介護システムへの富士通の取組み
  • ナノバイオ技術によるたんぱく質計測

セキュリティ

  • パブリックインフラとしてのセキュリティ

デモ・展示

  • e-Japanモデルルーム“netCommunity”

特集:電子自治体とヘルスケア ~e-Japanの新しい展開に向けて~


概要

「2005年に日本を最先端のIT国家にする」という目標を掲げ2001年に立案された「e-Japan戦略」は,1年ごとに見直しと新たな展開が図られ,最終の目標年度に向けて「e-Japan重点計画-2004」も決定された。
一方,政府・自治体は少子高齢化社会が急速に到来する中,財政問題など様々な問題を抱えながら,増大する一方の公的サービスの質と量の要求に応える必要に迫られている。
電子政府・電子自治体はこのようなギャップを埋める道具であり,また官民連携などの様々な仕組みと組み合わせて,豊かで活力ある社会を実現するための取組みである。さらに,明るく安全・安心な社会のために,社会全体のコストを考慮しながらヘルスケアの分野の様々な高度化に取り組むことも重要である。
本特集では,このような観点から電子政府・電子自治体およびヘルスケア分野における富士通の取組みと,新たな社会基盤である情報通信における安全・安心の確保のための情報セキュリティへの富士通の取組みを紹介する。

小村 元

行政

長引く不況によって財政難に陥っている日本では,その再建の手段として中央集権的な国と地方との関係を抜本的に見直し,地方分権と市町村合併を並行して進めながら税源移譲,補助金廃止,交付税改革という三位一体の改革を実行しつつある。
このような自治体が自立していかなければならない状況のなかで,その手段としての行政経営手法(ニューパブリックマネジメント)とITの有効な活用が注目を集めている。
本稿では,今後の自治体における行政モデルと行政経営におけるIT活用の可能性について展望しながら,具体的な提言を行っていく。

榎並 利博

平成の大合併は,1999年に大改正された「市町村の合併の特例に関する法律」(合併特例法)に対応して,多くの自治体が合併に向けて取り組んでいる。市町村合併に伴い,各自治体で運用している情報システムも統合する必要があり,合併期日までにいかに安全・確実な統合を行うかが重要となっている。一方,国は電子自治体の推進を市町村に働きかけているが,自治体は合併に伴う情報システム統合を最優先にしているのが現状である。
本稿では,市町村合併の動向とそれに伴う情報システム統合の現状を紹介し,市町村合併後の電子自治体への実現に向けた課題,および市町村合併や電子自治体へ向けた富士通の取組みについて述べる。

新宅 広之

電子政府および電子自治体の実現に向けた取組みは,計画段階を終え,システム構築段階に入ってきた。システム構築においては,TCO削減などの観点から,組織全体としての業務・システムの最適化が求められており,そのための方法論としてEA(Enterprise Architecture)が注目されている。EAとは,業務とシステムの関係性を可視化し,全体最適の観点から業務手順や情報システムの標準化を図るための方法論である。
本稿では,EAによる業務・システム最適化の実践的方法について考察するとともに,EAの考え方に基づいた富士通のソリューションである「行政システム最適化サービス」について紹介する。

中川 弘文

市町村における電子自治体構築の計画が本格化されようとしている。電子政府・電子自治体構築計画においてEnterprise Architecture(EA)と共通基盤システムが最近注目されている。業務改革とIT投資による事務効率化,共同利用・共同開発による導入運用コストの削減に寄与できるものと期待されている。富士通は長年にわたり,市町村の業務システム構築やパッケージ開発を行い,日本最大のソリューションベンダとしてITによるお客様の問題解決に携わってきた。
本稿では,この経験を踏まえ,安心・確実にかつ継続的に使っていただけるソリューションについて,そのコンセプトや今後の取組みを紹介する。

