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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2003-11月号 (VOL.54, NO.6)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2003-11

特集: 「環境経営」

本特集では,持続可能な社会の発展に向けた取組みとして,EMS活動,環境技術,環境製品・ソリューション,グリーンプロセス,ボランティア活動などの環境経営の各分野についてまとめました。


経営執行役専務コーポレートセンター部門長
小倉 正道
経営執行役専務コーポレートセンター部門長 小倉 正道 写真

環境経営特集に寄せて(PDF)

富士通グループは,「自然と共生するものづくり」を原点として,社会の持続可能な発展に貢献することを目指しています。この原点は創業以来,経営者,従業員によって受け継がれてきました。現在富士通グループはIT企業として,お客様第一主義としての「カスタマ・フォーカス」,「スピード」という二つのキーワードを常に考え,事業を推進しています。私たちが取り組むべき環境活動は,このITの活用による作業効率とエネルギー効率の向上における環境負荷の削減に大きく貢献します。国が進めている「e-Japan構想」,「エコタウン事業」などに参画し,同時に社会全体の環境負荷低減に貢献していくことが,私たちの使命であると考えています。IT企業としてのテクノロジーと,社員一人一人の環境マインドが,それを可能にします。

特集: 環境経営 目次〕

  • 富士通の環境経営戦略コンセプト
    -第3期環境行動計画の現状と第4期計画の策定-

Green Management(グリーンマネジメント)

  • サステナブル経営の取組み
  • 環境会計の導入と活用

Green Products(グリーンプロダクト)

  • 生分解性プラスチックのパソコン筐体への適用
  • マグネシウム合金筐体のリサイクル技術
  • パソコン筐体用ABS樹脂のリサイクル技術
  • グリーンケミストリーとADMEWORKS
  • エコリーフ環境ラベルへの取組み
  • グリーン調達の強化
  • グローバルリサイクルネットワークの構築

Green Factories(グリーンファクトリ)

  • グリーンプロセス
  • 廃棄物ゼロエミッション
  • 省エネルギーへの取組み
    -NAS電池システムの導入による電力安定供給-
  • 物流における環境負荷低減

Green Solutions(グリーンソリューション)

  • ITと環境負荷評価技術
  • 光と電波による地球環境計測へのIT活用事例

Green Earth(グリーンアース)

  • 海外植林への展開
  • 富士通グループの環境社会貢献活動への取組み

一般

  • 宇宙航空研究開発機構様数値シミュレータIIIを支えるPRIMEPOWER HPC

特集:環境経営


環境活動が企業経営の重要な一要素になり,各社では事業活動の枠組みの中で環境活動を実施する「環境経営」の実践に取り組んでいる。富士通グループでは,環境マネジメントシステムの構築,環境会計の導入,環境経営報告書の作成・配布など,仕組み面での環境経営の基盤構築のもと,第3期環境行動計画の具体的な目標としてグリーン製品の開発,グリーン調達の推進,廃棄物のゼロエミッションなどを掲げ,成果を上げてきた。環境活動を取り巻く国内外の規制が多様化する中で,富士通グループの環境経営の概要について,2003年度が最終年度に当たる「第3期環境行動計画」の現状と2004年度~2006年度を対象とする「第4期環境行動計画」策定に向けての取組みを紹介する。

古賀 剛志

Green Management(グリーンマネジメント)

今日,企業の社会的責任(CSR)として,環境問題への対応(環境的側面)や経営的なパフォーマンスの向上(経済的側面),お客様や従業員,地域社会への対応(社会的側面)のバランスを図る取組みが注目されている。「環境」「経済」「社会」は,企業の持続可能性(Sustainability)を支える三つの柱(トリプルボトムライン)と言われている。
富士通は,2002年に「富士通環境憲章」を全面的に見直し,新たに「富士通グループ環境方針」を制定した。この「環境方針」において,「環境保全への取組みが重要な経営課題であると認識し,IT企業としてその持てるテクノロジと創造力を活かし,社会の持続可能な発展に貢献」することを宣言した。
本稿では,「富士通の持続可能性の取組み」の背景とその目指す姿を描き,「環境」「経済」「社会」のそれぞれの取組みについて概括する。

