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Fujitsu

Japan

アーカイブ コンテンツ

注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2002-3月号 (VOL.53, NO.2)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2002-03

特集1: 「FRAM」 特集2: 「プリント基板」

特集1: FRAM 目次〕

  • 富士通のFRAM技術動向
  • FRAM低電圧センス技術
  • 富士通のFRAMプロセス技術
  • FRAM搭載商品のセキュリティ設計
  • FRAM搭載非接触型スマートカードの展開

特集2: プリント基板 目次〕

  • プリント基板テクノロジ商品への取組み
  • 高密度多層プリント基板:MVシリーズ
  • システムLSI向け高密度パッケージ基板:GigaModuleシリーズ
  • 基幹システム向けMCMパッケージ基板:GigaModule-U
  • HDD向けGMRサスペンション基板:GTRiMシリーズ
  • プリント基板トータルソリューションサービス
  • ツールレスプリント配線板製造システム:FJDDI
  • 高速ロール生産システム:QRTR
  • プリント配線板品質保証システム:Q2UICK

一般

  • ペン入力手書き文字認識Active-X部品

特集1: FRAM


強誘電体薄膜を利用した不揮発性メモリ(FRAM)は,低電圧動作,高耐久性,低消費電力などの特長を有し,理想のメモリとして期待されている。このため,各社で盛んに開発が行われている。富士通においても1999年に,0.5μmルールFRAM(容量:4 Kバイト)の量産を開始した。FRAMの市場では,ICカードとFRAM混載マイコンが主流である。ICカードでは,シングルアプリケーションICカードからマルチアプリケーションICカードへの移行が進み,より多くのメモリ容量が要求されている。メモリ容量を増やすには,セルサイズの縮小が必須となっており,設計,プロセス,材料の改善が精力的に進められている。
本稿では,今後のFRAM技術の動向,とくに,デザインルール,セルサイズ,セル回路,およびセルキャパシタ構造について紹介する。

大谷 成元

スマートカード(マイコン,記憶回路,RF回路を搭載したICカード)に搭載されるLSIチップは,低消費電力,不揮発性,処理時間短縮のため書換えの高速性が重要なポイントである。FRAMはこれらの要求に適した不揮発性メモリとして製品開発が進められている。LSIチップに混載されるFRAMは,周辺ロジック回路のテクノロジと同等に低電圧動作が要求されている。今回,FRAMのセンス方式として,ビット線電位をほぼGND近傍で動作させる方式を考案した。ビット線電位をGND近傍で読み出すことにより,セルに印加される読出し電圧はビット線電位へと分圧されることなく,セルキャパシタに電源電圧相当を印加することができる。この方式により電源電圧の低下においても,効率的にセルキャパシタへの電圧印加が可能となった。
本稿では新たなセンス方式を採用した,FRAMメモリの低電圧化技術について紹介する。

遠藤 徹,山本 彰,川嶋 将一郎

富士通は,1999年2月に世界に先駆けて0.5μm FRAMを出荷し,さらに2001年8月より0.35μm FRAMの量産も開始した。FRAMの製造では,従来のシリコンプロセスとFRAM独自の強誘電体キャパシタの形成プロセスの融合が大きな課題であった。
本稿では,スパッタ法による強誘電体(鉛ジルコン酸チタニウム:PbZrTiO3)の成膜技術,強誘電体キャパシタを形成する貴金属電極と強誘電体薄膜の加工技術,および配線と層間膜形成条件による工程劣化抑制技術について述べる。さらに,岩手工場で量産安定化のために構築した強誘電体工程監視システムについて紹介する。

堀井 義正,恵下 隆

ICカードやセキュアデバイスが社会のインフラとして発展し,信頼感を得るには,セキュリティを確保する基礎技術の確立が必要である。
富士通では,セキュリティ機能を搭載したICカードやセキュアデバイスにFRAMを適用している。セキュリティ向けメモリには,暗号システムで使用する鍵やアルゴリズムで必要とするパラメタの保存,サービスごとの鍵・パラメタの更新,高速に暗号を実行するテーブル演算の実装,アプリケーション間のメモリ上のファイアウォール,耐タンパ対応の要求がある。
本稿では,暗号システムにおけるFRAMの利用事例を紹介し,FRAMを用いた暗号とセキュリティシステム構築の優位性について述べる。

