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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2000-11月号 (VOL.51, NO.6)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2000-11

特集: 「IPネットワーク」

特集: IPネットワーク 目次〕

特別寄稿

  • IPネットワークへの取組み

エンタープライズネットワーク

  • バーチャルプライベートネットワーク:VPN
  • ポリシー制御型ネットワーク
  • “e-Volving Telephony”コンセプトによるIP Voice Solution
  • “e-Volving Telephony”コンセプトによるVoIPルータ:LR-Vシリーズ
  • 高速・高信頼レイヤ3スイッチ:SR8800
  • トラヒック分散システム:Network AccessDirector
  • トラヒック測定技術:NEPRI
  • ダイヤルアップルータ:NetVehicleシリーズ

キャリアネットワーク

  • キャリアIPネットワークのコンセプト
  • GIPNet(Global IP Network)
    -広域大容量品質保証型キャリアクラスIPネットワーク-
  • フォトニックネットワーク
  • 高速メタリックIPアクセスシステム:ADSL

共通エリア

  • IPネットワークの運用管理
  • ネットワーク構築技術

一般

  • スペースデブリ軌道生成実験システム

特集:IPネットワーク


特別寄稿

エンタープライズネットワーク

インターネットの普及,およびイントラネットやエクストラネットの発達により,安価で安全な広域接続技術が求められている。富士通では,この要求に対してインターネットVPN(CPE based VPN)を実現する製品群,LR-Xシリーズ,NetShelter,Safegate/INTERSTAGE Security Directorを提供している。本稿では,VPNの概要と富士通の取組み,各製品の特徴について述べる。
VPNを含むインターネット関連の技術はIETFで標準化が行われており,富士通製品もIETF標準をサポートすることで,自社機同士および他社機との相互接続性を確保している。さらにIETF標準では満たせない顧客の要望に対しては,富士通独自技術で実現するなど,様々な顧客ニーズに応えるべく製品を開発・提供している。

斉藤 友嗣

データと音声のIPネットワークへの統合やネットワーク規模の拡大によるネットワーク機器の増大などによって,ネットワークの運用は更に複雑さを増している。この解決に向けて富士通はネットワークの一元的かつ動的な制御を行うポリシー制御型ネットワーク(PBN:Policy Based Networking)のフレームワークと,これを実現するためのアーキテクチャ,および製品群を開発した。これらによって,ネットワーク運用者の負荷軽減や設定内容の矛盾回避,および人手に頼った運用では実現困難なネットワーク障害への迅速な対応を実現した。
本稿では,PBNのねらいと実現方式,および具体的なPBN製品とその提供機能について概要を紹介する。

堀江 隆一

富士通のVoIPシステムは,“e-Volving Telephony”コンセプトに基づき,音声・データ統合IPネットワーク構築に向け“IP Voice Solution”を提供し,新しい企業内コミュニケーションスタイルを提案する。
本稿では,様々な環境やニーズに合ったソリューションを提供するIP Voice Solutionの展開方針を示し,核となるVoIP製品の次世代PBX“i・force”と次世代コミュニケーションサーバ“IP MEDIASERVE”について,システムの特徴である豊富な音声サービス,高品質な音声通話,容易なアプリケーション連携などを紹介する。さらに,それらの特徴を実現しているソフトウェアアーキテクチャおよび設計手法について述べる。

中田 正敬、松本 孝、永山 泰文

富士通では,音声・データ統合ソリューションとして“e-Volving Telephony”コンセプトを提案している。本コンセプトに基づき,音声をLAN/WAN IPネットワーク上に取り込むためのVoIPルータとしてLR-Vシリーズを開発した。さらに,ゲートキーパソフトウェアNetEyemanager/VoIPの開発により,LAN/WANネットワーク上での内線電話網構築も可能とした。
LR-Vシリーズはルータ機能,音声/データ変換機能,および電話番号/IPアドレス変換機能をコンパクトに一体化している。LR-Vシリーズは,LR-V対向による2地点間の音声・データ共通回線接続から,LR-Xシリーズ(ルータ)と組み合わせたLAN上のVoIPネットワークを複数WAN結合した音声・データ統合IPネットワーク網構築まで,低コストで最適なVoIPソリューションを提供する。