佐藤 貢,川野 昭彦,吉川 三男

環境経営の重要性が叫ばれるなか,その運用ツールとしてISO14001(環境マネジメントシステム),環境報告書とともに環境会計が提唱されている。富士通では,環境省の環境会計ガイドラインの公開(2000年5月)に先立ち,1998年度の環境コストと効果を把握するため,独自の考えに基づいた評価・活用手法を開発し環境会計を導入している。
富士通が他社に先駆けて環境会計の運用に取り組み,その結果の公開に踏み切ったのは,環境情報を開示し企業姿勢を示すことの重要性を認識し,収集した環境コストと効果のデータを企業内部で活用することで環境保全活動の活性化を図ることを意図したためである。
富士通の環境会計は,環境省のガイドライン公開後,そのコアとなる要素に準拠しつつ,企業内部での活用を意図した当初の思想は残し,より効果的な環境経営の運用ツールに進化している。
本稿では,富士通の環境会計の導入と活用の変遷を紹介する。

功刀 昭志,伊東 浩幸

Green Products(グリーンプロダクト)

近年,家電品やパソコンなどの電子機器も環境配慮が求められている。マグネシウム合金やプラスチックでできているノートパソコンの筐体については,リサイクルシステムの積極的な構築が進められているが,リサイクルから漏れ,廃棄物となるものを根絶することは困難である。さらに,現在筐体に使用されているプラスチックは石油を原料としており,石油消費を低減するためにも代替材料が必要とされている。このような問題を解決し,パソコン筐体およびその製造にかかわる環境負荷を低減するために,トウモロコシなどの植物資源を原料とするポリ乳酸(PLA)に着目した。ポリ乳酸は生分解性を有しており,たとえ廃棄され土中に埋められたとしても微生物の作用により分解され,また焼却した場合でも有害ガスは発生しないという特徴を持っている。富士通はこの組成を調製し,最適化することによって新しいパソコン筐体部品を世界に先駆けて開発した。
本稿では,ポリ乳酸と生分解性プラスチックの特徴を紹介するとともに,実用化したポリ乳酸組成物によるパソコン筐体部品について紹介する。

野崎 耕司,端谷 隆文,矢野 映

マグネシウム合金(以下,Mg合金)筐体は,軽量,高強度,高放熱性の特徴を持ち,ノートパソコンを中心とした情報機器に広く適用されている。Mg合金筐体のリサイクルは,成形工程時に発生する不要部分のリサイクルと回収したMg合金筐体のリサイクルから成る。不要部分のリサイクル技術は1999年よりノートパソコンに適用している。一方,市場より回収されたノートパソコンのMg合金筐体は塗装が施されたため,回収筐体のリサイクルはほとんど行われていなかった。著者らは,あらかじめ溶液処理によって塗装を剥離した後に,再溶解,成分調整することにより,再溶解時のガス,塵埃の発生が少なく,初期材料と同性能の再生材を製作する技術を確立した。さらにMg合金筐体について,リサイクルプロセスにおける環境負荷を定量化するためライフサイクルアセスメント(LCA)を実施した結果,リサイクルによりCO2排出量を1/5にまで低減できることが分かった。

木村 浩一,堀越 裕三,馬場 登

循環型社会の形成のために施行された資源有効利用促進法により,パソコン製造メーカに使用済み製品の回収,再資源化が義務付けられた。しかし,パソコンの樹脂筐体をリサイクルするに当たり,回収された樹脂筐体は品質および供給量が安定しないため,再生材の作製は難しく再びパソコン筐体に適用することが困難であった。富士通は今回,オープンリサイクル技術とクローズドリサイクル技術を組み合わせることで問題を解決する「セミクローズドリサイクル技術」を開発した。これは,回収製品から樹脂筐体を選別し,適切な処理により調製したクローズドリサイクル原資と,樹脂メーカが調達したオープンリサイクル原資を初期材などと配合することで,回収パソコン筐体樹脂の欠点であった品質,供給量の不安定を補完する技術である。本技術を用いることにより,初期材と同等特性を持つ再生材を得ることができ,パソコン筐体への適用を可能にした。

