Skip to main content

Fujitsu

Japan

アーカイブ コンテンツ

注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2001-11月号 (VOL.52, NO.6)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2001-11

特集: 「電子行政の早期実現に向けて」

電子行政特集に寄せて(PDF)

特集: 電子行政の早期実現に向けて 目次〕

改革する電子行政市場の動向

  • 日本の電子行政の現状と動向
  • 3~5年後の近未来電子社会へ向けた首長への提言

e-Japanを支える富士通の先端基盤技術

  • インターネット情報セキュリティ
  • 電子行政における電子認証
  • XMLの動向と電子行政のかかわり
  • 行政文書管理データモデルとシステム構築
  • セキュリティとサービス向上をかなえるICカード

富士通の電子行政統合ソリューション

  • 電子行政統合ソリューションの概要
  • 電子県庁ソリューションのコンセプト
  • 電子社会を実現する電子自治体ソリューション
  • アウトソーシングによる電子行政の実現

富士通の先進先行事例

  • 総合行政ネットワーク(LGWAN)実証実験
  • 電子申請システム(総務省)
  • IT装備都市におけるICカードの活用
  • 住民基本台帳ネットワークシステム

富士通のソリューションステージ

  • 電子行政モデルルーム"netCommunity"

一般

  • 人工衛星開発支援システム

特集:電子行政の早期実現に向けて


改革する電子行政市場の動向

インターネットの急速な普及に対応して,これまで様々な情報化施策が各省庁で実施されてきた。2001年にはIT基本法が施行し,諸外国に負けないIT国家となることを目指した「e-Japan重点戦略」が発表された。それを受け2001年3月に発表された「e-Japan重点計画」は,2005年までに実施すべき事項を具体的に示した計画で,今後のIT施策はこの計画に沿って実行される。IT戦略本部は,2001年3月にe-Japan重点計画を策定し,国家プロジェクトとして電子行政の積極的な推進を行っている。その中でうたわれている「電子行政」の施策の対象は,中央省庁や自治体内部のIT化(in G)に止まらず,家庭を舞台としたG2Cの世界と企業主体のG2Bの世界へと広がりを見せており,「産官連携」の重要性が非常に増している。富士通は"IT from the Home","IT from the Office"という新たな視点からe-Japanをとらえ,ITを活用する側,ITにより真に恩恵を受ける側の視点に立ち,電子行政へのアプローチを行っている。本稿では,このようなG2BおよびG2Cを含めた「電子行政市場」に対する富士通の取組みについて紹介する。

和田 幸彦、岩崎 孝一

電子政府・電子自治体の実現目標とされる2003~2005年には,我々を取り巻くIT環境がどのようになっているかを具体的に考え,電子社会の実現により住民や企業が得られるメリットを提示する。一方,日本の行政の分野においては,様々な課題や変化への対応を迫られ,大きな変革を求められている。
本稿では,ITの活用と構造改革により実現される「電子行政社会」の姿を明らかにし,電子行政実現のために必要な施策,取組み方針についての提言を行う。

小村 元

e-Japanを支える富士通の先端基盤技術

2005年までに世界最先端のIT国家を目指す「e-Japan戦略」がスタートした。あらゆる情報を電子化し,国民の誰もが低コストで利便性の高いオープンなネットワークを活用できるインターネット社会の構築である。その実現のためのキーワードが情報セキュリティである。2000年1月に発生した各省庁のホームページ改ざん事件,2月に発生した米国のヤフーなどへのサービス妨害事件,そして5月のコンピュータウイルス事件などは,インターネット社会の脆弱性に警鐘を鳴らし,情報セキュリティ対策の重要性を再認識させた。
現在,安全で信頼できるインターネット社会の実現に向け,様々な情報セキュリティヘの取組みが行われている。本稿では,これらの情報セキュリティ関連の取組みを,法制度面,規定やルール面,そして組織面での対応に整理して紹介する。

末延 忠昭

電子行政における電子認証は,政府認証基盤(GPKI;Government Public Key Infrastructure)が先行例であり,申請など手続きの電子化が既に進められている。GPKIでは,政府と民間の間の電子化における信頼関係を確保するための認証の仕様を詳細に規定している。特徴的な規定に,証明書プロファイル,相互認証とそのための証明書パスの構築と検証,ICカードの利用などがある。
GPKIの仕様は,富士通の運用管理製品であるSystemWalkerの体系の中で,認証局基盤とディレクトリ基盤で実現している。また,アプリケーションプログラムやミドルウェアで利用できるGPKI仕様対応のライブラリも用意している。これらの基盤ソフトウェアは,安全性,操作性,汎用性および拡張性を特徴としている。今後も電子行政の基礎技術として,認証を発展させた権限などの電子的な表現やXML技術との融合を進めていく。