荻野 憲一、西山 正顕、井上 義章

企業におけるイントラネットの急速な普及,情報系と基幹業務系のIP統合,データセンタの発展などの動向により,高速かつ高信頼な「レイヤ3スイッチ」が,今後のIPネットワークのコア製品として注目されている。
このような世の中の動向を先取りして,富士通は高速・高信頼レイヤ3スイッチ:SR8800を開発した。SR8800は,ギガビットイーサネットを最大48本(100 Mビットイーサネットを最大128本)収容し,業界最高レベルの高信頼性技術,QoS技術を備えた製品であり,今後のイントラネット,データセンタなどの中核を担うべきキープロダクトである。
本稿では,SR8800が備えている内部コンポーネント2重化などの高信頼性技術,専用のハードウェアで制御する高性能なQoS技術,そして今後の展開について述べる。

馬場 秀和、財前 浩史、吉野 令晃

全社的なクライアントサーバシステム,電子商取引システムでは,大量の利用者から特定の業務サーバにアクセスが集中し,業務の優先度に関係なく大量の業務データが伝送路に流れ込むことで,特定業務の処理性能が突発的に低下するといった問題が発生している。
本稿では,これらの問題を解決するために開発したトラヒック分散システム“Network AccessDirector”について紹介する。
このNetwork AccessDirectorでは,クライアントからサーバへの要求パケットを複数台のサーバに負荷分散し,通過するパケットを帯域制御することで,サーバ性能,ネットワーク性能の悪化,およびサーバダウン時の業務停止を防止する機能を提供する。

高場 浩一、緒方 且実

近年,IPネットワークにおいて通信品質の保証や,負荷分散などの動的制御を行いたいという要求が高まってきており,そのためには,ネットワークの性能を的確に把握することが重要になってきている。しかし,今日のIPネットワークは,多種多様なネットワーク機器を相互接続してボトムアップに構築しているため,性能を把握することはなかなか困難である。
本稿では,従来技術の問題点である測定時の負荷増大および測定精度の低下について述べるとともに,富士通で開発を進めているネットワーク経路のボトルネックの帯域幅をプロービングによって効率良く測定できる新しい手法“NEPRI”を紹介する。本手法は,従来手法であるRTT(Round Trip Time)の値を求めるのではなく,プロービングパケット間のRTTの差が下限となるボトルネックの帯域幅を算出することによって,輻輳したネットワークでも少量のパケットを送信するだけで従来手法と同程度の精度で帯域幅を測定できる。

勝山 恒男、安達 基光

富士通は,インターネット利用に最適なダイヤルアップルータ:NetVehicleシリーズを開発した。インターネットの普及とともにダイヤルアップルータが一般化するに従ってユーザのニーズも多様化し,ビジネスユースで求められる機能とホームユース・パーソナルユースで求められる機能がそれぞれに違ってきている。そこで,NetVehicleシリーズはそれぞれのシーンに最適なソリューションを提供するため,ビジネス向けモデルとコンシューマ向けモデルを分離し,ラインナップの強化を図った。
本稿では今回開発したコンシューマ向けモデルである“NetVehicle-GX5”と,ビジネス向けモデルである“NetVehicle-S20”について,インターネットをより簡単で便利にするという開発のコンセプト,製品を特長づけているUSB-LAN機能やモデム接続機能,採用しているOSやマルチルーティングなど独自の技術などについて紹介する。

中島 幸宏

キャリアネットワーク

近年,世界的な通信市場の規制緩和や,インターネットと移動体通信の爆発的な普及などを背景にキャリアを取り巻く環境は大きく変化した。このような環境の変化に対応するため,キャリアはネットワークアーキテクチャの変革を図りつつある。
本稿では,今後更にIPトラヒックの増大が見込まれるなかでの次世代キャリアネットワークの要件について述べるとともに,それらの要件を満足するプラットフォームとして富士通が提供するキャリアIPネットワークのコンセプト,ネットワーク構成,および構成要素について説明する。また,キャリアIPネットワークを支える「フォトニクス」,「IP」,「モバイル(移動)」といった分野での最先端のキャリアIP技術に対する取組みや,その技術を応用したキャリアIP製品について紹介する。