中田 昭哉

e-Japanをはじめとする情報化の進展の中で,経営の意思を反映し,より効率的なシステムを実現するための組織的な取組みとして,エンタープライズアーキテクチャ(EA)が注目されている。EAでは,相互運用性や可搬性および拡張容易性を持った,組織全体で最適化されたシステムを目指しており,この目的のために技術標準にも大きなウェートがある。
技術標準や仕様をベースに,使い勝手や信頼性,性能,オープンな連携の保証などの付加価値を追及するという富士通のミドルウェア製品の考え方は,EAが求める標準性やオープン性と合致している。このため,富士通のミドルウェア製品は,EAの導入に際しても安心してシステムに適用していくことができる。
本稿では,EAフレームワークと参照モデル,技術参照モデルと標準仕様,標準技術に準拠した富士通のミドルウェア製品の一例について示すとともに,最新標準への富士通の取組みを示す。

木庭袋 圭祐,関根 裕,弘末 清悟

近年,アメリカやイギリスの諸都市で日本に先行して,行政がCRMに取り組んでいる。日本においても,住民ニーズの多様化,行政への参加意識の高まり,財政悪化,地域分権化といった社会経済などの環境変化や,行政評価に対する意識の高まりなどを背景に,「住民視点のサービス」「住民と行政との協働」が求められるようになってきている。
これらを背景に,自治体では民間企業のマーケティング手法であるCRM(Customer Relationship Management)を導入し,地域独自の「住民視点の自治体経営」を目指す取組みが始まっている。
本稿では,自治体における行政CRMの取組みの動向を踏まえ,具体的な富士通の行政CRMソリューション導入事例について紹介する。

桑村 佳代,滝村 勝裕,大川内 剛,近藤 田津

政府では,2003年7月2日に「e-Japan戦略II」を決定し,具体的な計画として「電子政府構築計画」を策定した。本計画では,「国民の利便性・サービスの向上」と「IT化に対応した業務改革」を実現することが目標となっている。そのため総務省では,従来からサービスを行っていた電子政府の総合窓口の機能を大幅に拡充・改善し,新しい「電子政府の総合窓口」として2004年1月5日より運用を開始した。電子政府の総合窓口では,24時間365日ノンストップで,政府全体として分かりやすい情報の提供,また国の行政機関との連携により申請・届出など手続の情報入手から申請までを一元的に行うことができる総合的なワンストップサービスなど様々なサービスを提供している。
本稿では,行政ポータルシステムとしてのe-Govの概要を述べるとともに,「電子政府構築計画」の概要から今後の電子政府について紹介する。

小林 俊範,五十嵐 秀樹

「教育の情報化」はe-Japan政策の一つの柱である。自治体のIT環境整備が進むとともに,学校や公民館などの公共教育施設の情報化も進み,いまや学校のインターネット接続率はほぼ100%に達している。また,家庭にも高速回線が普及し,ITを活用した家庭や地域との連携が,新しい教育活動として求められている。
富士通では,学校教育の情報化をトータルにサポートし,児童・生徒の学習の道具,教師の指導の道具として,様々な学習・教育活動を支援するためのソリューションを開発・提供している。
本稿では,「教育の情報化」の進展状況を踏まえ,学校教育の情報化を担う学校教育ソリューション“@SCHOOL”の構成と特徴について述べる。また,障害のある子どもに対応した製品開発について,その取組みも紹介する。

村松 祐子,荒井 健太朗,伊藤 智之

ヘルスケア

2003年4月,全国82施設の特定機能病院(主に大学病院)に対して,新たな診療報酬支払制度が導入された。診断群分類(DPC:Diagnosis Procedure Combination)を用いた包括評価制度「診断群分類別包括評価制度」である。この制度は,これまでの診療報酬の支払方式「出来高払い方式」とは全く異なるものであり,今後の医療制度改革の中心となるものである。また,本制度の基盤となるDPCは,様々な医療情報を標準化する手段として,その活用が期待されている。
富士通では,当初からこの診断群分類別包括評価制度の試行運用に積極的に参画し,導入施設数においてトップベンダとなっている。
本稿では,診断群分類別包括評価制度の概要と富士通の病院情報システム,とくに病院管理システムの取組みについて述べる。

