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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2001-9月号 (VOL.52, NO.5)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2001-09

特集: 「Webコンピューティング」

Webコンピューティング特集に寄せて(PDF)

特集: Webコンピューティング目次〕

  • Webコンピューティング基本構想

ミドルウェアとコアテクノロジ

  • Webシステムテクノロジ
  • Webサービス技術の動向と適用戦略
  • Web基盤技術Javaと開発環境技術の動向
  • コンポーネントの共通化と流通
  • 一歩先行くビジネスポータルサーバ
  • 文書検索による概況調査支援システム
  • ATLAS翻訳サーバへの取組みと今後の展開
  • Mobileコンピューティングの動向と製品適用
  • B2B向けプロトコルの標準化と適用戦略

構築技術とシステム検証

  • Webシステムのパターン化とシステム検証
  • 中規模Webシステムの効率的開発

サービスと適用事例

  • WebSERVEによるASP事例
  • e-マーケットプレイス構築事例
  • 音楽コンテンツの超流通とセキュリティ

一般

  • 「ファッション業界仮想統合商品データベース」のサービス実証

特集:Webコンピューティング


今後の企業は,ブロードバンドインターネットをインフラとして,経営戦略に組み込まないと勝ち残れないという,まさに「インターネットビジネスセカンドステージ」に突入している。例えば,規制緩和や撤廃などの新たな競争環境に勝ち抜きかつ先手を取り,またビジネスの急成長に対応するためには,先進的かつ拡張性に耐えられるブロードバンドインターネットのWebシステム構築が必要である。また,SOAP(Simple Object Access Protocol),UDDI(Universal Description,Discovery,and Integration)など業界標準を契機にして,今後はWebサービスが非常に重要なキーテクノロジと予想している。
本稿ではブロードバンド時代における富士通のWebコンピューティング基本構想の概要を紹介する。

三津濱 元一、若生 淳一

ミドルウェアとコアテクノロジ

Web技術はインターネットというグローバルな広がりを持つネットワークインフラと結びつくことによって急速な広がりを見せた。どちらかと言えば企業活動の効率化を目的に企業内システムのインフラとして位置付けられていた従来の情報システムテクノロジと異なり,Webシステムテクノロジは企業のビジネス形態と密接に係わり,その活用が経営戦略そのものとなるという点に特徴がある。研究者間の文書交換を目的としてWeb技術が誕生してから10年,この技術を活用した新しいビジネスモデルが次々と生まれている。このような市場の動きに従ってWeb技術は急速に進展しており,新しい技術が次々と開発されている。
本稿では企業活動を支えるWeb技術の基本と最新動向を紹介する。

盛本 一成、菅田 和男、小菅 健

従来のWebサイトが,人間が情報を参照したり入力したりするための仕組みだったのに対して,Webサービスは情報システム同士が連携する技術であり,インターネット上の新しい情報インフラになる可能性を持っている。Webサービスを実現するための標準技術として,SOAP,UDDI,WSDLなどの標準化が進められている。Webサービスを用いることによって,シームレスなサービスのインテグレーション,ダイナミックなシステムの拡張,ビジネスプロセスのアウトソーシングなどが可能となる。Webサービスの実用化は既に始まっており,とくに企業間電子商取引の分野ではebXMLやRosettaNetなどの標準技術が実用化されつつある。富士通はebXMLやUDDIなどの標準化活動に積極的に参加しており,すでにSOAP,WSDLなどの技術の製品提供を行っている。本稿では,Webサービスを実現する標準技術とそのメリットについて述べ,富士通の取組みを紹介する。

原 裕貴

JavaはWeb基盤技術として広く知られるようになり,今日では多くのWebシステムがJavaの技術を用いて作成されている。
富士通は“INTERSTAGE APWORKS”および“INTERSTAGE WEBCOORDINATOR”の各開発環境製品を提供し,Java技術を基盤としたWebシステム構築を支援している。
本稿ではWebシステムの基盤となるJavaの技術動向と富士通製品での取組みを紹介する。

永井 敏隆、太田 勝久

EJBによってコンポーネントの流通によるアプリケーション開発が実現しようとしている。この開発の実現には,コンポーネントの共通化と,コンポーネントを流通させる仕組みが必要である。これらにより,短期間で品質の高いWebアプリケーションを開発することが可能になる。富士通では2000年から各社と協力して,「EJBTMコンポーネントに関するコンソーシアム」を設立し,コンポーネントのポータブル規約を策定・公開することで,異なるベンダ間で流通可能なコンポーネントを普及する活動を進めてきた。同時にこのポータブル規約に基づくEJBコンポーネントの開発・提供を行い,EJBコンポーネントを利用したシステム開発環境の整備を進めてきた。
本稿では,これらの活動についての具体的な説明を行い今後の取組みについて述べる。