中村 貴光,木村 浩一,御代 政博

化合物は人類の豊かな生活を支える必需品であるが,一歩間違えると環境汚染物質となる。この危険性を可能な限りゼロとすべく,工業的に生産される化合物は政府の様々な規制により厳しく管理されている。現在,文明の急速な発展に伴い地球上に生まれてくる新規化合物数は急速,かつ確実に増えており,各国政府の規制業務量が増大している。また,環境意識の高まりにより,企業にも従来のような生産第一主義の考えは許されなくなっており,新たな環境重視の生産が求められている。規制自体も項目数や種類などが増えて,徐々に強化されつつある。このような現状を打破する手法として,コンピュータによるQSAR(定量的構造-活性相関)の適用が国際的に検討されつつある。
本稿ではQSARに基づいた化合物毒性予測手法,および基本原理について簡単にまとめる。また,富士通と富士通九州システムエンジニアリングが共同開発した化合物毒性予測システム(ADMEWORKS)の説明と,グリーンケミストリーが究極の目標とする「生産前対策」の実現に向けた提案を行う。

湯田 浩太郎,北島 正人,Jose Martin Ciloy

製品の定量的な環境影響情報を評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)手法が注目されている。LCAは,製品における資源採取から製造,物流,使用,廃棄までのライフサイクルを通じて環境に与える影響を定量的に評価する手法である。環境に関するラベルには環境保全に役立つ製品に表示できるエコマークなどがあるが,エコリーフ環境ラベルはLCA手法を使用して定量的な製品環境影響情報を表示する新たな環境ラベルであり,社団法人 産業環境管理協会により開発されたものである。
本稿ではエコリーフ環境ラベルを紹介するとともに,ノートパソコンに適用した事例,およびラベル作成を行うために今回構築したシステムを紹介する。

遠藤 秀一,笠原 雅治,布施 健介

21世紀を迎え,環境への取組みは法規制や国際的な合意事項の遵守はもとより,自らの事業の特徴に即した自主的な取組みを強化すべき時代になっており,資源・廃棄物・エネルギー問題とともに,製品やサービスに対する環境配慮の取組みも同じ観点に立って実行することがますます重要となってきている。
富士通グループでは2001年度から2003年度にかけての「第3期環境行動計画」の中で「グリーン調達の推進」を目標として掲げ,取引先と協調・連携しながら活動を推進している。市場での環境に配慮した製品(グリーン製品)のニーズが急速に高まってきており,今後,さらに「グリーン調達」の重要性が増すと考えられる。
本稿では,富士通グループにおける「グリーン調達活動」の全体像とその進捗状況について述べる。

内藤 渡,細貝 正男,斉藤 功

富士通は,1997年に業界として初めて全国規模の「富士通リサイクルシステム(FRS)」を構築して,使用済みIT製品の回収・再資源化に先駆的に取り組んできた。さらに,2002年12月より欧州におけるリサイクルシステムの検討を開始し,2003年2月のEU廃電気電子機器のリサイクル指令発効を受け,2005年3月までにリサイクルシステムを構築すべく富士通欧州グループ会社と準備作業を進めている。
これらを踏まえ,富士通グループとして地球的な規模での製造事業者の拡大生産者責任を果たすべく,使用済みIT製品を資源に循環させるグローバルリサイクルネットワークの構築を開始した。さらに,2007年3月を目標に,欧州以外の,北米,中国および東南アジアの地域へもこのネットワークを拡大すべく,各地域での使用済みIT製品のリサイクルの現状と課題の調査も併せて進めている。 本稿では,このグローバルリサイクルネットワークについて述べる。