鈴木 英彦、窪田 好宏

GIPNet(Global IP Network)は,富士通キャリアIPネットワークアーキテクチャの一つであり,NTT GMN (Global Megamedia Network)アーキテクチャと整合性を持つ。このGIPNetは広域大容量網におけるIP高速通信,帯域保証通信,マルチグレードQoS保証通信,ネットワーク型IP-VPNサービス,マルチキャスト通信サービスなどの実現を目的とする。ネットワーク全体がユーザ間を1hop距離でつなぐ巨大仮想ルータとして働き,またネットワーク全体が多数の内部ルーティングドメインを持つ,一つの広域Autonomous System(自律システム)として動作する。GIPNetによって,インターネット接続整合性を完全に保ちつつ,網内部転送系に各種IP技術とコネクションオリエンテッド型技術を最適バランスで適用し,キャリア型高品質サービスを実現できる。富士通はGIPNetの加入者収容IPパケット交換システムである「IPノード」を開発した。当該システムをNTT GMN網エッジノードに適合させ,NTT事業部門のIP-VPNサービス網に採用された。

稲見 任、国吉 秀一、加藤 正文

IPトラヒックの著しい増大に伴い,その伝達手段の大容量化,経済化,高品質化が要求され,その要求に適したトランスポートネットワークの構築が望まれている。この期待に応えるネットワークとして,フォトニックネットワークが注目されている。富士通では,これに対応すべく光波長多重伝送(WDM)システムFLASHWAVEシリーズを開発し製品化している。
本稿では,フォトニックネットワークの現状と今後の展開について,WDMシステムの動向,富士通製品FLASHWAVE320G,FLASHWAVE-OADXの特徴・性能を紹介し,また,今後のIP伝送に対応する技術としてディジタルラッパ技術の動向を述べる。

山口 伸英

ADSLは,既存の2線式メタリックケーブルを利用し,局から加入者への下り方向にはメガビットクラス,上り方向へは数百キロビットクラスの非対称な伝送容量を有するディジタル加入者線伝送方式である。下り方向への高速性が,その既存の設備を利用した経済性と相まって,インターネットアクセスの速やかな高速化への要求に応えており,ADSLシステムの導入が活発化している。
富士通は,ITU-T G.992.2(G.lite)に準拠した日本で初の独自のADSL用チップセットを開発し,それを使用して局内装置であるDSLAMと宅内装置であるADSL-DSUを製品化した。512回線を収容し,完全2重化を施したDSLAMは,装置の拡張性・信頼性に富み,さらにATMスイッチを内蔵することによりQoS(Quality of Service)を確保している。また,ADSL-DSUは,高度なIPルーティング機能,ブリッジ機能の双方を備え,ISP(Information Service Provider)ごとに異なるプロトコルスタックに柔軟に対応している。

福田 節、元山 英幸、三好 清司

共通エリア

ネットワークの多様化,規模拡大などの要因に対して「いかに短期・低コストで品質の良いオペレーション支援環境を提供できるか」がネットワーク運用管理に課せられた使命である。
本稿では,富士通のIPネットワーク運用管理の取組みを基本方針,基本構造モデル,製品体系として示す。また,具体的な製品事例としてSystemWalkerとFLEXRシリーズを取り上げ,各製品の位置付け,特徴,最新の開発状況について紹介する。

阿部 弘彰、川村 信宏、佐久間 淳一

情報通信システムの中枢にまで適用されるに至ったIPネットワークは,多くの技術・装置の集合体であり,その融合やインテグレーションには,多様な技術的制限,解決すべき課題が内在している。
富士通では,ソリューションとしてのIPネットワークの提供に向け,1989年以降,テクニカルセンターを中心に,IPを含むネットワーク新技術の評価・検証を推進し,そこで得られた結果・ノウハウを,製品・サービス(NetCares)開発にフィードバックしている。
テクニカルセンターが行う評価・検証は,基礎的な機能,性能,相互接続性の確認にとどまらず,スケーラビリティ問題や病理学的な現象の解析まで多岐に及んでいる。また,キャリア,サービスプロバイダ,データセンター,企業あるいは大学・研究所などあらゆる分野のネットワーク技術を対象としている。
本稿では,テクニカルセンターでの評価・検証事例を報告するとともに,NetCaresの体系について述べる。

那須野 洋一

一般

近年,宇宙空間を漂う人工のゴミであるスペースデブリに対する注目が高まってきている。富士通では,スペースデブリの軌道情報を管理するデータベースシステム,およびその軌道情報をもとにスペースデブリに関する衝突や落下といった事象のシミュレーション解析を行うためのシステムを宇宙開発事業団殿より受託開発し,1999年度から実験運用を実施している。さらに,地上よりスペースデブリを観測するシステムの整備も進められており,そのデータ処理システムの検討・開発作業を進めている。本稿では,スペースデブリの軌道解析と観測のためのシステムについて述べる。

亀山 雅也、石橋 史朗


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