正岡 秀智、亀井 尚樹

急激な市場変化と激化する競争の中で,インターネット技術を装備した企業情報システムの充実と拡張が続いている。これが情報の洪水をもたらし,結果として,社内外に分散した各種情報を,各利用者が適切な形で適切な時にアクセスできる手段を提供するシステムが求められている。EIP(Enterprise Information Portal)は,この「決定打」として登場したWebフロント系システムである。INTERSTAGE PortalWorksは,情報だけでなく,増え続けるWebベースサービスまでも対象とし,EIPをEISP(Enterprise Information & Service Portal)へと発展させるビジネスポータルサーバである。関連する複数の情報・サービスを同時にWebブラウザに表示する機能と,ポータルサーバ上でシステムの連携とコンテンツの加工を可能にするスクリプト機能で,利用者の業務要求に迅速かつ柔軟に対応し,業務効率を大幅に改善し,ビジネスを大きく促進する。
本稿では,PortalWorksが提供する先進的なポータル機能を紹介し,PortalWorksによるポータルソリューションでの業務改善を解説する。

高田 裕志、倉田 典

文書データベースを対象としてユーザの概況調査(一つの事柄について様々な情報を収集し,整理して報告する)を支援することを目的としたシステムを紹介する。
本システムは文書データベースを対象に概況調査のための基礎データを収集し,必要な情報を抽出してユーザのニーズに沿う形に整形して出力する。ここではあらかじめ意味解析の結果を文書中にXMLタグの形で埋め込んでおき,検索コマンドで直接検索を行うことで,意味的な内容による高速な検索を実現し,さらに検索の失敗したときには,段階的に検索条件を緩和する機構を起動することで,意味解析の誤りや文書とユーザの質問における表現の違いなどに対応している。

伊吹 潤、西野 文人、松井 くにお

「IT革命」により,市場は,「グローバル化」と「スピード化」が求められている。外資の日本参入の影響もあり,企業内では,「英語の必要性」が叫ばれている。このような状況の中,注目されているのが「翻訳ソフト」である。
富士通は,翻訳ソフトとして,1980年以降機械翻訳システム“ATLAS”の開発に取り組んできた。今日に至るまでには,1984年メインフレーム用ATLAS,1991年Sunワークステーション用ATLAS,1994年Windows版ATLASを市場に投入しており,2000年11月には,Webベースのサーバ翻訳システムとして,“tr@nslingo”を出荷した。
本稿では,翻訳サーバ製品への取組みと,翻訳市場動向を踏まえて翻訳インフラに対応した「ATLAS翻訳サーバ」,および今後の翻訳サーバ製品の展望について述べる。

塩津 誠,中村 寛

近年,Webを利用した情報システムにおいて,i-modeに代表されるブラウザ機能付きの携帯電話や,PDAといったモバイル端末に対する情報提供が注目される状況となってきた。
1990年代の後半から携帯向けのWebサイトが出現してきたが,ブラウザ対応の携帯電話の種類や提供する情報が増加するにつれて,サーバの構成が複雑化・高度化してきており,サーバの構築をより簡単にするインフラの提供が望まれている。
富士通は,これに対応し,近年特に注力してきたWeb・モバイル・XMLの基礎技術と,エージェント技術をもとに,モバイル通信エージェントとWebフロントのモバイルエージェントを開発した。本稿では,これらのエージェント技術を将来展望を交えながら紹介する。

天野 宏、竹川 郁男、広田 勉

企業間取引がEDIベースからインターネットベースのBusiness to Business(B2B)へと移行するに伴い,これまでイントラネット向けに発展してきた技術がインターネット上に再構築され始めた。それらの技術の中でもB2B普及のキーとなるのがオープンで信頼できるメッセージングである。著者らは富士通がMOM製品の開発を通じて蓄積した技術をもとに, B2Bフレームワークの仕様を作成している標準化団体であるebXMLイニシアティブにおいてメッセージングのリライアビリティ機能を仕様提案し,他社と協力してオープンで信頼できるメッセージングプロトコル仕様「ebXMLメッセージサービス」を作成した。ebXMLイニシアティブはこの仕様を含むB2Bフレームワーク仕様のすべてを2001年5月に完成させた。また,著者らはこの経験をもとに富士通のインターネットビジネス向けソフトウェアプラットフォームINTERSTAGEでのebXMLメッセージサービスの早期適用を実現した。