高橋 誠,神沢 修,原 利行,藤原 啓司

Green Factories(グリーンファクトリ)

富士通は,業界で初めて製品の製造プロセスをライン単位で見直すことで,資源投入量,使用エネルギーを削減し,環境負荷の低減を図る「グリーンプロセス活動」を開始した。本活動は,従来のゼロエミッションをはじめとする排出量抑制活動に加えて,製造プロセスそのものを見直すことで,各種工程で使用される原材料の投入量の削減,石油系燃料・電気などの使用量削減を追求するものである。今回,その仕組みを作り上げる段階で,コストテーブル,環境影響度,CG(コスト・グリーン)指標を新たに開発し,削減施策を行うべき項目の優先順位や効果を明確にできるシステムとした。この仕組みは,半導体の量産工場である三重工場でトライアルを行いながら2003年3月に完成した。
本稿ではグリーンプロセスの概要について述べる。

大野 秀樹,小泉 元,工藤 孝

富士通グループでは,資源循環型社会の早期実現に向け,積極的に3R(Reduce:発生抑制,Reuse:再利用,Recycle:再資源化)活動を推進するとともに,従業員一人一人が主体性を持ってゴミ分別回収の徹底などの環境活動を推進してきた。これらの活動の結果,2003年3月,富士通の国内全製造工場および主要な開発拠点の13事業所で,生活系廃棄物を含めたすべての廃棄物に関するゼロエミッションを達成した。
本稿では,とくに種類・量ともに多くの化学物質関連の廃棄物を扱い,それらの再資源化を実現した富士通研究所(厚木地区)の活動事例を紹介する。厚木地区では,独自の化学物質管理システム,廃棄物管理システムを活用するとともに,廃薬品類を鉄,セメントの原料としてリサイクルする新しい処理手法を採用することで廃棄物ゼロエミッションを達成した。

杉本 富士夫,堀江 博,朽網 道徳

半導体メモリデバイスの本格量産に伴い連続操業に必要な電力の安定供給が求められている。最近の異常気象の影響を受け,とくに2001年度は最新鋭半導体開発・試作量産拠点である「あきる野テクノロジセンター」において,雷による瞬時電圧低下(瞬低)の発生が顕著であった。このような状況の中,連続・安定操業を確保するため抜本的に瞬低対策を見直す時期にきていた。富士通として地域社会といった利害関係者のためにも,その設備が安全であり,環境にやさしく,省エネルギー対策も考慮する必要がある。
本稿では,今回日本で初めて導入した瞬低対策用NAS電池システムについての背景,半導体製造と瞬低対策,瞬低対策設備の比較,概要,安全対策,導入の効果,社会的影響,標準化などについて紹介する。

佐藤 健一,久川 哲也,石川 良之

富士通グループの物流を担う(株)富士通ロジスティクスでは,物流のあらゆるプロセスで独自の技術と工夫を行い,環境負荷低減に向けて様々な施策を展開している。物流プロセスは,工場で製造された製品をお客様まで安全にお届けするための包装設計から始まり,物流センターでの入出庫・保管,その後の輸配送,さらに不要となった製品の回収,リサイクル,廃棄まで多岐にわたる。富士通ロジスティクスの使命は,これら一連の物流プロセスを安全,確実に高品質,低コストで遂行するだけでなく,回収物流での不法投棄問題などに対処すべく,最終プロセスまで確実に見届け,社会的責任を果たすことにあり,環境に対しても常に循環型社会への貢献を念頭に置き,会社一丸となって活動を展開している。
本稿では,物流プロセスの中で特に包装,入出庫,輸配送,回収物流での取組みについて紹介する。

宮崎 惠之助

Green Solutions(グリーンソリューション)