関口 仁,竹井 和浩

厚生労働省の「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」の発令後,病院・診療所において電子カルテシステムの導入が一層,活発になってきた。また,ブロードバンドなどネットワークインフラが整備される中,医療施設内の情報化から施設間を連携した情報の連携が求められてきている。
富士通は,すでに1990年代より電子カルテシステムの開発を行っているが,このような背景のもと,その電子カルテシステムをベースとして,WebシステムのオープンアーキテクチャであるJava/CORBA,Servlet/JSPといった新しい技術と,富士通のミドルウェアのフレームワークとを用いてWeb版電子カルテシステムのプロトタイプモデルを作成した。またベンチマークテストによる実機評価を行い,医療業務に求められる多様なインタフェース,高速なレスポンスを確保できることを確認した。
本稿では,このWeb版電子カルテシステムを紹介する。

森田 嘉昭,池間 裕人

厚生労働省は,電子カルテシステムを中心とした医療のIT化を促進するために,平成12年度から14年度にわたって,補助金を支給することにより病院のIT化事業をバックアップしている。しかし,電子カルテシステムの導入率はまだ低く,病院全体の導入率はまだ3%程度にとどまっている。
富士通は,2003年6月に医療施設数が多い割に導入率がまだ低いとされる中規模医療機関をターゲットに,業界初の「短期間に,容易に,低コストで電子カルテシステムを導入でき,成長し続けるシステム」をコンセプトとした「医療ワンストップソリューション」を発表した。このシステムは,標準機能のパッケージプロダクトを適用することにより,構築期間の短縮が可能となるとともに,定期的なレベルアップを実現した。
本稿では,成長し続ける電子カルテシステムの概要,システム構築方法について紹介する。

石井 雄一郎

公立八女総合病院は,医療ワンストップソリューションのファーストユーザとして,2003年12月に電子カルテシステムを稼働させた。電子カルテの導入については,病院の経営環境が厳しさを増す中,その投資対効果が明確でないため,導入に二の足を踏む病院も多く見られる。その中で公立八女総合病院では,6箇月という短い導入期間で無事に電子カルテシステムを稼働させただけでなく,稼働後,半年で病院経営へ数字的な成果をあげることに成功し,電子カルテの導入が病院経営に貢献することを示した。
本稿では,これまでの病院情報システムの導入とどのように違うのか,医療ワンストップソリューションの導入過程を,病院基本戦略の立案,電子カルテシステムの選定,ノンカストマイズ手法,本稼働前のシステムへの習熟,稼働後の継続的な改善活動について紹介し,経営的成果についても紹介する。

平山 謙司,井龍 俊彦,中野 直樹

診療現場でのミスは生命にかかわる医療過誤につながる可能性がある。昨今,患者の取り違えや投薬ミスなどの人為的ミスが報道されている。また,一つの大きなミスの背後には300もの「ヒヤリ・ハット」の無傷事故が発生していると言われている。この無傷災害のほとんどは,ヒューマンエラーであると分析されており,大きな事故の発生の防止には,このヒューマンエラーを未然に防ぐことが重要である。富士通は,ヒューマンエラーを未然に防ぎ患者が安心して治療を受けられ,医師や,看護師をはじめとした医療を支えるコメディカルスタッフが安心して安全に治療をするための支援には情報技術(IT)を活用することが有効であると考えている。
本稿では,富士通のITを活用した電子カルテシステムでの医療過誤防止への取組みを紹介する。また,併せて入院患者へのアメニティ向上のためのベッドサイドシステムの導入について,国立成育医療センター病院様の事例を交えて紹介する。

