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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2003-3月号 (VOL.54, NO.2)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2003-3

特集: 「EJB&Linux」

本特集では,最初に,業務アプリケーション開発の効率化に向けた「EJB」,続いて,今後の重要なITインフラの一つとなる「Linux」を取り上げて,富士通の取組みを紹介いたします。


常務執行役 エンタプライズシステム事業本部長
前山 淳次
常務執行役 エンタプライズシステム事業本部長 前山 淳次 写真

EJB & Linux特集に寄せて(PDF)

ITはこれまで社会に大きなインパクトを与え,様々な変革をもたらしてきました。企業は今,様々な変革に迅速に対応していくための種々の課題を解決していくために,ITを活用した経営の効率化・構造改革を強く推し進めています。
富士通は,EJBやLinuxなど新たなITの開発と活用により,グローバルな競争の時代に向けて,お客様のビジネス拡大に貢献していきたいと考えております。

特集: EJB & Linux 目次〕

EJB

  • EJB技術を基盤としたアプリケーション開発スタイルの変革
  • ソフトウェア再利用技術の活用によるお客様へのシステム提供の効率化とスピードアップ
  • アプリケーション共通機能のミドルウェア化
  • ソフトウェア部品流通市場の確立に向けて

Linux

  • Linuxが切り開く新しい世界
  • Linuxテクノロジの最先端
  • Linuxベースの基幹システムへのInterstage展開
  • PCクラスタ

一般

  • インターネットにおける風評リスク対策支援サービス:BBSwatch
  • ネットワーク分散環境向け並列プログラミング環境:SSDE
  • 錫-亜鉛-アルミニウム系鉛フリーはんだの実用化
  • プレゼンスサービスを実現するプッシュ型情報配信ソフトウェア:FLAIRINC

特集:EJB & Linux


EJB

企業のビジネスモデルを支えるWebシステムは,3~4か月の短期開発と,高品質・高信頼性が求められている。富士通では,EJB技術を基盤にしたノウハウ,設計書,ソフトウェア部品(コンポーネント)の徹底した再利用開発を行う「ものづくり変革」を実施する。これにより,新たな開発を最小限に抑え(できるかぎり新たにものを作らない),お客様へのシステム提供の効率化とスピードアップを実現する。
本稿では,ノウハウ,設計書,およびコンポーネントを蓄積して再利用することで,より一層の短期開発・品質向上を実現することを目指す三つの取組み,「お客様へのシステム提供の効率化とスピードアップ」,「共通機能のミドルウェア化」,「部品流通市場の確立」を紹介する。

亀井 尚樹

お客様は「早く」「安く」「高品質」なアプリケーションを,いつの時代でも常に求めている。とくに近年においては,流動化するビジネス環境とITの絶え間ない変化に追随すべく,企業情報システムの開発もますます短期化が求められている。それに応えるべく,富士通では「再利用」をキーワードに,システム提供の効率化,スピードアップを目的としたアプリケーション開発の変革に取り組んでいる。
本稿ではJava/EJBを中心に,システムの再利用設計に取り組んでいるプロジェクトを取り上げ,上流設計の整備,アプリケーションアーキテクチャの利用,方式設計の再利用,フレームワークの適用と標準化の推進といった具体的手法と部品再利用に向けての取組みを紹介する。

津金 成年

昨今,Java言語は,従来からの簡単なアプレットやスクリプトでの利用にとどまらず,大規模・高信頼性を要求されるエンタプライズ分野において,ServletやEJBに代表される新技術の中核として利用されつつある。
Javaの適用領域の広がりと同時に,開発者が理解しなければならない技術も広範囲となり,かつ,より深くなってきている。また,開発サイクルの短期化というニーズに対応するため,アプリケーションの生産性・品質の向上が今後の開発に必要不可欠となる。
ミドルウェアは,アプリケーションで必要とされる共通機能を提供することにより,プログラム作成者の負担を減らし,開発効率を向上させ,同時に品質の向上をもたらす。
本稿では,富士通のフレームワーク製品を利用したシステムのいくつかの例を紹介し,具体的なデータをもとに,フレームワークの有用性を述べる。