栗田 享佳、山下 真

Webの登場以来,インターネット関連技術は世界規模で開発が進められている。その中でも情報を記述するための仕様であるXMLの登場は,あらゆる情報アプリケーション・システムを根本から変えてしまうほどのインパクトを与えている。とくにB2Bにおいては世界共通のフレームワークとして設計されたebXMLの仕様が決まり,一気に促進する気配を見せている。国内でもワールドワイドな取引を行う上で対応が必須であるため,適用が一気に進むことが予想される。
本稿では,XMLの動向を振り返るとともに,2003年度に向けて進んでいる電子行政とXMLの関係について関連技術と現状の問題点について説明する。また,富士通のXMLへの取組みについても説明する。

鈴木 利光

2001年4月1日に施行された「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)に対応して,多くの省庁で行政文書管理のシステム化が図られつつある。総務省では,各省庁の文書管理の指針として「行政文書の管理方策に関するガイドライン」を公表し,その中で行政文書の管理単位として「行政文書ファイル」の考え方を示している。文書管理のシステム化に当たっては,各行政機関が現在保持する圧倒的な量の紙文書と,情報公開法における公開対象でもある電子文書とを,いかに統合的に管理するかが最大の課題と言ってよいであろう。
本稿では,紙文書と電子文書の管理方式の違いを明確化するために,文書管理における管理対象とその管理対象間の関係をモデルで表現するとともに,実際に構築されたシステムにおけるこのモデルの実現度について述べる。

合田 俊文

平成12年度の経済産業省における補正事業「ICカード普及等によるIT装備都市研究事業」の実証実験が平成13年度に実施され,経済産業省は,この事業を通してIT革命を強力に推進すべくICカードシステムを中心とした情報システムの普及を図ろうとしている。また,平成15年8月には,住民基本台帳法に基づいたICカードが希望者に交付されることになっている。
このような動きの中で,富士通はFRAMを用いた利便性の高い非接触ICカードの開発を行っている。このICカードはマルチアプリケーションや公開鍵暗号方式にも対応しており,従来のカードとは違った運用スキームも必要となってきている。このICカードが持っているマルチアプリケーション機能を管理できる運用管理ソフトについても開発・提供されており,今後このICカードはIT社会の重要なキーデバイスとして活用が見込まれる。

加藤 辰弥、島田 宏

富士通の電子行政統合ソリューション

富士通では,基盤技術の「電子行政基盤ソリューション」,業務簡素化・効率化のための「電子行政業務ソリューション」,行政サービス向上のための「電子行政手続き・サービスソリューション」,運用管理のための「電子行政システム運用ソリューション」を提供することで,電子行政の実現に向けてトータルな貢献を行う。これらをまとめ富士通の「電子行政統合ソリューション」として提供する。
富士通は,行政機関,民間企業,教育機関,市民など数多くのお客様に,システム構築から運用までをカバーする豊富なソリューションを提供してきた。電子行政の実現に関連性の高いソリューションとの位置付けを記すとともに,「電子行政統合ソリューション」と地方公共団体向けのソリューションである"@INTERCOMMUNITYVISION"との統合を視野に入れ,電子社会を実現するためのソリューション体系として発展させていく。

井口 茂、西田 徹、松嶋 孝裕

2000年に政府より打ち出された「e-Japan戦略構想」を受け,各県での電子県庁構築事業がいよいよ本格化してきている。富士通でもこの動きに対応すべく,電子県庁ソリューションの提供を開始している。富士通の提供する電子県庁ソリューションのコンセプトは「事務作業の効率化」と「総合型業務システムの導入」であり,これらにより県民の声に柔軟に対応できる地域に密着した電子県庁の構築を目指す。
本稿では,この二つのコンセプト実現のために提供されるシステムや,その構築手法を紹介し,富士通の目指す電子県庁の理想像について述べる。

清野 雅人

地方自治体では2000年4月に「地方分権一括法」が施行され,地方の役割と国との関係が大きく変化しようとしている。さらに,2001年1月にはIT基本法が施行され,国の「e-Japan戦略」の一環として電子自治体を構築する必要に迫られている。しかし,財政状況の悪化,少子高齢化の急激な進展による労働力の減少など,現状は非常に厳しい環境の中にある。そして,地方自治体に求められるものはBPRの推進であり,同時に電子社会全体の中における電子自治体の構築の早急な対応である。しかし,自治体の情報化の現状は取り組むべき課題が多く,今のままではIT革命への対応が遅れる可能性がある。そこで,電子自治体の体系とあるべき姿を検討し,それに向けた合併や広域行政の推進,PFIによる民間資本の活用,ASPやアウトソーシングなどの外部委託の推進などにより,規模の拡大と効率化を短期間で実施し,高度な行政サービスの提供を実現する。

鈴木 尊己

アウトソーシングは,その戦略的目的を共有し,強いパートナシップを持ってプロジェクトを推進するための有効な手段であり,民間では広範囲に採用されているものの,「行政」の世界では,本格的なアウトソーシング適用事例は少ない。しかし,電子行政を進める上でアウトソーシングの重要性は高く,その採用に向けての検討が様々な観点から始まっている。
本稿では,まず電子行政化に伴うアウトソーシングの必要性を考察し,その特徴を論ずる。そして富士通のアウトソーシングサービスの事例として,ブロードバンド時代のIDC(Internet Data Center)サービス,ASP(Application Service Provider)サービス,地域ポータル構築サービス(Town@nifty)を紹介する。