笛木 俊介

インターネット上における商取引の発展に従い,より高度な機能がスマートカードに要求されている。要求される機能としては,1枚のカードで複数のアプリケーションに対応するための高速CPUと大容量メモリの実装,不正アクセスからデータを保護する暗号処理機能の搭載である。とくに非接触型スマートカードは通信速度の速さ,使用用途の広さ,取扱いの簡便さから急速に市場が拡大している。このような動きの中で,富士通はFRAMを搭載した非接触型カードを既に実用化している。
本稿では,非接触型スマートカード用メモリとしてFRAMが持つ優位性について述べ,現在提供中のFRAM搭載スマートカード用LSIを紹介する。

稲岡 智彰

特集2: プリント基板


ユビキタス(いつでも,どこでも)ネットワーク社会の到来で,インフラであるブロードバンドコアプロダクト(ネットワーキングシステム,移動通信システム,高性能サーバなど)やネットワーク端末(モバイル機器,ホームネットワーク端末など)の市場は伸長著しい。これらを支えるキーコンポーネントの一つとして,プリント基板は市場の伸びに加えてテクノロジ面でも飛躍的に進展しており,その重要性がますます増加している。富士通は,プリント基板テクノロジ商品を三つのプラットフォームでビジネス展開しており,お客様のニーズに合った商品をタイムリに提供するため,多様なテクノロジ商品に加えて,設計から試作・評価まで一貫したソリューションサービスも提供している。また,先行テクノロジ開発や先進の生産システムの開発にも注力しており,次世代プロダクトのキーコンポーネントとして,よりオープンなテクノロジで,グローバルな競争力を持つ開発・製造体制の整備・充実にも取り組んでいる。
本特集では,代表的なプリント基板テクノロジ商品とサービス,そして三つの特徴的な先進生産システムについて紹介する。

瀬山 清隆,米田 泰博

ネットワーキングシステム,移動通信システム,高性能サーバなどブロードバンドコアプロダクトの高性能化・高機能化に伴い,UNIXサーバや光伝送装置,通信基地局用装置にはCSP(Chip Size Package)やBGA(Ball Grid Array)など,狭ピッチ,超多ピンパッケージを高密度実装できる多層プリント配線板の要求が高まっている。
本稿では,高多層化が容易で多ピンパッケージへの対応が可能な貼合せ工法と,狭ピッチパッケージに対応した高密度配線が可能なビルドアップ工法を組み合わせたMV-3を紹介する。MV-3は,微小な埋込みビアをスタック構造で配置することで回路設計の自由度を拡大するとともに,信号配線層を従来のプリント基板の2/3に低減可能となり,TATの短縮およびコストダウンが可能となった。
さらに,MV-3の要素技術を採用してモバイル機器,ホームネットワーク端末向けに技術展開を行ったMV-2についても紹介する。

水谷 大輔,飯島 和彦

サーバやインターネットルータにおいて増大するディジタルデータを処理するために,ギガヘルツで動作するデバイスを搭載する多ピンパッケージの要求が高まっている。
本稿では,ギガヘルツデバイス向けの高密度パッケージである「GigaModuleシリーズ」の3種類のラインナップを紹介する。一つ目はビルドアップ基板上にペリフェラルI/Oでフリップチップ接合をしたパッケージ,二つ目はスタックビア構造を持ったビルドアップ基板上にエリアI/Oでフリップチップ接合をしたパッケージである。三つ目はスタックビア構造を持ったビルドアップ基板上にインテグラルインタポーザとして機能する5μmラインとφ30μmビアを有する薄膜多層フィルムを貼り付けたパッケージである。
顧客はこのラインナップの中から要求するI/Oピン数やパフォーマンスによって最適なパッケージを選択することができる。

高橋 康仁

グローバルサーバのGSシリーズなど高性能・大容量・高信頼性システムに採用されているGigaModule-U基板技術について紹介する。GigaModule-Uはマルチチップモジュール(MCM)用基板であり,半導体素子を封止することなく配線基板に実装することにより高密度実装を実現するものである。半導体素子は微細な入出力端子を持つため,素子間を配線するためには通常のプリント配線板技術では対応できない。このため繊細な回路形成を実現するために,薄膜多層技術を適用した配線回路形成技術を開発し1995年から製品採用を開始した。今回紹介するのはMCM基板技術の中でも最高峰に位置するGigaModule-U技術で,ライン幅5μm,スペース7.5μmの超高密度配線基板である。これにより,基板サイズ63 mm×104 mm内に,マルチプロセッサCPUを構築することが可能となった。さらに,この技術はスーパーコネクトへの要素技術として新たなる展開も期待される。