出海 修二,伊藤 正樹

ソフトウェア部品の流通・再利用は長年のテーマである。流通市場の形成にまで至った例は少ないものの,GUI部品の例や米国先進企業のいくつかの取組みでは部品流通が成功している。これらの成功の要因として,部品化標準化技術の浸透と,部品ベンダが参入しやすいビジネスモデルの考案・実施が挙げられる。
一方,これまでの取組みを通して,部品流通の残る課題も明らかになってきた。部品の粒度の課題,アーキテクチャ統一の課題,部品ビジネス上の課題である。EJB技術がもたらすブレークスルーとコンソーシアムなど業界をあげての取組みにより,これらの課題の解決が期待される。
富士通は,富士通コンポーネントセンターを通して,業界標準にのっとったEJB部品製品の提供と,ユーザにとってより利用しやすいビジネスモデルの実施に取り組んでいる。

銀林 純

Linux

1991年,フィンランドの大学院学生,リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏は,独力でUNIXクローンOS,"Linux"を作った。彼はそのソースコードをオープンソースコミュニティに委ねることにしたため,Linuxはまたたく間に,機能豊富なOSとして成長した。その背景には,インターネットの普及に伴うサーバOSの需要があった。
本稿では,Linuxの機能成熟の状況,LinuxがサーバOSとして広く受け入れられた理由を考察した後,インターネットサーバ,巨大ISP,企業基幹システムにおける利用の状況を概説する。とくに,企業基幹システムでのLinuxの利用拡大が予想される中で,富士通の今後の製品ロードマップと,オープンソースコミュニティの中での富士通の活動状況についても説明する。

工内 隆

近年,Linuxはデスクトップ用途やサーバ用途における基盤OSの一つとなっており,さらにその適用範囲を拡大するために,インターネットを通じて世界中のカーネル開発者によって改良や性能改善が行われている。現在開発が進められているLinuxカーネルでは,ファイルシステム強化やプロセススケジューラの性能改善など主に大規模基幹業務での運用を強く意識した改良に加え,組込み用途なども考慮した新機能の追加などが行われている。
本稿では,とくに,Linuxが最も普及しているハードウェアプラットフォームであるIA32(32-bit Intel Architecture)を対象として,現在開発が進められているLinuxカーネルで導入されている最先端技術について概説する。加えて,富士通研究所で行っているLinuxの大規模基幹業務への適応に向けた取組みについても簡単に紹介する。

山村 周史,久門 耕一

インターネットやイントラネットを利用し,Java/CORBAなどの技術を利用したWebアプリケーションで構築した企業システムがオープン系OSのSolaris,Windows上で稼働してきている。各企業は,今後新たなOSとしてLinuxを視野に入れ,企業システムへミドルウェア製品の導入を検討し始めている。
一方,富士通はWebセントリックな企業システムを構築するためのミドルウェアとして,"Interstage"を開発し,当初から常に最新技術,標準化技術を取り入れた製品を提供して成長してきた。本稿では,これまでの開発における製品のねらい,特徴,取組み,および標準化への対応を振り返り,Interstageがオープンなソフトウェアであることを説明する。さらに,Interstageが基幹システムへ適用してきた代表的な技術を紹介するとともに,Linuxへ向けた展開を説明する。

山本 真差志

パーソナルコンピュータ(PC)のハードウェア性能の劇的な性能向上とともに,複数のPCを高性能インタコネクトで結合し,高い処理性能を実現するPCクラスタシステムが注目を浴び構築されている。しかし,PCクラスタ上で,高速で安定したアプリケーション性能を実現するにはいくつかの機能と技術が必要である。
本稿では,PCクラスタについての一般知識とPCクラスタ上で安定した高いアプリケーション実行性能を実現するために重要な技術について述べた後,RWCプロジェクトで開発されたSCoreクラスタシステムソフトウェアの概要,そして富士通のPCクラスタに対する取組みおよび将来の展望について述べる。