大串 英明

診断群分類(DPC:Diagnosis Procedure Combination)の包括評価制度の導入に代表されるように,医療機関を取り巻く経営環境は急激に変化している。富士通は病院マネジメント支援システムをキープロダクトに病院経営ソリューションを推進し, 現在数多くの医療機関から注目されている。営利を主目的としない病院においても,生き残りや成長のために,定量的なデータに基づいたコスト分析や人材戦略などの経営分析を行い,迅速な意思決定が求められる時代がきている。
一方,国立大学病院の独立行政法人化や,複雑な医療保険制度の導入など,経営支援への新しいニーズが高まってきている。
本稿では,「病院経営ソリューション」の概要を述べ,これまでの富士通の取組みおよび今後の展望について述べる。

蟻川 典佳,古橋 正己,清野 康浩

2000年4月より施行された介護保険制度は,介護費用を国民全体で賄うという方法で,介護を必要とする高齢者に対して福祉サービス,医療サービスを実施するというものである。富士通ではこの介護保険施行に合わせて,介護事業者支援システム“WINCARE”,介護サービスネットワークシステム“WINCARE/X”,療養型病床施設向けシステム“CareJoin”の3商品を市場に投入してきた。現在はこれら商品のメンテナンスを行う一方で,お客様と利用者の課題を更に解決することを目的として次世代商品の開発を行っている。
本稿では介護保険制度の背景および概要を述べ,これまでの富士通の取組みおよび今後の展望について述べる。

松本 一宏,本多 健太郎

ナノテクノロジの重要な一分野として,ナノバイオテクノロジが注目を集めている。著者らは,バイオ素材を用いて人工構造物を作り,これによって,修飾アプタマー法,ナノワイヤプローブ法といった従来にない新しいたんぱく質の計測技術を開発している。修飾アプタマー法は,これまで,たんぱく質認識に用いられていた抗体の欠点を克服して,どのようなたんぱく質に対しても適用可能な分子認識を実現しようとするもので,アミノ酸に似せた構造を導入したDNAを用いている。ナノワイヤプローブ法は,溶液内の分子運動や拡散に着目して抗体とたんぱく質の複合体の形成をモニタする手法で,これまで臨床検査に使われてきた手法より100倍早く,100倍高感度なたんぱく質の定量ができる可能性がある。
本稿では,主にナノワイヤプローブ法に焦点を当てて,技術開発の現状を紹介する。

藤田 省三

セキュリティ

行政分野や医療・ヘルスケア分野など,公的な分野での情報の電子化に伴い,情報交換や情報の再利用が効率良く行われるようになり,利用者へのサービスレベルが向上し始めている。一方で,電子化された社会では,個人情報の漏洩が深刻な問題になりつつある。事故が起こった際,被害が瞬く間に広まってしまうためである。
本稿では,公的な分野でのセキュリティを高めるための富士通の取組みについて紹介する。行政分野については,住民が安心して,安全に利用できる,セキュアなアプリケーションプログラムを開発するための方策を述べる。医療・ヘルスケア分野については,遠隔からの診療情報参照のための認証手段として,ヘルスケアPKI(HPKI)を活用した事例について述べる。さらに,パソコンからの情報漏洩を防ぐための試みとして,環境認証についての取組みを紹介する。

下邨 雅一,石坂 晃,中山 裕子,高橋 崇夫

デモ・展示

政府が推進する「e-Japan戦略」の下,様々な分野でIT化の取組みが推進されている。e-Japan戦略が目指す電子社会の実現のためには,ITをいかに効果的に利活用していくかが重要である。
富士通が東京・霞が関に開設しているe-Japanモデルルーム“netCommunity”では,お客様自身にe-Japan実現の手がかりをつかみ取っていただくために,富士通の考える将来の電子社会の姿や,様々なソリューション,先進技術などを紹介している。法制度や社会の仕組み,組織などの課題を明確にするとともに,本当に利便性の高いサービスを提供していくために,ITで何ができるのか,何をしなければならないのかという観点で,富士通からのメッセージを発信している。
本稿では,このnetCommunityのコンセプトやコンテンツ,今後の展開について紹介する。

樋口 隆一


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