地球温暖化の原因となっているCO2をソフト・サービスなどのIT化で削減可能か?
IT化によるCO2削減可能な例として,インターネットを利用した音楽配信や電子商取引が挙げられる。前者はデジタル情報だけを売買するため脱物質化効果が見込まれ,後者は中間物流の簡素化などでエネルギー削減効果が見込まれる。一方,パソコンなどの情報機器の総消費電力は増加傾向にあり,CO2増加の要因になっている。IT化のCO2削減の効果は,このように増減の両面から検討する必要がある。
本稿では,富士通で実際に稼働している二つのシステム事例を取り上げ,IT化によりどの程度,環境負荷が低減されたかを,資源,エネルギー消費などの観点から整理し試算した。さらに,ソフト・サービスを導入した場合の環境負荷評価技術について紹介する。

端谷 隆文,串間 洋,後藤 典孝,上田 修

現在,地球温暖化,オゾン層破壊,酸性雨,海洋汚染など,地球規模での環境問題が危惧されている。
独立行政法人通信総合研究所(CRL:Communications Research Laboratory)では,これら地球環境問題の現象を理解し解明するため,光と電波を用いた地球環境のリモートセンシング技術の開発,および計測した環境情報の有効利用にIT(情報技術)を活用し,大きな成果を上げている。
著者らは,1998年からこれらの研究に参画し,地球環境観測データの処理,および高速ネットワークを利用した実験システムの構築において,その一翼を担ってきた。
本稿では,地球環境の計測と環境情報利用におけるIT活用事例として,北極域大気環境計測,および宇宙ステーション搭載サブミリ波による大気微量成分計測の概要と構成,基礎技術などを紹介する。

谷口 弘智,松本 哲也,高橋 千賀子

Green Earth(グリーンアース)

富士通グループでは,1935年の創業当時より工場建設時に庭園様式を取り入れ,その思想を大切に,今日まで富士通グループ関連会社・工場で緑化活動を積極的に推進してきた。従業員に引き継がれてきたこの精神は,生態系との共生を目指した「生物多様性緑化」として国内,海外における植林活動へと展開している。この植林活動は富士通労働組合との共催で実施しており,日本および現地の富士通グループ関連会社からの多くのボランティアも参加している。海外での植林活動では,とくに東南アジアの熱帯雨林の減少が深刻であり,富士通事業所が建設されている縁で,タイ・ベトナム・マレーシアで数年間にわたり植林活動を行ってきた。近年,この植林活動は更なる拡充を図るため,マレーシアでは現地政府や国際協力事業団(JICA)と協調した環境学習やエコ・ツーリズムとして活用できる「エコ・フォレストパーク」を目指している。

松本 操,榎島 年啓

「企業は社会の一員,一部であり,社会との関係を無視して企業は存在し得ない」(第15回企業白書 社団法人 経済同友会 2003.03より)と言われるとおり,企業が社会の一員としてどのような役割を果たすべきか,今改めて問われ始めている。
富士通グループでは,企業活動における環境負荷低減を目的とした管理活動と並行して,社員,または拠点・事業所,グループ会社が中心となった,環境社会貢献活動を積極的に行っている。
本稿では,富士通グループの環境社会貢献活動の考え方,活動の具体例,社員の活動を推進する仕組み,表彰制度について紹介する。

高木 淳,前沢 夕夏

一般

宇宙航空研究開発機構様は,1987年以降,スーパーコンピュータを中核とする数値シミュレータによって,CFD(数値流体力学)に代表される数値シミュレーション技術の発展と普及を推進している。さらに,第3世代数値シミュレータとして富士通PRIMEPOWER HPC2500を中核としたシステム(数値シミュレータIII)を導入し,2002年10月より運用を開始した。
数値シミュレータIIIは,中央計算システム,中央マスストレージシステムおよび中央可視化システムの三つの要素から構成され,大規模SMPシステム,卓越した科学技術計算処理性能,大容量・高速ストレージシステムおよび高速リアルタイム可視化といった特徴を有する。
本稿では,数値シミュレータIIIの概要とその特徴について紹介する。

矢澤 克巳,稲荷 智英


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