住元 真司

一般

新たなマスメディアであるインターネットの急速な発達によって,企業は,大きなチャンスを得られるとともに,ひぼう・中傷による企業イメージのダウン,不買運動など様々な脅威にさらされることになった。このような背景のもとに,富士通ではインターネットの脅威に対する効果的な対策として,"BBSwatch"を開発しサービス提供を開始した。BBSwatchは,掲示板やWebページに書き込まれた自社の風評が,グラフや表などによって整理された形で簡単にチェックできるため,風評による被害を最小限に食い止めるための支援ができる。さらに,ユーザの声を把握・分析しやすくなるため,マーケット情報として今後の企業活動に役立てることにもつながるサービスである。
本稿では,インターネットを取り巻く課題,その解決策となるBBSwatchサービスの内容,それを支える技術,業務への活用事例などについて述べる。

蔀 由紀,橋本 三奈子

ネットワーク分散環境向けの並列プログラミング環境の基盤として,SSDE(Scientific Software Development Environment)を開発した。SSDEの基盤技術は,PRIMEPOWER向けのParallelnavi V2系製品の中でも,Fortran/C/C++用の並列プログラミング環境のベースとしても採用されている。SSDEの基盤技術は,オブジェクト指向など特徴的な概念や技術が多く取り込まれており,ネットワーク時代にふさわしいプログラミング環境となっている。このSSDEのフレームワークは,科学技術計算分野のみならず,他分野の環境としても十分に適用可能である。
本稿では,SSDEの開発の背景,およびSSDEのいくつかの特徴的なコンセプト,とくに,ネットワーク透過的な操作性,システムの拡張性,運用の柔軟性,チーム開発への対応,アプリケーションプログラムへのツール埋込み機構について紹介する。

田中 稔

富士通では,環境汚染物質である鉛を製品から全廃することを目標に,全社で段階的な鉛の使用削減に取り組んでいる。今回,新たに鉛フリーはんだとして,錫-亜鉛-アルミニウムから成る製造性・接合信頼性に優れたはんだを開発した。
開発した鉛フリーはんだは,錫-鉛共晶はんだと同等の融点を持ち,普及が始まっている錫-銀-銅はんだに比べ,低温実装プロセスの実現が可能である。さらに,現状の鉛を含む部品端子および将来採用が拡大される鉛フリー部品端子に対する接合信頼性にも優れ,早急な鉛フリー化の推進を可能とする。すでに,一部の富士通製品に本はんだを用いたプリント板ユニットが搭載されており,今後,ほかの製品への展開を計画している。本稿では,開発した鉛フリーはんだの基礎特性と実用化に向けての研究成果について述べる。

神谷 佳久,本間 仁,北嶋 雅之

携帯端末の加入者数は7,300万人を突破し,もはやなくてはならないパーソナルな情報端末として広く普及している。固定網ではブロードバンドの加入者も780万人を超えた。このようなネットワーク環境下で求められるサービスとして,富士通ではいつでもどこでもリアルタイムに情報および情報の変化を交換できるプレゼンスサービスに着目し,これを容易に実現するパッケージ製品"FLAIRINC"を開発した。あらゆる情報をプレゼンスとして処理可能とし,人と人だけではなく情報をシステムと共有することで,より高度なコラボレーション型の情報配信システムが容易に実現可能となる。
本稿では,まずプレゼンスサービスについて説明し,つぎに新製品FLAIRINCの製品コンセプト・利用事例・特徴について紹介する。さらに,富士通が推進する本製品を含めた総合ソリューションサービスであるFPSIGNについても言及する。

井上 輝己,山本 有輝,石井 貴子


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