森泉 清和,草野 清治

富士通は,フレキシブルな金属箔上に耐熱性,絶縁性に優れたポリイミドを絶縁材料として微細回路を形成するGTRiM技術を開発した。この技術は,金属箔の持つばね性,放熱特性などを最大現に生かすことができ,プリント基板に付加価値を付けた応用製品として情報機器分野での市場拡大が期待されている。
本稿では,HDD(Hard Disk Drive)磁気ヘッド用ワイヤレスサスペンションとして量産化を確立した二つのGTRiMテクノロジを説明する。一つはGTRiM-αで感光性ポリイミドを使用することが特徴である。二つ目はGTRiM-βで,さらに低コスト化,サスペンションの高機能化に対応するために開発したテクノロジである。GTRiM-βは非感光性ポリイミドを使用し,GTRiM-αとは異なった製造プロセスを採用した。両技術についてプロセス概要,電気特性比較,信頼性試験結果,そして今後の他製品への応用可能性について述べる。

宮崎 幸雄,高田 正志,鈴木 均

製品開発の短サイクル化が進み,試作開発の短手番化が要求されている。プリント基板には高密度化などの要求とともに,試作手番の短縮が求められている。
本稿では,富士通が行っているプリント基板の実装設計・シミュレーション・基板製造・部品実装の各サービスの内容を紹介する。実装設計は,最新の社内CADツールと市販CADツールを連携させ,さらにシミュレーションを取り入れて手戻りのない設計とお客様の設計環境に合ったサービスを,基板製造・部品実装は,短手番のメニューを取り揃えて試作手番短縮のサービスを提供し,お客様の製品開発に貢献している。

鈴木 利夫

プリント配線板市場において,開発品,試作品,多品種少量品の短手番対応が競争優位の差別化要因となっている。また一方で,ビルドアップ基板に代表される高密度高多層プリント配線板製造においては,製造ツール(マスクフィルム)を使用する従来プロセスでは,寸法精度・位置精度的に限界にきている。
これらの課題を解決する生産システムとして,製造データからダイレクトにレーザ描画する直接描画技術(FJDDI:Fujitsu Data Direct Imaging)が注目されている。本稿で紹介するツールレスプリント配線板製造システムは,DDIをコアテクノロジとしており,多品種少量品の短手番化,低コスト化,高品質,高精度対応として有効なシステムである。

兵頭 清志,川名 永四郎,服部 清男

ハードディスクドライブ(HDD)の大容量化および低コスト化が進む中,これに用いられる配線一体型サスペンションはワイヤレスサスペンションとしてHDDの重要部品となり,今後への要求が多様化している。
本稿では,急激に需要の高まったこのワイヤレスサスペンションの量産性に優れ,かつ多品種少量生産にも対応する「高速ロール生産システム:QRTR」を構築したので紹介する。まず,ロール製造から検査までのプロセスを紹介する。つぎに,ロール製造プロセスの特徴として,ライン構成・低コスト化・ファイン化対応などについて述べる。最後に,特徴的な製造設備として,露光機・スパッタ装置・検査装置の紹介,また他製品への応用についても触れる。

宮崎 幸雄,鈴木 均,藤崎 秀彦

本稿では,プリント配線板の品質保証システムについて紹介する。
富士通では,Q2UICK(ダブルクイック)をコンセプトに品質活動の推進と,品質保証システムの構築を行っている。近年富士通では,「基本品質の向上」と「大量不良の未然防止」に着目し,品質保証システムの構築を図っている。前者については原因特定チームと効果検証チームを新たに編成し,かつあらるゆる技術者が迅速にソリューションを得られるよう,ノウハウのデータベースを構築し,基本品質の向上に活用している。また後者については,根本は基本品質向上により,製造マージンを上げることであるが,品質は刻々と変わるものととらえ,必要な所にQuality Gateを設け,大量不良を出さないような品質保証システムを構築し,日々改良を図っている。

川俣 晴男,水沢 正水

一般


近年のインターネットのブロードバンド化,携帯電話・PDAなどの普及によりオフィス外で情報機器を操作する業務が増え,キーボードに代わる情報入力手段としてペン入力が注目されている。著者らは高精度なオンライン文字認識機能を容易にアプリケーションに組み込めるよう,筆跡の表示や認識候補の修正などの対話的な操作を組み込んだソフトウェア部品をWindowsのActive-Xコントロールとして実装した。また単語検索や住所検索といった様々な機能を文字認識機能とともに利用できる部品も作成した。本稿では,まずはじめに著者らが開発した手書き文字認識技術と文脈処理技術の説明をする。続いて今回実装した4種類の手書き認識部品「汎用認識部品」「単語検索部品」「住所検索部品」「連続数字認識部品」の紹介をする。最後に,ペン入力インタフェースの長所と短所についてまとめた上で,これらの認識部品がどのような分野で有効に活用できるかについて考察する。

田中 宏,中島 健次,石垣 一司


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