成田 雅彦、藤岡 和人、島村 政義

構築技術とシステム検証

近年,インターネットユーザ数が急伸し,インターネットを利用した企業間取引や消費者向けサービスビジネスのほか,企業内情報システムにおけるWebシステムの本格的な利用が進んでいる。この中で,高品質なWebシステムをいかに短期間で構築するかが,企業のビジネス戦略上重要な要件となっている。
しかし,アクセス集中に対する性能上の考慮,不正アクセスに対するセキュリティ対策,ハードウェアとミドルウェアの組合せの複雑化などが,短期間でのWebシステム構築を阻害する要因となっている。
本稿では,企業戦略上重要なインフラであるWebシステムを高品質でかつ短期間で構築するという厳しい要求に応えるべく,これらの課題を解決したWebシステムのパターン化とシステム検証について述べる。

西條 寛、藤田 星児

近年,Webビジネスを取り巻く環境は大きく拡大しており,Webサイト数も急激に増大している。Webビジネスを成功に導くためには,高品質で安定稼働するシステムを早期稼働させねばならない。一方でWebシステム構築には種々の困難が伴い,早期稼働を実現させるにはブレークスルーが必要である。また最近ではWebサイトへの不正アクセスが大きな社会問題となっており,Webシステムには強固なセキュリティが求められる。
本稿ではこれらの課題に対応するため,品質,性能およびセキュリティについてあらかじめ検証済みのアプリケーション部品をうまく利用してWebシステムの開発を効率化する手法について述べる。さらにアプリケーション部品ごとの設計・コンサルティング用業務テンプレートとハードウェアをセット化した「ソリューションスィート」について紹介する。

藤井 則夫、舛巴 智、山際 秀男

サービスと適用事例

近年,企業でのITを活用した新しいビジネスモデルによる新市場開拓,Web技術を取り入れた顧客サービスの向上,生産性向上などが急速に進んでいる。
富士通システムソリューションズでは,他社に先駆けて中堅企業向けインターネット統合ソリューション:WebSERVE(企画コンサルティングから,EC/EDI,イントラネットなどのWebSERVEのサービスメニューを活用したシステム開発,ASP運用までのトータルサービス)を1999年1月に販売開始以来,約350社のお客様に導入してきた。
本稿では,WebSERVEの概要,特長,活用動向,および製造業・専門商社でのASP導入事例について紹介する。

笹川 信二、岡本 俊一

米国を中心にヨーロッパ,日本においても次々と立ち上がっていくかに見えたe-マーケットプレイスであるが,ネットバブルが弾けた今,すでにビジネスモデルの見直しが始まっている。一方,ブロードバンド時代の到来と相まって,B2Bコマースはより身近なものとなりつつある。
本稿では,新たなビジネスモデルに対応し,既存ビジネス間のバリューチェーンに変化を与えたe-マーケットプレイス構築の実践例として,商社・信販会社・保険会社を中心に設立された余剰在庫の流通マーケットプレイス「いい在庫ドットコム」と,運送業者によるインターネット受発注業務から物流までの代行サービス提供の場“e-netsenko”を紹介する。

村形 武志、清水 健介、芹川 健二郎

インターネットを用いたメジャー系音楽配信が日米を始めとして多様な形でサービスされており,日本ではPHS(簡易型携帯電話)を用いた音楽配信サービスも始まっている。富士通ではこうした音楽を始めとする高価値コンテンツの超流通を想定したセキュリティ基盤技術としてUDAC (Universal Distribution with Access Control)を提供している。ブロードバンド化とコンテンツ交換アプリケーションの普及が更に進み,遠隔間でのディジタルコンテンツ大量瞬間複製がすべての人々に容易に実施できる時代が来れば,ますますオープンで柔靭性の高いコンテンツ保護技術として,UDACのような仕組みが重要になる。
本稿ではUDACを核としてサービスを実現した「ケータイdeミュージック」およびこのサービスとPCとの相互運用方式を紹介する。本方式の高い柔靭性が評価され,ヒット曲がCD販売前に配信されたことはこの成果の一つである。

畠山 卓久、丸山 秀史、千葉 哲央

一般

平成11年度補正予算プロジェクト「中小企業経営効率支援ソフトウェア開発・実証事業」で,現在の繊維業界が抱える企業間取引(とくに中小アパレル企業・小売業間)の情報交換問題解決に向けて,「ファッション業界仮想統合商品データベース」サービス実証を富士通が受託した。富士通では,エージェント/XML技術を活用して,この問題解決および今後の中小企業QR(Quick Response)化の促進に向けたアパレル企業・小売業間のデータ交換モデルシステム開発に取り組み,今後のファッション業界向けASP(Application Service Provider)の共通基盤サービスを構築した。

清水 圭


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