細野 祐一、片岡 弘、木本 隆

富士通の先進先行事例

近年,インターネットを始めとしたネットワーク上で様々なデータ交換が行われている。 政府もこの現状を受け,「ミレニアム・プロジェクト」として「2003年度までに電子政府の実現のための基盤を構築する」という目標が掲げられた。この基盤こそが「総合行政ネットワーク」であり,すでに運用を開始している霞が関WANとの接続を始め,近い将来実現するであろう住民・企業からの電子申請の基礎を築くものである。総合行政ネットワークについては,3年間の調査研究期間を終え,この研究結果を踏まえた実証実験を行った。
本ネットワークシステムは全国規模でのネットワークをはじめ,セキュリティ技術や暗号技術,認証技術を有機的に結合することを特徴としている。
この実証実験は今後の電子政府実現のための礎になるものであり,これを実現するための有効性,課題などについて実験を通して検証を行った。

寺田 満明、樋口 寿徳

総務省では,2001年度中に,電気通信行政手続きの一部オンライン化を開始する予定としており,2000年度にはオンライン化の実証実験を実施した。実証実験では,技術面の検証,および総務省主催のオンライン化検討委員会に参加することにより制度面の両面からの,オンライン化実現の検討を行ってきた。実証実験の評価において,オンライン化を阻害する要因は基本的には存在しないと結論付けており,今後,中央官庁,自治体での電子政府実現に向けた取組みは,一層加速されると予想される。
実証実験は富士通エフアイピーが受注,富士通もプロジェクトへ参画し,開発,実験の実施,システムの評価を担当した。
本稿では,先進事例として,総務省での実証実験の内容を述べ,その結果から,本運用に向けた取組み内容について紹介する。

河合 正人、田中 義孝、笠松 新一

「ICカードの普及等によるIT装備都市研究事業」は,IT革命を強力に推進するため全国から21のコンソーシアムが参加する実証実験事業で,今後の電子行政化に向けてキーデバイスとなるICカードの利用実態について検証するものである。行政側ではその発行および運用を,利用者(住民)からは各種サービスにおける利便性・運用性を評価の対象とする。本稿では,本研究事業の全体概要と小都市広域型連携モデルでの実験の手順について紹介する。ICカードの利用により提供されるサービスは,証明書交付サービス,行政モニタリング,図書・施設予約サービス,医療保険サービスで,これらのサービスは複数の行政間で相互に提供可能である。また,ICカードの発行や管理を広域で実施することについての評価も実施する。この結果を有効活用することにより,今後の電子自治体化の実現を見据えた基盤作りの参考としたい。

中山 雅彦

ディジタルネットワーク社会の急速な進展の中で,住民負担の軽減・住民サービスの向上,国・地方を通じた行政改革のため,行政の高度情報化の推進が必要不可欠である。住民基本台帳ネットワークシステムは,こうした要請に応えるための基礎となる全国規模で本人確認を効率的に行うシステムである。本システムを構築する趣旨は,「住民の利便を増進するとともに,国および地方公共団体の行政の合理化に資するため,市町村の区域を越えた住民基本台帳に関する事務の処理および国の機関などに対する本人確認情報の提供を行い,併せて住民の本人確認情報を保護すること」となっている。
富士通は,この住民基本台帳ネットワークシステムに対応し,「住民基本台帳ネットワーク・ソリューション」を地方公共団体向けに提供する。

八木橋 亮雄

富士通のソリューションステージ

電子行政の推進に当たっては,ITの活用により家庭や企業がどのように変わっていくのかを具体的に考え,本当に必要とされる有意義な行政サービスとはどのようなものかを検討していかなければならない。また電子行政とは,行政の構造改革を伴わずには実現できないものであり,行政内部でのトップダウン型の推進が必須である。
電子政府に対する富士通の取組みについて紹介する"netCommunity"では,このような課題を踏まえ,(1)「e-Japan構想」を具体化し3~5年後の電子社会のイメージをより身近に分かりやすく紹介する,(2)行政のトップレベルが何をすべきかのメッセージを発信する,という新たなコンセプトのもと2001年7月18日にリニューアルオープンした。
本稿では,リニューアルの基本的な考え方と刷新した内容について紹介する。

大榎 央樹

一般

近年,IT技術の目覚しい発展により,様々な分野において生産の効率化を目指し,製品ライフサイクルにおける情報のディジタル化が進んでいる。人工衛星の開発においても,部品設計の見直しはもとより,開発作業の進め方にも踏み込んだディジタル化による変革が進んでいる。富士通では,1997年よりCALSの概念をもとに,人工衛星開発における作業効率化のためのシステムを(財)無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)殿より受託開発するとともに,その運用を支援している。本稿では,富士通が人工衛星開発支援システムとして開発したテレメトリ・コマンド情報データベース,および開発支援データベースについて述べる。

広瀬 智紀


---> English (Abstracts of Papers)